位相について述べようかと思ったら既に過去に書いていたので、昔の文章を引っ張り出してきました。人に見せることを想定していなかったので難解で独白的なところがあります。
何より
アルカが現在のものと違います。「@~`」は単に幻字が表示されていないだけで台詞括弧のことなので、これは気になさらなくて結構です。
ユンクの文に入っているBや謎記号も同様です。
イントネーションが文字化けしているだけですので。
問題はそれ以外。
アルカが現在のものと異なっています。機能語でさえもです。修正しようかと思い、止めました。かえってこういのって貴重なんじゃないかな、と。新しいアルカはいくらでもこれから作っていけるけど、古いものは数が限られてしまうので。位相と同時にアルカの通時性が少しは伝わると良いです。
「位相例」
同じアルカといえども位相によって差が存在する。アルカの位相は年齢や社会的立場よりも個人の特性によるもののほうが大きい。個人の特性といってもその内訳は主に性別・知性・
エトゥットの3種であり、これらの条件によって位相が殆ど決定される。
尚、
制アルカの位相はそのまま
古アルカの文化を継承している。古アルカの位相は自然言語によるものではなく、
アルバシェルトによる独自のものである。当時アルバシェルトそのものは執筆中であったが、位相については言葉に関することなので、文章化こそされていないものの、早くから構想されていた。
まず大きく分けると知性が高いか否かに分けられる。これはしばしば社会的身分や礼儀作法の良悪や人間としての善悪に比例する。そこで知性なり社会的身分なりが低いものを集約して下層と呼び、その逆を上層と呼び分ける。下層の場合、もはやそれだけで言葉遣いは決定され、男女や
エトゥットという概念はほぼ反映されない。
大抵の場合、下層は
エタットが多いが、男女のばらつきは少ない。下層のアルカの特徴を挙げると、まず文法が破格である。
enの付かない接続詞を使う。関係詞の
unを省略する。
se-eというように動詞の用法しかないものを
se?(知ってるか?)というように名詞化する。
osonを
osとする。
全体的に省略が多い。
an na-i alapというときに適切な動詞を使わず、
it alapのようにいう。何でも
死生動詞を当てはめ、しかもその意味が場面ごとに異なる。総じて複雑な文を嫌い、単純な構造の文を重ね、前に言ったことを何度も強調する。
代詞が何を指すのかあやふや。同格や挿入が多く、
delをあまり使わない――など枚挙に暇がない。語彙については俗語が多く、汚い語を使う。また、語彙数がそもそも少なく、基本語でカバーしようとする。また、
感動詞の使用が多い。
音については平生から同化が激しい。労力のかかる発音はできるだけ簡素にしようとする。たとば
kad leは[kalle]のように発音され、
litlは[li'l](リッル)のようにしか聞こえない。同化が激しいため、
alpも[alb]と発音することがある。
alpと区別が付かないが、こういった順行同化も平気に行う。
アクセントは異常に強く、抑揚が激しい。総じてリズミカルで攻撃的に聞こえる。声は高めでうるさく、落ち着きがない。また、汚らしく濁声を一時的に出したりする。表現については個人的な比喩が多い。客観的で論理的な表現よりも主観的な表現を好む。誇張が多く、見聞した通り以上のことをいう。また、総じて自己中で、人の視点や客観的な視点でなく自分の視点で話を進める。これらが下層の主な特徴である。
一方、上層は共通して下層の逆をする。言い換えれば正しい
アルカを喋る。当然文法的な破格を嫌い、同化も喋りの早さに準じて行う。口調も下層よりゆっくりで総じて落ち着いた声で話す。表現は客観的で論理的である。誇張は嫌う。だが上層は男女と
エトゥットの観点で詳細が分かれる。まず男女に分かれる。その後更に
エタットと
エティットに分かれる。男の
エタットは
アルデスのような勇ましいイメージを持たれている。
強く聡明で勇気があり、何事にもくじけない精神力を持ったものとされている。普段は落ち着いた低めの響く声で話す。抑揚はそれほど強くないが、一語一語に重みがあり、自尊心や強さを聞き手に感じさせる。有事の際はよく響く大きな声で更にはっきりと明瞭に喋る。声は若干高くなる。抑揚は強まり、アクセントも強くなる。まるで群集に対するスピーチのように喋る。聞き手に強さを悟らせるような口調である。
アルデン位相 arden.wav
これに対して
エティットは
ユルグのような賢者タイプで、エタットに比べて大人しい流れるような口調で喋る。実は女の知者のエティット、即ち
ユンクとほぼ同じ喋り方である。違うのはユンク語を使わない点である。また、男である分、ユンクよりは抑揚があり、強そうな声を出す。
女の知者は
エタットだと
ユナになり、
エティットだと
ユンクになる。ともにユンク語という特殊な語彙を使う。たとえば
kokの代わりに
seteを使う。ユナは高く抑揚があるものの、下層と違って可愛らしく上品な声を出す。攻撃的でなく友好的で可愛らしい感じを聞き手に与える。
一般に
ユナは子供の喋り方に
ユンクを混ぜたような感じである。したがって比較的子供に近く、感情を優先的に直情的に述べることが多い。有事の際、つまり可愛くしていられる状況でなくなった場合でも基本は変わらない。
ただ、意思の強そうな厳格なはっきりとした物言いに声色が変わる。高さや抑揚はあまり変わらないが、やや低めになり、抑揚は増す。一語一語に重みが出て、芯の強そうなイメージを与える。
そして
ユンクは大人しく、抑揚のない話し方をする。アクセントは弱く、文末のイントネーションは
シカが多い。最もアルカで特殊な喋り方である。声はユナより低いが低音というほどではなく、しとやかな感じを与える。スピードは常にゆっくりで、焦ってもユナほど速めることはない。
ユンク位相
yunk.wav
言葉遣いは最も丁寧で、文法の破格を嫌い、頼み方なども若干婉曲気味で、相手に敬意を表わすことを気遣い、礼儀正しい振る舞いや喋り方を好む。有事の際も殆ど言い方は変わらないが、少し声を低めにし、ゆっくり噛み締めるように言葉を出す。普段ほど区切りの判らない流れる調子にはせず、少し区切るように喋る。そうして芯の強いところを見せる。
尚、上層でも下層でもない中間的な人間、中層はどっちつかずの喋り方をするが、個々人の知性・性別・エトゥットの度合いによって下層に近づいたり上層に近づいたりする。
以下は同じ位相の2人が食事に行くシーンを書いたものである。同じシーンでも位相によってこれだけ文が変わる。位相は下層と中層に上層の4種をを加えた6種を用意した。
尚、ここで挙げた例は全て極端なものである。たとえば全てのユンクがこのような喋り方をするわけではない。多少中層が混ざる。そういう点では全ての人間は中層を基準に他のいずれかの喋り方に近づいていると考えるのが妥当である。また、同一人物でも時と場合に合わせて喋り方を若干変えていくというのも当然のこととされる。
最終更新:2007年11月13日 20:19