せ(兄・夫)

辞書 品詞 解説 例文 漢字
日本国語大辞典 名詞 夫、兄弟、恋人などすべて男性を親しんでいう語。主として女性が用いる。せこせな。せなな。せのきみ。せろ。せうと。⇔妹(いも)
(イ) 女性が、自分の夫あるいは恋人である男性に対して用いる場合。畏敬の念を伴わない。
※万葉(8C後)二・一一五「後れ居て恋ひつつあらずは追ひ及(し)かむ道の隈廻(くまみ)に標(しめ)結へ吾が勢(セ)」
※蜻蛉(974頃)下「あはぬせをこひしとおもはば思どちへんなかがはにわれをすませよ」
夫・兄・背
(ロ) 女性が兄または弟に対して用いる場合。年齢の上下を区別しない。 ※万葉(8C後)六・一〇〇七「言問はぬ木すら妹(いも)と兄(せ)と有りと云ふをただ独り子にあるが苦しさ」
(ハ) 男性が、兄弟その他の親しい男性に対して用いる場合。歌語に特有である。 ※書紀(720)皇極三年六月・歌謡「向かつ峰(を)に 立てる制(セ)らが 柔手(にこで)こそ 我が手を取らめ」
広辞苑 名詞 ①姉妹から見て、男のきょうだい。年上にも年下にもいう。↔ (いも) 仁賢紀「古は兄弟長幼を言はず女は男を以て―と称いふ」 兄・夫・背
②女が男を親しんでいう語。主として夫や恋人にいう。↔妹。 万葉集14「信濃道は今の 墾道 (はりみち) 刈株 (かりばね)に足踏ましなむ(くつ)はけわが―」
③男同士が親しんでいう語。 万葉集17「()しきよしわ(大伴家持)が―の君(親友大伴池主)を」
大言海 名詞 ()ノ轉カ、朝鮮語ニモ、せト云フ〕
(一)古ヘ、女子ヨリ、兄、又ハ、弟、又ハ、夫、其他、スベテ、男ヲ、尊ビ親シミテ呼ブ語。いも(妹)ニ對ス。男ドチ互ニ、崇メテモ、云ヒキ。セナ
古事記、下(仁德)口日賣ガ、兄ノ口子臣ヲ「吾ガ勢ノ君ハ、淚グマシモ」
仁賢紀、六年九月、注「古者、不兄弟長幼、女以男稱()、男以女稱(イモ)
孝德紀、二年正月「紀伊兄山」注「兄、此云制」
倭名抄、八 十五 鄕里部「備中國下道郡弟翳」注「勢」(翳ハ、韻ヲ引キタルナリ)
兄・夫
(二)專ラ、 (ヲツト) 萬葉集、一長歌「此(ヲカ)ニ、菜摘マス()、云云、我レコソハ、()トハ()ラメ、家ヲモ名ヲモ」
同、同 廿五 「ナガラフル、妻吹ク風ノ、寒キ夜ニ、吾ガ勢ノ君ハ、獨リカ()ラム」
鎭火祭祝詞「吾 名妋 (ガナセノ)命」(册尊ノ、諾尊ヲ指シテ宣ヒシナリ、妋ハ、女夫ノ合字)

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最終更新:2023年06月09日 18:14