せこ(兄子・夫子)

辞書 品詞 解説 例文 漢字
日本国語大辞典 名詞 ( 「こ」は親愛の気持を表わす接尾語 ) 夫・兄・弟など、広く男性を親しんでいう語。主として女性が用いる。
① 女性が自分の夫、あるいは恋人である男性に対して用いる場合。
日本書紀(720)允恭八年二月・歌謡「我が勢故(セコ)が来べき宵なりささがねの蜘蛛(くも)の行なひ今宵著(しる)しも」 兄子・夫子・背子
② 女性が兄または弟、ときに甥などに対して用いる場合。 万葉集(8C後)二・一〇五「吾が勢祜(セコ)を大和へ遣るとさ夜深けて暁露に吾が立ち濡れし」
③ 男性が他の親しい男性に対して用いる場合。 古事記(712)下・歌謡「物部(もののふ)の わが夫子(せこ)が 取り佩(は)ける 太刀の手上に 丹(に)画き著け」
広辞苑 名詞 女が、兄弟・恋人・夫など男を親しんでいう称。のちには男から男を呼ぶことも例外的にある。 允恭紀「わが―が来べきよひなり」
大言海 名詞 せ(兄)ノ條ヲ見ヨ〕
(一)(アニ)、又、弟。セナ
萬葉集、二 十三 「吾ガ 勢枯 (セコ)ヲ、大和ヘ遣ルト、小夜深ケテ、曉露ニ、吾ガ立チ濡レシ」(大伯皇女ヨリ、御弟、大津皇子ヲ指ス) 兄子・夫子
(二)夫子 (ヲツト) 允恭紀、八年二月「吾ガ 勢故 (セコ)ガ、來ベキ(ヨヒ)ナリ」
萬葉集、四 十五 「吾ガ 背子 (セコ)ハ、物ナ思ヒソ、事シアラバ、火ニモ水ニモ、吾レ無ケナクニ」
同、一 廿 「吾ガ 勢枯 (セコ)ハ、何地行クラム、沖ツ藻ノ、隱リノ山ヲ、今日カ越ユラム」
(三)男ドチ、互ニ敬ヒテ云フ語。 古事記、下(淸寧) 四十一 「物部ノ、我ガ 夫子 (セコ)ガ、 取佩 (トリハケ)ル、 大刀 (タチ) 手上 (タガミ)ニ」
萬葉集、三 十四 「奧ツ浪、邊波立ツトモ、我ガ 世故 (セコ)ガ、御船ノ泊リ、浪立タメヤモ」

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最終更新:2024年12月01日 17:06