庭の桜が満開となった。染井吉野と違って八重桜は花持ちがいい。しばらくは楽しめそうだ。
皆が寝静まった夜、月の光に誘われて庭に出る。月明かりで夜桜を肴にグラスをかたむける。
祖父もこうして、この桜を眺めたと子供の頃に聞いた。
なるほど……悪くない。
先祖がここに住み着く前から、この桜の樹はここにあったとも聞いた。
この場所で、時代の移り変わりを見てきたのだろうか……。
そっか、だからペリドットと話が合うのかも……。
辻褄が合うような合わない様な事を思いながら、月の光に色を無くして白く輝く桜に目も心も奪われる。静かに時間が流れた。
皆が寝静まった夜、月の光に誘われて庭に出る。月明かりで夜桜を肴にグラスをかたむける。
祖父もこうして、この桜を眺めたと子供の頃に聞いた。
なるほど……悪くない。
先祖がここに住み着く前から、この桜の樹はここにあったとも聞いた。
この場所で、時代の移り変わりを見てきたのだろうか……。
そっか、だからペリドットと話が合うのかも……。
辻褄が合うような合わない様な事を思いながら、月の光に色を無くして白く輝く桜に目も心も奪われる。静かに時間が流れた。
うたた寝でもしていたのだろうか、不意に掛けられた声に少し驚く。
気配を感じさせないのはペリドットかな? いつもと違って少女のような声だったが?
声がした先に視線を向けると、白い服を着た少女がいた。
宝石乙女? いや、違うな。雰囲気が違う。じゃ、誰?
気配を感じさせないのはペリドットかな? いつもと違って少女のような声だったが?
声がした先に視線を向けると、白い服を着た少女がいた。
宝石乙女? いや、違うな。雰囲気が違う。じゃ、誰?
『八重』
頭の中に直接意識が流れてくる。そっか、古来、桜はその美しさで妖魅を引き付けると言う。
人には感じられなかったから、ペリドットの姉妹かとも思ったが、そうでもなかったらしい。
人には感じられなかったから、ペリドットの姉妹かとも思ったが、そうでもなかったらしい。
『妖魅だなんて、失礼ねっ! 貴方の曽祖父はもっと紳士だったわよ。子供の頃はあんなに可愛かったのに。
時の移ろいは残酷なものね』
時の移ろいは残酷なものね』
正体の解らない何かに叱られるなんて……飲みすぎたか……。明日に響いても困るし、このまま寝てしまおう。そうだ、そうしよう……。
『ちょっと! そんなところで寝ちゃだめだってば! んもう……仕方ないなぁ。風邪ひいても、知らないからねっ』
柔らかなものに抱えられる感触、運ばれて……寝かされる。柔らかい膝枕。ほのかに香が薫る何かを掛けられる。とても……温かで柔らかだ
優しい感触はペリドットかとも思ったが、少し違和感がある。でも、害意は感じないし、気持ちいいからいっか。おやすみなさい……。
優しい感触はペリドットかとも思ったが、少し違和感がある。でも、害意は感じないし、気持ちいいからいっか。おやすみなさい……。
『寝ちゃった……。のん気なものね。ふふっ、子供の頃と変わらないわね……』
「ご面倒をお掛けしたようで……」
『あら、お久しぶりね』
「本当に……お話は出来ても、こうして顔を会わせるのは いつ以来かしら……。変わらないのね。以前より綺麗になったかしら?」
『お世辞はいらないわ。それに……綺麗と言うか、艶が増したのはそちらのほうじゃなくて?
先日も、坊やとの戯れを見せ付けてくれたようだしね』
「見ていらしたんですね……」
『あら、わざとじゃなかったのかしら? 昔も、こうして坊やを膝枕で寝かせていた時に、邪魔をして連れていったじゃない……』
「この人が生まれる前から、あの頃も、いまも、これからも、この人は私のマスターですから。ほかの女性には触らせたくないのです。
たとえ、私の姉妹であっても……ご理解いただけると思いますが……」
『そうね……貴女のことも……昔から見てきたしね。 ふぅーっ、仕方ないわね。可愛い坊やは貴女にお任せすることにしましょうか。
でも、見守るくらいのことはさせてね。一応、土地憑きとしての仕事でもあるんだから。仕方ないから、私は次の世代に期待するわ。
だから、お願いね、次の世代』
「そうですね……御伽噺ですから……時が来れば、何とかなると思いますよ。八重さん……」
『それじゃ、またね。惜しい気もするけど、枕の役は譲るわっ。……ねぇ、毎年遊びにきてもいいかしら?』
「お待ちしてますよ。家族でね」
『アハハハハハハッ――』
「ご面倒をお掛けしたようで……」
『あら、お久しぶりね』
「本当に……お話は出来ても、こうして顔を会わせるのは いつ以来かしら……。変わらないのね。以前より綺麗になったかしら?」
『お世辞はいらないわ。それに……綺麗と言うか、艶が増したのはそちらのほうじゃなくて?
先日も、坊やとの戯れを見せ付けてくれたようだしね』
「見ていらしたんですね……」
『あら、わざとじゃなかったのかしら? 昔も、こうして坊やを膝枕で寝かせていた時に、邪魔をして連れていったじゃない……』
「この人が生まれる前から、あの頃も、いまも、これからも、この人は私のマスターですから。ほかの女性には触らせたくないのです。
たとえ、私の姉妹であっても……ご理解いただけると思いますが……」
『そうね……貴女のことも……昔から見てきたしね。 ふぅーっ、仕方ないわね。可愛い坊やは貴女にお任せすることにしましょうか。
でも、見守るくらいのことはさせてね。一応、土地憑きとしての仕事でもあるんだから。仕方ないから、私は次の世代に期待するわ。
だから、お願いね、次の世代』
「そうですね……御伽噺ですから……時が来れば、何とかなると思いますよ。八重さん……」
『それじゃ、またね。惜しい気もするけど、枕の役は譲るわっ。……ねぇ、毎年遊びにきてもいいかしら?』
「お待ちしてますよ。家族でね」
『アハハハハハハッ――』
「……ごめんなさい、八重さん。この人だけは……誰にも譲れないの……」
「……ターっ、マスターっ! 風邪ひいちゃいますよ。起きないとキスしちゃいますよ? いいのですか? いいのですね?」
「……ちょっと待ってくれ、ペリドット」
「(ちぇっ) 起きましたね。こんなところで寝てたら風邪をひきます。春とはいえ、夜は冷えますから。
さあ、家のなかへ入りましょう。あらあら、冷え切っているんじゃありません? 熱いシャワーをどうぞ。
酔い覚ましにもちょうどいいですから。私は寝室で待っていますね。温かくして眠りましょうね、マスター……」
「……ちょっと待ってくれ、ペリドット」
「(ちぇっ) 起きましたね。こんなところで寝てたら風邪をひきます。春とはいえ、夜は冷えますから。
さあ、家のなかへ入りましょう。あらあら、冷え切っているんじゃありません? 熱いシャワーをどうぞ。
酔い覚ましにもちょうどいいですから。私は寝室で待っていますね。温かくして眠りましょうね、マスター……」
「…………」
僕に、反論や否定の余地は無いらしい……。晩酌もほどほどにしないとな……。