広辞苑 | ||||
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辞書 | 品詞 | 解説 | 例文 | 漢字 |
日本国語大辞典 | 助動詞 |
( 活用は「たら・たり・たり・たる・たれ・たれ」(ラ変型活用)。動詞型活用の連用形に付く。接続助詞「て」に動詞「あり」の接した「てあり」の変化した語 ) 完了の助動詞。 ① 動作・状態の存続すること、または動作の結果の存続することに対する確認の気持を表わす。…ている。…ておく。 |
万葉集(8C後)一七・三九一〇「珠に貫く楝(あふち)を家に植ゑ多良(タラ)ば山霍公鳥(やまほととぎす)離(か)れず来むかも」 源氏物語(1001‐14頃)帚木「うち泣き給ふ気色、いとなまめきたり」 |
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② 動作・作用が完了したことを確認する気持を表わす。…た。 |
土左日記(935頃)承平五年一月二〇日「ここのことばつたへたるひとにいひしらせければ」 拾遺和歌集(1005‐07頃か)恋三・八二二「たたくとて宿の妻戸をあけたれば人もこずゑのくひななりけり〈よみ人しらず〉」 |
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③ 未来の事柄の実現に対する強い判断を表わす。きっと…する。必ず…するものだ。 | 今昔物語集(1120頃か)一三「彌(いよいよ)信を凝(こらし)て彼の持者を供養せば、三世の諸仏を供養せむよりは勝れたり」 | |||
④ ⇒たり〔接助〕 | ||||
⑤ ( 終助詞的用法 ) 命令、勧誘の意を表わす。 | 滑稽本・浮世床(1813‐23)初「気障な話は止たり止たり」 | |||
[語誌]( 1 )「たり」の原形は「万葉‐八九七」の「老いに弖阿留(テアル) 吾が身の上に 病(やまひ)をと 加へ弖阿礼(テアレ)ば」などの「てあり」であるが、その「て」については、接続助詞とするほか、助動詞「つ」の連用形が接続助詞に転じたもの、また「つ」の連用形そのものとする説がある。 ( 2 )中世には「き」「けり」に続く場合「たっし」「たっける」のように促音便形「たっ」が用いられた。 ( 3 )バ行マ行の動詞が「たり」を伴うとき、動詞の語尾が撥音便化またはウ音便化するとともに、「たり」が「だり」となることが多い。 ( 4 )並列を表わす「…たり…たり」は、「…ぬ…ぬ」が文語的であるのに対し、口語として長く用いられ、固定化したものは助詞として扱われる。固定するまでの例として、「平治‐中」の「ふとりせめたる大の男の、大鎧はきたり、馬は大きなり、乗りわづらふうへ」のような中止用法が、中世以後に多くみられる。→たり〔接助〕① ( 5 )命令形「たれ」は古くは用いられたが、中世以降は衰え、代わってもとの形「てあれ」が復活。連体形「たる」の「る」は鎌倉時代から脱落の傾向を生じて「た」となり、現代の口語の助動詞「た」の終止・連体形となる。 |
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大言海 | 助動詞 |
〔て、ありノ約〕 動作ノ過ギ去レル意ヲ云フ助動詞。意、つ、ぬナドニ同ジ。 |
萬葉集、二
十一
「我レハモヤ、ヤスミコ得タリ、ミナ人ノ、得ガテニストフ、ヤスミ子得多利」 同、十八 十六 「ツネ人ノ、戀フトイフヨリハ、餘リニテ、吾レハ死ヌベク、ナリニ多良ズヤ」 同、九 廿八 「雪コソハ、春ビ消ユラメ、心サヘ、消エウセ多列ヤ、コトモ通ハヌ」 「行キたり」受ケたり」見たり」 |
広辞苑は同じ見出し語の扱い。「たり(助動詞イ)」を参照。
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