いも(妹)

辞書 品詞 解説 例文 漢字
日本国語大辞典 名詞 ① 男性の側から、同腹の姉妹を呼ぶ語。年齢の上下に関係なく、姉をも妹をも呼ぶ。いもこ。⇔兄(せ) ※古事記(712)上「次に成れる神の名は、宇比地邇上神(うひぢにのかみ)、次に妹(いも)須比智邇去神(すひぢにのかみ)」
② 男性から結婚の対象となる女性、または、結婚をした相手の女性をさす称。恋人。妻。⇔兄(せ) ※古事記(712)上「是に其の妹(いも)伊邪那美命を相ひ見むと欲して、黄泉国(よみのくに)に追ひ往く」
※古今(905‐914)恋一・四八五「かりごもの思ひ乱れて我恋ふといも知るらめや人し告げずは〈よみ人しらず〉」
③ 年ごろの若い娘。お嬢さん。娘さん。 ※古事記(712)中・歌謡「本辺(もとへ)は 君を思ひ出 末辺(すゑへ)は 伊毛(イモ)を思ひ出」
④ 女性が同性の友人や自分のいもうとなど親しい女性をさしていう。あなた ※万葉(8C後)四・七八二「風高く辺には吹けども妹(いも)がため袖さへ濡れて刈れる玉藻そ」
[語誌](1)「いも」という語形は、おそらく、母の「おも」、女の「め」などと関係があり、近親の女性を指したのが原義であろう。
(2)平安時代以後、「いもうと」という語の成立にともなって「いも」は歌語化した。「源氏物語」では、歌またはその引用文にしかあらわれない。「日葡辞書」でも詩歌語とされている。→いもうとおも
広辞苑 名詞 ①兄弟から見て、女のきょうだい。年上にも年下にもいう。平安時代以後、「いもうと」が多く使われ、「いも」は歌語・熟語として残る。↔ () 万葉集6「(こと)問はぬ木すら―と()ありとふをただ独り子にあるが苦しさ」
②男が女を親しんでいう語。主として妻や恋人にいう。↔ () 万葉集5「―が見し(おうち)の花は散りぬべし」
③女同士が親しんで、またたわむれにいう語。あなた 万葉集4「―がため袖さへ濡れて」(紀郎女)
大言海 名詞 (一)男ヨリ、妻ヲ始トシテ、スベテノ女ヲ親シミ呼ブ語。 雄略卽位前紀「 吾妹 (ワギモコ)」注「稱妻爲妹、盖古之俗乎」
仁賢紀、六年九月、注「古者不兄弟長幼、云云、男以女稱(イモ)
古事記、上 四十一 長歌「伊毛ノ(ミコト)」(八千矛神ノ、嫡后須勢理毘賣命ヲ呼ビタマヒシナリ)
萬葉集、一「家ナル(イモ)ヲ、懸ケテ(シヌ)ビツ」(妻)
同、十二「妹ト云ヘバ、 無禮 (ナメ)(カシコ)シ、シカスガニ、懸ケマク欲シキ、言ニアルカモ」(他ノ婦人)
(二)又、女ドチノ閒ニモ呼ブコトアリ。 萬葉集、十九ニ、大伴家持ノ女弟ノ、家持ノ妻ヘ贈レル歌ニ、妹トアリ。
(三)   ()(ウト) 神代紀、上 四十 「五十猛神、妹大屋津姬命」
古事記、上 四十二 「阿遲鉏高日子根神、次、(イモ)高比賣命」

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最終更新:2024年05月06日 21:18