しろ(代イ)

辞書 品詞 解説 例文 漢字
日本国語大辞典 名詞 ① かわりとなるもの。代用。 万葉集(8C後)八・一六四二「たな霧(ぎ)らひ雪も降らぬか梅の花咲かぬが代(しろ)に擬(そ)へてだに見む」
② かわりとして支払う、または、受けとる金銭や物品。代金。あたい。代価。代物(だいもつ)。値段。また、抵当。かた 今昔物語集(1120頃か)一六「食の䉼ならば、我が家に死たる魚多かり。其を此の蟹の代に与へむ」
③ その用となる、もとの物。もと。材料。 俳諧・飛梅千句(1679)賦何公誹諧「夫おもひ渕に住んだる魚のわけ〈西伊〉 されば譬て煩悩のしろ〈満平〉」
邪宗門(1909)〈北原白秋〉魔睡・邪宗門秘曲「あるは聞く、化粧(けはひ)の料(シロ)は毒草の花よりしぼり」
④ 田。田地。水田として開かれた湿地。→たしろなわしろ 栄花物語(1028‐92頃)根合「早乙女の山田のしろに下り立ちて急げや早苗室のはや早稲」
⑤ 田植えの前に田に水を引き、鍬、牛馬、耕耘(こううん)機などで土塊を砕きながらどろどろにすること。しろかき。
⑥ 古代、令制前における田地の面積の単位。一代は段の五〇分の一で、大化の改新の詔(六四五)・大宝令(たいほうりょう)制(七〇一)・和銅六年(七一三)の制などの七歩二分、大化・大宝の中間の制での五歩にあたる。令制下では、町・段・歩制が用いられたが、「代」の単位も残存し、中世末期まで田地目録などに見える。また、高知県など一部地域では今日も用いられている。ただし、中世では、「代」に「たい」の読みをあてていたものと思われる。日本書紀の古訓では「頃」の字に「しろ」をあてたものがある。 令集解(706)田「古記曰。慶雲三年九月十日格云。〈略〉令前租法。熟田百代。租稲三束」
[補注]①②③は、現代では語素的に用いる。
広辞苑 名詞 ①かわりのもの。代用。 播磨風土記「塩―の田」。
万葉集8「たな霧らひ雪も降らぬか梅の花咲かぬが―にそへてだに見む」
②その物の代りとして償う金銭や物品。代価。代金。 謡曲、烏帽子折「およそ烏帽子の―は定まりて候ふほどに」。
「飲み―」
③材料。 「壁―」
④何かのために取っておく部分。 「糊―」「縫―」
⑤(「茸の代」の意)菌類が菌糸などを伸ばし、地中あるいは地表で占有した特定の場所のこと。ふつう、毎年そこにきのこが生ずる。
⑥田。田地。また、田の一区画・一区域。 平家物語3「田―を育王山へ申し寄せて」。
「―を掻く」
⑦古代・中世の田地の丈量単位。稲一束を収穫する面積を一代とする。律令制では五〇代を一段、五〇〇代を一町歩とした。 束代 (そくしろ)
大言海 名詞 (シルシ)ノ、しりト約リ、しろト轉ジタルカ〕
(一){其用トナルモノ。其料ノモノ。
萬葉集、十四 三十五 (ナハ)之呂ノ、 小木葱 (コナギ)ガ花ヲ、衣ニ摺リ、馴ルルマニマニ、(アゼ)カ悲シケ」
榮花物語、三十六、根合「サ少女ノ、山田ノしろニ、降リ立チテ、急ゲヤ早苗、室ノハヤワセ」
「壁しろ」
(二){其(カハ)リトナルモノ。カハリ 萬葉集、八 五十五 「棚()ラヒ、雪モ降ラヌカ、梅ノ花、咲カヌガ(シロ)ニ、添ヘテダニ見ム」
拾遺集、七、物名「鶯ノ、鳴カムしろニハ、我レゾ鳴ク、花ノ匂ヤ、暫シ止マルト」
(三)其物ノ代ハリトシテ渡ス金錢。 (アタヒ) 代物 (ダイモツ) 盛𮕩記、十一、有王俊寬問答事「硫黃ヲ取ッテ、商人ノ舟ノ着キタルニ取ラセテ、形ノ如ク、代ヲ得テ、日ヲ送リ、命ヲ續ギシカドモ」
「身ノしろ」
(四){物トナルベキモノ。サネガネ 崇神紀、十年九月「物實」注「此云望能志呂
祝詞、遣唐使時奉幣「 禮代 (ヰヤシロ)
出雲國造神賀詞「神ノ禮自利」
「母しろ」(ツクヱ)しろ」
(五)界ヲ限リテ、定メタルコト。區域 「御戶しろ」田ノ幾しろ」

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最終更新:2024年10月27日 18:47