さ(然)

辞書 品詞 解説 例文 漢字
日本国語大辞典 副詞 ① 文脈上または心理的にすでに存する事物、事態を、実際的に指示する語。そのように。そんなに。そう ※竹取(9C末‐10C初)「いとゐておはしましがたくや侍らんと奏す。みかどなどかさあらん、猶ゐておはしまさんとて」
※源氏(1001‐14頃)桐壺「この折の後見なかめるを、添臥(そひぶし)にも、と催させ給ひければ、さ思したり」
② 文脈上または心理的に問題になっていることの、性質や程度を抽象的に指示する語。→さるべしさほど ※古今(905‐914)雑上・八七四・詞書「かめをおまへにもていでて、ともかくも言はずなりにければ、つかひのかへりきて、さなんありつると言ひければ」
[語誌](1)奈良時代には「しか」が主流で、「さ」は「さて」や「さても」のように複合した形でしかみえない。平安時代に入っても、和歌については「しか」が優勢で、物語などの散文で「さ」が発達してから和歌にも浸透し、一二世紀から一三世紀にかけて用例が激増した。それに対し、「しか」は漢文訓読文や和漢混交文に残るだけとなる。
(2)室町時代後期になると「さう」の例が見えはじめ、「さ」で表現すべきところを次第に「さう」で表現するようになる。
(3)現代では「そう」を用い、「さ」は「さよう」「さほど」などの複合語として残るのみで、単独では用いない。
広辞苑 副詞 上の言葉をうけて、その事態を指し示す語。主に平安時代以後用いられた。そう 源氏物語紅葉賀「 御修法 (みずほう)など、―とはなくて所々にせさせ給ふ」。
源氏物語末摘花「さま殊に―ならぬ打解けわざもし給ひけり」。
源氏物語夕顔「―おぼされむはいかがはせむ」
大言海 副詞 (シカ)ノ約ナリト云フ、()ニモ通ズルカ(ささやく、そそやく)〕
上ノ語ノ意ヲ受ケテ、下ニ移ス語。 (シカ)。ソノ如ク。サヤウニ。
源、四、夕顏 三十七 「さ(オボ)サレムハ、イカガセム」
同、二、帚木 三十三 「さ、カシ、例モ、忌ミタマフカタナリ」
大和物語、上「さモコソハ、峯ノ 山風 (アラシ)ハ、荒カラメ、ナビキシ枝ヲ、恨ミテゾコシ」
「さハ言ヘ」さアラバ」さモナキ」さノミ」

検索用附箋:副詞

附箋:副詞

最終更新:2024年05月10日 19:52