ファニー・ヴァレンタイン。


第23代アメリカ合衆国大統領にして、スティール・ボール・ランの影の支配者である。
『聖人の遺体』を集めてアメリカ合衆国を繁栄させる、という目的で『遺体の一部』を持つ人間を付け狙っていた。

奴自身、スタンド使いである。
スタンド名は『D4C』。
無数の平行世界を作り出し、逃走はもちろん、平行世界の俺と『基本世界』の俺が出会えば消滅するという一撃必殺のスタンド能力だった。

もちろん、俺、『Dio』ことディエゴ・ブランドーも『左眼球』を持っていたおかげで奴に狙われることになってしまった。
だが、ホット・パンツとの共闘の末に、奴は列車の中から突き落とされて死んだ。確かに俺は殺したはずだ。
その時に俺は真っ二つになって死んだはずだったんだが……


見ての通り、俺は生きている。
完全な健康体だ。


この世界には、ホット・パンツ、ジャイロ・ツェペリ、そしてジョニィ・ジョースターがいる可能性も高いだろう。

俺は『基本世界』に帰ってレースに優勝しなければならない。
ジョニィ達を見つけ、いや、あの会場にいた人間達の中にも少なからず俺と同じように『基本世界』に帰るという目的の奴はいるだろう。

あの見せしめ三人は、俺は知らないがかなり影響力の有る人間なのだろう。
そいつらをとことん利用してやる。
『基本世界』に帰るためなら何だってやってやる。


ところで、俺はどうしてここにいる?


可能性はいくつかあると思う。

1 大統領はまだ生きていて、『D4C』の隠していた能力を使った、もしくは新しい能力に目覚めた
2 スティーブン・スティールのスタンドが開花した
3 大統領の部下がスタンドを使った

ざっとこんなものか。


それにしても恐ろしい能力だ。
あんなにも大勢の人間を一つの場所に集めて、殺し合いをさせるとは……
正気の沙汰じゃない……



この『バトル・ロワイアル』を引き起こしている張本人を探し出し、解除させるなり、殺すなりしない限り、俺はここから抜け出せないのだろう。

どうするにせよ、あの三人を見つけるか、新しく仲間を見つけるかしなければならないな。

さて、動くか……

  ★

「クソッ!あんな化け物みてぇなスタンドッ!」

ん?
奴は……誰かに追われているのか?
それにしてはスタンドも本体も見えないが……

まぁ、良い。
極限に近ければ近いほど人間は扱いやすいからな。
もし奴が優勝狙いなら、殺すか、逃げるかすればいいさ。

「こっちだッ!こっちに来いッ!」
「な、なんなんだてめぇはよぉッ!」
「いいから来いッ!死にたいのかッ!」
「おいッ!そっちは安全なのかよッ!」

かかった……

「あぁッ!早く来いッ!」

予想外に早く仲間が見つかりそうだな……
今の俺はツイている……

  ★




「クソッ……敵は消えたみてぇだがよぉ……スタンドパワーが足りねぇな……」

それにしても、敵の姿が見えなかったが……妄想癖とか言い出すんじゃないだろうな……

「敵の姿が見えなかったんだが、敵というのはどこにいたんだ?」
「クソッ……俺にも訳が分かんねぇ……あれが見えねぇのか?」

家屋が抉れて、倒壊している物まである。
これは……スタンド攻撃だな。

「あぁ、敵はいたようだな。それにしても、この破壊力がある上に姿まで消せるとなると……二度と会いたくないな。」
「クソッ!クソッ!俺の『ホワイト・アルバム』が……『ジェントリー・ウィープス』が簡単に……クソッ!」

きっと彼の纏っていたスタンドらしき物の事だろう。
よほど自分のスタンドに自信があったらしいな。

「……過ぎてしまった事は仕方がないさ。ところで、君に一つ質問をさせてくれないか?」
「……なんだ?」
「率直に聞く。君はどちら側の人間だ?『バトル・ロワイアル』を利用する側か?それとも、破壊する側か?」

さぁ、どう出る?
返答次第では、俺の『スケアリー・モンスターズ』で君を切り刻む事になる。

「……どっち側でもねぇ。ジョルノ・ジョバァーナ、あの見せしめの金髪の男、あいつが所属していた『護衛チーム』を全滅させて『ボス』を殺すのが俺の仕事だ。それ以外には興味ねぇ。けどよぉ……」

自分の世界に入ってしまっているせいで分かりづらいな。
つまり、そいつらを殺したいし、殺すのが職業でもある、というわけか。

「俺も捜している人間がいるんだ。他でもない、『バトル・ロワイアル』を引き起こしている張本人だ。そいつさえ見つければ、俺は元の世界に帰れると信じている。」
「……それがどうしたっつーんだよ。」
「一人じゃあ到底無理だ。だから俺は仲間を集めてる。……一緒に闘ってほしいんだ。もちろん、ただでとは言わない。さっき言っていた『護衛チーム』やら『ボス』やらを殺すのを手伝ってやる。」
「……俺には無理だ。あんな参加者一人にも勝てないなんてよぉ、『暗殺チーム』の奴らも笑っちまうよなぁ。『護衛チーム』にも『ボス』にも勝てっこねぇ……」

完璧にトラウマになっているな……何か良い手は……



「けどよぉ、もう退くことなんてできねぇんだよ……もう、俺とメローネ、それにリーダーしか残っちゃいねぇんだ……死んでいった六人のためにしてやれることはもう……勝つこと……殺すことしかねぇんだよぉッ!」

トラウマにはなっているが、『覚悟』はあるらしいな。

「もう一度だけ頼みたい。俺と一緒に闘ってくれ。」
「……仕方ねぇな。せいぜい利用してやるよ。」
「ハハッ、勘弁してくれよ。」

やっと一人。
『利用してやる』?
笑わせるんじゃあない。
せいぜい利用させてもらうぜ。

「俺は『Dio』だ。君の名前は?」
ギアッチョだ。」
「ギアッチョ、よろしく。」
「あぁ、よろしくな。」

俺は『基本世界』に必ず帰る。
そのためなら、何だってやってやる。

  ★

「あいつッ!自分を『DIO』だとッ!『DIO』様の名を利用した罪は大きいぞッ!許さんッ!」

だが、今は泳がせてやる。
この罪は簡単に殺したのでは償えない。
希望ごと消し去る。
あいつに屈辱と絶望と死を。

「絶頂に達する瞬間に暗黒空間にブチまけてやるッ!」

  ★





【G-4・フィラデルフィア路地・1日目 深夜】



ヴァニラ・アイス
[スタンド]:『クリーム』
[時間軸]:???
[状態]:???
[装備]:???
[道具]:???
[思考・状況]
基本的思考:DIO様……
1:DIO様を捜す
2:あの小僧、自分を『DIO』と呼んでいるだとッ!思い上がりにも程があるッ!許さんッ!



【ギアッチョ】
[スタンド]:『ホワイト・アルバム』
[時間軸]:ヴェネツィアに向かっている途中
[状態]:健康 見えない敵へのトラウマ
[装備]:なし
[道具]:基本支給品一式、ランダム支給品1?2(未確認)
[思考・状況]
基本的思考:護衛チーム及びボスの殺害
1:何なんだよあの敵はよぉ……
2:Dioは信用してもいいかも……



【ディエゴ・ブランドー】
[スタンド]:『スケアリー・モンスターズ』
[時間軸]:大統領を追って線路に落ち真っ二つになった後
[状態]:健康
[装備]:なし
[道具]:基本支給品一式、ランダム支給品1?2(未確認)
[思考・状況]
基本的思考:『基本世界』に帰る
1:仲間を増やす
2:あの見えない敵には会いたくないな
3:ギアッチョ……せいぜい利用させてもらう……

[備考]
ギアッチョとディエゴ・ブランドーは『護衛チーム』、『暗殺チーム』、『ボス』、ジョニィ・ジョースター、ジャイロ・ツェペリ、ホット・パンツについて、知っている情報を共有しました。
フィラデルフィア市街地は所々破壊されています。






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前話 登場キャラクター 次話
GAME START ヴァニラ・アイス 057:もしDIOがこの『バトル・ロワイアル』に参加していたら
GAME START ギアッチョ 044:killing me softly
GAME START ディエゴ・ブランドー 044:killing me softly

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最終更新:2012年07月19日 21:40