「ねえ、こなた」
「……」
「こなたってば」
「…………」
「こなたー?」
「……zzz」
「うわ、こいつ人の部屋で寝てやがる……」
かがみは読んでいたラノベをテーブルに置いた。ベッドにもたれて寝息を立てているこなたの肩を軽く揺する。
「ちょっとこなた。起きなさいよ」
「zzz……うーん、もし寝落ちしたらごめん……ムニャムニャ」
「どんな寝言よ……」
そういえば、昨晩はネトゲーが抜けられなくてほぼ徹夜と言っていた。その疲れと眠気が一気に来たのだろう。
「しょうがないわね」
ため息一つつき、かがみは寝ているこなたの体に手を回して力を入れる。小学生並のサイズとはいえ、持ち上げるのは骨が折れた。
「よっ……と」
ベッドの上に寝かしつけ、タオルケットを掛けた。
「くかー……zzz」
かがみの思いやりも知らず、こなたは呑気そうに寝続けている。
いつだったか、かがみが風邪を引いた時には寝顔がどうこうと言っていたが……。
「自分だって随分可愛い寝顔じゃない」
普段のオタク言動は鳴りを潜め、まるっきり子供みたくあどけないその表情に、かがみは呆れるよりも微笑ましい気がした。
ふと悪戯心を起こし、かがみはそっとこなたの顔に手を伸ばす。といっても大したことではなく、ほっぺたを人差し指で突いてみるだけだ。
「ふふ……」
プニプニと柔らかい感触を楽しむ。よほど深く寝入っているのか、こなたは起きる気配を見せない。
脇腹に手をやり、軽くくすぐってみる。少し身じろぎした程度で、反応は鈍い。
「ふーん……意外に無防備ね」
「……zzz」
「……」
かがみは思い切って、頬を突っついていた指を、別の場所に伸ばす。いつもニンマリとした笑みを形作っている唇に。
(どんな感触なのかな……)
少しだけドキドキしながら、そこに触れてみる。
柔らかい。やっぱり女の子らしくリップなどで手入れしているのだろうか。荒れの全く無い綺麗な唇は、ほんのり暖かく、触っているだけで気持ちよかった。
「……」
「こなたってば」
「…………」
「こなたー?」
「……zzz」
「うわ、こいつ人の部屋で寝てやがる……」
かがみは読んでいたラノベをテーブルに置いた。ベッドにもたれて寝息を立てているこなたの肩を軽く揺する。
「ちょっとこなた。起きなさいよ」
「zzz……うーん、もし寝落ちしたらごめん……ムニャムニャ」
「どんな寝言よ……」
そういえば、昨晩はネトゲーが抜けられなくてほぼ徹夜と言っていた。その疲れと眠気が一気に来たのだろう。
「しょうがないわね」
ため息一つつき、かがみは寝ているこなたの体に手を回して力を入れる。小学生並のサイズとはいえ、持ち上げるのは骨が折れた。
「よっ……と」
ベッドの上に寝かしつけ、タオルケットを掛けた。
「くかー……zzz」
かがみの思いやりも知らず、こなたは呑気そうに寝続けている。
いつだったか、かがみが風邪を引いた時には寝顔がどうこうと言っていたが……。
「自分だって随分可愛い寝顔じゃない」
普段のオタク言動は鳴りを潜め、まるっきり子供みたくあどけないその表情に、かがみは呆れるよりも微笑ましい気がした。
ふと悪戯心を起こし、かがみはそっとこなたの顔に手を伸ばす。といっても大したことではなく、ほっぺたを人差し指で突いてみるだけだ。
「ふふ……」
プニプニと柔らかい感触を楽しむ。よほど深く寝入っているのか、こなたは起きる気配を見せない。
脇腹に手をやり、軽くくすぐってみる。少し身じろぎした程度で、反応は鈍い。
「ふーん……意外に無防備ね」
「……zzz」
「……」
かがみは思い切って、頬を突っついていた指を、別の場所に伸ばす。いつもニンマリとした笑みを形作っている唇に。
(どんな感触なのかな……)
少しだけドキドキしながら、そこに触れてみる。
柔らかい。やっぱり女の子らしくリップなどで手入れしているのだろうか。荒れの全く無い綺麗な唇は、ほんのり暖かく、触っているだけで気持ちよかった。
何度か指先で撫でるうちに、どうしようもない好奇心が湧いてくる。
(……キスしたらどんな感じなのかな……)
「いやいやいや……」
何を馬鹿なことを考えているんだ自分は、とかがみは首を振る。
「……で、でも……振りとかそのぐらいだったら大丈夫かなー……なんて」
何度か逡巡を繰り返し、かがみは清水の舞台から飛び降りるような気持ちで、こなたの顔に自分の顔を近付けてみる。
「……zzz」
こなたは全く気付いた様子を見せない。相変わらず眠りこけている。軽く口付けたぐらいでは起きないだろう。
「……」
ゆっくり唇に近付いていき……残り三㎝ぐらいの所でやっぱり躊躇って少し離れる。
「いや、やっぱりこういうのは、こなたにも悪いし……」
「んー……ムニャムニャ」
「……」
かがみの葛藤など露知らず。こなたはポリポリとお腹など掻いている。
(ちょっとだけ……触れてみるぐらいなら……)
もう一度顔を近付ける。ゆっくり、慎重に。
残り三㎝……二㎝……一㎝――
「うりゃ」
「!!?」
いきなりかがみの頭がこなたに掴まれ、そのまま引っ張られた。結果、二人の唇と唇が思いっきりくっついた。
「んんっ!?」
混乱するかがみに構わず、こなたは血を吸う吸血鬼みたいに唇を吸い上げる。ちょっと触れるどころではないディープキスだ。
「ん~……ぷはぁっ」
たっぷり十秒以上口付けて、ようやくかがみは解放された。
「なっ、なっ、なっ……!?」
満足げなこなたと対称的に、錯乱状態のかがみ。
「もう、かがみってばあんまりもたもたしてるから、我慢できなくてこっちからいっちゃったよ」
「あんた起きてたのかーっ!?」
「うん」
「い、いつから……?」
「かがみがお腹くすぐってたあたりかな」
顔から火が出るとはこのことか。かがみの顔がトマトみたいに真っ赤になる。
「意外だったねぇ、かがみが寝込みを襲うなんて大胆な行動を」
「誰が襲うかー!」
「キスしようとしてたじゃん」
「そ、それは……」
事実である以上、ぐうの音も出ない。
「別に怒ってないからさ。むしろ良かったよかがみん♪」
「良くないわよ……ファーストキスだったのに」
「いいじゃん減るもんじゃなし」
「減るわよ! 何か色々!」
「最初はそっちがしようとしたくせに」
「う……」
再び痛いところを突かれ、言葉に詰まる。
(……キスしたらどんな感じなのかな……)
「いやいやいや……」
何を馬鹿なことを考えているんだ自分は、とかがみは首を振る。
「……で、でも……振りとかそのぐらいだったら大丈夫かなー……なんて」
何度か逡巡を繰り返し、かがみは清水の舞台から飛び降りるような気持ちで、こなたの顔に自分の顔を近付けてみる。
「……zzz」
こなたは全く気付いた様子を見せない。相変わらず眠りこけている。軽く口付けたぐらいでは起きないだろう。
「……」
ゆっくり唇に近付いていき……残り三㎝ぐらいの所でやっぱり躊躇って少し離れる。
「いや、やっぱりこういうのは、こなたにも悪いし……」
「んー……ムニャムニャ」
「……」
かがみの葛藤など露知らず。こなたはポリポリとお腹など掻いている。
(ちょっとだけ……触れてみるぐらいなら……)
もう一度顔を近付ける。ゆっくり、慎重に。
残り三㎝……二㎝……一㎝――
「うりゃ」
「!!?」
いきなりかがみの頭がこなたに掴まれ、そのまま引っ張られた。結果、二人の唇と唇が思いっきりくっついた。
「んんっ!?」
混乱するかがみに構わず、こなたは血を吸う吸血鬼みたいに唇を吸い上げる。ちょっと触れるどころではないディープキスだ。
「ん~……ぷはぁっ」
たっぷり十秒以上口付けて、ようやくかがみは解放された。
「なっ、なっ、なっ……!?」
満足げなこなたと対称的に、錯乱状態のかがみ。
「もう、かがみってばあんまりもたもたしてるから、我慢できなくてこっちからいっちゃったよ」
「あんた起きてたのかーっ!?」
「うん」
「い、いつから……?」
「かがみがお腹くすぐってたあたりかな」
顔から火が出るとはこのことか。かがみの顔がトマトみたいに真っ赤になる。
「意外だったねぇ、かがみが寝込みを襲うなんて大胆な行動を」
「誰が襲うかー!」
「キスしようとしてたじゃん」
「そ、それは……」
事実である以上、ぐうの音も出ない。
「別に怒ってないからさ。むしろ良かったよかがみん♪」
「良くないわよ……ファーストキスだったのに」
「いいじゃん減るもんじゃなし」
「減るわよ! 何か色々!」
「最初はそっちがしようとしたくせに」
「う……」
再び痛いところを突かれ、言葉に詰まる。
「だからそれはその……出来心というか、ちょっとした好奇心で」
「ふ~ん……そんな理由で人の唇奪おうとしたんだ」
「わ、悪かったわよ」
「ごめんで済めば修正パッチはいらない!」
「何だその喩え。……じゃあどうしろっていうのよ」
「それじゃあ、今度はかがみからして」
「何を?」
「だーかーら」
んー、とこなたが唇を突き出す。
「なっ、ばっ……何でそんなこと……!」
「さっきは自分でしようとしたじゃん」
「それは、あんたが寝てたから、悪戯みたいなつもりで……」
「じゃあこれも悪戯のつもりでいいからさ」
「そんなの……」
こなたはもう何も言わず、じっとかがみが来るのを待っている。
(あーもうっ、どうしろっていうのよ……!)
にっちもさっちもいかない状況に頭を抱えるかがみ。こなたがこういう態度を取る以上、キスしなければ本気で許してくれないだろう。
「……し、仕方ないわね……」
台詞だけは威勢良く、小刻みに震えながらこなたの肩に手を置く。
「すー、はー……」
深呼吸を一回、二回。そして、
「……えいっ!」
躊躇いを捨て、一気に勢いを付けてこなたの唇に自分のそれを重ねた。
ガチッ、と硬い音が部屋に響く。
「痛っ……」
歯と歯を打ったらしい。痛みに口を押さえる。こなたの方も痛そうに口を押さえていた。
「か、重ね重ねごめんこなた……大丈夫?」
「ん……いや、これはこれで萌えかも……痛たた」
少し涙を滲ませながら、それでもこなたは嬉しそうに笑う。
「次からは優しくできるようになってね」
「そりゃ……って、次からなんてできるわけないだろ!」
「できる! できるのだ!」
やたら気合いを込めて断言するこなた。
「あんた、そんなにキスがしたいのか……?」
「ううん、違うよ」
「じゃあ何で?」
「私は“かがみと”キスがしたいんだよ」
ドが付くほど真剣な目付きでこなたが言った。
「んなっ……!?」
かがみの顔がまた真っ赤になる。
「そういうわけだから、早速練習を兼ねた実践をしてみようか」
「だっ、だっ、誰がするか――っ!!」
沸騰しそうな気持ちを、雄叫びに変えてツッコミを入れるかがみであった。
「ふ~ん……そんな理由で人の唇奪おうとしたんだ」
「わ、悪かったわよ」
「ごめんで済めば修正パッチはいらない!」
「何だその喩え。……じゃあどうしろっていうのよ」
「それじゃあ、今度はかがみからして」
「何を?」
「だーかーら」
んー、とこなたが唇を突き出す。
「なっ、ばっ……何でそんなこと……!」
「さっきは自分でしようとしたじゃん」
「それは、あんたが寝てたから、悪戯みたいなつもりで……」
「じゃあこれも悪戯のつもりでいいからさ」
「そんなの……」
こなたはもう何も言わず、じっとかがみが来るのを待っている。
(あーもうっ、どうしろっていうのよ……!)
にっちもさっちもいかない状況に頭を抱えるかがみ。こなたがこういう態度を取る以上、キスしなければ本気で許してくれないだろう。
「……し、仕方ないわね……」
台詞だけは威勢良く、小刻みに震えながらこなたの肩に手を置く。
「すー、はー……」
深呼吸を一回、二回。そして、
「……えいっ!」
躊躇いを捨て、一気に勢いを付けてこなたの唇に自分のそれを重ねた。
ガチッ、と硬い音が部屋に響く。
「痛っ……」
歯と歯を打ったらしい。痛みに口を押さえる。こなたの方も痛そうに口を押さえていた。
「か、重ね重ねごめんこなた……大丈夫?」
「ん……いや、これはこれで萌えかも……痛たた」
少し涙を滲ませながら、それでもこなたは嬉しそうに笑う。
「次からは優しくできるようになってね」
「そりゃ……って、次からなんてできるわけないだろ!」
「できる! できるのだ!」
やたら気合いを込めて断言するこなた。
「あんた、そんなにキスがしたいのか……?」
「ううん、違うよ」
「じゃあ何で?」
「私は“かがみと”キスがしたいんだよ」
ドが付くほど真剣な目付きでこなたが言った。
「んなっ……!?」
かがみの顔がまた真っ赤になる。
「そういうわけだから、早速練習を兼ねた実践をしてみようか」
「だっ、だっ、誰がするか――っ!!」
沸騰しそうな気持ちを、雄叫びに変えてツッコミを入れるかがみであった。
おわり
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- GJ!!(≧∀≦)b -- 名無しさん (2023-04-03 04:56:50)
- 燃えた!って違う萌えた!!
-- kk (2010-04-10 22:14:57) - エクセレント!! -- 名無し (2010-04-10 20:06:13)