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日本国語大辞典 助動詞 [一] (活用は「だろ(だら)・だっ、で、に・だ・な・なら・〇」。名詞・副詞およびある種の助詞ならびに、体言に準ずる語句に付く) 断定の助動詞。事物について、時・所・内容などを断定する意を表わす。 ※人天眼目抄(1473)中「雑血の乳味とも成らぬ時だぞ」
※雑兵物語(1683頃)下「七八十挺立の関船だっけが、其船へ小舸(ばや)がくっ付てせせるを防ぐを見れば」
[二] (活用は「だろ(だら)・で・だ・〇・なら・〇」。用言および助動詞の終止連体形に付く) 断定の助動詞。用言の陳述をたすける。→だろう ※史記抄(1477)四「此様な心が本性にあるならばなにか諸侯の盟主とはならうぞ」
※浄瑠璃・心中天の網島(1720)下「町人は爰が心やすい、侍なれば其まま切腹するであろの」
[語誌]( (一)について) (1)「にてあり」から出た「である」が、「であ」を経て「だ」と変化したもの。古例は抄物などの東国系資料に多く見られ、室町期に関東で成立したと考えられる。これに対し、上方では「であ」から「じゃ(ぢゃ)」が生じた。
(2)活用は、「だ」系統(「だろ(だら)」「だっ」「で」「だ」)と、「なり」系統(「に」「な」「なら」)とからなる。このうち、「だ」系統は、古くは終止形・連体形「だ」、連用形「で」しかなかった。未然形「だろ(だら)」(「だろう(だらう)」の形で用いられる)、連用形「だっ」(「だった」「だっけ」の形で用いられる)は成立が遅れ、初めは遊侠などの特殊な世界で用いられていたが、安永期には一般に広まったと考えられる。
(3)室町期以来、方言として、仮定形「だら」、連用形「なっ」と目される例がみられる。たとえば「滑・七偏人‐三」の「そんだら祭文(せへもん)を唄たがよかんべい」など。
(4)連体形「な」は、江戸時代以降は助詞「の」「ので」「のに」に連なる用法が主となり、「こと」「もの」以外の体言には連ならなくなる。たとえば、「滑・七偏人‐三」の「此処が貴君のお家なので御座いますか」など。連体形「だ」も、体言に連なる例が近世を通じて散見するが、やはり、助詞「から」「のに」や、助詞的な「こと」「もの」「ところ」などに連なる用法に限られていく。
(5)仮定形「なら」は接続助詞「ば」をつけて用いられるが、これは文語文法の未然形の用法を受け継いだものである。「ば」を伴わないで仮定を表わすのは、室町時代にはまれであるが、江戸時代になって多くなった。「四河入海‐七」の「徐州前任守傅欽之とのの時なら坐客ていらしむ舒堯文との幸に此にわたるか」など。
(6)終止形には、文節の末に間投的につく用法がある。その際、「ね」「よ」などを伴うこともある。たとえば、「不必要〈矢野龍渓〉三一」の「其時にダ、分らず屋の少年共が、胯を潜れと言ったって、喧嘩をする馬鹿はありアしないヨ」など。(7)「だ」を使用して早くから慣用化した表現に、敬語「お…だ」がある。これは、上方語の「お…じゃ(ぢゃ)」を江戸語風に言い換えたものとされている。たとえば、「雑兵物語‐上」の「刀を一筋御ゆるしだ」など。
(8)「ことだ」の形が「こった」となることがある。
[語誌]((二)について) (1)もと、次の例のように、連体形の体言的用法を受けるものであったのが、のちに陳述を助けるものとなったと思われる。「害は殺すではない。其意見を言さまたげてそこなうそ」〔寛永刊本蒙求抄‐二〕など。
(2)仮定形「なら」については、近世以後、(一)の場合と同様、「ば」を伴わない用例が多い。「狂歌・後撰夷曲集‐一」の「さほひめのもし傾城をめさるなら与太郎月や知音ならまし」など。
(3)終止形は普通には用いられないが、近世以来、終助詞的なものとして、関東の方言に現われる。たとえば、「滑・浮世風呂‐二」の「なけ無の一ッてうらを着殺(きごろし)に着切て仕まふだ」など。
広辞苑 助動詞 ➊([活用]だろ/だっ・で・に/だ/な/なら/○)「にてある」から「である」、「であ」、「だ」と転じて室町時代に成った語で、関西の「じゃ」に対して関東で盛んとなった。断定を表す。丁寧には「です」を用いる。主に体言に接続する。活用語に付く場合には間に「の」を挟むことが多いが、未然形・仮定形ではじかに付くことも多い。「でも」「だが」「だから」「だって」「なら」等の接続詞を派生する。未然形は「う」に続く用法のみで、その「だろう」を一助動詞として別に扱う説もある。→です
①事物を断定し、または解説する。
田植草紙「鶯とゆふたる鳥は興がる鳥だ」。狂言、末広がり「去ればこそ、田舎者で、何をも存ぜぬ」。「わたしが父親だが、何か用かね」
②体言に連体形「な」の付いた形や活用語に「のだ」(音便「んだ」)の形で接続して、相手の未知のことを解説・教示し、また強く決意を表明する。 「それはこういうことなのだ」「我々はどうしても明日行くんだ」「それはおもしろいんだ。読み始めると止められないよ」
③体言の後に付けて、その状態にあることを示す。形容動詞の語尾とすることもある。 「辺りは静かだ」「親切な人」
④(終止形「だ」を間投助詞のように挿入し)自分の発言を確認しつつ述べる意を表す。強圧的な印象を聞く人に与えることもある。 「我々はだ、この際だね、言うだけのことは言う」
➋(動詞連用形撥音便「ん」・イ音便の後に使われる)助動詞「た」が連濁して成ったもの。→ 「読んだ」「死んだ」「注いだ」「漕いだ」
大言海 天爾遠波 デアル。ヂャ。ヤ。(なりノ口語)

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最終更新:2024年05月10日 20:22