広辞苑 | ||||
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辞書 | 品詞 | 解説 | 例文 | 漢字 |
日本国語大辞典 | 自動詞 | 露や霜が生じて、ある場所を占める。また、雪などが降って地にたまる。 | ※万葉(8C後)一五・三六九九「秋されば於久(オク)露霜にあへずして都の山は色づきぬらむ」 | 置・措・擱 |
他動詞 |
[一] 事物に、ある位置を占めさせる。 ① 人や物を、ある位置・状態にすえる。位置させる。のせる。 |
※古事記(712)中・歌謡「をとめの 床の辺(べ)に わが淤岐(オキ)し つるきの太刀〈倭建命〉」 | ||
② 死者を墓の中に位置させる。葬る。 | ※書紀(720)崇峻即位前(北野本訓)「墓を作りて葬(オク)」 | |||
③ 物などを前もって用意する。 | ※書紀(720)神武即位前(熱田本訓)「殿の内に機(おし)を施(オキ)て、請饗(かみへたてまつらむとまう)すに因(よ)りて作難(まちとらむ)と欲(す)」 | |||
④ 人を、ある場所、家などに住まわせる。下宿させる。また、人を雇う。かかえる。 | ※万葉(8C後)一四・三四九〇「梓弓末は寄り寝む現在(まさか)こそ人目を多み汝(な)をはしに於家(オケ)れ」 | |||
⑤ (算木などを置くところから) (イ) 占う。 |
※万葉(8C後)一三・三三三三「夕凪(ゆふなぎ)に 楫(かぢ)の音しつつ 行きし君 いつ来まさむと 卜(うら)置(おき)て 斎(いは)ひわたるに」 | |||
(ロ) 計算する。そろばんで数える。 | ※発心集(1216頃か)二「『算おき給ひつるは何の御用ぞ』と問ひければ『年来申しあつめたる念仏の数の覚束なくて』とぞ答へられける」 | |||
⑥ 制度や施設、機関、役目などを作り設ける。設置する。また、その役目に人を任ずる。 |
※蜻蛉(974頃)中「年ごとに余ればこふる君がためうるふ月をばおくにやあるらん」 ※平家(13C前)一二「諸国に守護ををき、庄園に地頭を補せらる」 |
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⑦ (質物として置くところから) 預ける。 | ※宇津保(970‐999頃)吹上上「このせちゑにはき給ふ御はかしを質におかん」 | |||
⑧ 区別などをつける。 | ※源氏(1001‐14頃)梅枝「あながちに劣りまさりのけぢめををき給ふ」 | |||
⑨ 蒔絵(まきえ)、箔(はく)、模様などをつけほどこす。 | ※大鏡(12C前)三「かばかりの箱の漆つき、まきゑのさま、くちをかれたりしやうなどの、いとめでたかりしなり」 | |||
⑩ 対象に心をとめる。気にかける。また、信用、疑い、遠慮などの気持をいだく。 |
※書紀(720)神代下(水戸本訓)「特(おぎろ)に憐愛(めぐしとおぼすみこころ)を鍾(オキ)て以て崇養(かたてひたし)たまふ」 ※浮雲(1887‐89)〈二葉亭四迷〉二「事実から出た心持で無ければウカとは信を措(オ)き難い」 |
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⑪ めやすとなるものをすえる。抽象的な事柄を位置づける。 | ※女工哀史(1925)〈細井和喜蔵〉一六「きはめて外界の温度に支配され易いから斯う極端な差を示すのでもあらうが、兎に角大体の標準を置くことができる」 | |||
[二] 間に、はさみすえる。 ① (多く、時間に関係ある語を伴って) 時を隔てる。 |
※万葉(8C後)八・一四九一「卯の花の過ぎば惜しみかほととぎす雨間も置(おか)ずこゆ鳴き渡る」 | |||
② (数量や長さに関係のある語を伴って) ある数や長さを隔てる。 | ※平家(13C前)一一「あやまたず扇のかなめぎは一寸ばかりをいて、ひいふっとぞ射きったる」 | |||
[三] 物事をそのままの状態にしておいて、特別に扱わない。何もしない。 ① そのままにしておいて、特別にとり扱わない。特に、否定・反語・強調表現等において、「その物事を特に考慮しない」「それはそれとして考慮外のこととしておく」の意から転じて、別にする・除く・さしおくの意をもつ。 |
※万葉(8C後)五・八九二「我(あれ)を於伎(オキ)て 人はあらじと 誇ろへど」 ※学問のすゝめ(1872‐76)〈福沢諭吉〉一二「其事柄の大切なると否とは姑(しばら)く閣(お)き」 |
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② あとに残しとどめる。また、見捨てる。 | ※書紀(720)斉明四年一〇月・歌謡「うつくしき 吾(あ)が若き子を 飫岐(オキ)てか行かむ」 | |||
③ ある状態のままにしておく。 (イ) その状態のままでほうっておく。そのままにしてなにもしない。保留する。→おく(置)能わず。 |
※源氏(1001‐14頃)手習「かくてをいたらば死にはて侍りぬべし」 | |||
(ロ) (否定表現を伴って) その状態を認めて許す。 | ※浄瑠璃・心中二枚絵草紙(1706頃)上「どうでもこうでも聞かにゃおかぬ、かたらせねゃおかぬ」 | |||
④ やめにする。中止する。よす。 |
※中華若木詩抄(1520頃)上「済世の一念をば、ひらにをかしめ。この白髪ではなるまいぞ」 ※浄瑠璃・夏祭浪花鑑(1745)三「『いらぬ事じゃ、おけやい』『いやおくまいわい』」 |
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[四] 動詞の連用形、または、それに助詞「て」の付いた形に続けて補助動詞のように用いる。 ① ある状態をそのまま続ける意を表わす。前もってしておく場合にも、したままほうっておく場合にもいう。 |
※万葉(8C後)一一・二六一七「あしひきの山桜戸を開け置(おき)てわが待つ君を誰かとどむる」 | |||
② その状態を認めて許す意を表わす。 | ※滑稽本・浮世床(1813‐23)初「山王さまはおれが贔負(ひいき)だからおれが宗旨にして置(オカ)ア」 | |||
大言海 | 自動詞 |
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萬葉集、十五 廿六 「秋サレバ、於久露霜ニ、アヘズシテ、都ノ山ハ、色ヅキヌラム」 | 置 |
動詞活用表 | ||
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未然形 | おか | ず、ゆ、る、む、じ、す、しむ、まほし |
連用形 | おき | たり、き、つ、ぬ、つつ、たし、ても |
終止形 | おく | べし、らし、らむ、ましじ、まじ |
連体形 | おく | も、かも、こと、とき |
已然形 | おけ | ども |
命令形 | おけ |
又、「おく(置(他動詞))」も参照。
検索用附箋:自動詞四段
検索用附箋:他動詞四段