怖い。
身体が動かない。
目が開かない。
頭の中が、怖い。
怖い。もう嫌だ。目を開けたい。
でも、身体が言うことを聞かない。
もう嫌だ……やめて……。
身体が動かない。
目が開かない。
頭の中が、怖い。
怖い。もう嫌だ。目を開けたい。
でも、身体が言うことを聞かない。
もう嫌だ……やめて……。
「だんな様っ!」
その声が、僕の意識を一気に覚醒させた。
そこは真っ暗な部屋。でも分かる、ここは僕の部屋だ。
……悪い夢を見た。思い出すだけでも、背筋が凍る。
何かが、僕を温かく包み込む。
「もう大丈夫です、怖いものは何もありませんよ」
「……殺生石?」
包み込んでくれているのは、殺生石の腕と尻尾……か。
……あれ、僕泣いていたのか。
「どうしてここに?」
「本当はだんな様の寝顔をご拝借、と思ったんですけど。とても苦しそうでしたので」
「……ありがとう」
どういたしまして、そんな感じで殺生石が微笑む。
本当に助かった。自力で目を覚ましても、一人だけだったらもう一度眠ることはできなかったと思う。
「わたくしが悪い夢を見たときも、だんな様にこうしていただきましたよね」
「あぁ、そうだったね」
それも、もう半年以上前のことかぁ……。
「それよりだんな様、明日も早いのですからお休みになって下さい」
時計を見る……まだ二時か。もう一眠りぐらいならできそうだ。
「うん、分かった。本当にありがとう」
もう一度礼を言って、布団に戻る……。
だが、身体が再び殺生石の方へ引き寄せられる。
「駄目です。今日はこのまま寝てください」
「え、でも殺生石が……」
「わたくしの心配なら無用です。さぁ」
さぁと勧めてはいるが強制らしい。僕の全身が殺生石に包み込まれる。
彼女の顔が近い。でも自然と落ち着く……。
その声が、僕の意識を一気に覚醒させた。
そこは真っ暗な部屋。でも分かる、ここは僕の部屋だ。
……悪い夢を見た。思い出すだけでも、背筋が凍る。
何かが、僕を温かく包み込む。
「もう大丈夫です、怖いものは何もありませんよ」
「……殺生石?」
包み込んでくれているのは、殺生石の腕と尻尾……か。
……あれ、僕泣いていたのか。
「どうしてここに?」
「本当はだんな様の寝顔をご拝借、と思ったんですけど。とても苦しそうでしたので」
「……ありがとう」
どういたしまして、そんな感じで殺生石が微笑む。
本当に助かった。自力で目を覚ましても、一人だけだったらもう一度眠ることはできなかったと思う。
「わたくしが悪い夢を見たときも、だんな様にこうしていただきましたよね」
「あぁ、そうだったね」
それも、もう半年以上前のことかぁ……。
「それよりだんな様、明日も早いのですからお休みになって下さい」
時計を見る……まだ二時か。もう一眠りぐらいならできそうだ。
「うん、分かった。本当にありがとう」
もう一度礼を言って、布団に戻る……。
だが、身体が再び殺生石の方へ引き寄せられる。
「駄目です。今日はこのまま寝てください」
「え、でも殺生石が……」
「わたくしの心配なら無用です。さぁ」
さぁと勧めてはいるが強制らしい。僕の全身が殺生石に包み込まれる。
彼女の顔が近い。でも自然と落ち着く……。
「殺生石、起きてる?」
安心したのはいいけど、結局その後恥ずかしさが込み上げてきて目が覚めてしまう始末。
だから、何となく殺生石に話しかけてみた。
「……もう、だんな様ったら。眠らなくてはお体に悪いですよ。それにわたくしはふだん眠りませんから」
「そういえばそうだね。でも、どうして眠らないの?」
眠くならないからと言われればそれまでだけど。
「だんな様が思っている通りですよ。酔ったときぐらいしか、眠気が起きません」
「そうなんだ……うらやましいけど、退屈だね」
「そうでしょうか?」
一日が二十四時間というのは、忙しいときは特に短く感じる。
だから殺生石のように眠らずともすむ身体というのは、人間としてはうらやましいって思う人も多いだろう。
でも、それが永遠に続いたら話は別だ。暇なときに眠ることができなければ、それこそ疲れる。
……いや、眠らないと疲れるという感覚自体、眠ることが当然という生き物の考え方なのかもしれない。
じゃあ、僕も殺生石と同じ身体になれば、考え方も変わってくるのだろうか。
「難しいお顔を浮かべてますね」
「ん。まぁ、ちょっと考えてた」
そんな僕の言葉に、殺生石は優しく微笑む。
「だんな様。わたくしが夜一番楽しみにしていること、分かりますか?」
突然の質問。
「んー……月光浴とか、散歩?」
「ふふふ。残念ですが、どれも一番ではありませんよ」
殺生石の手が、僕の頬に触れる。
その顔は、まるで自分の子供を愛しく思う母親みたいな。
「正解は……愛する殿方の寝顔を、夜が明けるまで見守ること、ですよ」
――言葉が出ない。恥ずかしくて。
「わたくしは眠りません……ですが、いつでもだんな様のことを見守っています。ずっと……」
カーテンの隙間から、わずかに漏れる街灯と月の灯り。
なんだかドラマのワンシーンみたいなシチュエーションで、胸が熱くなる。
……身体が、動かない。でもさっきとは違って、怖くはない。
でも、そんな僕の態度が殺生石は気に入らないらしい。頬をちょっとだけ膨らませている。
「こういうときは殿方から愛を確かめるものですよ、主に行動で」
「え、いやその……うぅ」
だいたい殺生石の言う行動って……顔が赤くなる。
「もう、恥ずかしがり屋さんなんですから。ふふふ」
そう言って、僕の顔を自分の顔に引き寄せる殺生石。
……恥ずかしいけど、ここはとても安心できる。
悪い夢なんて、二度と見ないと思えるほどに、とっても……。
安心したのはいいけど、結局その後恥ずかしさが込み上げてきて目が覚めてしまう始末。
だから、何となく殺生石に話しかけてみた。
「……もう、だんな様ったら。眠らなくてはお体に悪いですよ。それにわたくしはふだん眠りませんから」
「そういえばそうだね。でも、どうして眠らないの?」
眠くならないからと言われればそれまでだけど。
「だんな様が思っている通りですよ。酔ったときぐらいしか、眠気が起きません」
「そうなんだ……うらやましいけど、退屈だね」
「そうでしょうか?」
一日が二十四時間というのは、忙しいときは特に短く感じる。
だから殺生石のように眠らずともすむ身体というのは、人間としてはうらやましいって思う人も多いだろう。
でも、それが永遠に続いたら話は別だ。暇なときに眠ることができなければ、それこそ疲れる。
……いや、眠らないと疲れるという感覚自体、眠ることが当然という生き物の考え方なのかもしれない。
じゃあ、僕も殺生石と同じ身体になれば、考え方も変わってくるのだろうか。
「難しいお顔を浮かべてますね」
「ん。まぁ、ちょっと考えてた」
そんな僕の言葉に、殺生石は優しく微笑む。
「だんな様。わたくしが夜一番楽しみにしていること、分かりますか?」
突然の質問。
「んー……月光浴とか、散歩?」
「ふふふ。残念ですが、どれも一番ではありませんよ」
殺生石の手が、僕の頬に触れる。
その顔は、まるで自分の子供を愛しく思う母親みたいな。
「正解は……愛する殿方の寝顔を、夜が明けるまで見守ること、ですよ」
――言葉が出ない。恥ずかしくて。
「わたくしは眠りません……ですが、いつでもだんな様のことを見守っています。ずっと……」
カーテンの隙間から、わずかに漏れる街灯と月の灯り。
なんだかドラマのワンシーンみたいなシチュエーションで、胸が熱くなる。
……身体が、動かない。でもさっきとは違って、怖くはない。
でも、そんな僕の態度が殺生石は気に入らないらしい。頬をちょっとだけ膨らませている。
「こういうときは殿方から愛を確かめるものですよ、主に行動で」
「え、いやその……うぅ」
だいたい殺生石の言う行動って……顔が赤くなる。
「もう、恥ずかしがり屋さんなんですから。ふふふ」
そう言って、僕の顔を自分の顔に引き寄せる殺生石。
……恥ずかしいけど、ここはとても安心できる。
悪い夢なんて、二度と見ないと思えるほどに、とっても……。
「うっわーっ、遅れる遅れる!」
結局寝るのが遅くなって、遅刻ギリギリまで寝てしまった僕。
あぁ、情けない……。
「ご主人様ー、お弁当お弁当っ!」
「あっ、ありがとう蛋白石っ。それじゃあ行ってきます!」
「……いってら」
蛋白石と電気石に見送られて玄関へと向かう。
ちなみに、寝顔を眺めていたら起こすのを忘れていたとか言っていた殺生石といえば……。
「お勤め、頑張ってくださいね」
「わぁっ!?」
靴を履いてる最中に突然現れたかと思えば、耳元でそんなことを囁いてくる始末。
相変わらず、いろいろと唐突なんだから……。
「ずっと見守っていますからね。ずーっと」
「わ、分かったから……って、ちょっ、耳! 耳噛まないでっ!!」
……とりあえず、相変わらず騒がしい朝だったり。
結局寝るのが遅くなって、遅刻ギリギリまで寝てしまった僕。
あぁ、情けない……。
「ご主人様ー、お弁当お弁当っ!」
「あっ、ありがとう蛋白石っ。それじゃあ行ってきます!」
「……いってら」
蛋白石と電気石に見送られて玄関へと向かう。
ちなみに、寝顔を眺めていたら起こすのを忘れていたとか言っていた殺生石といえば……。
「お勤め、頑張ってくださいね」
「わぁっ!?」
靴を履いてる最中に突然現れたかと思えば、耳元でそんなことを囁いてくる始末。
相変わらず、いろいろと唐突なんだから……。
「ずっと見守っていますからね。ずーっと」
「わ、分かったから……って、ちょっ、耳! 耳噛まないでっ!!」
……とりあえず、相変わらず騒がしい朝だったり。