うち(打(名詞))

広辞苑
辞書 品詞 解説 例文 漢字
日本国語大辞典 名詞 (動詞「うつ(打)」の連用形の名詞化)
① 打つこと。
② 砧(きぬた)で絹を打ち、光沢を出すこと。後世は板引にかわったが、呼び名は残った。
③ 琴、三味線の演奏技法の一つ。箏曲(そうきょく)では右手の中指の琴爪で軽く弦を打つ技法。三味線では左手の指をそろえて軽く弦を打つ技法。
④ 駕籠かきの用語で、駕籠賃をいう。 ※浄瑠璃・博多小女郎波枕(1718)下「うちも聞(きい)た、駕籠換(か)よい」
⑤ 「うちちん(打賃)②」の略。 ※浮世草子・傾城禁短気(1711)三「白人への祝儀に銀五両、しかも打(うち)の出る細銀(こまがね)にて、宿へ銀子五両、下の者へ銀弐両」
⑥ 博奕(ばくち)打ちの略。遊里などの隠語。 ※随筆・麓の色(1768)三「うちは博戯打なり」
接頭辞 (動詞の上に付く) 多く実質的な意味をあらわす動詞に付くが、中古には形式動詞「す」に付いた例も見られる。また、「うち」と動詞との間に、係助詞「も」をはさむことがある。
① 下の動詞の意味を強めたり、単に語調をととのえたりする。おだやかな動作を表わす語に付いて、「すこし」「ちょっと」の意味を加える場合もある。
※古事記(712)上・歌謡「宇知(ウチ)廻(み)る 島の崎々」
※源氏(1001‐14頃)若紫「乳母はうちも臥されず」
※今昔(1120頃か)二九「身篩(みぶるひ)打して」
② 下の動詞と合して、特定の具体的な意味を表わす。現代語に多い。「うちあける」「うちあわせる」「うちきる」「うちとける」など。
接尾辞 動詞の連用形に付く。近世の俗語的表現。
① …しがち、…するのが当然の意を表わす。
※洒落本・列仙伝(1763)「はやる芝居にはありうちといひなだむる」
② …しなれていることの意を表わす。 ※浄瑠璃・蘆屋道満大内鑑(1734)三「是に限らず幾度も聞きうち」
③ …するのは勝手の意を表わす。 ※洒落本・色深猍睡夢(1826)上「娼婦(ぢょらう)のことじゃもの、お客はとりうちじゃ」
[語誌]接頭語としての「うち」は、動詞「打つ」の意味が希薄化したものであるが、一方、中国古典の「打」字の接頭語的用法が訓読され、日本語の文章に取り入れられた可能性もある。
大言海 名詞 (一)()ツコト。 一打 (ヒトウチ)、打ツ」(打語らふ、打聞く、打散る、ナドノ意ハ、打つノ條ヲ見ヨ)
(二)打殺スコト。 狂言記、武惡「御意デ()ちニ來タ、覺悟セイ」
「敵ヲうちニ出ル」

又、「うち(打(接頭))」も参照。

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最終更新:2024年05月08日 19:08