どこへ行こう。

あたしはさっきからずっとそればっか考えていた。
そのせいでまだ一歩も踏み出せないでいる。
徐倫のため他の奴らを殺して回る、とは言え、徐倫本人に会うのは避けたい。
そりゃあ、探して保護した方がどう考えても良いだろうが、そんな効率の問題じゃあない。

向かいたいのは、『人が寄り、なおかつ徐倫が行かない』どこか。
徐倫を襲いかねない危険人物を探すのもだが、優先すべきはこれだ。
危険人物と言えば……プッチはどこ行っちまったんだ?
プッチと同行してたらしい筋肉達磨も行方不明だし、放置すんのは絶対に避けたい。

「やっぱ行くっきゃねえのかなあ~?」

さっきから気になってしょうがない巨大な建造物、コロッセオ。
イタリアだったかに在ったんじゃあねーのか?
極上の料理にぶっかけた蜂蜜のように街の景観はブッ壊されてることだろーよ。違和感バリバリだ。
徐倫はわざわざ行かないだろうな、こんなところは。拠点にするには無駄に目立ち過ぎる。
かと言ってここに寄りつく奴なんてそうそういないだろうってのもまた言えるわけで。
いるのは、状況の見えてない馬鹿か、相当の自信家のどっちかだろう。
6時間も経ったんだから皆現実が見えてるだろう、後者の可能性の方が高い。

「いいや……違う、行かなきゃいけない。徐倫のためにもここは!」

行かなきゃいけない。
たとえ誰もいなくても、いずれ捜索する者が現れるだろう。
物陰に隠れてそいつにFF弾を打ち込めばそれでいい。
それだけで、たったそれだけで決着はつく。



「……できるのか? あたしは、その『たったそれだけ』が?」

乗っ取った男、ダービーを打つ時さえためらったのに?
震えが止まらず、ろくに照準を合わせられなかったのに?
そもそも途中まで殺しを躊躇してたのに?

(なのに貴様は『たったそれだけ』などと、エラソーにのたまってるのか? プランクトンの分際で)

プッチ神父があたしを嘲る声が聞こえた、気がした。

「……ああ、そうだ、『たったそれだけ』だよ。わけねぇんだ、徐倫のためなら」

その声を振り切るようにして走る。
ウダウダ悩んでる暇はない、徐倫の身を案じるなら。
思い出を足かせのように引きずってしまうから一歩一歩が重いんだ。
捨てなきゃあ、前には進めない。

必要なのは目的。空条徐倫のために戦うという目的だけ。


  ★


話し相手がいないというのは、寂しいものだな。

プッチが居なくなってから、奴の魅力を再認識させられた。
することもなく一人でいるのは面白くない。
悠久の時を生きてきたはずなのに、退屈な時間はひどく長く感じる。
いつもだったら頭のクールダウンに十分な時間は過ぎただろうが、高ぶった気持ちは一向に冷めない。
同族のこともそうだが、ここに来てから満足に戦えていないのが原因だろう。
プッチには悪いが、今誰か来ようものなら手加減できるかどうかさえ怪しい。

「ヌウ?」

侵入者……来たか。
足音を出来るだけ出さない歩き方はしているが、地を伝わる振動は消しきれまい。
だが、気配の消し方は修羅場をくぐりぬけてきた波紋戦士のそれに劣らない。
これほどの腕なら、その力奴らに匹敵するかもしれん。
文字通り血が滾るのがわかる。
ジョルノとの戦いの際、プッチに介入されてから、その鬱憤を晴らしたくて辛抱たまらなかった。
今回は邪魔する者はいない。来ようものなら、そいつごと叩き潰すまで。

狩りの対象の足音止まる。距離からして、機を見計らっているのだろう。

「そこにいるのはわかっている。おとなしく出てきたところで見逃す気などないがな。
 貴様がその気なら、相手してやろうじゃあないか」

スッと立ち上がってみせたが、向こうは動かない。

「来ないのか? ならばこちらから向かうぞ」

不意を突こうとしたのだろうが、無駄だ。その目論見ごと吹き飛ばしてくれる。

対象は20メートル先、柱の後ろ。侵入者は動かない。

接近、残り10メートル。侵入者は動かない。

接近、残り5メートル。まだ動かない。

3メートル、2メートル、1――――。



右足を鞭のように振るい柱をなぎ倒す。

石塊吹っ飛び、破片舞い散る。その陰からひらりと飛ぶ影一つ。

射出音六度響く。飛来物が2、3頬を掠る。

横転しながら着地したそいつは。

「貴様は……」

ジョルノに治療されたはずの男だった。


  ★


(チッ……柱の影を見に来たところを上からズガン! と考えてたが甘かったぜ。
 しかし、よりによってあの筋肉達磨が相手か!)

さっきまでプッチの次に再会を願ってはいたものの、それは恋い焦がれた者同士が浮かべるような感情じゃあない。
こいつに対しては、そんなのとは対極にある憎悪しか浮かばない。

『どうやらコイツは貴方の肉体を取り込んだようです! つまり貴方とヤツの相性は最悪!』

ジョルノの言葉を脳裏で反芻する。
F・F弾はプランクトンを射出する攻撃だから、肉体の一部を飛ばしているようなもの。
こいつを放置すんのは危険だが、そう思ってた割に対策は練っていなかった。
近距離パワー型スタンド並みの力も吸収されて通用しないこいつ相手に、どこまでやれる?

「よりによって貴様か。野放しにすればプッチも厄介に思うだろう。協力は……出来るはずもないな。
 遠慮はしない、ここで片付ける」

そー言う奴の表情からは、笑みが見て取れた。
随分とまあ舐めくさってくれるじゃあねーの、えぇオイ?
策がない? なら見つけ出せばいい!
とにかく、今は時間稼ぎをするしかないッ!

指先を銃口に変換、発射。
よけられるが問題ない、距離を稼ぐための布石だ。

さて、どうする?
DアンGやダービーにやったように、肉片をまき散らす手は使いたくない。
リスキーすぎる。二人ともほぼ動けないという前提があったから出来たことだ。
外側から傷をつけるのは難しい。体液を奴の中にブチ込んで繁殖させ内部から破壊するしかないが、体表に打ち込めば吸収される。

要は、『最初っから内部にブチ込む』しかないわけだ。
それができる箇所はおそらく、口内、眼球、耳とか鼻とか……顔付近に集中してやがる。
ヘヴィったらありゃしねえ。

コロッセオに地下があると知ったのは偶然だったが、最初はラッキーだと思った。
遺跡のように入り組んだここなら奇襲しやすい。
だが、強い奴に対してあれこれと策を弄するのは無駄だとさっきので思い知らされた。
位置が位置だ。狙いを定めて、真正面から突っ切るしかねえ!

「どうした、鬼ごっこは終わりか? それとも、このエシディシに命乞いでもするつもりか?」

駅のホームみてーなところまで走って立ち止まったあたしに、そう言って蔑視しやがった。
地下鉄が通ってるんだろうかとかムカつくヤローだとか考える暇もなく、思考のほとんどを隙を作るための作戦練りに回す。

「一つ聞いていいか? 分からんのだ。貴様は何のために戦う?」

向こうから話しかけてきやがった! 隙を得るための手口か?
いや、あの圧倒的なパワーの持ち主がそんなことをするとは思えない。追いかける速さも加減したようだから。
だからあたしは深く考えず、正直に率直に答えてやった。

「あたしはあいつを……徐倫を生き残らせなきゃならねーんだ! この命に代えても!
 テメーみたいな化け物に徐倫を殺されてたまるか!」


  ★


「一つ聞いていいか? 分からんのだ。貴様は何のために戦う?」

言うなればこれは最後通告。
このままならわけなく勝てるだろうから、協力するかどうか一応聞いておく。
目的が一致するなら、プッチの頼みを無下にするわけにもいくまい。

「あたしはあいつを……徐倫を生き残らせなきゃならねーんだ! この命に代えても!
 テメーみたいな化け物に徐倫を殺されてたまるか!」

そんな思惑つゆ知らずといった感じで、聞けたのは随分と身勝手な理由。

「安っぽい感情で動くんだ――なッ!」

男に接近を許してしまった。構えた銃口を顔に向けられる。
回避は間に合わない。

「直を――喰らいやがれ!」

不意を突かれたのは驚きだが、口なら吸収されないとでも思ったか?
吹っ飛びはしたものの、喉の傷は浅い――何ィ! 喰い……破られる!?

「勝った! 臓物をブチまけなァァァ――――!」


  ★


確かに打ち込んだはずだ、途中で吹っ飛んだから二発だけだが確かに。
即、分裂も命令した。なのに、何で。

「何で! フー・ファイターズが死滅してんだよォォォ――――!」

慌てふためくあたしとは対照的に、筋肉達磨は落ち着きはらってペッと掌に血反吐を吐きだす。

「こんなものに……こんな塵に匹敵する微小な生物に喰われかけるとはな。反省しなくては」

かろうじて生存しているフー・ファイターズのことだろう。
熱した鉄板に水滴を零したような音がして、そこで完全な死滅を確認した。

「もし俺の流法がこの生物を焼き殺せる「炎」でなかったなら。「炎」でなかったならッ!
 どうやってあの攻撃を防いでいたか分からなかったぞ……」

奴の唇から血液垂れる。そこから煙を帯びて皮膚が焼けていた。

奴の能力は、フーファイターズを焼き殺すほどに血液の温度を上昇させる能力らしい。
肉体を取り込むこととの関連性は見出せないが、分かったことはある。


今のあたしじゃ、コイツに勝てない。


「さっきから気になっていた。鉄塔の側にいた女と、貴様の動きは酷似している。
 変装か……あるいは、肉体を乗っ取ったのか?」

冷や水を浴びたようにピクリと反応してしまう。

「図星のようだな。フン、とんだお笑い草だ!
 他人の肉体を乗っ取り、あげく、ジョリーンだったか? そいつ以外は内側から喰い破る。
 貴様が俺を化け物と言えた口か?」

反響して聞こえたのは、地下だからというだけじゃあないだろう。

「その人にも化け物にもなれぬ出来損ないの頭で考えろ。ジョリーンが貴様の助けを必要とする弱者なら間もなくくたばる」
「徐倫を侮辱するのはやめろ! それに、これはあたしが勝手にやってることだ!」
「だが俺は言い振らすぞ?『ジョリーンの仲間であるフー・ファイターズは殺し合いに乗った』と」

事態は、あたしが死ぬより最悪の方向へ向かってしまった。
もしそんな話が流布すれば、徐倫は集団から敵視され、疎外されるだろう。
そうなれば彼女の孤立は必至。生き残れる可能性は激減する。

「徐倫は同行者から嫌われるだろうな。除け者にされ、弁明すら聞いてもらえないのが目に見える」
「黙れ! 徐倫は、徐倫は」
「必死に孤独に耐えたところで、噂を聞いた誰かが始末しにかかるだろう。
 それとも、耐えかねて自殺するのが先か?」
「黙れ黙れ黙れ!」

壊れたテープレコーダーのように必死に言葉を繰り返す。
耳もふさいでいるが、それに合わせて奴は声量を上げてきた。
守りたかった徐倫が殺される。湧き出るそのイメージを塞き止めたい。
だが、奴の暴言が途切れることはなかった。

「その時の死に様はどんなものなのだろうな? 刺殺? 絞殺? 銃殺? 圧殺?
 自殺なら服毒というのもあるかも知れんなあ?」
「黙れ……黙れ……死なせて、たまるか……」

そして、自分でも分かってたから恐れていた、最も耳に入れたくない一言を――

「いいや、ジョリーンは死ぬ。だが忘れるな、徐倫を殺したのはお前だ。全て貴様のせいだ」

――聞いた途端、あたしはキレた。

「黙れエエエエエエエエエエエエ!」

ひたすらに、残像が見えてくるほどに拳を振るう。
だが見切られる。左腕をつかまれる。

「動揺して安易な攻撃を繰り出したなあ~~~!」

拳撃が止まった隙を突かれ、野菜を切るように容易く、右手首が手刀で切り離される。
ボールみたいに宙を舞う手首。

「そしてお前は『得意顔してしゃべんなこのウスラボケが』と言う!」
「得意顔してしゃべんなこのウスラボケ――がッ!」

顎を蹴とばされた。舌を噛んだ。
受け身を取れずに倒れる。自然と奴に蹴られた脚を見ることになる。

切られたはずの右手首が一体化していた。

「右手からまた撃ってくると思っていたぞ。狙いは耳の穴か?」

完全に、読まれていた。
血液が駄目だったから、リンパ液で満たされた耳内部の組織、蝸牛を狙うという策を。
F・F弾を、飛ばされた右手からブッ放してやろうとしたことを。
空中で変化する指を見逃さなかったのだろう。
奴はあたしを蹴ることで右手を操作する集中力を損なわせ、同時に振るった足で手首を吸収しやがったのだ!

「絶望のォ~! ひきつりにごった叫び声をきかしてみせろォ~~~!」

起き上がっていないあたしに容赦なく向かってくる。
チクショウ……ここまでなのかよォ……!


  ★


戦略的撤退を取った俺ってえらいねえ~~~。
『セト神』は解除さえされなければ無敵の能力なんだからな。
ん? ここに来る以前子供化したポルナレフに追い詰められた? そんなこと言うのはえらくないね。

北上した俺の目に留まったのはコロッセオ。
目立つ施設だから何となく向かってしまったんだろう。
足が見つかった余裕もあって、内部の捜索をし始めたんだよ。
盗られたらまずいから、バイクは目立たないところに隠したけどな。

そしたらなんと、地下への隠し通路を見つけたんだよ! 俺ってばますますえらいねえ~~~。
真実の口が蓋になってたなんて驚きだぜ。
んで、喜び勇んで侵入開始したってわけだ。

遺跡みたいな内部を探検してると、途中で近代的な場所に通じた。
いや、何か騒がしい音がしてたからその正体を知りたかっただけなんだぜ? それに関わろうなんて微塵も思わなかった。
だが、生まれてこの方、あれほど自分の選択と幸運に感謝したことは無かったね。

「ダッ、ダァービィー!」

感動の再会ってやつだ。
背負ってた女が居ないが、この際どうだっていい。ダービーに会えただけで良しとしよう。

しかし緊急事態だ。
俺がダービーを見つけて数秒後、奴の右腕が吹っ飛ばされた。
誰がやったって? 一番会いたくなかった筋肉野郎だよ。
何か叫びながらニヤついてやがる。おぞましいったらありゃしねえ。
関わりたくないし今すぐにでも逃げちまいたい。だがこれはチャンスなんじゃあねーの?
ここでアメリカンコミックのヒーローよろしくジャジャーンと助太刀に入れば、
ダービーの信頼が得られるわ、危険人物を無力化できるわいいことづくめ。
こーいうのは大抵リスクが付きものだが、あのデカブツはこっちに背中を向けてっから気付いてねえ。
ジョセフみたく見た目ジジイじゃあねえし、影に2、3秒触れさせればイジメ甲斐のある子供に変えるには十分。
そもそもダービーがやられたら、次にやられるのはこの俺だろう。元々危険なのは変わりあるめえよ。
そうこう考えてるうちに蹴りがダービーの顎にモロに入る。こりゃあ今すぐ行かねえとダービーがやられる!
意を決してスタンドを発現、最大限影の面積を拡張し走り出した。


  ★


「ねぇねぇディアボロくぅ~ん、いい加減冷房を切りに行きたいんですけどお」
「俺とこいつを危険に晒してもいいと? 三人一緒に行くのも論外だ。
 俺かお前がこいつを服ごと抱えて行く必要があるから、下手をすれば咄嗟の事態に対処できない」

ジョセフの提案を退ける。
スタンド攻撃のせいで、俺はスタンドが使えなくなり、音石に至っては動きまわることすら難しくなった。
たくましい肉体を取り戻し、奇妙な術が使えるジョセフはともかく、俺と音石は戦力として計上できない。
籠城を選択した一因はそこにある。
消極的だが、選択そのものは間違っていないからこそ、あの時ジョセフは反対しなかった。
いかなる場合においても安全に振る舞うことを優先せねばなるまい。

「もっとも……裸のままこいつを抱えるのも勧めんがな」
「分かってるって。そんなことして突然姿が元に戻った日にゃあ目のやり場に困るってーの。
 そもそも、冷房を切りたいのはこいつが震えてっからだ」
「うー……」

ジョセフが指差したのは、元々着ていた衣服にくるまっている音石。
ぶかぶかで見に纏えたものではないから脱いだようだが、寒さには耐えかねるのだろう。
唇は既に紫色、未発達の歯をカチカチ言わせて縮こまっている。
これくらいの年の子供には酷な環境だ。別に憐れんでいるわけではないが。
確かにこれが原因で、元に戻った時音石の肉体に異常が出ては困る。
従わせる利用相手が使い物にならなくなるわけだからな。
しかし、自分の命には代えられない。このディアボロ、何より危険は避けたいのだ。

「それに目の容態はどうなんだ? ほれ、水だ」

デイパックから飲料水を取り出し、ジョセフに渡す。
いい加減処置を施さないと、本当に役立たずになるからな。

「おお、わりいな」
「自分で言ったことだろう、目を洗う時間をくれと」

無視するように、バシャバシャと音を立てて目を洗うジョセフ。
この様子だと、あの問いも忘れているのではないか。

『娘がいると言っていたな。お前はどうしていた? この世界に娘も来ていたら……もし死んでいたら』

返答次第では見限る。だがこいつはそれを知ってか知らずか、今の今まで回答を保留にしてきた。
襲撃者、アレッシーとやらの対処に追われたかもしれないが、答える時間だけなら電車内でもあったはず。
しかし、娘か。
血縁関係を表すだけなら意味は一緒だが、ジョセフと俺のそれは違う。
娘との繋がりを断ち切ろうとした俺とは対照的に、ジョセフは――少なくとも当初は、身を案じていたのだろう。
そう、娘トリッシュは死んだ。荒木が嘘をついたというのは無いな、いずれ裏が取れるし、何より感覚で分かる。
ちらと音石を見る。不思議そうに首をかしげたので頭をなでてやる。

血縁上、トリッシュの母で俺の妻に当たるドナテラ・ウノとの出会いなど思い出せない。
娼婦のような感覚で見ることは無かったし恋もしたが、俺にとって愛は無用だったから。
組織の頂点に立とうとする身において、直接的な繋がりを持った者は邪魔者でしかなかったから。
だがジョルノに敗れた俺は、かつてのような絶頂を得ることはできないだろう。
それどころか度重なる「死」で精神は摩耗し、他人に無様な姿をさらしても何も思わなくなった。

平穏の中を生き長らえたところで、俺には何もない。
家族も、意地も、信念も、地位も、名誉も、愛も。
断ち切るべき因縁が残されているが、それを絶やすのは生きるための手段であって目的ではない。
死にたくないとは言った。だがそれならば俺は一体何のために生きている?

そこで思考が堂々巡りに入ったから、俺は気付けなかった。


あれほど寒がっていた音石が、生まれたままの姿でつっ立っていたことに。



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最終更新:2009年07月23日 16:17