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天ちゃんとお買い物

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だれでも歓迎! 編集
  子供というのは、懐いている人がどこに行こうが、どんなリスクを背負おうと付いてくる傾向があると俺は思う。
  で、ここは某ショッピングモール。駅と一体化した複合施設になっている。
主「服買いに来ただけなのだがな……」
  溜め息が漏れそうになるのを抑え、視線を足下に向けてみる。
  そこには、俺のズボンを楽しそうに、だがまるで手放せば絶対死ぬ命綱の如き勢いで掴んでいる女の子が一人。
天「ん~? マスタぁー、どぉしたの?」
主「いや……なんでも」
  天河石。確かアマゾナイトの和名を名乗る金髪ツインテールのちびっ子。
  留守番してろと言ったのに、こうして俺の買い物についてきてしまった次第だ。子供の扱いは慣れてないんだがなぁ……。
  しかし、こんな日に限ってなんだかやたらと人が多い。きっとこんなちびっ子が迷子になったら俺は見つけられない。邪気眼でも欲しいところだ、よぉ分からんが
主「天河石、絶対俺の側を離れるなよ」
  まぁ、お決まりの一言。それに天河石は大きく手を挙げて。
天「はーいっ! マスターからぜぇーったい、はなれないーっ♪」
  いいんだな、その返事を信じていいんだなっ。というか俺より年上がこんなちびっ子なんて納得行かない、関係ないけど。
  ……しかし、いかにも遊びに来たオーラ全開の天河石。なんだか不安が拭えない。
主「……はぁ。よし、じゃあまずは服だ。ついでだからお前にもなんか買ってやるよ」
天「ふみゅっ、ホントぉー? マスターありがとぉーっ」
主「まぁ、せっかく来たのに何もないのは寂しいからな。ほら、来いよ」
天「にゃ~♪」
  …………

  天河石と共に店内を回る。
  少し進むごとに俺を止めては、コレは何かアレは何かと質問してくるところをみると、やはり物珍しい物がいっぱいあるのだろう。
  まぁ、そういう事情もある訳だし、俺も一応丁寧に説明はしているが……。
天「マスタぁー、これ着てみてぇ」
主「いや、なんだこれ……」
天「荒巻の衣装~」
主「いやいやこれどう見ても白の全身タイツ……って、いつの間にお前着てるんだよ!? あー、その辺に服脱ぎ散らかしやがってー!」
天「うにゃ~っ」
主「荒巻はうにゃーなんていわない……じゃない! とっとと着替えてこい!!」
  ……なーんか先が思いやられる出来事だ。しかし白の全身タイツなんて何で置いてあるんだよ、訳分からん。
天「マスタぁー、これほしぃ♪」
主「ぜ、全身タイツをか?」
天「うんっ。それでぇ、マスタぁーとぉ、ペアルックっ♪」
主「嫌だ!!」
  …………

  他の面子は天河石を『ネジが100本ぐらい飛んでいる』とか言っている。
  そんなネジ飛び少女は、俺の横で全身タイツを着て喜んでいる。これはもぉネジどころか設計段階からダメだろ。
  しかし、天河石は実に不満そうな顔をしている。そりゃあそうだ、ペアルックの目的は達成されていないんだから。というか絶対嫌だ。
天「ぶぅ……マスタぁーも荒巻ぃー……」
主「いや、マジで勘弁」
  先ほどからこんな感じだ。コレはどこかでご機嫌取りが必要なのだろうか……。
  ……とりあえず辺りを見渡してみる。近くに用事のありそうな場所は……あった、本屋。
主「よし、次は本屋行くぞ」
天「ご本~? いっぱい読むっ♪」
主「立ち読みはいけません……」
  そんな会話をしながら、天河石は俺の前方を本屋に向かって走り出す。迷子になるじゃねぇか……まぁ、全身タイツだとさすがにすぐ見つかりそうだが。
天「まーすーたぁー、早くーっ」
主「あー、分かったから走るな」
  急かす天河石を気にせず、マイペースで店内に入る。
  本屋独特の匂いと共に、目の前に見える本本本。
天「マスタぁー、嫌韓流ってなぁに?」
主「いきなりそういう本に目を付けるな」
天「このXはぁ、なかなか見所がぁ……」
主「それはパクリだろ。大体数学のテキストなんて面白いか?」
天「ううん、全然~」
 ……何がしたいんだ。

天「天河石ねー、マスタぁーと一緒に読める本がほしぃ~」
主「俺と?」
  そんな事を言われても、何を買えばいいやらか。
天「あっ、マスタぁマスタぁ~、これテレビでやってたのだよー」
主「ん……って、デ○ノートかよっ」
  なんかいきなり予想外の左ジャブ。
天「天河石これ読みたい~」
主「マジっ!?」
天「大マジー♪ えへへ、マスタぁーのまね~♪」
  ここで涼○ ハ○ヒとか言わないだけまだマシなのかも知れないけど。
主「こ、コレを俺と一緒に読むのか? 俺朗読するのか、デ○ノを?」
天「だめぇ?」
主「い、いや……ダメって訳じゃねぇけどよ、もう少し読みやすいのはないのかよ」
天「んー……でもぉ、天河石絵本自分で読める……ダメ?」
  そりゃまぁそうか。しかしちびっ子とはいえ女の子におねだりされるのなんて人生で何度目だ、俺。
  ……もうここは涼○やボー○ボでないだけマシと思っておこう。なんだか天河石の顔見てると断りにくい。俺こんな押しに弱い性格だったか?
主「あー、分かった分かった。しゃーねぇなぁ……」
天「やったーっ。マスタぁー大好き~♪」
  …………

  今日買った物。自分用の私服2着、天河石の全身タイツ、デ○ノ4冊。なんかすごい組み合わせだ。
天「♪~」
  それらを抱えて歩く天河石の笑顔。こちらはくたくたで笑う元気もないが。
天「マスタぁ~、今日たのしかったー♪」
主「そうか……これだけくたびれた思いして楽しくなかったら嫌だぞ」
天「えへへ~」
  天河石が俺の隣に立ち、手を差し出してくる。
  まぁ、言いたい事は分かった。俺は天河石の小さな手をなるべく力を抜いて握ってやる。
主「そういや、俺はお前が迷子になると思ってたけどさ、結局ずっと俺の傍についてきてたな。偉いぞ」
天「えっへへ~。だってぇ、天河石はマスタぁーのこといっぱい見たかったんだもん」
主「俺の事……? そりゃまた変な理由だな」
天「変じゃないよぉ~。だって天河石、マスタぁーがどういうマスタぁーなのか、ちゃんと知らなかったもん」
  ……なるほど、そういうことか。こいつが約束守って俺の傍についてきた理由って。
  まぁ、よく考えたら休み以外はほとんど顔見てないモンな、お互いすれ違いの事が多かったし。
  なんだかそう思うと、こうして天河石が笑っている事がとても貴重な事のように感じる。不思議だな、自分の気持ち次第で相手の笑顔がこんなに気持ちいいものになるとは。
主「……はぁ、仕方ねぇなぁ。今度また別の場所に連れてってやるよ」
  果たしてそんな口約束をしていいのだろうか。そんな事が頭を過ぎる。
天「ほんとぉ? えへへ、マスタぁー♪」
  俺の脚に寄り添ってくる、笑顔全開の天河石。
  ……今度、行く場所ちゃんと考えておかねぇとなぁ。


天「そういえばぁ、今日のばんごはんはぁ~? なーんも買ってないよぉー」
主「……荒巻?」

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