「これは厄介なコトになったな。
書き手ロワか、さてオレはどうするべきかな……」
一つの声が響く。
それは誰に向けられたものではなく、自然と発された言葉だ。
込められた感情はとても心地よいものではない。
主催者――◆ANI2to4ndEに対する疑問、そして怒りに似た感情が見える。
そう。彼はこの状況をなげいていた。
何故、今度は自分が殺し合いをする側に立たなければならないのか。
理由が判らず、同時に自分が現在置かれているこの状況を認めるのが悔しかった。
殺し合いなどに興味はない。
観戦するだけでもあまりいい気分がするものではなく、ましてや自分が参加するなどまっぴらだ。
むざむざと退場したいとは思わないが、積極的に他者を狙いたいわけではない。
故に彼は思考を走らせる。
自分はどうするか、どう動くべきか――彼は一心に考える。
そんな時、ふと彼に声を掛ける者が一人居た。
「ねぇ、シリアスなところ悪いけどさぁ……」
「うん?どうした?」
「君、僕の支給品なんだよね……。
いや、持ち主の僕を差し置いて第一声が支給品な君ってどうなんだろう……?」
「ハッハッハッ。まあ、凄い影の薄い参加者だなぁという印象を持たれるだろう
それか支給品に初っ端の出番を取られた悲しい参加者、とかかもしれない」
「おい! そんなコトはっきり言うなよ! わかっててもへこむじゃないかあああああああああ!!」
うん、そういう事なんでした。
今までの彼はこのバトルロワイアルに用意された支給品。
本当の参加者は別に居たというわけだ。
「おっと、自己紹介がまだだったな。
オレはメカポッポ、
マルチジャンルバトルロワイアル――通称○ロワから選ばれた。
ポケットモンスターSPECIALという原作の漫画から出された支給品だ。
生憎○ロワでは、とあるトリーズナーにやられてしまったが、今、こうして再びオレは動いている。
事の顛末を知りたければ、是非○ロワのまとめwikiでも読んでくれ。
そのまま○ロワの住民になってくれたらオレとしてもとても嬉しいが、強制は出来るわけもないしこのくらいで止めておこう。
まあなんにせよ――」
「ま、まてえええええ! 長いよ! 君の説明長いよ!!
しかもまた僕より先に名前紹介しただろ!
これじゃあ、まるで僕が君の支給品みたいな扱いじゃないか……」
「じゃあ、早く言えば良いだろ。
オレのせいにしてもらっては困る」
「う、うう……じゃあ……」
確かにそうだ。
メカポッポの言う通り、紹介は早めにやった方がいいかもしれない。
その方がSSの容量も少なくて済むし。
まだ紹介すらも出来てないけどそこは気にしない。
「え、えー……恐縮ですが名簿には【輝く】フォティという名前で載ってる者です。
今はめでたく完結した、
漫画ロワで書き手やってました!」
「そりゃあ、書き手ロワなんだから書き手だろ?
判り切ってるコトは必要ないと思うが」
「ほ、ほっといてくれ! 別に良いじゃないかー!!」
「あー時間切れだ。作者の労力節約のためにもこのぐらいが限度だな。
さあ、サクサク次行くぞー」
「え、ええええええええええ!? というか君が余計な茶々を入れたせいだろおおおおおおおおおおお!?」
「あんまり叫ぶと読み手に……引かれるぞ?」
「……わ、わかりました……orz」
「こら、orzとか入れるな。色々と微妙だがこれはSSだぞ? 状態表ならまだしも一応の文章で構成しろ」
「ふぁい…………」
メカポッポの適格な突っ込みにより敢え無く彼は引き下がるしかなかった。
そう。たった今自己紹介した彼――【輝く】フォティことフォテイは既に疲弊しきった様子だ。
ロワの定石ともいえる支給品の確認作業。
これを行ったばかりに幸か不幸かフォティはメカポッポを手に入れてしまった。
その後はずーっと、今のようにメカポッポに主導権を握られている。
そしてメカポッポが声を発する。
「それでだ。お前はどういうスタンスでいくつもりだ?」
「そうだね、やっぱりロワ書き手といえども僕は殺し合いなんかしたくないよ。
取り敢えずは同じ漫画ロワ書き手の人を捜していきたいな……」
「ふむ……割と考えてはいるんだな、少しは見直した」
「いやぁ、漫画ロワでも一応投下数二位になったし、他のロワでも登場話は書いたコトあるから考えてはいるよ。
登場話のスタンス決めは大事だしね」
「そうだな。つまらない位置づけになると持て余されるか、早々に死んでしまうだろう。
いや、なにせこれは書き手ロワだ。
一定期間書かれないと、問答無用で退場されるなどの措置があるかもしれないな」
「そ、そんな不吉なコトは冗談に聞こえないから性質が悪いよ!!」
そうなのだ。
登場話でのスタンス決めは重要であろう。
完結ロワの活躍したキャラを振り返れば、登場話が秀逸だったという話は珍しくない。
そこでフォティが示した方針はたった今、彼が言った通り。
殺し合いはしたくない。
よって仲間との合流――先ずは同郷の漫画ロワ書き手の方々との合流だ。
作品の傾向、得意キャラなどまさに十人十色であったがこれだけは言える。
どの人も素晴らしく、彼ら一人でも書けてしまえば今の漫画ロワ完結はなかったかもしれない。
だから此処で死ぬべき人達ではない――いや、死なせたくはない。
故にフォティはこの殺し合いには乗らないと固く心に誓った。
しかし、そんな時またしてもメカポッポが声を掛ける。
「ところで……おまえは今、なんのキャラの姿をしてるんだ?」
「ああ、これはマシロくんだね。舞乙-HiMEのキャラだよ」
「漫画ロワに出てたのか?」
「いや、出てないけど。
でも……折角の書き手ロワなんだし、別に良いんじゃないかな」
それにどうやら僕、仮面ライダーZXにも変身できそうだし、漫画ロワ成分がないわけじゃないよ。
漫画ロワでも5回書いたし、らき☆ロワでも一応書いたことあるしね」
「……まあ、いいか。書き手ロワだし、深いツッコミは野暮なコトだろう」
「そういうこと」
マシロくんはオールロワでも出ているし、きっと大丈夫だろう。
書き手2にも自分が書いたものとは全く関係ないキャラになった参加者も居ることだし。
こういう外見決めは早いもの勝ちだと思うので、狙っていた方には申し訳ない。
交わした内容は重要な事である筈なのに、どこか軽々しい。
恐ろしい程にメタ臭が漂う会話であるが今に始まった事ではない。
「しかし、変身出来るものならば常に変身した方がいいんじゃないか?
その方が襲われても危険は少ないと思うが」
「えーマシロくんの姿をもっと真近で――、い、いやいや!
どうやら時間制限があるみたいなんだ。
十分間変身したら次の二時間は変身出来ないみたい……だから、温存しておこうと」
「……やはり何故そんなコトがわかったのかは聞かない方が良いのか?」
「うん、禁則事項です、ってやつだね」
それにだ。きっとこの瞬間かそれ以前にもこんな感じの会話をした参加者は居るだろう。
だったら問題はない。
赤信号、みんなで渡ればなんとやらというやつだ。
「じゃあ……そろそろいこうか」
「ああ、了解だ」
既にロワでは基本的な自分の状態確認は終わった。
かくして一人と一羽は共に歩きだす。
同じ漫画ロワ書き手、そして未だ見ぬ協力者と合流するために。
彼はこの先、何が待っているかわかりようのない、バトルロワイアルへ身を投じていく。
(でも、やっぱりあの最終回を一人で書ききったワンキューさんには是非会いたいよねぇ……うん)
忘れもしない。
まさに前人未到とも言えた220KB以上の漫画ロワ最終話。
支援の時はトリ付きで、あまりの興奮のあまりに感想を上手く書けなかった程だ。
その最終話を書いた人が――ワンキューがこの場に居る。
そう思えば何故か不思議と希望が湧き、同時に彼には死んで欲しくないと思った。
よって破転ことワンキューとの合流を最優先に、淡い希望を抱きながらフォティは進む。
当のワンキューが殺し合いに乗った事も知らずに。
「まあ、なんだ」
「うん?どうしたの?」
「長生き出来ればいいな、頑張れよ」
「ちょ!いきなりそんな不吉なコト言わないでええええええ!! というか君も一緒に頑張らないと!?」
「いや、俺はやはり只の支給品だからな」
「い、一気に不安が……」
前途多難そうな物語の幕がひっそりとあがっていく。
【長野県 どこかの歩道 一日目 深夜】
【【輝く】フォテイ (◆40jGqg6Boc氏)@漫画ロワ】
【状態】健康。
【装備】なし
【道具】支給品一式、不明支給品0~2
【思考】基本:殺し合いには乗らない
1:漫画ロワ書き手(ワンキュー優先)、対主催の人と合流する。
【備考】
※容姿は何故かマシロくん@漫画版舞乙-HiMEです。ちなみに男の子です。
※仮面ライダーZX@仮面ライダーSPIRITSに変身出来ます。
一回の変身は十分間持続し、次の変身には二時間の時間を要します。回数制限は特になしで。
※【輝く】の称号がどんな効果を持つかは今のところ不明です。
ネタがある人はどんどんお願いします~。
【メカポッポ@マルチジャンルバトルロワイアル】
【思考】基本:フォティについていく
※参加者の情報を持っているは不明です(○ロワでは○ロワの参加者の情報を知っていましたが)
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最終更新:2009年03月24日 13:23