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赤レンガの建物の前で かがみん24歳

by保育園児(東京都)

10月。暑さも大分和らいで、そろそろ薄着でいるのが厳しい季節だ。
今年で何回目だったろうか?私は旧法務省の赤レンガの建物を見ながら思った。
大学を卒業してからだから4回目ぐらいか・

大学を卒業してから2年、妹のつかさはこの間結婚して子供が生まれたし、
姉2人もそろそろ結婚しそうな感じだ。姉妹4人の中で私だけ進路が定まっていない。

案の定私の受験番号はなかった。そんな気がしていたから、別にショックではなかった。
もう4回目だから慣れたものといえば慣れたものなのかもしれない。まわりは涙を流して
抱き合ってる人、掲示板の自分の番号を写真でとってる人、ため息をつきながら帰っていく人
などさまざまだ。そんな中、私は人ごみの中に懐かしい顔を見かけた。

かがみ「あのー、もしかして岩崎さん・・・?」
みなみ「・・・えっと・・・」
かがみ「高校で先輩だった柊よ、覚えてない?」
みなみ「あ、柊さんですか・・・」
かがみ「岩崎さんも、司法試験を受けたの?」
みなみ「はい、一応・・・」
かがみ「やっぱ難しい試験よねー、岩崎さんはまだ大学生だったわよね?結果はどうだったの?」

彼女は無言で掲示板を指差した。そこには、彼女の受験票に書いてある番号と同じ番号が。

かがみ「へ、あ、あ・・・あああ、す、すごいわねっ!あたしなんて今年も駄目だったわ!岩崎さんは
     優秀で羨ましいわ。その年で司法試験に受かれば、後の人生は万々だものね!」
みなみ「別に・・・受かれば終わりじゃなくて、そこが始まりだと思ってますから
     それにゆたかと約束したんです。立派な弁護士になるからって・・・」

ゆたか、こなたの従妹で岩崎さんの友達だった娘だ。確か私が大学2年のとき、つまり彼女が高校3年生
のときに病気で亡くなった。こなたが落ち込んでいたようだったから、私も葬式に行ったが、普段おとなしい
という印象しかなかった岩崎さんが、争議会場で別人のように取り乱していたのを覚えている。

みなみ「ゆたかとの約束がやっと果たせました・・・。あの娘のためにも立派な弁護士になりたいんです。
     まだまだこれからですけれども」

そういって彼女は微笑んだ。その笑顔はどことなく寂しげだったけれども、今の私には眩しく光って見えた。
彼女と別れた後、駅に向かう私の足取りは自然と速くなった。
私はどれだけ小さい人間なのだろう?岩崎さんが合格して私が落ち続けている理由がよくわかる。弁護士
になれば人生が万々?そんな小さなことしか私は言えないのだろうか?そんなことしか・・・。

自分の小ささに涙が出てきた。今日はお酒を買って帰ろう。一緒に飲む相手もいないけれども、今日ぐらいは
酔いつぶれてもいいはずだ。

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最終更新:2007年09月12日 14:00
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