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  • 妄想が現実を駆逐する

妄想が現実を駆逐する

最終更新:2008年08月06日 08:15

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妄想が現実を駆逐する




ヒトを、他の動物と区別する要素はいくつか存在する。
それは手や脳、足の発達だったり、道具……とりわけ火を自由に扱えることだったり、言葉を話すことだったり、死者の埋葬というヒト特有の風習を生み出したことだったり。
――だがその中に、それが服を着用しているかどうかという区別法は、実は存在しない。
たしかに動物は自分から服を着たりすることはないだろう。
しかし、たまに街頭で飼い主によって服を身につけさせられたイヌや、サーカスでパツンパツンのシャツを着たクマなどを見かけたりすることはあるはずだ。
このような例からして、極論ではあるが動物が服を着ていてもおかしくはないということがわかる。
そしてそれを逆に言えば、服を着ていないヒトがいたとしても、これまたおかしくはないということだ。

(……だからって納得できるはずもねえんだがな)

ようやく気絶から目を覚ました海坊主こと伊集院隼人は、目の前で依然として全裸のままの――いや盲目である彼には決して見えることはないのだが――少女の存在に頭を抱えた。
これでも心配してくれているのか、じっとこちらの顔を覗き込んでいるようだ……全裸で。
ヒトが服を着るようになったのは、聖書によれば人類最初の男女が禁忌とされる果物、リンゴを食べたことがきっかけになったそうだが、そんなものを馬鹿正直に信じるほど彼は敬虔なクリスチャンというわけではない。
だがもし仮にそうだとしたら、この少女はきっとリンゴを食べ忘れた第二の女の股から生まれてきたに違いない。
なんだかんだでアダムも男だ。あの種馬野郎よろしく浮気の一つや二つしていたっておかしくはない。

――ここは北東の住宅地にある、とある一軒家。
出会い頭にいきなりこの少女に気絶させられて、やっと気がついた時には海坊主は備え付けのベッドの上……といっても敷き布団などといったものは一切ないのだが……で天井を見つめていた。
どうやら彼女がここまで運んできてくれたらしいが、非常に体格に差があるにも関わらず自分を軽々と振り回してみせたことと併せても、とんでもない怪力を有していることがわかる。
人は見かけによらないというが、こんなろくに筋肉のない華奢な腕であの力はどう考えても常識外だ。
――まあ元の知り合いにも100 t ハンマーを振り回す女がいるのだが、それは例外としておこう。

しかも全裸ときた。コミュニケーションを図ることもあって、目覚めた時に開口一番「いいかげん服を着ろ」と言ってみたところ、「だってどこにも服がないんだもん」と切り返されてしまった。
聞くところによると、彼女は彼女でいつまでも裸じゃまずいだろうと思ったらしく、この家のクローゼットなどを隅々まで調べてみたのだが、中身は全て空。
服はおろか下着すら入っていなかったという。
そりゃあ、こんな殺し合いの場に人が住んでいるわけないよなと海坊主はズキズキと痛む頭で納得する。
きっとここだけでなく、他の全ての家屋でも同じことだろう。

このような住宅街があることからも、恐らくこの島は元々人が住んでいたのをあのワポルとかいう頭の悪そうな声をした奴が買収したものだ。
当然、元からの住人はみんな強制的に立ち退いたか……もしくは人知れず闇に葬られたか。
単に殺し合いをさせたいだけならこんなところよりもどこぞの無人島でも買い取ったほうがはるかにコストも掛からなくて済むだろうに、
わざわざ住人を排除してまでここを選んだということは……推測だが、何かに利用しようと思ってまずこの島を買い取り、そしてあとからここを使って殺し合いを開こうと考えたのかもしれない。
要するになんでもよかったのだ。それがたとえ殺し合いでなかったとしても。
目的は、単純に娯楽か。
この中で誰が生き残るか、裏社会の連中を集めて賭けでもしている可能性もある。実に、胸糞悪い。

……それはともかくとして、いつまでもこの少女を裸でいさせるわけにはいかないだろう。
いくら彼女自身が微塵も羞恥を感じていなくとも、自分が決してその裸体を見ることがなくても。
もっとも最初から小娘の裸なんぞに興味はないが。

「ほら、これでも着てろ」

仕方なく、海坊主は自分の着ていたジャケットを彼女に手渡す。
平均的な成人男性のものよりもはるかに巨大なため、サイズが合わずにぶかぶかになるだろうが、むしろこの場合はそれが功を奏したといえる。
おかげで上半身は完全にすっぽりと包まれ、きわどいところでなんとか下半身も隠れてくれた。
同年代の女の子としてはきれいな二本の足が、大きなジャケットから伸びている。
これならなんとか、外を出歩いてもいきなり警察に通報されたりなんてこともないだろう……この島にそんなものがいるとはとても思えないが。

「おじさん、ありがとっ」

……正直、ある程度年をとった男特有の加齢臭がして嫌がるのではないかと思っていたのだが、彼女は無邪気に礼を言ってくる。
こんなお世辞にも人相がいいとは言えないサングラスをかけたオッサンに対して、まったく物怖じしていない。大した度胸だ。
まったく似ても似つかないが、なんとなく海坊主は、昔自分が育てていた一人の娘を思い出した。
だからというわけでもないが、こんな娘でも風邪なんかひかれたら困るというものだ……意外と熱が出たらおとなしくなってくれるのかもしれないが。

「さて、まずは状況確認といこうか」

布団がないために固くて座り心地の悪いベッドの上に座ると、海坊主はぶかぶかのジャケットを着込んで何故か楽しそうに笑っている少女に向き直った。

「俺は伊集院隼人というんだが……ファルコンだの海坊主だの、色んなあだ名みたいなもんがある。まあそこらへんは適当に呼んでくれりゃいい。
 あとは……少し訳ありでな。俺の目は、一切ものを見ることができねえ」

最後だけ、少し口ごもる。
正直なところ、海坊主は自分のこの目について他人に語るのはあまり好きではない。
別にそのことで哀れみを覚えられるのが嫌だとかそんな大した理由じゃない。
単純に、いちいちそれで相手が言葉に詰まったり謝ったりしてくるのが鬱陶しいからだ。
この娘もまた、他の多くの人間がするような反応を返してくるかとうんざりしていたのだが……

「へえー、変わってるんだね」

少女はそう口にしただけで、特に他の感想を持った様子はなかった。
ほお……、と海坊主は少し感心する。
目が見えないという事柄を、彼女は単なる身体的特徴としてしかみなしていない。
この手の障害を差別するな、などと声高に主張する連中は世間にたくさんいるが、実際それは内心で差別していることの裏返しだ。
この娘のように、天然でそういう反応をする奴は珍しい。

――その時、こちらの自己紹介が済んだと判断したらしい。今度は向こうが口を開いてきた。

「私はララっていうの。ララ・サタリン・デビルーク」

外人か。
それにしてはやけに日本語が流暢だが、別におかしいわけじゃない……昨今ではそのような外人も段々と増えてきている。
とりあえず名前だけ聞けば十分とばかりに、海坊主は話を次に進める。

「嬢ちゃんの名前がララってことはわかった。
 それじゃあ、一体どういう経緯でこんなところにやってきた? 裸ってことは風呂にでも入ってる最中に攫われてきたのか?
 リトに春菜っつったか……この島に知り合いがいるようだが、他には誰かいないのか?
 その怪力は一体何なんだ? 嬢ちゃんに配られた支給品は? 俺をここに運んでくるまでに何か気づいたことは?」
「日曜日だからリト達と遊ぼっかなーって部屋の中をうろうろしてたら、いつの間にか連れてこられてたよ。
 私が裸なのは、ペケがいないから。あの子が私の服を構成してくれてるから、いないとこうなっちゃうの。
 最初の部屋でリトと春菜を見つけることはできたからあの二人がいることは確かなんだけど、他の人はよくわからないなあ。
 この力は、私がデビルーク星の人間だからだよ。あと、私に配られた荷物はなんだかすっごいカードが三枚と、それとね……」
「ちょっと待った」

大量の質問攻めにも、ララは少しも怯むことなくなんなく回答してみせた。
予想以上に彼女の頭の回転が早いことに驚きを感じつつもじっと黙って聞いていた海坊主。
彼女の返事でよくわからないところは、こんな小さな少女の言うことだ、ある程度は勝手に脳内で解釈することでスルーしておいてやろう。
ペケというのは恐らく、ファッションコーディネーターか何かのあだ名だろう。
ララはいつもそのペケとかいう奴に服装を見繕ってもらっているから、そいつがいないと何を着ればいいのかわからなくなるために現在こうして裸であると。
かなり苦しいが、そう考えればまだ理解できないこともない。
――だが、どうしても聞き捨てならない単語が先ほど耳に入ってきた。

「……デビルーク星ってのは、一体何のことだ?」
「デビルーク星はデビルーク星だよ? 私、そこのお姫様なんだけどちょっと今はそこを出ちゃってて」
「…………」

認識を改める必要があるかもしれない。
この娘は頭の回転が早く、怪力で――そして、相当の妄想癖であると。
顔を拝むことはできないが恐らく15,6歳ほどだと思う。
その年にもなって自分が異星人で、しかもお姫様であるなどと堂々と吹聴するとは、いよいよ世も末といったところか。

――これでもし海坊主がララのお尻の方から立派に生えている尻尾を見ていれば、嫌でも彼女の話を信じざるを得なかったのかもしれない。
だが残念なことに彼は盲目だ。
これでもそのハンデを乗り越えるために視覚以外の五感は鍛え上げてきたが、まさか人から尻尾が生えているとは思わない上に今は目覚めたばかりでそれらが少々鈍っている。
したがって、彼がララのことを少し頭のおかしな少女としか認識できないのも無理ないことだといえる。
彼の……というより一般的な人間の共通見解として、宇宙人など存在しないのだから。
対するララの方はというと、突然黙り込んでため息をついている海坊主を不思議そうな顔でキョトンと見ているだけである。

「私の話、再開しちゃってもいいの?」
「……ああ、いいぞ。支給品のところからだったな」

半ば諦観を覚えながら、海坊主は先を促した。
ここで無理に彼女に向かって妄想と現実の区別をつけろと言ったところで詮無いことだ。
怪力のことはひとまず置いておいて、今は話を聞いたほうがいい。

「それでね、私のは三枚のカードと……あ、あれ?」
「どうした?」

突然自分のデイパックをゴソゴソと漁り出したララを不審そうな目で見つめる。
どうやら何か不測の事態が起こったらしい、相当焦った様子だ。
デイパックを逆さに引っくり返したようで、中のものが一気に床に散乱した音が聞こえた。
その音から察するに、どうやら刃物や銃といった類のものは彼女の支給品にはないらしい。

「あれ? あれ? あのカードが二枚しかないよぉ」
「……多分、ここにくるまでに落としたんだろうよ。
まあたかだかカードの一枚や二枚、なくしたって問題はねえだろ」
「うーん……残念。あれ、すっごい便利なのに」

そのカードが何なのかは知らないが、この殺し合いという場においてはそんなに大したものでもないだろう。
それをこんなにも残念がっているのは、よほど高価な価値のあるものなのか……もしくは単純に、年相応に自分の持ち物をなくしたという事実そのものが悔しいのか。
どちらにせよ、海坊主にとっては大した問題ではなかった。

「まあ、カードのことは置いといてだ……他に何か、使えそうなものはあるか?」
「あとは、この黒いノートだけだね。ええと、これは……デスノートって読むのかな」
「デスノートだあ?」

突如として現れた珍奇な代物に、海坊主はガクンと肩を落とした。
期待はしていなかったが、本当にろくな物がない。
武器とは言わないがせめて何かしら有効利用できそうなものは与えられていないのだろうか。
最初、自分の支給品を確認する際に変わった刀のほかに食料と水、コンパスにそして感触や大きさからして恐らく地図と思われる紙を見つけた。
自分一人ではその地図すら見ることができないが、こうしてララがいる以上はその代わりを果たしてくれる。
だからこそ、あとはたとえばこの島にいる参加者の名簿などといったものがあれば随分とやりやすくなったものなのだが。

……いや、このデスノートとやらを使えないものと決め付けるのは尚早だ。
そもそもこの殺し合いが今回初めて開催されたものだとは限らない。
前も、その前も同じように行われていたと仮定するならば、過去に死んでいった人間の名前でも載っているのかもしれない。
その中に著名な政治家や失踪した人間の名前が入っていれば、そこから何かのヒントに繋がる可能性だってある。
半ば無理矢理自分に言い聞かせるように身を乗り出すが、次にララの口から出た言葉はそんな希望を打ち砕くには十分なものだった。

「うーんと、『デスノートに名前を書かれた人間は死ぬ』……だって。うっわー、怖いねこれ。
しかもたーっくさん書かれてあるよ人の名前。誰が作ったんだろこんなもの」
「…………。……そうか」

その言葉を聞いて、この島に来て……いやこの少女と出会って何度目になるかもわからないが、海坊主は頭を抱える。
なんてことはない。ただの閻魔帳だった。
その元の持ち主は自分で勝手にそんな設定を作り上げておいて、知り合いの人間の名前を書き連ねて一人喜んでいたのだろう。
なんとまあ、寂しい青春だ。
近年そういった行為をする少年が増えているとはニュースで聞いているものの、実際目の当たりにしてみると怒りを通り越して呆れてしまう。
青少年の心の闇とか歪んだ社会が生み出した影響とか色々と言われているが、海坊主からしてみればそんなもの、自分自身で行動を起こす決断を下せないだけの、ただの臆病者の逃避でしかない。
言いたいことがあるならその口で言え。腹が立ったのなら自分の手で殴れ。
そうすることが難しくなるのは、もう少し大人になってからで十分だ。

ララは興味深そうに読みふけっているらしい。パラパラとページを捲る音が聞こえてくる。
……この娘はそういったものとは無縁そうだな。
ふと、海坊主はそう思った。
この無邪気な少女に関して言えば、思いついたことはなんでも口に出すだろうし、腹が立ったら素直にその感情を発露するだろう。
そう考えると、ララは幾分『マシ』な娘であるかもしれない。

とりあえずこのままその閻魔帳を読ませ続けるのはなんとなく教育上悪いのではないかという気がして、彼女の手からデスノートを取り上げる。
「あー」という不満そうな声があがったが、今度は別に怪力を揮うことはなく大人しく従ってくれた。
……もしまたやられそうになったら今度は全力で応対する気だったが、まあ良しとしておこう。

「で、だ。嬢ちゃん」
「さっきから気になってたけど、私嬢ちゃんじゃないよ? ララっていうんだから」

どうやらそこだけは譲る気がないらしく、強い意志を持ったはっきりとした口調だった。

「…………」

まったく、これだから子供というのは扱いづらい。先の言葉を翻して海坊主は再度ため息をつく。
このように何をきっかけでヘソを曲げるかわからず、しかも一度曲げたらこちらが折れるまでしつこく拒絶の意を示し続けるときたもんだ。
普段あまり子供と関わらない海坊主にとっては、たしかにララは宇宙人だといえる……自分にとってまったく未知の存在、という意味で。

「……ララ、さっきの質問に戻るぞ。俺が気絶してる間、何か気づいたことは?」

呼び名を変えた瞬間、パッとララの表情が明るくなったのが目いっぱい感じられた。
これだけ喜怒哀楽を素直に表現するような娘は、むしろ昨今では珍しいのではなかろうか。

「うんっ! それでね、おじさんをここに連れてきてたら、途中でマリって女の子がいたんだ」
「……ああ?」

明るく告げてくるその言葉に、海坊主は片眉をあげた。
さっきからララが何か言うたびに留めている気がするが、それも仕方ない。
何かしらの情報を少しは期待していたが、まさかいきなり直球がくるとは思っていなかった。
ララはそんなこちらの思考を知ってか知らずか、ニコニコと笑いながら続けてくる。

「その娘、突然襲い掛かってきたからこのカードで……っていってももう無くしちゃったんだけど、それを使ってみたらあっという間にパヒューンってどっかに飛んでっちゃった」
「いや、いやいや待て嬢ちゃ……ララ。頼むからもう少し詳しく教えてくれ」

ララのその説明により、一気に話が胡散臭くなる。
マリという娘と遭遇して、襲われて、そこまではいいとしてカードを使ったらどこかへ飛んでいった?
何度その様子を頭の中でシミュレートしても、どうしても最後のところで途切れてしまう。
この手の子供によくありがちな誇張表現が入っていることを加味しても、まったく意味がわからない。

「だーかーらー、私に配られた三枚のカードの一つが左遷(レルゲイト)っていって、それをマリに使ったらどこかに飛んでいっちゃったの。
 その行き先は私にもわからないんだけど、とにかくそういう効果のあるカードが――」

……有り得ない。
海坊主はただ、そう断ずる。
ララが重度の妄想癖であることは承知していたが、ここにきてそんなどこかのファンタジー漫画のような話をされるとこちらが対処に困る。
幻想に惑わされずに現実をしっかりと見据えなければ、命というものは実にあっけなく失われる。
これまでの数多の経験から、それだけはしっかりと海坊主は学んできたつもりだ。
だからこそ、ここはどうしてもはっきりさせなければならないところだというのに。

戦場において、現実と妄想を混同して……要するに狂っていった連中なら山のように見てきた。
そいつらに共通して言えるのは、妄想は妄想でもあまりにとりとめがなく、辻褄がまったく合わない……それこそ夜に見る夢のような話ばかりだということだ。
しかも他人の目から見てはともかく、自分の中ではしっかりと整合性がつけられているためにタチが悪い。
まさに今のララのような状態だ。
あまり考えたくないが、もしかしてこの娘は元来の妄想癖というわけではなく、この殺し合いの空間に耐えられずに既に発狂してしまってこうなっている可能性もある。
通例ならばもうそこまで進行してしまった奴は放っておくものだが、しかし今、このララを見捨てるのはさすがに忍びない。
どうしたものかと考え込んでいると、ララの方もまた自分の話が信じられていないことを感じ取ったらしかった。

「んー、おじさん私の話信じてないでしょ」
「…………」

そりゃ信じられるか否かと問われれば迷わずに否だと答えられる。
だがこういう、一度自分の考えを正しいと思ったらそう信じて疑わない奴を真っ向から否定するのはあまりよろしくない。
ここで別れて二度と会わないというのならともかく、一応これからも連れていくつもりだ。
彼女を元に戻すためにはいきなり否定するのではなく、ゆっくりと時間をかけていくしかない。
だから海坊主は、とりあえずの曖昧な返事を返す。

「あ……ああ、いやそんなことはないぜ。その左遷とやらで飛んでったんだろ? 別に疑ってるわけじゃ……」
「信じてない!」

ぷくーっと河豚のごとく頬を膨らませるララ。
どうやらまたヘソを曲げてしまったらしい。勘弁してくれ、と海坊主は宙を仰いだ。
最初からこの調子では、これから先が思いやられる。

――そんな彼を少し怒ったような目で見つめながら、ララは思う。

(リトなら、私のこと信じてくれるのに)

カードで飛んでいった云々の話よりも、もっと単純にそのことによってこの海坊主が自分という存在そのものに不信感を持っていることに、ララは悲しみを覚えていた。
日常の場であろうとこの殺し合いの場であろうと、一人ぼっちというものはやっぱりいやだ。
この海坊主とも仲良くしたい。互いに信じあえる関係になりたい。
そのためにはどうすればいいか……

「…………」

互いに黙り込んで、しばし静寂がこの家の中を支配する。
ふとララは窓から外を見てみる。
どうやら夜が明けようとしているらしい。暗かった空が白み始めているのがわかった。
あの飛んでいったマリは、もうこの空の下のどこかに着陸したのだろうか。
そんなことを考えた時、ララの頭に一つ案が浮かんだ。

(そうだ!)

そう、簡単なことだ。
海坊主がこちらの言うことを信じてくれないのならば、それが本当であるということを証明すればいいのだ。
残念ながら左遷のカードはどこかに落としてしまったために使用することはできないが、自分はあと二枚も同じようなものを持っているではないか。

「おじさん、さっきのノート貸してっ」
「あ?」

海坊主の返事も聞かずに、彼の脇に置いてある黒いノートを手に取る。
別に何でもよかった。
たまたま目に付いたのがそのノートだった……理由はただそれだけ。

「おい、何する気だ」
「いいから見ててっ、えーと……こっちでいいか」

なんだか知らないが、何かとてつもなく嫌な予感が海坊主を襲う。
昔からこういう時はろくなことが起きたためしはない。
ララを制止しようと慌ててベッドから立ち上がる……が、一手遅かった。
凛としたララの声が部屋に響く。

「堅牢(プリズン)オン、対象……デスノート!」

その時、大量の光が一瞬で部屋に満ちた。
海坊主は盲目で、かつサングラスをかけているためにその光を知覚することはなかったが、それ以外の五感が明らかに何かが起きているということを彼に伝えている。
最初はララが懐中電灯か何かを照らしてきたのかと思った。
だがそれにしてはどうも様子がおかしい。何か違和感を感じるのだ。
あの人工的な感じのする光ではなく、これはどちらかというと自然現象のそれに近い気がする。

(何してやがる、ララ!?)

……やがてその光が収まると、また元の静かな空間に舞い戻る。
一体何が起きた、と声をかけようとした海坊主よりも先に、ララの素っ頓狂な声が耳に届いた。

「あーっ、またカードが消えちゃった! もしかしてこれ、使い捨てなのかなあ……もったいないことしちゃったかも」

どうもまたカードを紛失したらしい。
というよりは自分の目の前から突然それが消えてしまったような、妙な反応だった。

「おい、どうしたんだ」
「あっ、そうだ! ねえねえおじさん、ちょっとこれ持ってみて」
「?」

そう言って妙に興奮した彼女から手渡されたのは、一冊のノート。言わずもがな、例の閻魔帳だろう。
わけのわからないままにそれを手に持つと……次の瞬間、何かとんでもない力でそのノートが引っ張られた。

「うおおっ!?」

大して力を入れていなかったために敢え無くそれは海坊主の手から零れ落ち、一瞬宙に軌道を描いて正確にララのデイパックの中へとすっぽりと収まっていった。
何が起きたのか理解できない。
今のはララがこのノートを取り返そうと無理矢理引っ張ったわけじゃないだろう。
まるでノートそのものに横向きの強い重力がかかったような、そんな感覚だった。
もう一度同じことを試してみたが、やはり結果は同じ。
これは一般の常識では説明がつかない。

「ね? 私の言うこと、信じてくれるでしょ?」

どこか得意げなララの声が聞こえてきたが、海坊主にとっては今はそれどころではない。
これまで自分の築いてきた現実が、ガラガラと音をたてて崩れ去っていくのを感じる。

(……もしかして、俺のほうがおかしくなっちまったのか?)

その問いに答えてくれるのは、少なくともこの場には誰一人としていなかった。


【A-6 民家 / 一日目 早朝】
【伊集院隼人@CITY HUNTER】
【装備】:逆刃刀・真打
【所持品】:支給品一式
【状態】:動揺中、少し頭が痛い
【思考・行動】
1.何が起きた?
2.ララを連れて行動

【ララ・サタリン・デビルーク@To LOVEる】
【装備】:無し
【所持品】:支給品一式、グリードアイランドのスペルカード(反射)@HUNTER×HUNTER
      ジェバンニの複製ノート@DEATH NOTE
【状態】:健康、ジャケット一枚
【思考・行動】
1.これでおじさんも私のこと信じてくれるよね!
2.おじさん(海坊主)と一緒に行動
3.飛ばしちゃった女の子(マリ)が気になる
4.結城梨斗、西連寺春菜と合流

※デスノートについては単に名前を書かなければ無害だと認識してるため、あまりその危険性は考えてません
※スペルカードが使い捨てであることに気づきました

【グリードアイランドのスペルカード@HUNTER×HUNTER】
グリードアイランドの島で使われている魔法カード。
使用するときは「(カード名)、使用!対象、(対象者の名前)」を
叫ぶことで発動する。カードによって様々な効果がある。
必ずしも正式名称である必要は無い模様。(偽名でも効く?)

左遷(レルゲイト):対象者をこの島のどこかへ飛ばす。
反射(リフレクション):使用してから30分、他の支給品による攻撃を反射することが出来る。
堅牢(プリズン):支給品を指定して使用すると、その支給品は18時間破壊されなくなる。
また他の人物の手に渡ってもすぐに自分のデイパックに戻ってくる。

【ジェバンニの複製ノート@DEATH NOTE】
本物のデスノートと見た目も内容もまったく変わらない複製ノート。
複製であるため、当然その効力は一切ない。



037:男の戦い ver.snow 投下順 039:GANTZにかけられた制限
035:業を負いし者 時間順 039:GANTZにかけられた制限
023:聞く耳持ちません 伊集院隼人
023:聞く耳持ちません ララ・サタリン・デビルーク

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