ジョージ・ジョースターは激怒していた。この殺し合いを仕組んだ荒木に対して。
「許せん……人の命をなんだと思っているんだ……こんな事、絶対にあってはならない……」
そう思いながらもジョージは渡されたデイバックの中から名簿らしきものを見つける。そして自分の知り合いの名前があるかどうかを調べた。もちろんいなければいいと信じて。
ああしかし、そこにはあった、あってはならない名前が二つ。
ジョナサン・ジョースター、ディオ・ブランドー
「ジョジョ……ディオ……ああ……なんという事だ……」
彼の息子達の名前が、そこにはあった……


「ジョジョ……ディオ……なんという事だ……君たちまで」
息子達の名前を見た私はこうしてはいられないと思い歩き出した。息子達を保護し、このゲームから脱出する為にだ。
「ジョジョ、ディオ。君たちは私がこの命に代えても守ってみせる、君たちは私の……大事な……家族なんだからね……」
そう決意し歩を進める、しばらく歩いていると人影を見つけた。
声をかけようと思ったのだが、危険人物かもしれない……そんな声が私の脳裏を過る。
そんな事を考えながら戸惑っているうちに……

「おまえの名を聞かせてくれ」
むこうから先に声をかけられる、騎士のような鎧を身に纏い、大きな剣を手に持った男だった――――――――



――――――――この痛みこそ生の証――――――――

――――――――屍生人ではない、人間の魂――――――――

――――――――ジョナサン・ジョースター……三百年経った世界の友人よ……俺は生きているぞ――――――――

しかし、人間の魂を取り戻した俺が辿り着いたのは女王の待つ天国でも生の世界でもなく、それらとは正反対の地獄。
荒木という男に殺し合いをしろと言われ、デイバッグとかいう不思議な袋と共にこの地に飛ばされていた。
素敵なプレゼントが入っているとも言っていた、試しに俺は袋を広げる。
果たして中には、恐らくはこの世界の地図、懐中電灯という光を放つ奇怪な物体
腕に巻いて使用する不思議な時計などが入っていた、未知の技術に俺は驚く。
これで生き延びろという事だろうか、そして最後に二枚の紙が残った。
一体、どんな事が書かれているのだろう、そんな事を考えながら小さく折り畳まれた一枚目の紙を広げた俺の前に、大きな剣が現れた、共に戦場で戦った、戦友の使っていた物……
「これは……タルカスの剣か……」
紙から物体が飛び出して来る非常識な事態に驚きはしたが、一時置いておこう。
この世界にはおれの常識では到底届かないようななにかがあるらしい。
しかし、この剣が今この場にあるという事は、タルカスもここに来ているのだろうか?
ひょっとすると幸運の剣もこの世界のどこかにあるのだろうか?
様々な考えがおれの脳裏をよぎったが、それよりも気になるのは、三百年経った世界の友人の事だった……

「ジョナサンも、この場に来ているのだろうか……いや、そんなはずはない、彼は俺の様な罪人とは違う……ディオの手によって屍生人となりその凶刃をふるった俺とは違う……彼はこんな世界に……来るべき男ではない……」
そう思った俺は、残った方の紙に目を向ける、この紙も今開いた紙と同じく何かが出てくるのだろうか、取りあえずは開いてみる事にする。
開いた紙からは何も出てこなかったが、様々な名前が書いてある。どうやらこの地に集められた者達の名前らしい。
俺のような死人ばかりなのだろうか……そう思い、名簿を読む、しかし、一番最初の名前を見た時、俺は驚愕した、そこには、ある筈のない名が記されていたからだ――――――――

――――――――ジョナサン・ジョースターという、誇り高い男の名が――――――――
彼がこの様な地獄に巻き込まれている事が、俺には俄には信じられなかった。
見知った名は他にも二つ、タルカスとディオ・ブランドーの名が記されていた。

――――――――タルカスよ、お前はまだ邪悪に身を染めたままなのか?ディオに魂を明け渡したままなのか?――――――――

――――――――ディオ・ブランドー、吐き気を催す邪悪よ、そのドス黒い狂気、俺が滅せよう――――――――

――――――――そしてジョナサン、彼は人の命を奪えるような男ではない、寧ろ騙されて命を奪われるような男だ、彼の気高き精神はこの場では寧ろ仇となってしまう……

これで行動方針は決まった。ジョナサンを助け、荒木を倒す。もしその過程で再び朽ち果てるのならば、その時は……

――――――――我が女王のもとへ旅立とう――――――――

そう決意し、しばらく歩を進めていると一人の男を見つける。
どうやらむこうもこちらに気づいているようだ。
荒木打倒の為には様々な人間と接触する事も必要だ、たとえそれが危険人物であろうと、そう思い意を決した俺は……


「おまえの名を聞かせてくれ」

目の前の男に声をかけた……


「おまえの名を聞かせてくれ」
「ジョージ・ジョースター」
問われた問いに答える。

「ジョースター……だと? 」
目の前の騎士風の男は明らかに動揺している。ジョースターの姓になにか関わりがあるのだろうか?
「ジョナサン・ジョースターの名に聞き覚えは? 」
「! ジョジョを知っているのかね!? 」
目の前の男は息子の事を知っている!どういうことだろうか!?
「ジョジョ? ジョナサンジョ……ジョジョか……あの男は私を呪いから解き放ってくれた青年だが……お前はあの男のなんだ? 」
「私はジョジョの……父親だ……それにしても君は何を言っているのかね!? 呪い? 恩人? 何を言っているのかさっぱりだ! 第一、まだジョジョは子供だぞ! 」
本当に意味がわからない、目の前の男は何を言っているんだろうか?


「私はジョジョの……父親だ……それにしても君は何を言っているのかね!? 呪い? 恩人? 何を言っているのかさっぱりだ!
 第一、まだジョジョは子供だぞ! 」

目の前の男の言う事には驚かされるばかりだ。
あのジョナサンの父親という事にも驚いたが、ジョナサンが子供?話が噛み合なわない、どういう事なのだろうか?
この時計や不思議な紙、未知の技術、噛み合わない話……俺の脳裏に、ある一つの仮説が浮かぶ。
普通ならばありえない話だが、この世界には普通など存在しない……ありえない話ではないかもしれない……

「今は何年だ? 」
「本当に何を言っているのかわからない……今は1881年だろう……」
男の言葉を聞いて俺は確信する、あの荒木は異なる時代、異なる場所から
様々な人間を集めてこの場に呼び寄せていると。
こんな馬鹿な話、易々と信じてもらうのは不可能だろう……この考えは後回しだ、それより……今は……
男の首筋に剣を突き立てる、この男が息子と同じ「勇気」を持っているかどうか試してみる事にしよう……

「ジョージ・ジョースター! おまえに一つ問おう! おまえはこのゲームでどう動くつもりだ? 」
「な……なにをするんだね君は! 」
「俺の質問に答えろ! このゲームで生き残れるのは一人だけ! そしておまえには息子がいる、ならばどうする? 息子を守る為に自害するか? それとも一人で生き延びる事を選ぶか? 一体どうするというのだ? 」
「わ……私は……」
「早く答えろ! 」
「わ……私は! 人を踏みつけて生き残る気もないしなにもせず自害するのもごめんだ! 私はあの荒木を倒し! 息子達と共にこのゲームから脱出する! 」
そう言い放った彼の眼には息子のジョナサン・ジョースターと同じ、勇気と希望が宿っていた……フフ……無駄骨だったようだな……
俺は首筋から剣を離す、この男の勇気は本物だ……
「先程は失礼な事をした、我が名はブラフォード、あなたの勇気を認め、是非あなたと行動を共にしたいのだが……よろしいだろうか? 」
「あ……ああ、それではブラフォード君、私は息子達を探す為にまずはこのC-2にあるジョースター邸へ向かうのだが……ついてきてくれるかな? 」
「喜んで……」
そして彼らは歩き出した、二人の行く末には何が待ち受けているのか、まだ誰も知らない。


【F-1 北部/1日目 深夜】

【紳士と騎士】

【ジョージ・ジョースター1世】
[時間軸]:ジョナサン少年編終了後
[状態]:健康
[装備]:なし
[道具]:支給品一式、不明支給品1~3
[思考・状況]
1.ジョナサンとディオの保護
2.その為にC-2にあるジョースター邸へ向かう
3.ブラフォード君の言う事はよくわからないな……

【黒騎士ブラフォード】
[時間軸]:LUCKの剣に血文字でPを書き加えた瞬間
[状態]:健康
[装備]:タルカスの剣
[道具]:支給品一式
[思考・状況]
1.ゲームの破壊
2.ジョージについていく
3.ジョナサンを助ける


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ジョージ・ジョースター1世 72:泣いた赤鬼
黒騎士ブラフォード 72:泣いた赤鬼

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最終更新:2008年09月19日 20:37