や(耶・邪)

辞書 品詞 解説 例文 漢字
日本国語大辞典 感動詞 ① 驚いたり困惑したりした時に思わず発することば。 ※宇津保(970‐999頃)吹上上「や、たれぞや。などおぼえぬ」
② 人に呼びかける時にいうことば。 ※霊異記(810‐824)下「咄(ヤ)、汝、何ぞ此の穢(きたな)き地に居るといひ〈真福寺本訓釈 咄(ヤ)〉」
③ 横柄な態度で応答する時にいうことば。 ※雲形本狂言・水掛聟(室町末‐近世初)「『やあ是(これ)是』『や』『夫(それ)は何をおしある』『ハア、あぜを直します』」
④ 何か勢いよくしようとして発するかけ声や、歌謡などのはやしことば。 〔名語記(1275)〕
※虎明本狂言・餠酒(室町末‐近世初)「所領もちもちのうへに、なをぜにもちこそめでたけれ。や、ゑいやととや」
⑤ ことばを並べあげる時、そのはじめに添えることば。やれ ※滑稽本・浮世風呂(1809‐13)前「ヤレ芸者の、ソレたいこもちの、ヤ何だはかだはと」
⑥ 男子が用いる軽い挨拶のことば。 ※浮雲(1887‐89)〈二葉亭四迷〉二「昇は急足(あしばや)に傍へ歩寄(あゆみよ)り、『ヤ大(おほき)にお待遠う』」
広辞苑 感動詞 ①呼びかけの際に発する声。やいおいもしもし 古今著聞集16「―、お局」
②驚いた時、また思いついた時などに、とっさに出る声。おやあら 源氏物語帚木「物におそはるる心地して―とおびゆれど」
③かけ声。 狂言、茶壺「まつちつと、―、ゑいとな」
④句の間のはやしことば。 催馬楽、あな尊と「今日の尊さ―古もはれ」
大言海 感動詞 (一)(ヒロ)ク感ズルニ發スル聲。ヤアヤヤヤヨヤヨヤ 字類抄「哉、ヤ、語助也、乎、咄、耶、同」
靈異記、下、第七緣「咄、ヤ」
耶・邪
(二){言語ノ閒、或ハ、下ニアリテ、感歎ヲ表ハスモノ。 古事記、上 三十八 「少女ノ、()ス夜板戶ヲ」
萬葉集、十四 廿一 「佐野山ニ、打ツ也 斧音 (ヲノト)ノ、遠カドモ、ネモトカ子ロガ、オユニ見エツル」
(三){又、專ラ、呼ビ掛クル意ナルモノ。 萬葉集、二 十九 「石見ノ也、高角山ノ、 木際 (コノマ)ヨリ、我ガ振ル袖ヲ、妹見ツラムカ」
古今集、三、夏「ヤヨや待テ、山時鳥、言ヅテン、ワレ世ノ中ニ、スミワビヌトヨ」
「月や」花や」行ケや」打テや」
(四)又、專ラ、反語トナルモノ。 「思ヒキや」劣ラマシやハ」
(五)「行カバや」見バや」ナド用ヰルハ、閒ニよからむナドト云フ語ヲ略シタルニテ、卽チ、希フ意ヲナス。
(六)驚キ、又ハ、呼ビ掛クル時ナドニ發スル聲。 宇治拾遺、十五、第四條「海賊、や、トイヒテ、云云」

検索用附箋:感動詞

附箋:感動詞

最終更新:2023年09月02日 23:00