W.O.D-WRITE OR DIE!-

LEVEL 1

1-1 決闘中?
【銃声が聴こえてきたので念写してみたら写ったわ】
【二人の男が拳銃を構えて厳つい目付きでガン飛ばし合ってるわね】
【今時珍しいわねー、ストイックで古臭い決闘って感じで】

1-2 異人の殺害現場
【今度は現場に赴いて撮影 今まさに天狗は見た!殺し合いという現実を!】
【殺人事件勃発!念写した時に映し出された男の片方が射殺死体として発見されたわ】
【決闘とはかくもシビアなものね はてさて、もうおっ始まってるとなると私も取材頑張らなくっちゃなぁ】


◆◆◆◆◆◆


パシャリ。

パシャリ。



うっすらと瘴気に包まれ、月光が木々の間から射す魔法の森の内部。
幾度かのフラッシュと共に静かに響く撮影音。
そう、参加者が写真撮影を行っているのだ。
古めかしいカメラを携えながら、被写体へと真っ直ぐ向けている
深夜の仄暗い森の中、動物一匹存在しないはずの森の中で何を撮影しているのか?
それは―――


「『現場の写真』、撮影完了っ」


被写体は、人間の死体。
傍にはデイパック、小柄な拳銃が転がっている。
デイパックの中身は回収されており、撮影直後に少女は小柄な拳銃も回収していた。
少女の足下で転がる死体の左胸、左肩、右腕の三か所に銃創が出来ているのが解る。
死因は『射殺』で間違いない。心臓を銃弾で撃ち抜かれたのだろう。
この死体の身元が「グイード・ミスタ」というスタンド使いのギャングであることを少女は知らない。

茶髪のツインテールの少女は、カメラを携えながらその死体を見下ろしていた。
彼女が手を下したと言うわけではない。あくまで発見した死体を『撮影』しただけ。
少女は鼻歌を歌いながら機嫌良く撮影を終える。
撮影に使っていたカメラは紐で首にかけたままだ。
『新聞記者』にとってカメラは命。これが無ければ記事を書くどころか取材も出来ない。
故にカメラは常に携えたまま。新聞記者である彼女からすれば当然のこと。



「さてさて…今回のネタは、とんでもないスクープになりそうね…!」


彼女の名は「姫海棠はたて」。
新聞『花果子念報』を発行する、鴉天狗の新聞記者。
同業者であり、同じく鴉天狗である射命丸文をライバル視する少女。
とはいえ、はたての新聞は文からも「弱小新聞」と称される程度のもの。
彼女は能力である「念写」を利用することによって現場に赴かずして写真を撮影することが可能だ。
しかし念写に必要なものは「キーワード」。彼女自身にとって全く未知の出来事を撮影することは出来ない。
つまるところ、彼女の認識のうちに存在するものしか撮影できないのだ。
故に彼女の記事はどこかで聞いたことのあるようなネタしか扱わない、新鮮味の欠ける新聞となってしまっているのだ。

はたては、ライバルである文を調査することでようやく「自らの足で現場に赴き、取材すること」の重要性を知ったばかり。
彼女は改めて記者としてスタートを切り始めていたのだ。
そんな矢先に、この殺し合いのゲームに巻き込まれてしまった。

だが、彼女にとってそれは決して不幸なことではない。
はたてはこの殺し合いを「大スクープ」と捉えたからだ。

たった二人の首謀者が巻き起こした最悪の異変。
総勢90名もの参加者を集めたルール無用の殺し合い。

―――最高に刺激的なネタになること間違いなし!

殺し合いに巻き込まれたことはむしろ幸運だ。この殺し合いを自分の目で目撃し、取材することが出来るんだから。
開始直後、はたては魔法の森の内部をうろうろと彷徨っていた。
暫く歩き続けていた時、どこからか乾いた銃声が聞こえてきたのだ。
それはこちらへ仕掛けられた襲撃ではない。もっと離れた方向から聞こえる音だった。そう、恐らく遠くで参加者同士が交戦している。

はたてはその時咄嗟に能力である『念写』を行い、付近にいる「人物」をイメージして撮影したのだ。

念写した写真を見た所、「二人の男が銃を構えて物々しく対峙している様子」が映し出されていた。
彼女はすぐさまスクープの予感を感じ取り、銃声が聞こえた方向へと駆け付けたのだ。
そうしてみると…死体を発見できた。先程念写で撮影出来た男二人のうちの片方だ。
生憎もう一人の男は見つけ出せなかったが、まぁ今は良いとしよう。
肝心なのは、殺し合いは既に始まっているということ。彼女は早速事件を掴めたのだ。
この殺し合いがドッキリなんかじゃなく、本物だと言うことがすぐに証明出来た。
最高のネタは、決してデタラメなんかじゃなかったのだ。



ならばやることは一つ。このゲームを徹底的に『取材』する!
そして文の奴の「文々。新聞」を出し抜く程の記事を書く!

人間や妖怪の生き様を。凄惨な争いを。殺し合いの有りのままの真実を。
この目と記憶に焼き付け、このカメラに収め、「花果子念報」の記事にするのだ。
衝撃的な写真も含めた最高にスパイシーなネタ。そしてこの私の推敲を重ねた詳細な記事。まさに完璧な組み合わせだ。
それだけではなく、自ら参加者を煽ってゲームを加速させるのも面白いかもしれない。
虚偽を交えた情報を流したり、殺し合いを促したりして更なる争いを生み出す。
そうすれば記事に使えるネタがどんどん生まれていくことになる。
派手な祭りこそが人の目を惹き付ける。事件は盛大になる方が良い。当然のことよ。
あいつから学んだことだけど、時にはこーゆう強引さも必要なのだ。

勿論、死なないように立ち回ることも大切だけどね。
それに―――

(…あんたの新聞記事と勝負がしたいんだからね、私は。)

脳裏に思い浮かべるのは、自身の記者としてのライバルである「射命丸文」の姿。
はたては彼女の取材に影響され、自らの足で現場に赴くようになった。
ある意味、彼女に取材の何たるかを教えて貰ったようなものでもある。
それに、ライバルとはいえ―――決して嫌っているわけではない。
あいつの記事には不思議な魅力があることも認めている。そんなあいつの記事に勝ちたいと私は確かに思っていたのだ。

(死んだら承知しないわよ、文)

だからこそ、私はあいつに死んでほしいとは思わない。
私は文の記事と勝負したいのだから。同業者と競い合ってこその新聞記者。
死んだら、許さないんだから。
ただ、あいつは強いことは解っている。そう簡単に死ぬタマでもないことも。
故に彼女を捜すようなことはするつもりはなかった。
あいつなら一人でも生き残れるし、ひょっとしたら上手く立ち回ってちゃっかり会場からの脱出手段を見つけてたりするかもしれない。
…まぁ、それは流石に買い被り過ぎかもしれないけど。
とにかく、そう易々と死なないであろう文を捜すつもりは今の所無かった。今は取材を優先だ!



彼女の瞳は、期待と自信に満ちていた。
これから世紀の特ダネを取材出来ると思うと、胸の高鳴りが抑えられなかった。
私はこの最高のネタで徹底的に記事を書いてやる。おちおち死ぬつもりなんて無い。


―――記事を書かずに、死ねるか!


「さあ、姫海棠はたてによる『ゲームの徹底取材』! 始めましょうかっ!」


新聞記者は意気揚々とその場から駆け出す。
彼女は記事の為に殺し合いを促すことでさえ躊躇いを持たなかった。
とにかく目標は「特ダネを掴むこと」、そして「生きて文以上の新聞を書くこと」。
久方ぶりに記者魂を燃やす彼女の行く末は、どうなることか。



【B-4 魔法の森/深夜】

【姫海棠はたて@ダブルスポイラー】
[状態]:健康
[装備]:姫海棠はたてのカメラ@ダブルスポイラー、ダブルデリンジャー(2/2)@現実
[道具]:花果子念報@ダブルスポイラー、予備弾薬(7発)、基本支給品×2
[思考・状況]
基本行動方針:『ゲーム』を徹底取材し、文々。新聞を出し抜く程の新聞記事を執筆する。
1:記事のネタを掴むべく奔走する。
2:使えそうな参加者は扇動。それで争いが起これば美味しいネタになる。
3:死なないように上手く立ち回る。生き残れなきゃ記事書けない。
4:文の奴には死んでほしくない。でも、あいつは強いからきっと大丈夫。
[備考]
※参戦時期はダブルスポイラー以降です。
※念写は可能ですが、どの程度制限がかかっているかは不明です。
※ミスタの基本支給品及びランダムアイテム「花果子念報@ダブルスポイラー」「ダブルデリンジャー@現実」を回収しました。
※彼女がどこへ向かうかは未定です。


<姫海棠はたてのカメラ@ダブルスポイラー>
姫海棠はたてに支給。
鴉天狗のブン屋である姫海棠はたてが取材に用いるカメラ。
撮影した範囲の弾幕を消滅させることが可能。


019:客星の煌めく夜 投下順 021:水妖
019:客星の煌めく夜 時系列順 021:水妖
遊戯開始 姫海棠はたて 039:最低のファースト・コンタクト
最終更新:2013年10月10日 20:31