七月だ。

今年の六月は異常気象だとかで、六月にも関わらず夏の到来を思わせる暑さだった。
だが、それでも所詮は六月。
そこからさらに夏に近づく七月となれば、もっともっと夏らしい日々を私たちに感じさせてくれるのだった。


カナカナカナと、ひぐらしがか細く鳴いている。

「あれ? ひぐらしって、夏の終わりに鳴くセミじゃなかったっけ?」

左隣を歩いていた京子が、つばのひろい麦わら帽子を傾けて小首をかしげた。
夏の匂いが濃い田んぼ道を歩き続けて、首筋にはとっくに玉の汗が浮いている。
その村には、路線バスも鉄道もない。
だから、目的の場所にだって、歩いて向かうしかなかったのだった。

「割と夏中鳴いてるぞ。でも、たしかに夏の終わりのセミって印象が強いかもな」
「七森では、あんまり聞かない鳴き声だよね。遠くに来たって感じがするよぉ~」
「古き良き田舎とは聞いてましたけど……結衣先輩のお友達って、すごいところに住んでるんですねぇ」

まるで昭和のドラマに避暑地として出てきそうな村の景色に、ちなつもあかりもずっと圧倒されていた。
陽射しは強くて蒸し暑かったけれど、のどかな景色と『もうすぐ会える』という高揚が、ちっとも苦にさせなかった。

やっと見えてきた『分校』には、校門前でお出迎えの顔ぶれが見えている。
話によく聞いていたから、全員の顔と名前は一致した。
前原圭一。園崎魅音。古手梨花。北条沙都子。……そして、竜宮レナ。

「「「「「ようこそ、雛見沢へ!!」」」」」

手を振って、駆け寄って。
挨拶もそこそこに、『部活動』と『ごらく部』は、すぐにひとつの一団になった。

「はうぅぅぅぅ~!! ちなつちゃんかぁいよおおおおおぉぉぉぉ。お持ち帰りいいいぃぃぃぃ!」
「ひゃあああああああああああ! な、なんですかこの人はあぁぁぁぁぁ!」
「こらレナ! 初見の女の子まで持ち帰ろうとすんなって!」
「お、ちなつちゃんの魅力が分かるとはいい目をしてるね! でもちなつちゃんはわたしのじゃあああああぁぁぁぁぁぁ~!!」
「きゃあああああああああああ結衣せんぱあああああああぁぁぁぁぁぁい!」
「おいこら京子! お前まで参加したら収集つかなくなるだろ!」
「み~。レナと魅ぃは一週間前から、衣装を準備してとっても楽しみにしていたのですよ。にぱ~」
「えへへ、嬉しいよぉ~。ゲームが終わったら、いっぱい可愛い格好をさせてもらえるんだよね」
「騙されてる……あかりさん、完全に騙されてますわ……」
「さぁさぁ、つもる話は教室に入ってからにしようじゃないか。
は~い!『雛見沢部活動』と『七森中ごらく部』の第一回合同活動、はっじまるよ~!」
「み、魅音さんにまで、あかりの台詞とられたぁ……!」

そこからはもう、ドタバタだ。
いっぱいゲームをして、いっぱい罰ゲームをして。
楽しかった。
幸せだった。

泣きたくなるぐらい、幸せだった。
だから、これは夢だ。

きっと目が覚めたら、私は泣いて。
それでも、いい夢だったなって笑って。

夢から勇気をもらえたって喜んで、その日も一日、がんばれそうな気がするんだ。

さぁ、いっぱい遊んで、それから目覚めよう。



――新しい明日は、そこにいた。


【竜宮レナ@ひぐらしのなく頃に 死亡】
【船見結衣@ゆるゆり 死亡】

【残り18人】




解:あなたは今どこで何をしてるの?
私たちはここで、あなたを待ってる。
今度こそみんなで『しあわせ』になりましょう。
ひとつずつしかない、こころを結んで。




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最終更新:2021年09月09日 20:02