あご（吾子）

広辞苑	名詞	(古くはアゴ) ①わが子。多くは直接呼びかけていう。	万葉集13「如何なるや人の子ゆゑそ通はすも―」	吾子
		② 目下 (めした)の近親者、あるいは童男・童女などを親しみをもって指し、また呼びかけていう語。	万葉集19「この―を 韓国 (からくに)へ遣る」。 源氏物語帚木「さりとも―はわが子にてあれよ」
		③中世以後、小児の自称。	醒睡笑「―にさのみ 科 (とが)はないぞや、ただとろろを睨め」
辞書	品詞	解説	例文	漢字
日本国語大辞典	名詞	(後世「あこ」とも) 自分の子をしたしんでいう語。わが子。	※続日本紀‐天平宝字三年（759）六月一六日・宣命「太政(おほきまつりごと)の始めは、人の心未だ定まらずありしかば、吾子(あご)をして皇太子(ひつぎのみこ)と定めて」 ※火の島（1939）〈中村草田男〉「万緑の中や吾子の歯生え初むる」	吾子
	代名詞	① 対称。下位者に親愛の意を表わす。	※書紀（720）神武即位前・歌謡「阿誤(アゴ)よ 阿誤(アゴ)よ 細螺(しただみ)の い這ひ廻(もとほ)り 撃ちてし止まむ」 ※源氏（1001‐14頃）空蝉「あこはらうたけれど、つらきゆかりにこそえ思ひはつまじけれ」
		② (「あこ」と清音) 自称。中世から近世にかけて幼児が用いた。	※天正本節用集（1590）「児 アコ、小児之自称也」 ※咄本・昨日は今日の物語（1614‐24頃）下「ちごの曰く『そなたの何と御にらみ候ても、あこが心には吉光の脇差よりもたのもしひ』」
大言海	名詞	〔吾 (ア)ノ條ヲ見ヨ、 人 (ヒト)ノ事ヲ 子 (コ)ト云フ、其條ヲ見ヨ、濁音ニ云フベキハ、神武紀ニ見エタリ、あぎみ、あぎ（吾君）ナドモアリ〕 親族、又ハ、 親 (ナ) 昵 (ジミ)ノ人ヲ、親シミテ呼ブ語。神武紀ニ、天皇、大久米部ノ者共ヲ、 阿誤 (アゴ)ヨ、阿誤ヨ、ト呼ビ、又、久米の子ト呼ビタマヘリ。	萬葉集、十九 三十五 光明皇后ノ、遣唐使藤原淸河ニ賜ヒシ御歌「大船ニ、 眞櫂 (マカヂ) 繁 (シジ) 貫 (ヌ)キ、此 吾子 (アゴ)ヲ、 唐國 (カラクニ)ヘ 遣 (ヤ)ル、 齋 (イハ)ヘ 神達 (カミタチ)」（皇后ハ、淸河ノ伯母ニマシマス） 同、十三 二十 長歌「イカナルヤ、人ノ子故ゾ、通ハスモ 吾子 (アゴ)」（ 隱妻 (カクシヅマ)ヲ云ヘリ）	吾子

大言海では、清音は別の見出し語の扱い。「あこ（阿古）」を参照。

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