想いの一方通行の続き
「ただいまー」
玄関にはかがみの挨拶だけが響く。家には誰もいない。まだ夕方にもなっておらず、誰も帰っていない。
リビングで簡単に着替えを済ませ、すぐに自分の部屋へ。さっき買った新刊を読むためだ。
部屋に入ると扉を閉め、そのままベッドにダイブする。鞄から本を取り出し、早速読み始める。
リビングで簡単に着替えを済ませ、すぐに自分の部屋へ。さっき買った新刊を読むためだ。
部屋に入ると扉を閉め、そのままベッドにダイブする。鞄から本を取り出し、早速読み始める。
普通の女子高生たちが普通に送る、何の変哲も無い学校生活。
かがみは懐かしさからこの本を気に入ったが、正直、今時こういうのは売れないんじゃないかと思っていた。
表紙や挿し絵にいわゆる【萌えキャラ】を使い、ヒロインと最終的にくっつくという王道ストーリーが今は受けるのではないかとも。
要するに、かがみが少しだけ古いタイプの人間という訳だった。
かがみは懐かしさからこの本を気に入ったが、正直、今時こういうのは売れないんじゃないかと思っていた。
表紙や挿し絵にいわゆる【萌えキャラ】を使い、ヒロインと最終的にくっつくという王道ストーリーが今は受けるのではないかとも。
要するに、かがみが少しだけ古いタイプの人間という訳だった。
(話の構成は具体的でしっかりしてるし、内容も分かりやすいから人気もあるのかもね)
母が帰宅し、夕食の支度ができる頃にはかがみは既に読み終わっており、買った時についてきたチラシや広告に目を通していた。
眺めてはページをめくり、また眺める。何度かそれを繰り返しながら、かがみはある宣伝に目を留めた。
眺めてはページをめくり、また眺める。何度かそれを繰り返しながら、かがみはある宣伝に目を留めた。
「うそ、この本アニメ化するのっ!?」
「ただいまー」
「ただいまー」
かがみが素っ頓狂な声を上げたと同時に、つかさが帰ってきた。すぐに階段を上ってくる足音。まずい、聞かれた・・。
「お姉ちゃん、ただいま。大きな声が聞こえたけどどうかしたの?」
「あ、お帰りつかさ。ううん、別に何でもないよ。」
「ふうん。あ、そうだ。お姉ちゃん宛に、こんなものが届いてたよ」
「あ、お帰りつかさ。ううん、別に何でもないよ。」
「ふうん。あ、そうだ。お姉ちゃん宛に、こんなものが届いてたよ」
差し出されたのは、一通の封筒。おそらくダイレクトメールかと思われる。
「またダイレクトメール? つかさ、それ捨てといて」
「中身も見ずに早いよ~! 見てから捨てたってバチは当たらないと思うけどなあ」
「中身も見ずに早いよ~! 見てから捨てたってバチは当たらないと思うけどなあ」
と言いながら、つかさは勝手に封を開け始めていた。
チラシに目を戻して、かがみがページをめくろうとした時、今度はつかさが声を張り上げた。
チラシに目を戻して、かがみがページをめくろうとした時、今度はつかさが声を張り上げた。
「すごーい! お姉ちゃん、試写会の招待状だって!」
「んーはいはい、試写会は捨てとい・・ちょっと待って!」
「んーはいはい、試写会は捨てとい・・ちょっと待って!」
かがみは立ち上がり、つかさの後ろから覗き込む。
そこには、かがみの名前と日程、試写会に招待する旨の文章が書かれていた。・・こんなのが当たる懸賞か何かに、応募したっけ?
そこには、かがみの名前と日程、試写会に招待する旨の文章が書かれていた。・・こんなのが当たる懸賞か何かに、応募したっけ?
「いいなあ、試写会ー。私、まだそういうの行った事無いんだよ・・一緒に行きたかったなー」
「何言ってんの、一緒に行きましょうよ。試写会の招待状って、普通はペア招待なんだから。 ・・あれ?」
「何言ってんの、一緒に行きましょうよ。試写会の招待状って、普通はペア招待なんだから。 ・・あれ?」
書かれてあるのはかがみの名前だけ。ほかには誰の名前も書かれてない。つまり、これはかがみ個人への招待状という事になる。
「・・つかさ、残念だったわね。後で感想とか教えてあげるから我慢して、ね?」
「それは別にいいけど、やっぱりいいなー」
「くさらないの。で、肝心の内容はどんなのだろ・・?」
「それは別にいいけど、やっぱりいいなー」
「くさらないの。で、肝心の内容はどんなのだろ・・?」
もう一度、柊家から甲高い声が聞こえてくる。あのライトノベルの、アニメ化記念試写会の招待状だった。
6月30日、日曜日。天候・・曇りのち晴れ。
少しばかり影が差した大通りを、かがみは歩いていた。先日届いた招待状に書かれていた、試写会が行われる日である。
少しばかり影が差した大通りを、かがみは歩いていた。先日届いた招待状に書かれていた、試写会が行われる日である。
(正直、届いた理由が分からないのよね・・アンケートに答えたわけでもないし、それらしい懸賞にも応募してないし)
怪しいといえば怪しい。社名も差出人も書かれていない、ダイレクトメール風の封筒に入れられただけの紙切れ。
本当は行こうかどうか迷ったのだが、せっかくもらったんだからとつかさに背中を押され、そのまま出てきてしまった。
本当は行こうかどうか迷ったのだが、せっかくもらったんだからとつかさに背中を押され、そのまま出てきてしまった。
(ま、いいか。つかさには感想聞かせるって言っちゃったし、話の種くらいにはなるわよね)
電車を乗り継いで数十分、そこから徒歩でまた数十分。
試写会の会場は、市民会館の様な普通の建物に見えた。その場所が町外れでなく、老朽化が進んでさえいなければ。
一瞬かがみは場所を間違えたのかと思ったが、入り口の自動ドアの脇の簡易掲示板を見て安心した。
試写会の会場は、市民会館の様な普通の建物に見えた。その場所が町外れでなく、老朽化が進んでさえいなければ。
一瞬かがみは場所を間違えたのかと思ったが、入り口の自動ドアの脇の簡易掲示板を見て安心した。
【○○ 記念試写会 会場 柊 かがみ様】
小さな不ぞろいの文字でそれは書かれていて、その横には道案内の質素な地図もチョークで添えられていた。
かがみは一通り確認すると、建物の中に入っていった。
かがみは一通り確認すると、建物の中に入っていった。
案内された場所はすぐに見つかった。映画館の雰囲気にも似た、スクリーンと照明。幕は端っこが少しめくれている。
100席ほどある中のひとつにかがみは腰を下ろし、周りを見渡した。 ―まだ誰も来てないのかな。ちょっと早すぎたかも。
上映時間まで、あと20分あまり。薄暗い中、かがみはあらすじを確認しておこうと思い、持ってきた本にざっと目を通す。
だが、時間が来ても、かがみ以外の人間はそこにはいなかった。幕がゆっくりと上がる。
100席ほどある中のひとつにかがみは腰を下ろし、周りを見渡した。 ―まだ誰も来てないのかな。ちょっと早すぎたかも。
上映時間まで、あと20分あまり。薄暗い中、かがみはあらすじを確認しておこうと思い、持ってきた本にざっと目を通す。
だが、時間が来ても、かがみ以外の人間はそこにはいなかった。幕がゆっくりと上がる。
何度も何度も繰り返し読み続けた、お気に入りの1冊。
長い連載を続け、本当に少しずつだが人気を獲得し、今では殆どの人がこの本を知っている。
普通の学校生活に、歳相応な会話、誰もが望む平凡な日常、そんな風景を描いた原作が、アニメ化される。
その前段階といった位置づけの試写会、それは思いのほか面白かった。
長い連載を続け、本当に少しずつだが人気を獲得し、今では殆どの人がこの本を知っている。
普通の学校生活に、歳相応な会話、誰もが望む平凡な日常、そんな風景を描いた原作が、アニメ化される。
その前段階といった位置づけの試写会、それは思いのほか面白かった。
―うんうん、皆やったわよねこういう事。 え、嘘、どうしてそんな事言えるかなあ?
どこにでもいるいる、こんな考え方する人。 あはは、やっぱり怒られたー。
私も、昔はこうだったのかな―
どこにでもいるいる、こんな考え方する人。 あはは、やっぱり怒られたー。
私も、昔はこうだったのかな―
ブザーが鳴り、幕が静かに下りる。ほんのりと明るくなった照明の下で、かがみは拍手を送っていた。
久しぶりに喜怒哀楽を表に出し、全てを素直に感じられた。そんな生き生きとした表情だった。
久しぶりに喜怒哀楽を表に出し、全てを素直に感じられた。そんな生き生きとした表情だった。
「なかなか面白かったわよ! 初期からのファンの私が言うんだから間違いは無いわよ!」
―つい声が出てしまう。これはいいアニメになりそうだ。他の皆にも見せたかったな。
つかさは感情移入しすぎて手がつけられなくなりそうね・・みゆきとは原作と両方からしっかり感想語り合いたいな。
こなたは・・・・あいつは割と何でも言うから、批判もしそうね。ラノベとは世界観が違うんだよ! とか言っちゃって。
で、そこで私がすぐ反対するのよね―
つかさは感情移入しすぎて手がつけられなくなりそうね・・みゆきとは原作と両方からしっかり感想語り合いたいな。
こなたは・・・・あいつは割と何でも言うから、批判もしそうね。ラノベとは世界観が違うんだよ! とか言っちゃって。
で、そこで私がすぐ反対するのよね―
そんな事を考えながら、かがみはしばらくぼうっと座っていた。この余韻に、もっと浸っていたかった。
・・うん、そろそろ帰ろう。つかさにも教えてあげなきゃいけないし。
そう思って立ち上がろうとした時、通路につながるドアが開いた。ここの人間か、もしくはこの試写会の関係者か。
受付には誰もおらず、電気も点いていなかった。担当の人がいなかったか、貸切なのだろう。おそらくこの人は、関係者だ。
まずはお礼を言って、ついでに私しか呼ばれてない訳も聞いてみようと、かがみは向き直りながら口を開いた。
・・うん、そろそろ帰ろう。つかさにも教えてあげなきゃいけないし。
そう思って立ち上がろうとした時、通路につながるドアが開いた。ここの人間か、もしくはこの試写会の関係者か。
受付には誰もおらず、電気も点いていなかった。担当の人がいなかったか、貸切なのだろう。おそらくこの人は、関係者だ。
まずはお礼を言って、ついでに私しか呼ばれてない訳も聞いてみようと、かがみは向き直りながら口を開いた。
「本日は、記念試写会にご招待いただき、真にありが――」
振り向いた姿勢のまま、かがみは目を見開いて硬直していた。
およそ適齢には見えない身長。足元まで伸びた長く青い髪、頭の先から1本はねたアホ毛。吸い込まれそうなほど透き通った大きな目。
あの頃となんら変わる事なく、泉 こなたはそこに立っていた。
およそ適齢には見えない身長。足元まで伸びた長く青い髪、頭の先から1本はねたアホ毛。吸い込まれそうなほど透き通った大きな目。
あの頃となんら変わる事なく、泉 こなたはそこに立っていた。
「本日はご来場いただき、真にありがとうございました。 って私のセリフじゃないね。久しぶり、かがみん」
「――あんた・・こなた? 本当に、こなた?」
「そうだよ、私だよ。いくら長い間顔を合わせてないからって忘れる事はないじゃん。私はこれでも―」
「・・一体、今まで、どこで何をしてたの? 勝手に家出ていなくなって・・心配したんだよ?」
「――あんた・・こなた? 本当に、こなた?」
「そうだよ、私だよ。いくら長い間顔を合わせてないからって忘れる事はないじゃん。私はこれでも―」
「・・一体、今まで、どこで何をしてたの? 勝手に家出ていなくなって・・心配したんだよ?」
かがみは、こなたの目を見つめながら、泣きそうな声で言った。かがみの目からは、すでに涙が溢れ出しそうになっている。
こなたに会えた嬉しさと、今まで我慢してきた寂しさが一気に膨れ上がってしまったようだ。
しかしこなたは、反省するというよりは、どこかバツが悪そうに頭をかく。まるで、悪戯がばれて叱られている子供みたいに。
こなたに会えた嬉しさと、今まで我慢してきた寂しさが一気に膨れ上がってしまったようだ。
しかしこなたは、反省するというよりは、どこかバツが悪そうに頭をかく。まるで、悪戯がばれて叱られている子供みたいに。
「その事は、謝るよ。ごめん。」
「今更そんな風に言われても、私は・・。もうずっと、会えないんじゃないかって思ってた・・」
「そんな事ないよ、かがみ。今だって、こうしてちゃんと話をしてるじゃん。お互いの目を見て、ね。
それに、私はかがみにまた会えるって確信してたよ。約束、したしね」
「やく・・約束?」
「うん、卒業式の日にかがみに言った、アレだよ。私とかがみだけの約束」
「今更そんな風に言われても、私は・・。もうずっと、会えないんじゃないかって思ってた・・」
「そんな事ないよ、かがみ。今だって、こうしてちゃんと話をしてるじゃん。お互いの目を見て、ね。
それに、私はかがみにまた会えるって確信してたよ。約束、したしね」
「やく・・約束?」
「うん、卒業式の日にかがみに言った、アレだよ。私とかがみだけの約束」
かがみは、あの日の記憶を手繰り寄せる。目にたまっていた涙は、少し乾きはじめていた。
―やわらかい日差し、皆の会話、こなたの言葉、急に吹き込んだ風・・そうだ。あの時、こなたが何か言っていた様な気がする。あれが、そうなの?
―やわらかい日差し、皆の会話、こなたの言葉、急に吹き込んだ風・・そうだ。あの時、こなたが何か言っていた様な気がする。あれが、そうなの?
「・・ごめん、こなた。あんたの言う約束ってやつ、私聞いてないかも知れない。風にかき消されてよく聞こえなかった・・」
「な、なんですとおおおっ!? ちょ、それはひょっとしてマジで言ってるんですか? ・・それが本当ならとんだ人生の空回りだよ・・
いや、忘れてたからかがみは心配したとか言って泣きそうになったのか・・確かに、覚えててくれたなら今頃デレ全開だったろうし・・」
「な、なんですとおおおっ!? ちょ、それはひょっとしてマジで言ってるんですか? ・・それが本当ならとんだ人生の空回りだよ・・
いや、忘れてたからかがみは心配したとか言って泣きそうになったのか・・確かに、覚えててくれたなら今頃デレ全開だったろうし・・」
こなたが、訳の分からない事を呟きながらネガティブモードに入っている。それも、かがみも見た事が無いほどのオーラをまといながら。
おそらくはこの【約束】が、こなたの今日までの行動の理由。それさえ聞かせてもらえれば・・
かがみは、こなたに対してもう怒ってはいなかった。少なくとも、その約束とやらを聞かせてもらう方が大切だと思った。
おそらくはこの【約束】が、こなたの今日までの行動の理由。それさえ聞かせてもらえれば・・
かがみは、こなたに対してもう怒ってはいなかった。少なくとも、その約束とやらを聞かせてもらう方が大切だと思った。
「ちょっと気が引けるんだけど、その時にこなたが言った約束、何だったのかもう一度教えてくれない?」
「き、聞きそびれておいてそれはないよかがみん・・」
「いいじゃない、減るもんじゃないし。それに、教えてくれたなら、許してあげない事もない。かなり不本意だけどね」
「あのセリフをまた言わせる気ですか? こっちとしては顔から火が出そうだったんだからね? かなり本気入ってたのに」
「き、聞きそびれておいてそれはないよかがみん・・」
「いいじゃない、減るもんじゃないし。それに、教えてくれたなら、許してあげない事もない。かなり不本意だけどね」
「あのセリフをまた言わせる気ですか? こっちとしては顔から火が出そうだったんだからね? かなり本気入ってたのに」
何を言いたいのかが分からないが、こなたとしては珍しくまともな言葉を口に出したのだろう。ますます聞いてみたい。
かがみ 「いいじゃない、教えなさい! お願い、このとおり!」
こなた 「あーもう、分かったよ。言いますよ言えばいいんでしょ。笑わないでよ、絶対に笑わないでよ」
こなた 「あーもう、分かったよ。言いますよ言えばいいんでしょ。笑わないでよ、絶対に笑わないでよ」
こなたは観念し、ゆっくりと深呼吸を始める。息を整えると、今度はこなたがかがみの目を見つめ、口を開いた。
――私ね、かがみと過ごした思い出を元に小説書くよ。かがみの好きなラノベでもいいや。
全部書きあがったら、読ませてあげる。 初版持って迎えに行くから、ずっと待ってて――
全部書きあがったら、読ませてあげる。 初版持って迎えに行くから、ずっと待ってて――
「・・・・何をするにも、どこに行くにもかがみはいつもついてきてくれたよね。無茶言っても、わがまま言っても。
私がからかうと、すぐムキになって怒ったりしたっけ。反対に、かがみにツッコまれると私は何も言えなかったりね。
料理苦手なのにお菓子とか作ってくれたり、文句言いながらも宿題見せてくれたり。
一緒にいて、よく分かった。かがみは、優しくて素直な女の子だなって。お世辞じゃないよ、本当だよ。
そんなかがみを毎日見てて、私は思ったんだ。かがみと、ずっと一緒に歩いていきたいって。
でも、かがみはもう将来の事を考え始めてて、そんな事言い出せなかった。言ったら、かがみはきっと悩むじゃん?
かがみがどう思ってくれてるかも分からなかったしね。だから、卒業するまで言わなかった。これがあの時の約束と、私の気持ち」
私がからかうと、すぐムキになって怒ったりしたっけ。反対に、かがみにツッコまれると私は何も言えなかったりね。
料理苦手なのにお菓子とか作ってくれたり、文句言いながらも宿題見せてくれたり。
一緒にいて、よく分かった。かがみは、優しくて素直な女の子だなって。お世辞じゃないよ、本当だよ。
そんなかがみを毎日見てて、私は思ったんだ。かがみと、ずっと一緒に歩いていきたいって。
でも、かがみはもう将来の事を考え始めてて、そんな事言い出せなかった。言ったら、かがみはきっと悩むじゃん?
かがみがどう思ってくれてるかも分からなかったしね。だから、卒業するまで言わなかった。これがあの時の約束と、私の気持ち」
一気に言うと、こなたは息をついて上を向いた。息が苦しくて反射的にそうしたのか、恥ずかしさからそうしたのかは、分からない。
―そんなガラにもない事言うから、こなた、顔真っ赤だよ。 ・・なんだ、私の片想いなんかじゃ、なかったんだね。
それにしても、聞かれても無いのにペラペラと。聞いてるこっちが恥ずかしかったでしょ。そういう所は昔から変わってないんだから。
でも、私の事、そうやって考えててくれたんだ・・・・ありがとね―
それにしても、聞かれても無いのにペラペラと。聞いてるこっちが恥ずかしかったでしょ。そういう所は昔から変わってないんだから。
でも、私の事、そうやって考えててくれたんだ・・・・ありがとね―
「・・なるほどね。そういう事なら、許してあげるわ。最後にひとつだけいい? なら1巻を出した時に帰ってくればよかったんじゃないの?」
「かがみん、読んだなら分かると思うけど、まだあの本の中の登場人物は卒業してないよね? つまりは、そういう事。
ちゃんと私たちと同じ道進ませてはじめて、完結するんだよ。 ・・なぜかメディア展開するはめにもなっちゃったしね」
「アニメ化の話にはちゃっかり食いつくんだ。どうにもしまらない約束だこと・・さっきまでのカッコいいこなたはどこに行ったのかしら」
「んふふ、このアニメの結末はね、卒業してからの私たちの事をそのまま使う予定なんだ。誰もが幸せになれる未来とは、みたいな感じでね。
・・かがみ、いい加減に涙拭いたら? せっかくのツンデレが台無しだよ」
「かがみん、読んだなら分かると思うけど、まだあの本の中の登場人物は卒業してないよね? つまりは、そういう事。
ちゃんと私たちと同じ道進ませてはじめて、完結するんだよ。 ・・なぜかメディア展開するはめにもなっちゃったしね」
「アニメ化の話にはちゃっかり食いつくんだ。どうにもしまらない約束だこと・・さっきまでのカッコいいこなたはどこに行ったのかしら」
「んふふ、このアニメの結末はね、卒業してからの私たちの事をそのまま使う予定なんだ。誰もが幸せになれる未来とは、みたいな感じでね。
・・かがみ、いい加減に涙拭いたら? せっかくのツンデレが台無しだよ」
かがみの目からは、とめどなく涙が溢れていた。さっきまでの、感情が複雑に混じりあったものではない。
言わなくても、同じ想いをお互いに抱いていた。ただそれだけで、涙の止まらない理由には十分だった。
言わなくても、同じ想いをお互いに抱いていた。ただそれだけで、涙の止まらない理由には十分だった。
「別にいいの、私の勝手でしょ。 それより、その約束とあんたの言葉は、その・・そういう意味と受け取っていいの・・かな?」
「あんな事誰かに言えると思う? かがみだから、ほかでもないかがみだから、私ははっきりと言えるんだよ。 【好きだよ】ってね」
「ま、またそんな恥ずかしい事を・・・・でも、想っててくれたんだね。よかった」
「あんな事誰かに言えると思う? かがみだから、ほかでもないかがみだから、私ははっきりと言えるんだよ。 【好きだよ】ってね」
「ま、またそんな恥ずかしい事を・・・・でも、想っててくれたんだね。よかった」
かがみは、涙の痕を残した顔で、こなたに満面の笑顔を見せながら言った。こなたは、少し照れながら、それでもかがみに微笑みかけている。
―私とこなたは、ちゃんとつながってたんだね。姿は見えなくても、想い続ければそれだけで通じ合えている。
―こなた、この本面白かったわよ。全巻、しっかり初版だから感謝しなさい。あんたに言わせれば、これもひとつの愛って事なんだよね?
―帰ってきたのなら、何より先に言わなきゃいけない言葉がある。私がずっとずっと言いたくて言えなかった、たったひとつの―
―こなた、この本面白かったわよ。全巻、しっかり初版だから感謝しなさい。あんたに言わせれば、これもひとつの愛って事なんだよね?
―帰ってきたのなら、何より先に言わなきゃいけない言葉がある。私がずっとずっと言いたくて言えなかった、たったひとつの―
『・・ただいま」「・・おかえり』
かがみの誕生日の、ちょうど1週間前。こなたからの、最高の誕生日プレゼントになった。
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- ええなぁ -- 名無しさん (2024-03-16 01:14:22)
- 良さみ -- 名無しさん (2019-12-23 15:15:45)
- 泣けるッ!。゚(゚´Д`゚)゜。
っていうかこなたが書いた小説なら読みたいカモ(●;ω;●) -- 亜美 (2010-05-12 18:03:20) - 全米が泣いた -- 名無しさん (2009-07-28 09:51:45)
- ほんま泣けるーーー!!なんか、すごい優しい気持ちになれました。 -- 名無しさん (2008-10-20 20:39:56)
- とても感動しました(T_T)すばらしい? -- 名無しさん (2008-09-24 02:29:22)
- ここで最初に読ませて貰った作品。これのおかげで沢山の良作に出会えました -- 名無しさん (2008-06-07 19:59:21)
- 話の構成が上手すぎる… -- 名無し (2008-06-07 19:27:10)
- ええ話や!
ほんまに泣けるで!
くううぅっ、 -- 名無し (2008-05-19 21:34:57) - くううぅっ、泣けるでっ!
-- dAI (2008-04-20 16:11:25) - やべえ、泣ける・・・ -- 名無しさん (2008-04-06 23:03:00)
- 眼から潮水がとまらnくぁwせdrftgyふじこlp;@:「」 -- 名無しさん (2008-03-25 14:45:38)
- 泣いた。 -- 名無しさん (2007-11-14 13:41:52)