拡声器話三連続でもいい、ロワとはそういうものだ

「あー、あー。マイクテスト、マイクテスト聞こえますかー?」

春も訪れようとしている昨今、未だに雪が積もっているとか積もっていないとか微妙な感じの鳥取県、大山
高台からカメラを覗けば、東部、中部、西部全てから大山を視認することができる。
そうだな、簡単に言えば鳥取の真ん中あたりに、そびえ立っている山とでも思ってもらって構わない
その美しき山頂で、先ほどまでキーボードを叩いていた一般人男性ふべは、今はパロロワおなじみのアイテム拡声器を手に持ち声を電波に乗せていた。

「あー、聞こえるでしょうか、鳥取の皆さん?」

マイクや拡声器特有の音による振動を肌で感じ、正常に作動はしているなと認識した。
元々拡声器はふべの支給品のひとつであったらしいが、何故か手馴れた感じで扱っている。

「えーっとですね。この声聞けば皆さんなら直ぐに分かると思いますが、拡声器を使っています」

ほぼ全てのロワで支給されているアイテムだけあって、そのあたりの説明は省いていく。さすが、書き手ロワ

「今のところ鳥取にいるのは……マルチロワ、サガロワ安価漫画ロワ動物ロワの書き手の方々ですね
 自分は一般学生ロワ書き手、ふべと申します。」

パソコンに目を落としながら、一方的なものではあるが慎重にまるで仕事先の上司とでも会話するかのように挨拶を交わす。

「色々とお伝えしたいことがあるのですが、まずこの声はこの鳥取県だけにしか聞こえないようです」

最初にデイバックから取り出した時に、わざわざ拡声器の横に紙が貼られていた。
『この拡声器は自分のいる都道府県全域に必ず声が届きます。逆に他の地域には一切届かないので注意』
自ロワである、一般学生ロワでは出来ない芸当だなあと感心しつつも、ふべは素直にそれを受け入れることにした。
自分の目的を達成するにはかなり有力な支給品だ、喜ぶことはあっても悲しむことなど何一つない。
それに、わざわざこんなことに嘘をつくようなロワでないと確信もあった。

「なので、自分の現在いる地点が分からない人は鳥取県のどこかだと思ってもらって構いません
 一人一人の詳細地域を教えることもできるのですが、マーダーが向かっては困ると思うので特には言いません
 で、本命の自分が伝えたいことですが……あっ!すいません。その前に何かを忘れていると思っていました」

そう言うと先ほどまで作成していたと思われる数行の文章をパソコンのファイルから開いていく。

「……えーっと、まずはマルチロワさん。当然、読んでますよ、超人が沢山いる中、パラライカ姉さんや大阪が活躍してますね
 個人的には無常(笑)にも頑張ってほしかったり。自分が読むときには、自ロワにも参加していた大阪の黒っぷりにも注目させてもらっています
 マルチロワさんの印象は『ザッツ・エンターテイメント』色で言うと『虹色』なイメージ
 ……次に、サガロワさん。知っているキャラが少ないのでキャラ別SSで読ませてもらいました。
 もう、濃い!濃いくて深くて濃すぎ!って感じなほど濃いイ。昔やり込んだゲームのキャラを読み、ああこんなキャラだったなあ
 ああ、こんなゲームだったなあと思う一方、こんな設定もあったのか!と驚かされることも多々ありました。
 サガロワさんの印象は『濃厚こってりスープ』色で言うと『茶色』なイメージ
 ……次は安価漫画ロワさん。漫画の中でも中々にマイナーな作品が出ているロワですね、読んでますよー
 マイナー作品が多いだけあって、やっと出たぜ好きな作品!と伝わってくるSSが多いですね、楽しみながら書いているなーと感じました
 安価漫画さんの印象は『いいから俺の好きな漫画を読め!!』色で言うと『紫色』なイメージ
 ……最後に動物ロワさん。自分が勝手に同期ロワだと思い込んでいるロワさんですね、嫌そうな顔はせずにせめて苦笑いに留めてくれると嬉しいです
 動物ロワというだけあって人間が一人もいませんね。デイバックが開かないとかこのロワだけでしょw
 読んでいるときには微笑ましくなりがちですが、不意に訪れるロワ濃度に驚かされることも多々あります
 動物ロワさんの印象は『おいでよ、どうぶつのロワ』色で言うと『薄黄色』なイメージ」

喋っている本人は満足げなのだが、何か人間としてズレているロワ感想に、鳥取の地を踏む書き手たちのため息が今にも聞こえてきそうだ。
抽象的な感想や印象しか語っていないが、本人は至って真面目なのだ。
ふべは本来書き手個人個人に感想や印象を語っていく予定であったのだが、それでいくと同じ都道府県内に誰がいるか分かってしまうので
あくまでも拡声器による感想などは各ロワ単位に留めることにしていた。

「と自分の勝手でそれぞれのロワの感想や印象を語らせてもらいましたが……何の話でしたっけ?」

普通の日本人、大丈夫ただ忘れごとが多いだけの一般人……のはず

「そうそう、そうでした。旅の扉です……皆さん、旅の扉って知ってますか?
 ほとんどの人が知っているとは思うのですが、そこにいかないと確実に死んでしまいます
 でも、旅の扉の場所知らないですよね?勿体ぶらずに教えちゃいますね
 ズバリ、埼玉です。埼玉県に今すぐに向かってください。途中で誰かに出会った場合にも教えてあげてください、嘘はつきません。
 他にもある可能性はあるのですが、闇雲に探すよりも確実に現時点で存在する埼玉へ向かう方が合理的です
 埼玉に旅の扉がある証拠などはないですが、こればかりは自分を信じてもらうしかないです……信じてください」

信じて、その言葉に特別な意味を込めアクセントを効かせる。
ロワ内での、その単語の重さは誰もが理解している。マーダーも対主催も使うことがある。
ただでさえ、何かを果たした後でなければ簡単には届かない二文字。
顔もあわせずに複数の人を射止めることはできないだろう。
それを理解しているからこそ、せめて声だけでもと重りを乗せる。

「これ以上は特にないので終了させてもらいます……おっと一つ言い忘れてました
 ……一般学生ロワをよろしく。それでは皆さんの幸福を祈っています」

スイッチをOFFにし拡声器での長い独り言を終了させ、フゥと肩で息を吐き出す。
自分は変なことを言っていなかっただろうか?と心配もするがもう終わったこと
ポジティブにポジティブにと自分に言い聞かせ、次にやるべきことを確認していく。

(とりあえず鳥取は終了。旅の扉が埼玉だから遠い人から教えてあげた方がいいな……逆走するか)

鳥取から岡山、広島、島根、山口とうまく県境沿いに移動し拡声器を使用する。
できれば、移動する為の車やバイクもどこかで拾っておきたい。
流れとしては中国地方から九州へ向かい、最終的には沖縄までたどり着く。
そして、そこで自分の死を迎える。
最初は、勧誘が第一であったが今は自分で決めた使命を遂行することこそが一番と認識する。
勧誘など効果は知れている。それよりも宣伝の方が効率的だ。
人を旅の扉へ誘導し、ロワ感想を叫び、ついでに自ロワを宣伝する。
それこそ、ふべが最も強く望む書き手バトルロワイアル3rdであった。


しかし、彼が一つ忘れていることがある。
――ロワで拡声器といえば?


【一日目/鳥取県/大山頂上/黎明】
【ふべ@一般学生バトルロワイアル】
【状態】:
【装備】:ノートパソコン、拡声器(現在地の都道府県全域のみに声が届く)
【持物】:基本支給品、不明支給品0~1
【思考】
1、人がいる各都道府県で拡声器使用
2、県境沿いに中国地方、九州地方と渡り最終的には沖縄を目指す
3、車やバイクなど移動する為のものを探す
4、一般学生バトルロワイアルをよろしく

【備考】
 ※外見は普通の日本人


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後悔とはじまり ふべ 謎符「U.N.オーエンからの挑戦状」

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最終更新:2009年05月13日 17:10
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