ピアノの音がする。ペリドットがピアノを弾く姿は珍しくはないが、独りじゃないな。
『嗜む程度ですから』と言っていたが、長い時間をかけて研鑽してきた彼女の腕前は結構なものだ。その彼女と連弾できるって……誰だ?
そっと扉を開けて部屋に入る。淡緑色の後姿の隣には、紫の澄ました顔が並んでいた。
ああ、彼女か。いつだったか、ペリドットが言っていたっけ。
「アメジストには、私が教えられることはすべて教えましたから。もともとなんでもできる娘でしたから上達も早かったんです。私から離れたあとも練習したのでしょうね。今は何をさせても私より上手ですよ」
性格的にはお茶目を通り越したところもあるが、さすがはペリドットが自慢するだけのことはある。これだけの弾き手はそうそういない……な。
『嗜む程度ですから』と言っていたが、長い時間をかけて研鑽してきた彼女の腕前は結構なものだ。その彼女と連弾できるって……誰だ?
そっと扉を開けて部屋に入る。淡緑色の後姿の隣には、紫の澄ました顔が並んでいた。
ああ、彼女か。いつだったか、ペリドットが言っていたっけ。
「アメジストには、私が教えられることはすべて教えましたから。もともとなんでもできる娘でしたから上達も早かったんです。私から離れたあとも練習したのでしょうね。今は何をさせても私より上手ですよ」
性格的にはお茶目を通り越したところもあるが、さすがはペリドットが自慢するだけのことはある。これだけの弾き手はそうそういない……な。

曲が終わる。聴衆は僕だけ。独りだけの拍手が鳴り響く。
「素晴らしいね。褒める言葉が見つからないよ」
「ふふ、持ち上げても何も出ませんよ」
「いやいや、本当のことだよ。とても素晴らしかった」
「では、姉様。私はこれで……」
「帰るのかい? もうすこしゆっくりしていけばいいのに。僕に遠慮はいらないよ」
「いえ……お二人の邪魔をしても申しわけないですから。それでは、失礼します」
まったく、相変らずだなぁ。
「素晴らしいね。褒める言葉が見つからないよ」
「ふふ、持ち上げても何も出ませんよ」
「いやいや、本当のことだよ。とても素晴らしかった」
「では、姉様。私はこれで……」
「帰るのかい? もうすこしゆっくりしていけばいいのに。僕に遠慮はいらないよ」
「いえ……お二人の邪魔をしても申しわけないですから。それでは、失礼します」
まったく、相変らずだなぁ。
「何をさせても、腕前は一流か。すごいよね」
「才能に溢れても溺れることなく努力を重ねた結果ですね。あの娘らしいです。でも、どんなに力があっても……手に入れられないものもあるのです……」
「ん?」
「手助けを好まない頑固者ですから、いずれ……自分で何とかすると思うのですが」
「???」
「お気になさらないでください。マスターは……」
「?」
「私だけ見ていてくださいね」
抱きとめた彼女に不意打ちを喰らう。
「貴女がいるのに、よそ見はしませんよ」
彼女が微笑んだ。
「才能に溢れても溺れることなく努力を重ねた結果ですね。あの娘らしいです。でも、どんなに力があっても……手に入れられないものもあるのです……」
「ん?」
「手助けを好まない頑固者ですから、いずれ……自分で何とかすると思うのですが」
「???」
「お気になさらないでください。マスターは……」
「?」
「私だけ見ていてくださいね」
抱きとめた彼女に不意打ちを喰らう。
「貴女がいるのに、よそ見はしませんよ」
彼女が微笑んだ。
口紅が少しだけ薄くなっていた。
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