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学食にて

by3年62単位(関西地方)



「すみません、隣、空いてますか?」
「え、ええ。どうぞ」
独りで学食に座るのも慣れてしまった、そんな夏の日。
講義で何度か見たことのある男子学生だった。
割と一人でいることが多く、誰かとつるんでいるところは見たことが無かった。

お互いにそれ以上話しかけることもなく、黙々と食事を続ける。周囲の喧しい談笑が、一回りして静けさのようにも思えた。

突然、聴いたことのあるギターの音が響く。

こころ描きだぁす~地図上の未ぃ知なるFrontier~♪ とびらひ……

フルメタだ……。
「はい。あ~ちょっと待って、うん」
携帯電話のマイクをふさいで彼が言う。
「すみません、少しこれ、見ててもらえますか」
私の同意を待つことなく、彼は席を立ってどこかへ行ってしまった。
目の前には、ほとんど役目を終えてしまった昼食のトレイがある。
やっぱり待っていないといけないんだよね……。

「時間、とらせてしまったみたいですね。すみません。お詫びにこれ、いかがですか?」
戻ってきた彼が、鞄から季節限定のポッチーを取り出す。4本入りの小袋だ。
「ありがと。気持ちだけもらっとくわ」
そう言い残して、私は立ちあがる。
フルメタ、好きですか? そんな簡単な一言が、どうしても口に出せなかった。

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最終更新:2007年10月30日 20:08
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