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ぼくのなつやすみ~カキ氷~

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 暑いなぁ。いくら夏とはいえ、こんなに暑くなることはないと思う。だけど、彼女の挑発するような薄着を見れるというのも悪くないものだ。
 姉妹が集まり、かき氷を楽しむなんていうのも季節ならではのことだろうし。イチゴやメロンの甘いシロップに喜ぶ子供たちの姿は、いつの時代でも変わらない楽しい日常だ。
「ペリドットの艶姿に鼻の下を伸ばしているのかね?」
 鉄鉱石といったかな、暑いというのに涼やかな顔色だ。それにしても、言ってくれる。
「子供たちのはしゃぐ姿に目を細めているようには見えませんかね」
「そうか。ふふ、そう怒った顔をするな。君とペリドットの仲のよさは姉妹が羨むほどのものだからね。悪いことではない。自慢の姉妹を大切にしてくれている君に感謝しているのだよ」
 目の前に座った鉄鉱石の手には山盛りのカキ氷。でも、とても爽やかな香りのシロップだな。子供たちのものとは違うような……。
「気がついたのかい? さすがだね。自生していたミントを煮詰めて作ってみたんだ。甘すぎるシロップは苦手でね。食べてみるかい?」
 甘さはほのかに、ミントの香り高く。冷たい氷をさらに爽やかに食べさせる。なんという爽快感。これは美味しい。まったく、彼女の姉妹には料理上手が多い。
「君は本当に美味しそうに食べるのだな。ペリドットが頑張るわけだ」
「ミントの香りが体の中から爽やかにしてくれるね。とても美味しい。いいアイディアだと思うよ」
 にっこりと微笑んだ彼女は、鉄の女という評判とはかけ離れた優しい笑顔だった。
「料理のアイディアなんていうものは、誰かに美味しい物を食べさせたいという思いが生み出すものだ。創意工夫の苦労も、食べさせたい誰かの笑顔と『美味しい』の一言があれば報われるのさ。私の手間暇をかけたシロップも、君に喜んでもらえて報われたのだよ。ペリドットの作る料理も、いつも美味いだろう?」
「なるほどね。大切な誰かのためにか……君たちにはいつも学ばされる。僕もまだまだだなぁ」
 鉄鉱石は ただ優しく微笑むのだった。
「さあ、子供たちのマスターと養育係は寝かしつけの仕度を始めてね。ペリドット、オードブルは簡単なものでいいわよ。アメジスト、お酒は揃っているのかしら? 月長石! あんたも子供たちの面倒を見てちょうだいな。ちょっと瑪瑙! 貴女はアメジストに聞いてクラッシュアイスを作っておいてくれるかしら。粒の大きさは八ミリくらいから、さっきのカキ氷と同じくらいのまで数種類用意してね。ちょっと、そこの暇そうなマスターも手伝いなさいナ」
 真珠さん……まさか、恒例の大人の部が始まるのですかぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ?
「ああ、そのようだよ。今夜のためにいろいろな形と種類のグラスを頼まれていたんだ。私の工房では鉄細工もガラス細工も作れるからね。しかし、酒に合わせてグラスと氷も変えるとは……真珠らしい凝りかただ。まあ、今夜は覚悟するのだね。彼女に逆らえる姉妹はいないことだし。それに……」
「それに?」
「夏は夜明けが早いから、冬よりは早めに開放されるだろう」
「それ、フォローになってませんて」
「まあ、いいじゃないか。今日という一日を楽しもう。それとも」
「???」
「私とグラスを傾けるのは嫌かな?」
「ふっ、ペリドットが嫉妬しない程度にお願いしますね」
「ああ、私も命が惜しいからね」
「それ、フォローになってませんて」
 熱い鉄の女が楽しそうに笑った。


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