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はら(腹)

辞書 品詞 解説 例文 漢字
日本国語大辞典 名詞 ① 動物の体のうち、胴の下半部。脊椎動物では、胸の横隔膜と腰の骨盤との間で、胃腸などを収めている部分。背に対して腹面をいう。また、胃腸。なお、背腹性を示す動物では、地面に面する側面をいう。 古事記(712)下・歌謡「御諸(みもろ)の その高城(たかき)なる 大韋子が原 大猪子が波良(ハラ)にある 肝向かふ 心をだにか 相思はずあらむ」 腹・肚
② ( 「胎」とも書く ) 母体の、子が宿るところ。また、そこに子が宿っていること。懐妊した腹。転じて、その女の胎内から生まれたことや、その生まれた人。動物などにもいう。特に、魚類で、一匹の魚の腹に入っている卵全体を「ひと腹」という。 古事記(712)上「是に其の産殿、未だ葺き合へぬに、御腹(はら)の急(すみやか)なるに忍びず」
宇津保物語(970‐999頃)藤原の君「いやしき人のはらに生まれ給へる帝の御子」
③ 祖先を同じくする血族。氏族。 本朝月令(10C中か)四月「川辺腹男秦忌寸都理〈略〉田口腹女、秦忌寸知麻留女」
④ 腹を切ること。切腹。→腹を召す 三河物語(1626頃)三「にはかにぎゃくしんをくわ立、丹波より夜づめにして、本なふ寺へ押寄て、信長に御腹をさせ申」
⑤ 心ばせ。心中。了見。心づもり。また、心の底。本心。 白氏文集天永四年点(1113)三「心を推して人の腹(ハラ)に置くに在り」
⑥ 胆力。度胸。きも。また、度量。包容力。 沢氏の二人娘(1935)〈岸田国士〉「そこは、男の方で腹を見せてやり給えな」
⑦ 腹が立つこと。立腹。 雑俳・口よせ草(1736)「傾城と見替へられたが腹」
⑧ 物の中央部の広いところ。山の頂と麓(ふもと)の中間の部分や建造物の内部など、人体の腹にあたる部分とみなしていう語。 海に生くる人々(1926)〈葉山嘉樹〉一「汽船万寿丸はその腹の中へ三千噸の石炭を詰め込んで」
⑨ 物のふくらんだところ。ふくれた面。壺などの器(うつわ)の中央のふくれたところ。 延喜式(927)祝詞「⿺瓦長の閉高知り、⿺瓦長の腹(はら)満双めて」
⑩ 壺・びんなど、胴部のふくらんでいる容器。 日本書紀(720)神代上(兼方本訓)「汝衆菓(このみ)を以て酒八甕(ハラ)を醸(か)め」
⑪ 船体の中央部。腰当(こしあて)。筒関。
⑫ 琴の中央部の空である方。琴の胴の裏面。 歌儛品目(1818‐22頃)四「腹 槽の背面にして、下の方の総名なり」
⑬ 定常波で振幅が最大になっているところ。⇔節(ふし) 〔物理学術語和英仏独対訳字書(1888)〕
広辞苑 名詞 ①動物体で、頭・胸に続き、それらと尾との間にある部分。哺乳類では胸腔と骨盤との間で、胃・腸などの内臓を容れる。 古事記下「大猪子が―にある肝向かふ」。
「―をさする」
腹・肚
②背に対して、体の前がわ。また、物の内側にあたる部分。 古事記上「―には 黒雷 (くろいかずち)居り」。
「背に―はかえられぬ」
③胃腸。おなか。 「―をこわす」「―がへった」
④(「胎」とも書く)子のやどる母の胎内。また、その母。また、その子。 霊異記下「我、必ず日本の国王の 夫人 (ぶにん) 丹治比 (たじひ) 嬢女 (おみな)の―に宿りて王子に生まれむとす」。
伊勢物語「兄の中納言行平のむすめの―なり」
こころかんがえ。感情。気持。また、心底。本心。 伊勢物語「この歌はあるが中におもしろければ、心とどめてよまず、―にあぢはひて」。
「―を探る」「―が収まらない」
⑥胆力。度量。 「―の大きい人物」
⑦物の中央の大きい部分。物のふくらんだ所。 盛衰記11「京童部が築地の―などに造りたる犬の家には猶劣れる物ぞや」。
狂言、膏薬煉「かの馬おゆびの―の膏薬に吸れて」。
「徳利の―」
⑧かめなど胴部のふくらんだ器物を数える語。 神代紀上「(いまし)あまたの(このみ)を以て酒八(はら)()め」
⑨魚の(はららご)を数える語。 「たらこ1―」
⑩〔理〕(loop)定在波で振幅が最も大きい部分。↔ (ふし)
⑪帆が風を受けてふくれる所。
⑫琴の胴の裏面。
⑬氏。氏族。
大言海 名詞 (ヒロ)ニ通ズ、(ハラ)(ヒラ)、ナド、意同ジト云フ。又、(ハリ)ノ意〕
(一){胸ノ下、腰ノ上ノ部。內ニ腸、胃等ヲ包ム。
倭名抄、三身體類「腹、波良」
雄略記、三年四月「腹中有物如水」
播磨風土記、賀毛郡、川合里、 腹辟 (ハラサキ)沼「淡海神、云云、以刀辟腹沒於此沼、故號腹辟沼
(二){其女ノ腹ニ生レタルコト。又、ソノ生レタルモノ。 源、三十八、夕霧 七十八 「此御腹ニハ、太郞君、三郞君、四郞君、六郞君、オホイ君、中ノ君、四ノ吾、五ノ君トオハス、內侍ハ、三ノ君、六ノ君、次郞君、五郞君トゾオハシケル」
同、二、帚木「宮腹ノ中將ハ、中ニシタシクナレ聞エ給ヒテ」
「脇腹」(メカケ)腹」
(三)ココロバセオモヒ。氣。 「腹ニ思フ」腹、合フ」腹ニ据ヱテ」腹惡シ」
(四)立チタル物ノ中央ナル處。 著聞集、十一、蹴鞠「大納言成通卿ハ、若クヨリハヤワザヲ好マセ給ヒテ、築地ノはら、若シハ檜垣ノ腹ナドヲ走ラレケリ」
「山ノ腹」
(五)了簡。 「ドウイフ腹カ分ラヌ」
(六)怒リ。立腹。 著聞集、十五、鬪爭「秦兼任、云云、日頃ノ腹ヲスヱムト」
(七){ウヂウカラ。族。 淸寧卽位前紀「其腹所生星川皇子」
姓氏錄、廿五、山城國諸蕃「秦忌寸、秦氏等一祖子孫、云云、別爲 數數腹 (アマタハラ)
(八){(ミカ)ノ腹ノ廣ゴリタルヲ云フ語。 祈年祭祝詞「 ⿺瓦長腹 (ミカノハラ)滿竝而」
神代紀、上 三十七 「釀 八甕 (ヤハラ)

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最終更新:2026年05月09日 17:40