長い戦いがあった―――――
言葉にしてみればほんの1週間ほどの短い期間だったが、その間には色々な事があった。
それは、私自身が過去との因縁を断ち切るための戦い―――
私の父、邪悪の根源
ディアボロとの―――
初めは、何故私がこんな奴らと一緒にいなければいけないのだと……
どうして無関係の私が巻き込まれないといけないんだと……
そう思っていた。
彼らになめられたくなかった私は、必死に強がった自分を見せていた。
精一杯わがままを言って、わざと彼らを困らせていた。
でも本当は、巻き込まれたのは『彼ら』の方―――
アバッキオに、ナランチャ――――
そして、ブチャラティ――――
彼らは殺されてしまった。
『君のせいじゃあない』 『自分が信じられる道を歩いただけだ』
きっと彼らは、そう言うだろう。
でも、私に関わらなければ、死んでしまうことは無かったこともまた、事実だ。
赤の他人でしかない私のことなんて、見捨ててしまってもよかったのだ。
以前、ジョルノは私に言った。
――― 去ってしまった者たちから受け継いだものは、さらに『先』へ進めなくてはならない ―――
彼らは、私のために犠牲となった。
私は、彼らの代わりに生き延びた。
だから私は、ここで挫けるわけにはいかない。
彼らの分も生きて、生き抜かねばならないのだ。
『トリッシュちゃ―――んッ!! そろそろ出番よ―――ッ!!』
あれから半年。
そう、今日から私は、新たな一歩を歩きだす。
私は今日、ミラノで開かれるライブイベントで、初めてソロで歌わせてもらう事になったのだ。
といっても、デビューして間もない私。CDだって、まだたったの一枚しか出していない。
今日だって小さなステージの前座でしかないのだけれど、でも、確実に前には進んでいる。
道は繋がっているはずなのだ。
いつか、トップシンガーに登りつめる、その未来へと―――
「はいッ! 今行きますッ!!」
そうだ。この仕事が終われば、少し暇ができる。
久しぶりにミスタやジョルノたちと連絡を取ってみよう。
ときどきメールはしているけれど、直接会うのはブチャラティたちの葬式以来ね。
あれからお互い色々あったけれど、かけがえのない大切な友達であることには変わらないから―――
『会場の皆様方、お待たせいたしましたァァァ―――ッ!!!
期待の新人、弱冠16歳の美少女シンガー、トリッシュ・ウナァァァァァァァ!!!!』
真っ暗なステージの幕が上がる。
たくさんのお客さんの歓声が聞こえてきた。
綺麗なステージ衣装に身を包んだ私、トリッシュ・ウナの姿が今、会場のスポットライトに照らされる――――――――
――――はずだった。
☆ ☆ ☆
『『『『族長(オサ)!! 族長(オサ)!! 族長(オサ)!!』』』』
な―――何ッ!? ―――これはッ―――!?
『『『『族長(オサ)!! 族長(オサ)!! 族長(オサ)!!』』』』
何が起こったのッ!? ここは一体―――ッ!!?
『『『『族長(オサ)!! 族長(オサ)!! 族長(オサ)!!』』』』
辺りに広がる異様な風景。
月明かりで照らされた、屋外の大空間。
たった一人の暗闇の中で程よい緊張感のあったステージは、一瞬にして見渡す限りの人の群れに変わってしまった。
ざっと見積もっても50人?100人?いや、それ以上かもしれない。
平静を装っている者、本当に無感動に澄ましている者、辺りを警戒している者、おどおどしている者など様々だ。
そして全員に共通している事は、自分の置かれている状況が理解できていないという事だった。
無論、私も同様だ。
何が起こったのかわからない。
頭がどうにかなりそうだ。
しかし、『時をすっ飛ばす』だとか『鎮魂歌(レクイエム)』だとか、そんなチャチなものじゃあ断じてない、もっと恐ろしい何かを味わったことだけは理解していた。
『『『『族長(オサ)!! 族長(オサ)!! 族長(オサ)!!』』』』
そして私たちの群衆を巨大な円形の客席が取り囲み、さらに大勢の有象無象のギャラリーが物凄い喧騒を生み出している。
彼らはさながらプロレスの観客、私たちはまるでサーカスの道化師だ。
そう、私はこの場所を知っている!
いや、この石造りの地面と壁の闘技場を知っている。
ここはローマの有名な観光地コロッセオ。
紀元前の古代ローマを象徴する巨大な円形闘技場である。
半年前の戦いの、そして私の命の恩人である
ナランチャ・ギルガ、
ブローノ・ブチャラティの終焉の地。
もう二度と来ることは無いと思っていたこの場所に、何故私がいるのか!?
これから、何が起こるというのだろうか!?
「チッ! 何だッてんだぁコラァ!! コロッセオだとっ!? いったい何が起こっ――」
ふと前を向くと、すぐ近くで辺りを探っているスーツを着た長身の男と目が合った。
私の顔を見るなり男は目の色を変え、こちらへ歩み寄ってくる―――
この気配、一目でわかった。 こいつは敵だッ!!
「てめえはボスの娘ッ!! トリッシュ・ウナァァァ!!!」
「くッ!『スパイス・ガ』――――――」
「遅いッ!!『グレイトフル・デッド』ォォォォ!!!!」
男がスタンドの拳を繰り出す。
そのスピード、そのパワー。熟練されたスタンド使いの繰り出す圧倒的な力。
半年ぶりにスタンドを繰り出した私には、止めることなど到底できなかった。
私は有無を言わさず組み伏せられ、あっという間にスタンドを無力化させられてしまう。
なんなのよ一体! ボスの娘ですって?
ディアボロの因縁はまだ続いているとでもいうのッ!?
「オイコラァ! 今の声はまさか
プロシュートかァッ!?」
「プロシュート! 貴様生きていたのか!? そして…『トリッシュ』だと!?」
人ごみをかき分けて、別の二人の男が現れる。
「オウ、リゾット! それに
ギアッチョじゃあねえか!? なんでこんな所にいやがる!?
何だかわからんが、ボスの娘を捕まえたぜッ!! しかもやはりスタンド使いだったようだ!」
プロシュート、リゾット、ギアッチョ―――
そんな馬鹿な……こいつらは死んだはず………
初めに私の命を狙っていた暗殺チームのメンバー達だ。
直接会ったことは無かったが、ジョルノ達から名前を聞いたことがある。
一体どういう事なの?
私の想像もつかない何かが、今ここで起こっている……
「それにしても、この状況は何だッてんだァ!? ネアポリス駅でブチャラティを追って列車に乗り込んだと思ったらいきなりコロッセオだぜェ!? 俺には一体何が何だか―――」
『オオォォォォォォォォォォオオオオオ―――――――――ンン!!!!!!!!!!!』
プロシュートの言葉は、謎の怒声によって遮られた。
いや、このコロッセオにいる他の群衆たちも水を打ったように静まり返った。
怒声の発生源は全員の前方、コロッセオ内部の一角に何故か聳え立つ古代遺跡の儀式の祭壇のような高台――
その頂上に君臨する、不気味な仮面をかぶった大男だった。
『静まったかァァァ皆の衆!!! 我は太陽の民『アステカの族長(オサ)』!!!!
全世界に君臨する真の支配者である!!!!!!!!!』
『『『『族長(オサ)!! 族長(オサ)!! 族長(オサ)!!』』』』
再び湧き上がるギャラリーの歓声。
しかし私たち百余名は現状の自体が把握できず、未だ固唾を飲んでいる。
さっきまで私に牙を剥けていたプロシュートですら、私の手首をつかんだまま大男に注目していた。
リゾット、ギアッチョも同様である。
『血は生命(いのち)なりッ!! 我は汝らの生命(いのち)を欲している!!!
汝ら! 我が生命(いのち)となれ!!! すなわちィ!! 汝らは殺し合いを行うのだァ!!!!!!!』
『『『『族長(オサ)!! 族長(オサ)!! 族長(オサ)!!』』』』
そして今度は私たち群衆の中にもどよめきが起こった。
プロシュートも私のことなど頭から消えたように他の仲間たちと話を始めるが、何を話しているのか私の頭に入ってこない。
アステカの『オサ』? 我が生命(いのち)? 殺し合い?
理解が追いつかない。
頭がついていかない。
なぜ私はこんなところにいるの?
一体、私の身に何が起こっているっていうのよ―――
『ウオォォォォォォォォォォオオオオオ―――――――――ンン!!!!!!!!!!!』
大男の怒声に、再び静まりかえる私たち。
再び高台へ目を向けると、さっきまでは居なかった小柄な男が、大男のすぐ手前に立っていた。
大男の三分の一もない体格に、ネクタイ姿。
『オサ』とのあまりのギャップの大きさが異様だったが、さらに不気味なのはその手に持たれている成人男性のような人影。
生きているのか死んでいるのかもわからないが、力なく引きずられ項垂れていた。
小柄な男はマイクを持ち、まるで選挙演説を行うかのように落ち着いた声で語り始めた。
『えーみなさん、私がこの殺し合いゲーム『バトル・ロワイアル』のルール説明と司会進行を担当します所長のロッコバロッコです。
そしてェェェェェ――― 私の隣にいる彼はぁー ちゃんと生きてますよー
エニグマを担当してくれる『
宮本輝之輔』くんです』
『よろしくぅ―――っ』
『みなさんにはこれから、最後の一人の生き残りが誕生するまで殺し合いをしてもらいまーす。
輝之輔くん、これから殺し合いをしてくれるみなさんへこのゲームの『ルール』を説明してください』
『はい』
ロッコバロッコという男は、テルノスケという東洋人を人形のように操り腹話術で会話をしていた。
胸糞悪くなる野郎だが、これから奴らの目論見である殺し合いのルール説明が始まるようだった。
もう既に『所長』だとか(なんのだよ?)『エニグマ』って言葉の意味だとかがわからないんだけど、とにかく今は集中して聞くしかないようだ。
『まずみなさんはここへ来た時と同じ方法でワープしてもらい、会場内のあらゆる所に無作為で移動してもらいまーす。
そこがみなさんのスタート地点、どこへ飛ばされるのかは運次第でーす。お友達の近くになれるといいですねー』
『各スタート地点にはバックパックが用意してありますが、それはみなさんに私たちから支給される荷物でーす。中には食料、飲料水、会場の地図に磁石、みなさんの名簿にノートと鉛筆、そしてランダムで素敵なアイテムが入ってまーす。
アイテムは僕の『能力』で『紙』に変えて1つから3つ入ってまーす。紙を開くと中身が出て来ますよー。
それは武器だったり日用雑貨だったり、もしかしたらみなさんに縁のあるものもあるかもしれませんよー。これも運次第ですねー。いいアイテムが当たるといいですねー』
『ゲームは夜の0時から始まって、気候はだいたい温帯地域の春分の日と同じ環境になってます。日の出はだいたい6時ごろ、日の入りはだいたい18時ごろですねー。
ここで一部の人には朗報でーす。この世界の太陽は作りモノなのでぇー、この光が皆さんの命を奪うようなことは絶対にありえませェーん!!!
お、何人か反応した方がいるようです。よかったですねー。意味がわからなかった人は自分で考えて見てくださーい』
『はい、そーですねェ―――――っ ありがとう輝之輔くん。ここまでで何か質問のある人はいますか?』
ロッコバロッコが話を止め、こちらに話を振ってくる。
一瞬の静寂の後、
「はい!」
私の10メートルばかり前方の群衆の中、一人の男の手が高らかに掲げられた。
後姿でもわかる、特徴的な金色の髪。強い意志を秘めた、私もよく知る声……
間違いない、
ジョルノ・ジョバァーナだ。
「ジョ――」
声をかけようとした私の口をプロシュートが塞ぐ。
ジョルノに自分の存在を悟られないためだろうか。
リゾットは手振りだけでそのまま抑え込むようプロシュートに指示し、ジョルノを睨みつけている。
ロッコバロッコを注視しているジョルノに、私の存在を伝えることはできなかった。
そしてロッコバロッコは、挙手したジョルノを華麗に無視する。
『はい輝之輔くん! なんですか?』
『でも所長! 殺し合いって言ったって、どこか一か所に隠れて動かなかったら安全なんじゃないですかぁー?』
『それはそーだよ輝之輔くん。こういう時はどこかに引き籠って人と会わない方が安全ですよねェー。だからそういう人への対策も考えていますよォー』
『会場全体をいくつかのブロックに分けて、そこに禁止エリアを設けていきます。
禁止エリアは時間がたつにつれ少しずつ増えていき、禁止エリアの中に1分以上とどまるとォ――― 我らが族長(オサ)の超能力で木っ端みじんになっちゃいまーす。
それからァ―― 24時間以上1人も死ぬ人がいなかったら、みんな一気に木っ端みじんですよォ――!!
だからみなさんは殺し合いをする以外に道はありませーん! 逃げることはできませんよー。
嘘だと思うのなら試しにやってみてください。きっと後悔することになりますけどねー』
『禁止エリアは6時間おきに放送で告知されます。この時同時にその6時間以内に死んでしまった人の名前も発表しますので、絶対に聞き逃さないようにしてくださーい!
ゲームスタートが真夜中0時ですから、最初の放送は朝の6時ですねー。放送担当は私じゃないですよー。誰の声が聞こえてくるかはお楽しみですねー』
『そーそー、大事な特別ルールを言い忘れるところでした。君たちは今、全部で×××人いるわけですけどォー
6時間に1回の放送に合わせて、☆人ずつお友達を追加していきまーす!!!!! 誰が参加するのかは放送のときに名前だけ皆さんにお伝えしまーす。
途中から参加する人が優勝することもありえますからねー。みなさんも負けないようにがんばってくださーい!』
『えーそれでは、私からの説明は以上で……』
『オォオオオオオオ―――――――ン!!!!! 説明は終わりだァァ――――!!!』
突如、沈黙を守っていた『オサ』が動き出し、説明を終えたばかりのロッコバロッコの頭を鷲掴みにし――――――私たちの上空へ放り投げた。
『ムウウウウウウウゥゥゥゥゥゥゥゥゥンン!!!!!!!』
ドッギャァ――――――――――――z_____________ン
そして『オサ』の念じるがままに、ロッコバロッコの身体は空中で四散した。
『『『『族長(オサ)!! 族長(オサ)!! 族長(オサ)!!』』』』
「きゃあああああああああああ!!!!」
「おえェ~~~~~~~!!!!!」
湧き上がるギャラリーの歓声。
私は飛び散るロッコバロッコの肉片を浴びて、悲鳴を上げてしまう。
すぐ近くでは長い黒髪の少年も嘔吐し口を押さえていた。
この地獄のような光景に怒りを感じている者、絶望し怯えている者……
そして、既にやる気になっている者もいるようだった。
『これが我が『究極の力』だッ!!! 我は真の支配者なりッ!!!
我は早く汝たちの血が見たいのだッ!!! 汝たちの生命(いのち)が見たいのだッ!!!
この『バトル・ロワイアル』を制した者には我と同等の『究極の力』を与えるッ!!
そして我と共にこの全世界の神となるのだァァァ!!!!!!』
「言いてえ事はそれで全部かァ!? デクノボウよォォ!!!」
その時、『オサ』の叫び声に負けず劣らずの大声が聞こえてきた。
…私の体感では。
それもそうだ、今の大声は私のすぐ隣にいるプロシュート、この男から発せられたものだった。
「『究極の力』だァ? 『真の支配者』だァ!!? 挙句の果てには『神になる』だとォ!!?
そんな鼻水垂らした糞餓鬼みてえな『弱い言葉』を口にするのは『ママッ子(マンモーニ)』だけで十分だぜッ!!!
俺たちが野望を掲げたその時には! すでに野望を成し遂げているんだからなァッ!!!」
『何ィ!! 汝! 我を愚弄するかッ!!? 我に逆らうと言うのだなァ!!?』
「『逆らう』? いーや…… 殺し合いには乗ってやるぜ――― 『今この場で』なァァ―――!!!!」
プロシュートがスタンドを繰り出した。
「貴様のスタンドは恐らく『念動力』!!! 破壊力を求めたその能力はこの距離では届かねえッ!!!
だが俺のスタンドはコロッセオの一つや二つじゃあお釣りが来る射程距離なんだぜェ!!!
どいつもこいつも皆殺しだッ!!! 貴様を含めて全員なァァァ!!!」
会場内にどよめきが走る。
全員がプロシュートに注目する中、彼のスタンドが煙を噴きだした。
「ギアッチョ! お前の『ホワイトアルバム』で俺たちの足元を冷やせ!!! リゾットと娘は死なすんじゃあねえぞッ!!
そしてフルパワーだッ!!!! 喰らえ!!『グレイトフル・デ』……!!!」
しかし、突如プロシュートのスタンドは煙の噴出を止めた。
パワーの弱ったスタンドが苦しみ始め、それと同じようにプロシュート本体も喉を押さえ、もがいている。
「な…んだと……!? バ…… カなッ……!!?」
『汝らはまだわかっていないようだなァ!!! このゲームの最後のルールを教えてやろうッ!!!
それは我が『絶対』であることだァァ!!! この殺し合いを止めることはできぬゥ!!!
汝らには我の掌の上で血の雨を降らし続ける以外の道は無いのだァァ!!!』
そしてプロシュートの身体が重力に逆らってふわふわと浮かんでいく。
呼吸を止められたのか、喉を押さえたプロシュートが空中で呻き声をあげる。
「この…パワー…… 化け物……か………!?」
『見るがいい!! これが我に逆らった愚かな羊の末路なのだァ!!!』
「プロシュートォォォォ!!!!」
ドッギャァ――――――――――――z_____________ン
絶望……
あのプロシュートを、もがき苦しむ羽虫を踏み躙るかのように、あっさりと……
こんな化け物どうしようもない。
リゾットとギアッチョが何かを言い合っている。
その他の周りの人たちもみな、それぞれ何か騒いでいるようだった。
でも、私の耳には何も入ってこない。
どうしてこんなことになってしまったのだろうか。
いや、今度こそ間違いない。
私は『無関係な戦い』に巻き込まれてしまったのだ。
「ヴオオオオオオオオ!!!! よ゛グも゛兄゛貴゛を゛ォォォォォォォォ!!!!!!!」
「いかんッ!!
ペッシ君!!行ってはならんッ!!!」
はるか前方、この群衆の最前列で説明を聞いていたのだろうか。
涙を流して遺跡の階段を駆け上がっていく、釣竿を持った青年。
そして、彼の暴挙を止めようと、英国紳士風の初老の男性が追いかけ祭壇へと登っていく。
「やめろォ!!! ペッシィィィィィ!!!!!!」
「父さぁぁぁぁぁぁん!!!!! 駄目だあぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!」
後ろでリゾットが大声で叫んだ。
どこかで誰か別の叫び声も聞こえた。
「『ビーチ・ボォォォォ―――イ』ッ!!!!!!!!!」
でも、もう遅い。
もう、間に合わない。
『ヌゥゥ!? 愚か者めェ!! まだ分からんかァァァァ!!!! 我に逆らうものは死ねぇぇい!!!!』
ボボンッ!
一瞬で距離をつめた『オサ』が右腕を振り下ろた。
汚い花火のような虚しい音と共に、青年の上半身は吹き飛ばされ、紳士風の男性の頭部は握り潰されてしまった。
「父さぁぁぁぁぁぁぁぁん!!!!!!!!!!」
『『『『族長(オサ)!! 族長(オサ)!! 族長(オサ)!!』』』』
『『『『族長(オサ)!! 族長(オサ)!! 族長(オサ)!!』』』』
『『『『族長(オサ)!! 族長(オサ)!! 族長(オサ)!!』』』』
『『『『族長(オサ)!! 族長(オサ)!! 族長(オサ)!!』』』』
『『『『族長(オサ)!! 族長(オサ)!! 族長(オサ)!!』』』』
『フハハハハハハハハハハハハ!!!!!! 前置きはお終いだァァァァ!!! さあ行けェ!!!!
汝らの血と生命(いのち)!!! 我に見せてみよォォォォォォォ!!!!!!!!!
『バトル・ロワイアル』!!!! ?開幕ゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥ!!!!!!!!!!!!!!』
そして、私の視界は闇に包まれた。
私の名前は『
トリッシュ・ウナ』。
これから私がどうなってしまうのかは誰にもわからない。
ひとつだけ言えることは、自分がトップシンガーに登りつめる未来なんて永遠にやってこないだろうという実感があるだけだ。
【プロシュート 死亡】
【ペッシ 死亡】
【ジョージ・ジョースター1世 死亡】
【残り×××-3人】
JOJO’S BIZARRE BATTLE ROYALE 3rd
No.001 OP 世界の中心で狂気を叫んだケモノ
【司会進行ロッコバロッコ 死亡】
【放送担当 不明】
【エニグマ担当宮本輝之輔 死んではいないが自我があるかは不明】
【主催者アステカの族長(オサ) 本名・能力・目的・正体すべてが謎】
【観客アステカの民たち 数千人?】
※主催者『アステカの族長(オサ)』は吸血鬼はおろか柱の男やスタンド使いを超えた謎の能力を秘めているようです。
原作ジョジョ第1巻に登場した『族長(オサ)』とは似て非なるオリジナルキャラクターだと解釈してください。
※ロッコバロッコがなぜ『族長(オサ)』に従っていたのか? それは謎である。
最終更新:2012年03月07日 16:01