今日はホワイトデー。財布の中身が苦しくなる日。
僕はそんな日に、蛋白石と人気のない公園にやってきた、もちろん明確な理由があって。
「はい、バレンタインデーのお返し」
そう言って、蛋白石に買ってきたお返しを渡す。
包装されていて中身は分からないだろうが、蛋白石に似合うかなと思って買ってきたネックレスだ。
まぁ、ちょっと高い買い物にはなったけど、これぐらいは当然……。
「……あの、ご主人様。私……」
でも、お返しを渡された蛋白石は浮かない顔をしている。
予想していた反応ではあるけど……まぁ、覚悟の上で渡すことにしたわけで。
「えっと、渡す前に全部食べちゃったの、まだ気にしてる?」
「あう……うぅ」
言葉通りだ。
蛋白石は、僕に渡すために買ってきたというチョコレートを、渡す前に全部食べてしまった。
十四日の夜、そのことを土下座で謝っていた姿が、今でも脳裏に焼きついている。
あのあと蛋白石を落ち着かせるのはかなり苦労したっけ……。
だからその話題にはなるべく触れないようにしていたけど、ここ一ヶ月、ずっと引きずっているのは顔色を見て分かっていた。
「ごめんなさい、やっぱりもらえません。ちゃんと渡せてないから……」
「でも……」
「お姉様や殺生石はきちんと渡せました。だからお返しを受けて当然です。だけど……」
やっぱり触れない方がよかったのかな……。
でも、やっぱり渡したい。あのとき僕は嬉しかったから。
「でも、蛋白石だって渡そうとしてくれたよ。僕はその気持ちだけでも充分嬉しいから」
「ご主人様……でも、やっぱりダメですよ」
食べものに関することは譲らない蛋白石だけど、こういうときはとてもしおらしくて、遠慮がち。
こういう姿を見ていると、やっぱり蛋白石も乙女なんだなぁって改めて思う。
でも……。
「そっか……それじゃあ、これはお返しじゃないってことで」
どうしても、蛋白石に渡したい。そんな意地が、口を動かしたのかもしれない。
なるべく平静を装う。こういうこと口にするのは、正直得意じゃないから。
「え?」
「だって、男はお返しだけじゃ面白くないよ。だからこれは、僕の気持ちということで、ね?」
あぁ、身体が少し震えてるよ。
昔から歯が浮くような台詞って苦手なんだよなぁ……。
「それじゃあ……何かお返しを……」
「お返しは、僕のご飯を食べて美味しいって言ってもらえれば充分だよ。あと、これを身につけていてくれれば……」
包装された箱を、蛋白石に手渡す。
ちょっと強引かも知れないけど……。
「……来年は、必ずチョコレート……ううん、十倍返ししますから」
やっと笑顔を浮かべてくれる蛋白石。
少しは、立ち直ってくれたかな。
「十倍かぁ……うん。待ってるよ」
「はいっ」
僕が手渡したその箱を、大事そうに胸に抱く蛋白石。
……あぁ、なんだか久々に見たな。こんな明るい笑顔。
「ご主人様って、いざというときは強引なんですね」
「っ。ご、誤解されるような言い方しないでよぉ」
「えへへ。でも、大好きですよ。そういうご主人様も」
「うぅ……」
結局、最後は蛋白石に顔を赤くさせられる僕だったり。
僕はそんな日に、蛋白石と人気のない公園にやってきた、もちろん明確な理由があって。
「はい、バレンタインデーのお返し」
そう言って、蛋白石に買ってきたお返しを渡す。
包装されていて中身は分からないだろうが、蛋白石に似合うかなと思って買ってきたネックレスだ。
まぁ、ちょっと高い買い物にはなったけど、これぐらいは当然……。
「……あの、ご主人様。私……」
でも、お返しを渡された蛋白石は浮かない顔をしている。
予想していた反応ではあるけど……まぁ、覚悟の上で渡すことにしたわけで。
「えっと、渡す前に全部食べちゃったの、まだ気にしてる?」
「あう……うぅ」
言葉通りだ。
蛋白石は、僕に渡すために買ってきたというチョコレートを、渡す前に全部食べてしまった。
十四日の夜、そのことを土下座で謝っていた姿が、今でも脳裏に焼きついている。
あのあと蛋白石を落ち着かせるのはかなり苦労したっけ……。
だからその話題にはなるべく触れないようにしていたけど、ここ一ヶ月、ずっと引きずっているのは顔色を見て分かっていた。
「ごめんなさい、やっぱりもらえません。ちゃんと渡せてないから……」
「でも……」
「お姉様や殺生石はきちんと渡せました。だからお返しを受けて当然です。だけど……」
やっぱり触れない方がよかったのかな……。
でも、やっぱり渡したい。あのとき僕は嬉しかったから。
「でも、蛋白石だって渡そうとしてくれたよ。僕はその気持ちだけでも充分嬉しいから」
「ご主人様……でも、やっぱりダメですよ」
食べものに関することは譲らない蛋白石だけど、こういうときはとてもしおらしくて、遠慮がち。
こういう姿を見ていると、やっぱり蛋白石も乙女なんだなぁって改めて思う。
でも……。
「そっか……それじゃあ、これはお返しじゃないってことで」
どうしても、蛋白石に渡したい。そんな意地が、口を動かしたのかもしれない。
なるべく平静を装う。こういうこと口にするのは、正直得意じゃないから。
「え?」
「だって、男はお返しだけじゃ面白くないよ。だからこれは、僕の気持ちということで、ね?」
あぁ、身体が少し震えてるよ。
昔から歯が浮くような台詞って苦手なんだよなぁ……。
「それじゃあ……何かお返しを……」
「お返しは、僕のご飯を食べて美味しいって言ってもらえれば充分だよ。あと、これを身につけていてくれれば……」
包装された箱を、蛋白石に手渡す。
ちょっと強引かも知れないけど……。
「……来年は、必ずチョコレート……ううん、十倍返ししますから」
やっと笑顔を浮かべてくれる蛋白石。
少しは、立ち直ってくれたかな。
「十倍かぁ……うん。待ってるよ」
「はいっ」
僕が手渡したその箱を、大事そうに胸に抱く蛋白石。
……あぁ、なんだか久々に見たな。こんな明るい笑顔。
「ご主人様って、いざというときは強引なんですね」
「っ。ご、誤解されるような言い方しないでよぉ」
「えへへ。でも、大好きですよ。そういうご主人様も」
「うぅ……」
結局、最後は蛋白石に顔を赤くさせられる僕だったり。