かれ(彼)

辞書 品詞 解説 例文 漢字
日本国語大辞典 代名詞 [一] 他称。
① 話し手、相手両者から離れた事物・場所・方角・時・人などをさし示す(遠称)。
※万葉(8C後)一八・四〇四五「沖べより満ち来る潮のいやましに吾(あ)が思(も)ふ君が御船かも加礼(カレ)」
② 話し手、相手以外の人をさし示す。明治期まで男にも女にも用いた。 ※万葉(8C後)一一・二五四五「誰そ彼(かれ)と問はば答へむすべをなみ君が使を帰しつるかも」
※信長公記(1598)一二「下女一人候つる。かれには、うつくしき小袖をとらせて」
③ 男性をさす。「彼女」とともに、西欧語の三人称男性代名詞の訳語として一般化したもの。→「かのじょ(彼女)」の語誌。 ※和英語林集成(初版)(1867)「Kare(カレ)ヲ ニクム モノガ オオイ」
④ 人以外の身近に感じられる生物や事物をさす。 ※良人の自白(1904‐06)〈木下尚江〉後「嗚呼平民社、彼も亦た日露戦争の産児なりき」
[二] 対称。相手をさしていう語。 ※宇津保(970‐999頃)俊蔭「三人の人問ひていはく『かれはなむぞの人ぞ』。俊蔭答ふ『日本国の王の使清原の俊蔭なり。ありしやうは、かうかう』といふ時に」
名詞 ((一)(一)③から転じて) 恋人である相手の男性。彼氏。
[語誌](1)三人称(他称)の代名詞として上代から存在するが用例は少なく、事物・人ともに指示した。「かれ」も含めてカの付く指示語は、コの付く指示語から分化したものといわれる。
(2)→「あれ」の語誌
広辞苑 代名詞 あれ。あのもの。古くは人をも人以外のものをもさした。人の場合、男女ともにさした。 万葉集11「たそ―と問はば答へむ」。
万葉集18「わが思ふ君が御船かも―」
②(「かのじょ」に対し特に)あの男。その男。 泉鏡花、妙の宮「士官は心(ごう)なりき。(かれ)はつかつかと寄添ひぬ」
③転じて、愛人である男性。彼氏。
大言海 代名詞 これ、(是)われ(我)ノ語原ヲ見ヨ〕
(一)身ヨリ遠キ物事ニ用ヰル代名詞。あれ。(これ、それニ對ス)
萬葉集、十八「沖邊ヨリ、滿チクル潮ノ、(序)イヤマシニ、()()フ君ガ、御船カモ加禮」
(二)他稱ノ代名詞。二人、相對シテ話シ出ス時、他ノ人ノ名ニ代ヘテ用ヰルモノ。あれ 萬葉集、十 五十 ()(カレ)ト、我レヲナ問ヒソ、長月ノ、露ニ濡レツツ、君待ツ我レヲ」

検索用附箋:名詞名称
検索用附箋:代名詞三人称指示詞

附箋:三人称 代名詞 名称 名詞 指示詞

最終更新:2024年07月14日 23:45