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かがみの選択

by発教育学部(コネチカット州)


第1話「プロローグ」

高校を卒業してもう3年。大学に進学したけど、馴染めなくて友達が出来ずに一人ぼっち。
だんだん大学にも行かなくなり、あまり外にも出なくなった。
毎日起きたらネットにテレビ漬け。すぐに1日が終わる。
そんな私にも、高校時代から付き合っている1つ年下の彼氏がいる。だけど、忙しいそうでなかなか会えなかった。
4月も終りに近いある日、彼氏から電話がかかってきた。
かがみ「もしもし?××君?」
彼氏「もしもし?久しぶり!元気だった?」
かがみ「ま、まぁまぁ元気よ…。」
もう何回目だろうか?また嘘をついてしまった。本当はすごく寂しいのに…。
彼氏「そっか。それは良かった。ところで、今度の日曜にかがみんの家に行ってもいいかな?出来れば夕方がいいんだけど…」
かがみ「良いわよ。夕方に来るならご飯作って待ってるね。」
彼氏「それは楽しみだなぁ。じゃあ日曜にね。…あ、それと、もしかしたら行けなくなるかも知れないから
その時は電話するよ。じゃあねー。」…プツッ、ツー、ツー、ツー
久しぶりに××君が来る。しばらく誰とも会ってなかったから、すごくワクワクした。


第2話「大事な話」

5月最初の日曜日。今日は××君が遊びに来る。部屋を片付けて、久しぶりにたくさん買い物してきた。
××君に料理を教わっていたので、ある程度の物なら作れるようになった。
××君は7~8人前はあろうかという量をペロっとたいらげるから作り甲斐がある。大量の料理を作っていたらあっという間に夕方になった。
時計は18時5分を指している。その時『ピンポーン』と呼び鈴が鳴った。
かがみ「はーい」
彼氏「久しぶり。ちょっと遅くなっちゃったよ。」
かがみ「大丈夫。いろいろやってたらあっという間に日が暮れちゃった。」
かがみ「さぁ上がって!たくさん作ったわよ!今日は結構上手く出来たから自信作ね!」
彼氏「わぁ!こんなにたくさん!美味しそうだなぁ。早速食べていい?」
かがみ「どうぞ召し上がれ!」
彼氏「もぐもぐ…うん!おいし~い!かがみんに教えた甲斐があったよ!」
かがみ「良かった!さぁもっと食べて!」
こうして××君は全部食べてしまった。
彼氏「ふぅー。美味しかったー!ごちそうさま!」
かがみ「良かった。全部食べてくれるから作り甲斐があるわ!」
彼氏「また食べたいなぁ。今度は何時になるか判らないけど…」
食べ終わって二人で食休みしていたら、××君から話を切り出してきた。
彼氏「今日かがみんの家にきたのは大事な話があるからなんだけど…」
かがみ「大事な話?一体なに?」
彼氏「実は…アメリカに留学することにしたんだ。」
なんと××君はアメリカに留学するのだという。もしかしたら、本当に一人ぼっちなるかも知れないという不安がよぎった。
かがみ「えっ?」
彼氏「それで…、かがみんにも一緒に来て欲しいんだ。ダメかな?」
かがみ「きゅ、急に言われても困るわ…。」
彼氏「あ、いや…、今すぐに行くわけじゃないから…。ゆっくり考えてよ。」
かがみ「そう…じゃあ少し考えさせて…。」
彼氏「解った。アメリカに行くのは7月だからゆっくり考えてね。」
かがみ「あの…、どれ位アメリカに居るの?」
彼氏「留学して向こうの大学出た後も、日本にはしばらく帰って来るつもりは無いんだ。」
かがみ「じゃあ…もし一緒に行かなかったら、もう会えないの…?」
彼氏「そう…だね…。もう会えないと思う。」
どうしたらいいんだろう…。今までたくさん嘘をついて来たのに…。こんなに私のことを考えてくれてたなんて…。
このまま一緒に付いていけば、楽しい日々を過ごせるのは解っていた。
だけど、何かを忘れている気がして、二つ返事は出来なかった。


第3話「大切な人」

それから1週間。ずっと考えてた。一体なんだろう?この『何かが足りない感じ』は。
すると電話がかかってきた。見覚えのない番号だ…。一体誰だろう?
かがみ「もしもし、どちら様ですか?」
???「…もしもし?かがみん?」
かがみ「も、もしかして、こなた?」
こなた「そだよ。久しぶりだね。」
一昨年から電話が繋がらなくて、逢いたくても逢えなかった、その人は電話の向こう側にいる。そう思ったら、思わず涙が出てきた。
かがみ「ちょ、ちょっと…。ぐすっ…今まで…何してたのよ…心配してたんだから…」
こなた「心配させてごめんね。いろいろあってなかなか電話できなかったんだ。」
かがみ「一体何があったのよ…。」
こなた「いやぁ、電話を買い換えて電話帳を移そうしたらデータが飛んじゃってねぇ。
必死で番号を思いだそうとしたんだけど、番号を間違って覚えてたみたいで。いまさっき思いだせたんだ。」
かがみ「ちょ、まぁ、あんたらしいわね…。」
こなた「それはそうと、元気してた?」
かがみ「うん。あんたの声が聞けて元気が出たわ!」
くだらない話ばかりだけど、こなたとの電話は楽しかった。なんだか心が満たされる。この一時は寂しさを忘れていられた。
こなた「これからはいつでも話せるからね。遠慮せずに電話してね。かがみんが困った時は力になるから。」
かがみ「ありがとう。こなたがそう言ってくれて嬉しいよ。」
こなた「じゃあ、またね!」
プツッ、ツー、ツー、ツー
電話は切れた。でも、それと同時に疑問は確信に変わった。
『私はこなたの事が好き…。』


第4話「かがみの選択」


こなたとの電話から3週間。5月も終わりが近いある日、××君から電話がかかってきた。
彼氏「もしもし?かがみん?」
かがみ「あ、××君…久しぶりね…」
彼氏「どう?決まった?」
かがみ「うん…決めたわ…。」
彼氏「そっか。電話じゃなんだから、今からかがみんの家に行くよ。」
かがみ「そう…じゃあ待ってるわね…。」
彼氏「何だか元気ないみたいだけど大丈夫?」
かがみ「だ、大丈夫よ!待ってるわね。」
彼氏「じゃあ、後でね。」
プツッ、ツー、ツー、ツー
今から××君が来る。でも、もうワクワクしなかった。何故なら、私の心には××君とは違う人が居るから…。
夕方になり、『ピンポーン』と呼び鈴が鳴った。
かがみ「どうぞ…。上がって…。」
彼氏「やぁ。久しぶりだね。すごく忙しくなっちゃってなかなか電話出来なかったんだ、ごめん。」
かがみ「別に…気にして無いから大丈夫よ…。」
また嘘を付いてしまった。本当はもっと早く電話して欲しかった。もっと早く××君と電話していればこんな考えにはならなかったと思う。
夕方になり『ピンポーン』と呼び鈴が鳴った。
かがみ「どうぞ…。上がって…。」

彼氏「やぁ。久しぶりだね。すごく忙しくなっちゃってなかなか電話出来なかったんだ、ごめん。」
かがみ「別に…気にして無いから大丈夫よ…。」
また嘘を付いてしまった。本当はもっと早く電話して欲しかった。もっと早く××君と電話していればこんな考えにはならなかったと思う。
彼氏「この間のお返しと言ってはなんだけど、今日は自分がご飯作るよ。」
かがみ「あ、ありがとう。何か手伝おうか?」
彼氏「すぐ出来るから大丈夫だよ。座って待ってて。」
かがみ「そ、そう…。」
私は、座って待ちながらもう一度考える。でも、答えは決まっていたから無駄だった。
彼氏「さぁ出来たよ。」
かがみ「じゃあ食べよっか。」
彼氏とかがみ「いただきます」
やっぱり××君の料理は美味しい。いくら頑張ってもここまで追いつけないと思う。つかさが作った料理より美味しい。
食休みしていたら、××君が訊いてきた。
彼氏「ところで本題だけど、一緒に行く?」
かがみ「あの…言いにくいんだけど…、ごめんなさい。一緒には行かないわ…。」
彼氏「そっか…。やっぱり大学が忙しいから?」
かがみ「あの…その事なんだけど、実は…。」
私は正直に話す事にした。もう嫌われたっていい。むしろ嫌って欲しい。
彼氏「何?話せる事なら話してよ。」
かがみ「実はね、もう2年以上大学に行ってないの…。だから忙しいって言ったのは嘘なの…。ごめんなさい…。」
彼氏「なんだ、そんなことか。だったら大学辞めて一緒に行こうよ。ずっと一緒に居たいんだ。」
かがみ「でも…、私にはもっと大切な事がある気がするの。だから…一緒には行かないわ…。」
嘘をついていた事を咎めないばかりか、プロポーズとも取れる誘いをしてくれているのに私は断った。本当に私は最低だ。
彼氏「そっか……。どうしてもって言うんなら仕方ないね…。今まで楽しかったよ。
あと少ししか一緒に居られないけど、これからもよろしくね。」
かがみ「う、うん…。」
こんなに私の事を思ってくれているのに、冷ややかな返事しか出来なかった。そんな自分が嫌になる。
彼氏「おっと、もうこんな時間か。それじゃあまたね。電話するよ。」
かがみ「じゃあね…。」
××君は帰っていった。今度なんて多分もう無い。気付いたら涙が出ていた。そして、こうつぶやいていた。

『もう私にはこなたしか居ない…。』


第5話「別れ」


もう7月も終り。結局電話は来なかった。何回も『やっぱり一緒に行こうかな…』と思った。だけど…。
30日の土曜日。『ピンポーン』と呼び鈴が鳴った。また勧誘かな…?
かがみ「はーい…」
彼氏「やぁ。久しぶりだね。全然電話出来なくてごめんね。寝る暇も無い程忙しかったんだ。」
かがみ「そうだったの…。電話しても出てくれないから、もう日本には居ないのかと思ったわよ…。」
彼氏「本当にごめんね。それで今日、日本を発つからお別れに来たよ…。」
かがみ「えっ…?、今日行っちゃうの…?。」
彼氏「最後に一目逢えて良かったよ。それじゃ…、もう…行くね…。」
かがみ「ま、待って!」
彼氏「な、なんだい?」
かがみ「あ、あの…、本当に行っちゃうの…?」
彼氏「うん。昼過ぎの便だから、もう時間が無いんだ。
かがみんを幸せに出来なかった無力な自分を許してくれ…。それじゃあね…。」
かがみ「………。」

『一緒に行く』って言えなかった。××君を乗せたタクシーは足早に家の前から去って行った。
部屋に戻り、しばらく呆然としていた。
夕方になった頃、私は泣いていた。

『もう…一緒に居てくれる人は…居ないの…?』


第6話「告白」


××君が日本を発ってから1週間。私は部屋で毎日泣いていた。すると電話が鳴った。…こなたからだ!

かがみ「…もしもし?」
こなた「あ、もしもし?かがみん?」
かがみ「そう…だけど…。久しぶりね。」
こなた「なかなか電話出来なくてごめんね~(≡ω≡)。今からかがみんの家に行くよ~。」
かがみ「えっ、今から来るの?」
こなた「久しぶりにかがみんの顔が見たいし…ダメかな?」
かがみ「い、いいわよ。じゃあ待ってるわ。」
こなた「じゃあ後でね~。」
プツッ、ツー、ツー、ツー
もうこなたとは2年以上会ってない。それに、どうしても伝えたい事がある…。

時計は19時を少し過ぎている。すかさず『ピンポーン』と呼び鈴が鳴った。
かがみ「はーい、どうぞ」
こなた「来たよ~かがみん!直接会うのは2年ぶりだね。」
かがみ「こ…、こなた!」
その顔、その小さな体を目の当たりにして、思わずこなたを抱きしめた。
こなた「ちょ、いきなりどうしたの?」
かがみ「私の話、聞いて…くれる…?」
こなた「いいよ。話したい事があるなら話してよ。」
私は、2年前からの出来事を全てこなたに話した。そして…

かがみ「それで…、こなたに伝えたい事があるの…。」
こなた「なになに?」
かがみ「私は…、こなたの事が…好き…。」
こなた「私も好きだよ、かがみん。」
かがみ「違う…。そうじゃないの…。」
こなた「えっ…?」
かがみ「私が××君に付いて行かなかったのは、こなたと一緒に居たいからなの…。」
こなた「私のために…日本に残ったの?」
かがみ「そうよ…。もう一度言うわ。私は、こなたの事が…好き…!だから…ずっと一緒に居て…。」
私はそう言うと、こなたをベッドに押し倒した。
こなた「ちょ、何するの、かがみん!」
かがみ「もう…我慢出来ないよ…。」
正直言って、私は欲求不満だった。それが今、爆発している。
こなた「ちょ、ちょっと待ってよ…。」
その言葉で我に返った。お互いに目を合わせる事が出来ない。

それから小1時間が経った。先に言葉を発したのは、こなただった。

こなた「1回…。1回だけなら…良いよ…。」
かがみ「本当に…いいの?」
こなた「それでかがみんの気が済むならいいよ…。でも、1回だけだよ…。
でないと、かがみんが駄目になっちゃうから…。」
かがみ「こなた…。」

その夜は、二人にとって熱くて甘い、そして長い夜になった。
次の日、私はこなたに起こされた。
こなた「おはよう、かがみん。」
かがみ「おはよう…。こなた。」
こなた「さてと、私はそろそろ帰るね。」
かがみ「もう…帰っちゃうの?」
こなた「ごめん。今日は午後からバイトなんだ。だからもう帰らなきゃ。」
かがみ「そっか…。なら仕方ないわね…。」
こなた「まぁ、そんなに落ち込まないでよ。また来るからさ。」
かがみ「そうよね。何時でも会えるもんね。たまには遊びに来なさいよ。」
こなた「うん。それじゃ、かがみんも頑張ってね。またね。」

そしてこなたは帰っていった。その後、言いようの無い孤独感と虚無感に襲われて、私はまた泣いていた。


第7話「受け止めがたい現実」


こなたが帰った後、私は夕方まで泣いていた。すると電話が鳴った。公衆電話からだ。一体誰だろう?

かがみ「…もしもし?」
つかさ「お姉ちゃん…!…こなちゃんが!こなちゃんが!!」
かがみ「ちょっと、こなたがどうしたのよ?落ち着いて話しなさいよ!」
つかさ「あ、あの…、ゆきちゃんに代わるね…。」
つかさが凄く焦っている。こなたに何があったんだろう?
みゆき「お電話変わりました、みゆきです。」
かがみ「一体こなたに何があったの?」
みゆき「あの、大変申し上げ辛いのですが…、泉さんが…」
かがみ「こなたが?」


みゆき「泉さんが…お亡くなりに…なりました………。」
かがみ「えっ……………。」

私は思わず、ケータイを手から離してしまった。
みゆき「もしもし?かがみさん?」
かがみ「あぁ…ごめんなさい、今何処に居るの?」
みゆき「今は都内の病院です。それでは病院の場所をお教えしますね…。」

私は、みゆきから訊いた病院にすぐに向かった。そこには、信じられない光景があった…。

そうじろう「こなた、こなたぁ!起きてくれよ!こなたぁ!」
ゆたか「お姉ちゃん…、お願いだから目を覚まして…。ぐすっ…」

『えっ……』

『嘘…、こんなの嘘よね…、冗談でしょ?』
そう思いながら、眠っているかの様に綺麗なこなたの顔に触れる。
しかしその瞬間、嫌でも『現実』を思い知らされた…。

彼女の体は、もう…、冷たかった…。

かがみ「どうして…?、なんで…?さっきまで一緒に居たじゃない…。
…また私の家に来るって………言ったじゃない……………。」


最終話「エピローグ」


あの時から5年が経った。それから憑り付かれる様に勉強し、今は弁護士事務所で働いている。まだ見習いだけど。
私は毎年、正月と春と秋の彼岸に、ある場所に欠かさず通っている。

今日は秋分の日。今日も私はここに居る。
かがみ「こなた。今日も来たよ。」
しかし、話し掛けても返事は返って来ない。でも、それでも構わない。

あの日、こなたは一旦自分の家に帰り、改めてバイトに出掛けたそうだ。
しかし、私がもっと一緒に居たいって言って引き留めていれば、こんな事にはならなかったかもしれない。
…って駄目ね。こんな事考えてもしょうがないか。

そして、こなたがバイトに行く途中に悲劇は起こった。
横断歩道を渡っていたこなたは、信号無視したトレーラーにはねられた。即死だった。

それから私は、時々自問自答する。

『やっぱり××君に付いて行けば良かったのかな…』

でも、その答えはもう出ない…。

Fin

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最終更新:2007年10月30日 20:23
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