by後期合格(アラバマ州)
大学を卒業後してから私は予備校に通うようになった。
周りには私と同じように司法浪人なりたての人、何年も通っていると思われる人、中年の人、とバラエティに富んでいた。
たいした失敗じゃない、そう、まだまだ挽回できるわ。私はそう思っていた。
浪人して初めての試験を私は自信を持って受けた。短答も論文もバッチリだと思っていた。
しかし、結果は不合格だった。何が悪かったのか、それが分からずにただひたすら悩んでいた。
それから数ヵ月後、うつ病の症状が現れた。うつ病は長引くといけない。そう思い、医者に行ってSSRIという薬を貰った。
初めはその薬のおかげで大分気持ちが楽になった。けど、その効果は次第に薄れていき、苦しみが反作用のように襲い掛かった。
そんな一方で楽しみもあった。こなたとのメールだった。高校時代からずっと続いている。
週に一度は必ずメールしてくれる。私にはそれが支えだった。
試験に落ちた時は何度も見返していた。
『私ばかりに構ってないで、彼氏とでも話しなさいよ。しっ、しっ。』
『でもさぁ、かがみん寂しかったり辛かったりと思ってさ。
困ったことがあったら何でも言ってよね。(≡ω≡.)』
うれしくてたまらなかった。
そんな時だった。
何気なく雑誌をパラパラめくっているとリストカットの話題が目に留まった。
- 患者さんはリストカットをする事で、自分の体を傷つける事で精神的な苦しみ
から逃れることが出来た、と言っていました。・・・
精神的な苦しみから逃れられる・・・。
その文章はリストカットを止めさせる意味が込められていたのだが、
私にはこの一文しか頭に入らなかった。
それから数日の間、私はリストカットの事で頭がいっぱいだった。
この苦しみから解放されたい。
それが出来るなら何だってやる。
気が付くと私はカッターナイフを握り締めていた。
窓からは夕日が差し込んでいて、子供たちが騒いでいるのが聞こえた。
差し込んだ光は綺麗だった。
刃を軽く右手首に当てる。皮膚のに刃が食い込む。
これで楽になれるのなら・・。
突然、頭の奥から声が聞こえた。
「かがみん、だめだって!止めてよ!自分のしてる事分かってるの!?
そんなことしてなんになるのさ!止めてよう!止めてようっ!!」
ごめん、こなた。
もう、いっぱいいっぱいなんだ。
私、もう、だめなんだ。
手前にカッターを思い切り引くと、びゅっ、と血が溢れた。
手首から溢れ出た血はきらきら光ってとても綺麗だった。
切った瞬間は激痛が走った。でも、流れる血を見ていると心も体も穏やかに、気持ち良くなってきた。
恍惚としているのが自分でも分かる。あの雑誌に書いてあった通りだった。
私の存在が軽くなる。意識が幾つにも分割されて極限へと向かっていた。
軽くなって、そして、何処へでもいけるような気がする。
手首を切った私を、私は俯瞰していた。
今と死後の世界が符合するのが・・・
おしまい
最終更新:2007年09月21日 16:13