きつめのホラー表現あり。閲覧注意です。
窓辺からはスズメの鳴き声が聞こえる。
秋晴れの朝、かがみは三日前から下ごしらえをしていたミネストローネスープを煮込んでいた。
今日はこなたが遊びにやって来る日だ。
高校を卒業し地元の国立大学へと進学したものの、新しい環境に馴染めずふさぎ込みがちだったかがみを元気付けたのが、高校からの親友であるこなたであった。
そのこなたが来る。お世辞にも得意とは言いがたい料理の腕前ではあったが、かがみは今の自分にできるせめてものお礼をとこなたを夕食に誘ったのだ。
台所には、さすがに三日も煮込んだだけのことはあって、舌にのせただけでとろけてしまいそうな肉の香ばしい匂いが漂っている。
こなたは美味しいと言ってくれるだろうか。かがみは頬が自然と緩むのを感じた。
そう、こうやってかがみが笑顔を見せるようになったのもこなたのおかげである。
かがみにとっての大学は苦行の場であった。誰からも気にかけられず、家族以外とは会話のない毎日。
だんだんふさぎこみがちになり、ついには一歩も家から出ることがなくなっていった。
そんな姉の様子を心配したつかさは、共通の友人であるこなたに相談していたのである。
こなたは「ツンデレじゃないかがみんはかがみんやないんや……」と言って、ちょくちょく木冬家を訪れるようになった。
最初のうちこそかがみも迷惑そうにしてはいたものの、少しずつではあったが昔のようにうちとけ、ついには笑顔も見せるようになっていった。
そしてかがみが大学へ復学したのがつい一週間前のことである。
三日前にこなたが遊びに来たおり、かがみは夕食に誘った。
こなたは「うっ……つかさの料理の方が……」と最初は言っていたものの、
かつてのような明るさを取り戻したかがみの様子が嬉しかったのか、「じゃあご馳走になるよ」と快諾してくれた。
そんなこなたの様子を思い出しながら、かがみは下ごしらえをしたのだ。自分を再び大学へと引き戻してくれたこなたには、
今までに食べたこともないような美味しい料理を味わってもらおうと思って。
そろそろいい頃合いだろうか。かがみは読んでいたライトノベルをテーブルへ置くと、椅子から立ち上がり目の前の鍋から味見をする。
「……お姉ちゃんおはよう。何か変なにお……」
そう言いながら台所へと入ってきたつかさは顔を真っ青にして硬直した。
「おはようって、つかさ。もうお昼だぞ」
そう言ったかがみの口内は赤黒く染まり、歯の隙間には何本もの長いブルーの糸のようなものが挟まり、それは床まで垂れ下がっていた……。
最終更新:2008年11月08日 19:10