辞書 | 品詞 | 解説 | 例文 | 漢字 |
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日本国語大辞典 | 名詞 |
(竹の節と節との間をいう「よ(節)」と同語源で、時間的・空間的に限られた区間の意) [一] 人が生まれてから死ぬまでの期間。一代。一期(いちご)。 ① 一生。生涯。人生。 |
※古事記(712)上・歌謡「沖つ鳥 鴨どく島に 我が率寝し 妹は忘れじ 余(ヨ)のことごとに」 ※杉風宛芭蕉書簡‐元祿七年(1694)閏五月二一日「世を旅に代かく小田の行もどり」 |
世・代 |
② 寿命。年齢。→世長(た)く・世尽く。 | ※万葉(8C後)一・一〇「君が歯(よ)も吾が世(よ)も知るや磐代の岡の草根をいざ結びてな」 | |||
[二] 時の流れ、歴史などの中のある区分。 ① ある時代。年代。 |
※万葉(8C後)九・一八〇七「とほき代(よ)に ありけることを きのふしも 見けむがごとも 思ほゆるかも」 ※徒然草(1331頃)一三「ひとり灯のもとに文をひろげて、見ぬ世の人を友とするぞ、こよなうなぐさむわざなる」 |
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② 国がある支配者によって統治される期間。特に、天皇によって統治される期間。代(だい)。 |
※古事記(712)中「此の天皇の御世に伇病多(さは)に起りて、人民死にて尽きむと為き」 ※読本・雨月物語(1776)白峯「朕(わが)皇子の重仁こそ国しらすべきものをと、朕(われ)も人も思ひをりしに〈略〉雅仁に代(ヨ)を簒(うば)はれしは深き怨にあらずや」 |
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③ 転じて、天皇。また、朝廷。また、国政。→世に仕える・世の重し。 | ||||
④ 同一の系統、政体によって主権が維持され、それが継承される期間。 |
「武家の世」 ※高野本平家(13C前)六「源氏の代(ヨ)となって後〈略〉その勧賞に大僧正になされけるとぞ聞えし」 |
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⑤ ある者が家督を相続し、家長としてその家を統率する期間。また一般に、事物を継承し、それを持ったりそこにいたりする年月の間。代(だい)。→世をゆずる・世を渡す。 | ※俳諧・奥の細道(1693‐94頃)旅立「草の戸も住替る代ぞひなの家」 | |||
[三] 仏説にいう過去(前世)・現在(現世)・未来(来世)の各々。また、仏法が行なわれる正法(しょうぼう)・像法(ぞうぼう)・末法(まっぽう)の三時期の各々。 | ※万葉(8C後)三・三四八「この代(よ)にし楽しくあらば来む生(よ)には虫に鳥にも吾れはなりなむ」 | |||
[四] 時節。季節。機会。おり。 |
※大和(947‐957頃)一六一「在中将〈略〉ただ人におはしましけるよに」 ※狭衣物語(1069‐77頃か)二「かたがたに、乾くよなき御袖なめり」 |
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[五] ① 個人が他の個人と密接にかかわりあって生きる場。世間。社会。世の中。また、その中での人間関係。また、そこにいる人。世間の人。 |
※蜻蛉(974頃)下「いみじうをこなることになん、世にもいひさわぐなる」 ※読本・雨月物語(1776)貧福論「名将の聞えは世挙(こぞ)りて賞ずる所なり」 |
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② 特に、出世間に対して、俗世間。凡俗の住む世界。俗世。浮世。→世を捨てる・世をそむく。 | ※古今(905‐914)雑下・九五六「世を捨てて山に入る人山にてもなほうき時はいづち行くらん〈凡河内躬恒〉」 | |||
③ 国土。国家。天下。また、世界。 |
※竹取(9C末‐10C初)「国王の仰せごとを、まさに世に住み給はん人の、承り給はでありなむや」 ※徒然草(1331頃)一四二「世治らずして、凍餒の苦しみあらば」 |
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④ 社会の動向。時勢。時流。→世に合う。 | ※古今(905‐914)仮名序「きのふは栄えおごりて、時を失ひ、世にわび、親しかりしも疎くなり」 | |||
⑤ 世間一般。世間並み。世の常。→世に越ゆ・世に無し・世に知らず。 | ※落窪(10C後)四「よの人の親は、もはら幸なきをなん、なからむ時にいかにせんとは思ふなる」 | |||
⑥ 世間の評価。噂(うわさ)。外聞。→世に聞こゆ。 | ※紫式部日記(1010頃か)消息文「物づつみをし、いとよをはぢらひ、余り見苦しきまで児めい給へり」 | |||
⑦ 社会での境遇。特に、時運に恵まれ栄え時めくこと。権勢をもって君臨すること。また、その世界。 | ※伊勢物語(10C前)八七「わが世をばけふかあすかと待つかひの涙の滝といづれ高けん」 | |||
⑧ 世帯。また、それを維持していくこと。生計を立てること。生活。→世を送る。 | ※宇治拾遺(1221頃)一二「世の過ぎがたければ、さりとてはとて、かくのごとく仕る也」 | |||
⑨ 男女の交情。情事。夫婦生活。→世を経(ふ)。 | ※古今(905‐914)恋一・五一三「あさなあさな立つかはぎりのそらにのみうきて思ひのある世なりけり〈よみ人しらず〉」 | |||
[六] 人間の生活する周囲をとりまく環境。 ① 社会を存在させる時間・空間のひろがり。また、四方の自然。世界。 |
※徒然草(1331頃)一〇七「女のなき世なりせば、衣紋も冠も、いかにもあれ、ひきつくろふ人も侍らじ」 ※海潮音(1905)〈上田敏訳〉春の朝「揚雲雀なのりいで、蝸牛枝に這ひ、神、そらに知ろしめす。すべて世は事も無し」 |
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② 稲作の豊凶の状態。稲の作柄。 | ※俳諧・おらが春(1819)「稲妻やひと切づつに世が直る」 | |||
[補注]「神皇正統記‐上」に、「代と世とは常の義差別なし。然ど凡の承運とまことの継体とを分別せん為に書分けたり。但、字書にもそのいはれなきにあらず。代は更の義也。世は周礼の註に、父死て立を世と云とあり」と注記し、「代」と「世」との字義を区別している。 | ||||
広辞苑 | 名詞 |
(語源的には「 ①ある統治者が主権を維持して国を治める期間、または一家の家長が家督を相続して、その家を治める期間。 |
万葉集1「 「明治の―」「先代の―」 |
世・代 |
②同一の氏族・系統・政体などが、引き続いて国家の主権を持つ期間。時代。 | 「源氏の―」「武家の―」 | |||
③転じて、国。国家。また、その政治。時には政治的機関・朝廷・天皇の意にも用いる。 |
栄華物語月宴「―始まりて後、この国のみかど六十余代にならせ給ひにけれど」。 源氏物語薄雲「おとどの、かくただ人にて―に仕へ給ふも」 |
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④(特定の)期間。時期。時節。とき。おり。 |
大和物語「二条の后の宮まだ帝にもつかうまつり給はで、ただ人におはしましける―に」。 源氏物語御法「露けさは今昔ともおもほえず大方秋の―こそつらけれ」 |
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⑤人の生きてきた、また、生きていく年月。個人の一生。生涯。年齢。よわい。いのち。 | 紫式部日記「としくれてわが―ふけゆく」 | |||
⑥〔仏〕過去・現在・未来の三世。そのおのおのをいう。 |
万葉集4「この―には人言しげしこむ―にも逢はむわが背子今ならずとも」。 「あの―」 |
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⑦人間が生活していく場としての、さまざまな人間関係・社会関係を総括していう。また、その一般的な趨勢や時流をいう。世の中。社会。世間。世情。時勢。 |
万葉集18「父母を見れば尊く、 「―のため人のため」「―の移りかわり」「民主主義の―」 |
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⑧特に、俗界としての世の中。俗世。浮世。 |
古今和歌集雑「―を捨てて山に入る人山にてもなほ憂き時はいづちゆくらん」。 「―を厭う」 |
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⑨世の中で生計を立てること。なりわい。家業。 | 「―の営み」 | |||
⑩世間の人々。また、世間の評判。 | 拾遺和歌集雑恋「しのびていひちぎりて侍りけることの―に聞え侍りければ」 | |||
⑪男女のなからい。異性との愛情関係。 | 源氏物語花宴「まだ―に馴れぬは、五六の君ならむかし」 | |||
⑫身の上。境遇。運命。 | 源氏物語蓬生「たぐひあらじとのみ、めづらかなる―をこそは見奉り過ごし侍れ」 | |||
⑬(「―の」「―に(も)」の形で、強調を表す)この上ない。あまりにも。まったく(の)。 |
源氏物語帚木「―のすきものにて、ものよく言ひ通れるを」。 「―にも美しい女性」 |
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⑭(「…世(も)なし」の形で、否定を強めて)まったく…することがない。 | 蜻蛉日記上「心のとくる―なく嘆かるるに」 | |||
大言海 | 名詞 |
〔 (一)天地ノ閒。 |
「永キ世」 | 世 |
(二){世界ノ上ノ人類ノ種種ノ |
仁德紀、五十年三月「 萬葉集、五 廿九 長歌「此時ハ、如何ニシツツカ、汝ガ代ハ渡ル」 |
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(三)帝王ノ治ムル領國ヲ世界ニ比シテ稱スル語。御宇 | 「世ヲ知ロス」 | |||
(四){佛說ニテ、過去、現在、未來、ノ三世アリ。さんぜ(三世)ノ條ヲ見ヨ。 |
萬葉集、四
廿二
「 |
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(五)時。ヲリ。 |
大和物語、下「 中務集「現トモ、夢トモ分デ、明ケヌルヲ、何レノ世ニカ、マタハ見ルベキ」 |
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(六)時ノ勢。 | 「世ニ遇フ」世ニ靡ク」 | |||
(七){ |
源、四、夕顏
十六
「ワカビタルモノカラ、世ヲマダ知ラヌニモアラズ」 伊勢物語、第百廿段「昔、男、女ノ、マダ世歷ズト覺エタルガ」 |
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(八)人閒ノ俗事。 | 「世ヲ厭フ」世ヲ遁ル」世ヲ捨ツ」 | |||
(九){年。年齡。 |
萬葉集、一
十一
「君ガ 「千世」萬世」君ガ世」 |
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(十)或時代ノ閒。代 | 「足利氏ノ世」德川氏ノ世」 | |||
(十一){人ノ生ト死トノ閒。人ノ現在シテアル命ノホド。生涯。人生。齡 |
神代紀、下
三十四
「妹ハ忘ラジ、 萬葉集、五 廿九 「ヒト |
検索用附箋:名詞名称