誰が言ったか分からない。
だが、3月3日と5月5日の間に当たる今日。そう、4月4日。
この日をオカマの日と呼んだ面白い人に、僕は少しばかり恨みを抱きそうになった。
「ねーねー、これなんかどお?」
「ふむ……似合うんじゃないかな、彼なら」
椅子に縛られた僕の前で、アメジストさんと月長石ちゃんが服の品定め。
……僕は、何故か二人の玩具にされていた。
だが、3月3日と5月5日の間に当たる今日。そう、4月4日。
この日をオカマの日と呼んだ面白い人に、僕は少しばかり恨みを抱きそうになった。
「ねーねー、これなんかどお?」
「ふむ……似合うんじゃないかな、彼なら」
椅子に縛られた僕の前で、アメジストさんと月長石ちゃんが服の品定め。
……僕は、何故か二人の玩具にされていた。
アメジストさんと月長石ちゃん。
特に親しい間柄ではないし、むしろ敬遠されがちと言っても良い。
そんなことがあったから、月長石ちゃんが何気なく僕に話しかけてきたのはずいぶんと驚いた。
『ちょっと話があるからうちに来てよっ』
僕の前に颯爽と現れた月長石ちゃん、一点の曇りのない笑顔。
ちょうど暇だったのも相まって、その時は何も考えずに二つ返事で付き合う事に。
で、連れられてきたのはアメジストさんが住んでいるという古い屋敷。どこにあるのかは分からない。
後は現状に続く。拘束されて、さっきから女の子の服を僕の身体と見比べている。
まるでキングクリムゾンを受けたかのように、結果だけしか覚えていない。気付いたらこの状況。
「あのぉ、いつになったら……解放してもらえるんですか?」
良い答えは返ってこない。
そう分かっていても尋ねずにはいられなかった。
「んー? 新しい宝石乙女が出来たら解放してあげるよー。披露も兼ねてねっ」
「そうだな。素体が良いから、いい乙女が出来上がりそうだ」
あー、やっぱりそうなんだ。
確かに他のマスターさん達に比べてかなり貧相だし女々しい容姿だし……ターゲットにされる要因はごまんとある。
「ねーねー、ミニスカートとロングスカート、どっちがいい?」
「で、出来ればロングで……」
逃げるのは諦めた。とりあえず早く終わって欲しい。
「オッケー、ミニねー」
……逃げたい。
特に親しい間柄ではないし、むしろ敬遠されがちと言っても良い。
そんなことがあったから、月長石ちゃんが何気なく僕に話しかけてきたのはずいぶんと驚いた。
『ちょっと話があるからうちに来てよっ』
僕の前に颯爽と現れた月長石ちゃん、一点の曇りのない笑顔。
ちょうど暇だったのも相まって、その時は何も考えずに二つ返事で付き合う事に。
で、連れられてきたのはアメジストさんが住んでいるという古い屋敷。どこにあるのかは分からない。
後は現状に続く。拘束されて、さっきから女の子の服を僕の身体と見比べている。
まるでキングクリムゾンを受けたかのように、結果だけしか覚えていない。気付いたらこの状況。
「あのぉ、いつになったら……解放してもらえるんですか?」
良い答えは返ってこない。
そう分かっていても尋ねずにはいられなかった。
「んー? 新しい宝石乙女が出来たら解放してあげるよー。披露も兼ねてねっ」
「そうだな。素体が良いから、いい乙女が出来上がりそうだ」
あー、やっぱりそうなんだ。
確かに他のマスターさん達に比べてかなり貧相だし女々しい容姿だし……ターゲットにされる要因はごまんとある。
「ねーねー、ミニスカートとロングスカート、どっちがいい?」
「で、出来ればロングで……」
逃げるのは諦めた。とりあえず早く終わって欲しい。
「オッケー、ミニねー」
……逃げたい。
約束通り、僕はアメジストさんの家から解放された。
とは言っても同伴付き。僕の両隣には逃げないようにと言わんばかりに先ほどの二人が立っている。
そして僕の格好……あぁ、考えるのも嫌だ。
「想像以上に可愛いじゃないか」
「言わないでください……」
「なーにー? 照れてるのぉ? にしし」
「お願いだから笑わないで…………」
確かに容姿はこんなだけど、スカートなんて初めて履かされた。
なんだかホントに落ち着かない……うぅ、知ってる人に会わないように……。
「そーだっ、これからみんなに自己紹介しにいこっか。新しい宝石乙女って事で」
「えっ!?」
思わず声が出てしまった。
黒曜石ちゃんのところで自己紹介って……それってつまり、その……。
「か、解放してくれる約束じゃっ……」
耳打ちでアメジストさんに抗議。
「ああ、解放しただろ。椅子と、私の屋敷から」
あの、これなんて詐欺ですか?
「じゃあねぇ、まずは黒曜石のとこに向かうと……」
アメジストさんが僕の手を取って歩き出そうとした……そのとき。
「あれ? みんな揃って何……を?」
め、瑪瑙ちゃん……また顔見知りに出会うなんて、今日は厄日だ。
しかも油断していた。顔を隠すのを忘れ、瑪瑙ちゃんに顔をバッチリ見られた。
当然、驚いた表情を見せる瑪瑙ちゃん。しかし周りの面々を見て、事情は察したような感じなのかな。
事情だけでも察してもらえたら嬉しい。それだけでこれが僕の意志じゃないって事が……。
「ちょ、ちょっと失礼するよっ!」
そう言って僕の手を引く瑪瑙ちゃ……え?
「あーっ、どこに連れてくのよー!」
「こ、この人に用事があるの! ほら、行こうっ」
「え、あっ……」
とは言っても同伴付き。僕の両隣には逃げないようにと言わんばかりに先ほどの二人が立っている。
そして僕の格好……あぁ、考えるのも嫌だ。
「想像以上に可愛いじゃないか」
「言わないでください……」
「なーにー? 照れてるのぉ? にしし」
「お願いだから笑わないで…………」
確かに容姿はこんなだけど、スカートなんて初めて履かされた。
なんだかホントに落ち着かない……うぅ、知ってる人に会わないように……。
「そーだっ、これからみんなに自己紹介しにいこっか。新しい宝石乙女って事で」
「えっ!?」
思わず声が出てしまった。
黒曜石ちゃんのところで自己紹介って……それってつまり、その……。
「か、解放してくれる約束じゃっ……」
耳打ちでアメジストさんに抗議。
「ああ、解放しただろ。椅子と、私の屋敷から」
あの、これなんて詐欺ですか?
「じゃあねぇ、まずは黒曜石のとこに向かうと……」
アメジストさんが僕の手を取って歩き出そうとした……そのとき。
「あれ? みんな揃って何……を?」
め、瑪瑙ちゃん……また顔見知りに出会うなんて、今日は厄日だ。
しかも油断していた。顔を隠すのを忘れ、瑪瑙ちゃんに顔をバッチリ見られた。
当然、驚いた表情を見せる瑪瑙ちゃん。しかし周りの面々を見て、事情は察したような感じなのかな。
事情だけでも察してもらえたら嬉しい。それだけでこれが僕の意志じゃないって事が……。
「ちょ、ちょっと失礼するよっ!」
そう言って僕の手を引く瑪瑙ちゃ……え?
「あーっ、どこに連れてくのよー!」
「こ、この人に用事があるの! ほら、行こうっ」
「え、あっ……」
早々にその場から僕を連れ出してくれるのは嬉しいけど、いまいち状況が理解出来ない。
どうして突然……そんな事を考えているうちに、三人が見えない場所まで移動していた。
「大丈夫ですか?」
頬を赤くして、瑪瑙ちゃんが尋ねてくる。
「あぁ……うん、ありがとう」
「いいんですよ。あの二人がやりそうな事、大体想像付きましたから」
「あはは……もう少しで自己紹介させられるところだったよ」
今頃瑪瑙ちゃんに会っていなかったら、きっと黒曜石ちゃん達の前でこの姿を晒す事になったんだろうなぁ。
「僕も、その……似たような服着せられて色々されるから。でも【蛋白石のマスター】さんは男性ですから、僕よりずっと嫌ですよね」
「あはは、ごもっとも」
もっとも、身長はそれほど高くないし童顔だし、こういう滑降させられるのも初めてじゃなかったり……悪夢の高校文化祭を思い出してしまう。
「でも……似合ってる、なんて……言えない」
「どうかした?」
「え、いえいえいえっ、なんでもないですホント! ほらっ、僕が付き添いますから、早く帰りましょう!」
なんだか妙に慌ててるけど……まぁいいや。
それよりも早くズボンに履き替えたい。スカートはもう勘弁して欲しいよ。
どうして突然……そんな事を考えているうちに、三人が見えない場所まで移動していた。
「大丈夫ですか?」
頬を赤くして、瑪瑙ちゃんが尋ねてくる。
「あぁ……うん、ありがとう」
「いいんですよ。あの二人がやりそうな事、大体想像付きましたから」
「あはは……もう少しで自己紹介させられるところだったよ」
今頃瑪瑙ちゃんに会っていなかったら、きっと黒曜石ちゃん達の前でこの姿を晒す事になったんだろうなぁ。
「僕も、その……似たような服着せられて色々されるから。でも【蛋白石のマスター】さんは男性ですから、僕よりずっと嫌ですよね」
「あはは、ごもっとも」
もっとも、身長はそれほど高くないし童顔だし、こういう滑降させられるのも初めてじゃなかったり……悪夢の高校文化祭を思い出してしまう。
「でも……似合ってる、なんて……言えない」
「どうかした?」
「え、いえいえいえっ、なんでもないですホント! ほらっ、僕が付き添いますから、早く帰りましょう!」
なんだか妙に慌ててるけど……まぁいいや。
それよりも早くズボンに履き替えたい。スカートはもう勘弁して欲しいよ。
「ただいま……」
誰にも聞こえないように、でも一応言っておく。
こんな格好、蛋白石達に見られるのはさすがにね……。
でも、靴を見る限り蛋白石と電気石は出かけているみたいだ。ということは殺生石がいるのかどうか。
「服は後で僕が返しに行きますから、早く着替えてきてくださいね」
「うん、お願いするよ」
ホントは上がって待っていて欲しいけど、今回は玄関で待ってもらう。
という訳で、居間に顔を出さずに自分の部屋へ。
そして早速タンスから替えの服を出して……あー、やっと落ち着ける。
「せっ、殺生石さん!?」
……え?
ふすま一枚で仕切られた廊下の向こう。
そこから聞こえた瑪瑙ちゃんの声は、確かに殺生石の名を……。
「あら、どうかなされたのですか?」
「い、いやちょっと、うん、【蛋白石のマスター】さんに用事が、そのね、あははは」
「? 主様は今朝から出かけておりますが」
「そ、そうですそうです、それで一緒にここに……」
「そうでしたか。ではこんなところで待たずに、こちらへ」
「すぐ終わる用事ですからっ、すぐ帰りますからっ」
……早く着替えよう。
「はぁ、そうですか。で、主様はどちらへ……」
「そそ、それはその……」
ごまかす言葉に詰まる瑪瑙ちゃん。
こ、ここは僕も何かフォローをっ!
「す、すぐ行くから待っててー!」
瑪瑙ちゃんに話を合わせる。
「まぁ、部屋にいらしたのですか……もう」
「あ、殺生石さっ……ああぁ~」
え、何? 何かあった……。
「主様、お客をあんなところに待たせては駄目ではないで……」
時が、止まった。
開け放たれたふすま。
半裸ドレスな僕の姿。
硬直した殺生石。
……あぁ。
「あ、主……様?」
「いや、これは、その、んと……」
見られた、もう、バッチリ。
「……女形の練習ですか?」
誰にも聞こえないように、でも一応言っておく。
こんな格好、蛋白石達に見られるのはさすがにね……。
でも、靴を見る限り蛋白石と電気石は出かけているみたいだ。ということは殺生石がいるのかどうか。
「服は後で僕が返しに行きますから、早く着替えてきてくださいね」
「うん、お願いするよ」
ホントは上がって待っていて欲しいけど、今回は玄関で待ってもらう。
という訳で、居間に顔を出さずに自分の部屋へ。
そして早速タンスから替えの服を出して……あー、やっと落ち着ける。
「せっ、殺生石さん!?」
……え?
ふすま一枚で仕切られた廊下の向こう。
そこから聞こえた瑪瑙ちゃんの声は、確かに殺生石の名を……。
「あら、どうかなされたのですか?」
「い、いやちょっと、うん、【蛋白石のマスター】さんに用事が、そのね、あははは」
「? 主様は今朝から出かけておりますが」
「そ、そうですそうです、それで一緒にここに……」
「そうでしたか。ではこんなところで待たずに、こちらへ」
「すぐ終わる用事ですからっ、すぐ帰りますからっ」
……早く着替えよう。
「はぁ、そうですか。で、主様はどちらへ……」
「そそ、それはその……」
ごまかす言葉に詰まる瑪瑙ちゃん。
こ、ここは僕も何かフォローをっ!
「す、すぐ行くから待っててー!」
瑪瑙ちゃんに話を合わせる。
「まぁ、部屋にいらしたのですか……もう」
「あ、殺生石さっ……ああぁ~」
え、何? 何かあった……。
「主様、お客をあんなところに待たせては駄目ではないで……」
時が、止まった。
開け放たれたふすま。
半裸ドレスな僕の姿。
硬直した殺生石。
……あぁ。
「あ、主……様?」
「いや、これは、その、んと……」
見られた、もう、バッチリ。
「……女形の練習ですか?」
◇
『瑪瑙、用事というのは後日でよろしいですか?』
そんな事をあんな怖い笑顔で言われたら、後を引くしかなかった。
【蛋白石のマスター】さんには悪いけど……殺生石さん相手では僕は何も出来そうにない。
でも……やっぱり似合ってたなぁ。ちょっとだけ、羨ましい。
「あーっ、瑪瑙見つけたー!」
「わあぁっ!」
目の前に突然現れる月長石。
同時に、背後から拘束される。
「彼を逃がすとは殊勝な心構えだけど、後に起きる事を考えなかったのかな?」
「あ、アメジストっ……」
「あたし達の邪魔をした罪は重いわよー」
「私はそれほど気にしていないんだが、月長石がな。済まないが、諦めてもらうよ」
「え、ちょっと! 何をするのさぁーっ!!」
そんな事をあんな怖い笑顔で言われたら、後を引くしかなかった。
【蛋白石のマスター】さんには悪いけど……殺生石さん相手では僕は何も出来そうにない。
でも……やっぱり似合ってたなぁ。ちょっとだけ、羨ましい。
「あーっ、瑪瑙見つけたー!」
「わあぁっ!」
目の前に突然現れる月長石。
同時に、背後から拘束される。
「彼を逃がすとは殊勝な心構えだけど、後に起きる事を考えなかったのかな?」
「あ、アメジストっ……」
「あたし達の邪魔をした罪は重いわよー」
「私はそれほど気にしていないんだが、月長石がな。済まないが、諦めてもらうよ」
「え、ちょっと! 何をするのさぁーっ!!」
◇
「だんな様ったら、女性の服に興味があるのでしたらわたくしに申してくだされば……ふふふ」
「だからもお着せ替え人形は嫌だってばぁー!!」
「だからもお着せ替え人形は嫌だってばぁー!!」