「……なるほど。私の言動が癪に障ったと言うことなら謝罪しよう、すまないな。
だが私はマーダーだ。マーダーコンビは昨今のロワの華……ここは怒りを抑えて私と組んでもらえないか?」
「確かにマーダーコンビというのは人気を博しやすい。さよちうコンビもそうでしたしね」
答え――
「だが断る」
「な……っ!?」
「この私が好きなことは殺戮ではない。私の書いた第6部が珍しかった最たる部分は、『優勝者がマーダーでなく守られていたお嬢様』だったこと!
当時は『優勝エンド=分岐後のバッドエンドとして書かれたマーダー優勝エンド』な風潮だったが故に、第6部は新鮮だったんですよ。
そして最愛の人を生還させるために自ら命を絶った刹那の人気と合わさって、第6部は爆発的な人気を得たんです」
更に言うと、当時の住人には目新しかった展開に加え、言葉の選択や台詞回しの巧みさが人気の理由となっていた。
今でも『
ネギまロワ初心者が最初に読むのに薦める長編』などと言われており、ロワ単位での代表作となっている。
「ならば私のやることは一つ! 首輪の解析なんてものは出来る人間に任せて、私はひたすらお嬢様を守る!
桜咲刹那のビジュアルである私が、黒髪ロングのそこにいる少女を守る! 私がするのはそれだけだッ! 主催者など心の底からどうでもいい!」
「貴っ様ァ……! 正気でっ、正気で言っているのか? つい数秒前に出会ったばかりの会話もまったくした事のない女なんかのために!
無関係な女なんだぞ! どんな音楽が好みなのかも知らないというのに、それなのにそいつに奉仕しようというのかッ!?
奉仕対象が初対面でもいいのなら、私でも問題ないだろう!」
「出来ればこのちゃんそのまんまな方がベストだったんですが、ネギまロワにしか出ていないですしウチから他の書き手さんが出ているとは思えませんからね……
初めて出会った参加者が黒髪長髪で制服を着ている……京都弁かまでは分かりませんが、そのくらいは妥協しましょう。
何せここまで偶然が重なったのならそれはもはや必然であり、私とお嬢様がこうして主従関係になるのは天が与えし運命なのだから」
答え――②! 答え②! 答え②ッッ!!
正確には起きたわけではなかったが、それでも確かにこの窮地を救ったのは
バックストリート・ボーイズだ。
康一は彼女に感謝してもしきれない。
「ああ、そうだ。貴方はお嬢様と恋仲とかじゃありませんよね?」
今すぐバックストリート・ボーイズを抱きしめて喜びを分かち合いたい気持ちになっている康一に、作者6が話しかける。
事実恋仲ではないので「あ、はい、違います」と返事をした。
仮に恋仲であったとしても、同じ返事をしていただろう。
それほどまでに、作者6は威圧感を持っていた。
「ならば貴方も守りましょう。ですから、私とそちらのお嬢様の事を祝福して下さい。結婚にはそれが必要です」
その前に性転換が必要です。
そう思うも、言葉に出さずにただただ頷くだけの康一。
今作者6の機嫌を損ねれば、自分とバックストリート・ボーイズに待つのは死だけだ。
眠っている間に勝手に百合ップルの片割れにしてしまうのは申し訳ないが、命を落とすよりはマシだろう。
とりあえず目が覚めたら土下座くらいはしておこうと思う。
「ふん、レズ女が……非生産的なのは感心しないな。
アニロワ2ndの二匹目のドジョウでも狙っているのか?」
名無しさんが斧を振るう。狙う先は作者6。
勿論作者6はそれを自身の斧で防ぐのだが、名無しさんに力負けをしていた。
無理もない。何せ作者6の外見である桜咲刹那は剣士であり、斧の扱いはほぼ素人。
対する名無しさんの外見であるリドリーは、斧を専用武器に戦う騎士なのである。
体格は両者共華奢な少女だが、二人とも体格が攻撃力に直結しない世界から来ているので問題にはならない。
大事なのは如何にその武器を扱い慣れているのかと、必殺技を持っているか否かだ。
「レズじゃない、百合だッ! それにネギまロワの百合は昔からの伝統です、百合濃度は他の追随を許しませんよ。
勿論、リレーでパヤパヤを完成させた点は素直に評価していますが」
名無しさんの放った『斬り下ろし』――リドリーの技の一つだ――は、斧の重さを利用している。
作者6の余裕の表情とは裏腹に、どちらが押しているかは一目瞭然だった。
力だけでなく、技術の面でも名無しさんの方に分があるのだ。
その差はすぐに現れる。
名無しさんの蹴りが作者6の鳩尾に入り、作者6は斧を取りこぼして数メートルほど吹き飛ばされた。
「やれやれ、やはり使い慣れない斧では勝負になりませんか……あ、援護はいらないので大人しくしてていいですよ」
立ち上がると同時に後方に飛び、追撃の木こり斬りを紙一重で回避。そしてデイパックに手を突っ込む作者6。
援護するため足を氷ごと破壊すべきか考えた康一に釘を刺し、新たな武器を取り出した。
それは――
「ダジャレのつもりか知らないがそんなもので防げると思うなッ! 終わりだ!」
作者6は『ネギ』で斧を受け流す。勿論ネギまの主人公ではなく食料品のネギでである。
ネギ自体は初音ミクの影響でいくつかのロワに出ているため、パロロワ界で最もメジャーな野菜かもしれない。
「何!?」
「ネギまロワは単一作者。カオスなもので戦おうが何しようが、決してNGにはならない世界」
渾身の一撃を受け流され、バランスを崩した名無しさん。
彼女の顔面に作者6の肘が叩き込まれる。
「スロークイックという点でも、投下0か完結まで途切れないかの私達が最強でしょう。貴女が勝てる道理はない」
そして、作者6は瞬動を使ってよろける名無しさんの背後に回る。
のけぞるようにして倒れかけていた名無しさんの後頭部に、今度は蹴りをお見舞いした。
そして――
「そういう点では、ネギまロワはパロロワより俗に言うキャラバトの方に近いのかもしれませんね。
個人サイトでネギまロワを支援している所も多いですし、他のネギまスレとも繋がりが強いですから。
あくまでも『ネギまの二次創作の一つ』ということでしょう」
そして作者6は、前のめりに倒れる名無しさんの下半身へと手を伸ばす。
倒れる際にスカートが捲れていたため、左手で簡単に彼女のぱんつを掴む事が出来た。
そのまま一気にぱんつを膝まで引きずり落とす。
当然名無しさんの尻は丸出しになったのだが、これを書いている人間にはエロ描写をするだけの能力がないので尻の描写は省かせて頂く。
「だからでしょうね。カップリングネタをはじめ、他のネギまスレネタが度々登場するんですよ。
特に長編投下と長編投下のインターバルに行われる短編投下の期間には、他スレのパロディな一発ネタがよく投下されます。
例えば、こんなのが」
ぱんつを引きずりおろした左手は、その勢いのまま己の腰の左側に。
ネギを持っている右手もまた、勢いよく腰の右側に引き寄せる。
そして体のバネを使い、ネギを――
「アナr「あれは零式!(牙突的な意味で)」
「ひぎぃっ!」
零距離から放たれたネギは、正確に名無しさんの【自主規制】へと突き刺さる。
それはもう凄い勢いでブッスリとイった。
衝撃で名無しさんが数メートルほど斜め上方向に吹き飛んだ程の威力だ
数メートルの上昇移動を経て胸から地面にダイブした名無しさんに、作者6は勝ち誇ったような笑みを向ける。
事実、作者6の勝利は疑いようがないだろう。
康一から大分離れた場所まで吹き飛んで行ったにも関わらず、名無しさんが痙攣しているのが康一にも見えた。
「尻葱――ネギまスレにおける最強技です。
まあ、那波さんの外見じゃないせいで命までは奪えないみたいですが、それでも剣士である刹那の体から放たれたんです、立ち上がることは不可能でしょう」
那波千鶴。ネギまの登場人物の一人。
犬上小太郎の尻にネギを刺そうとした事があり、また年齢の話になるとギャグ描写で最強の戦闘力を発揮する事から、ネギま系スレでは尻にネギを刺すキャラとして定着している。
そのため、短編の一発ギャグや雑談で千鶴にネギを支給するというネタがかなり出ていた。
ネギまロワ住人にとっても、『尻葱=殺し合いで十分勝ち残れるだけの最強技』なのである。
(痛い痛い痛いィィィィィッ! ちくしょおおおお、あの女アアアアアアッ)
滲む視界。痛む尻。鯉のようにパクつく口。立ち上がろうにも足には力が入らない。
どう考えても名無しさんを待つのは死だ。
作者6が敵を生かしておくような人間じゃないことは先程の会話でよく分かっている。
だから、悔しいが名無しさんは逃走を選ぶ。
一話で死んでしまっては「もしかしたら繋いでもらえるかもしれない」という僅かな希望も持てなくなってしまうのだから。
「安心して下さい、今楽にしてあげますから」
なめくじのようにゆっくりと這って逃げようとする名無しさんに、死の宣告を言い渡す。
優勝エンドを書いたこともある作者6だが、彼女の作品でマーダーが生還したことなどない。
役目を終えたマーダーは殺す。一人でプロットをつくるネギまロワにおいては基本中の基本である。
獲物に逃げられたわけでもなく、不利と見て撤退したわけでもなく、完膚なきまでにやられたマーダー。
だらだらと生き伸びていても仕方がない。ここで退場するのが自然な流れ。少なくともマーダー不足の心配がない単一作者ロワならば。
「無駄な抵抗は止めた方がいいですよ。私と貴女では格が違う。
貴女が、いや貴女達が数年かけても未だ成せない完結を、私は一人で2度も成し遂げているんですから」
そう言い、作者6は先程取りこぼした斧を拾い上げる。
ちなみにこの斧の名前はビルキース。地味に愛がアップする斧。
原作で完全な百合っ娘になってしまったお嬢様大好き刹那さんの盲目的な愛を、この斧は助長してしまう。
「くっ……くくっ……ふははははうっ」
名無しさんが嗤う。痛さのあまり間抜けな笑い声ではあるが。
名無しさんが作者6を睨みつける。涙目なため迫力は無いが、それでもしっかりと睨みつける。
その手に自ロワ出典の支給品を握りしめて。
「確かに、今の私は勝てないだろうな……腹立たしいが認めてやらないこともない。だがッ」
名無しさんの手に何かが握られていると気付いてから作者6が動くまで、若干のタイムラグがあった。
ビルキースの効果でお嬢様=バックストリート・ボーイズへの想いが再び高まったことがその原因である。
先程まではさっさと殺すと思っていたにも関わらず、再びビルキースを手にした事で「お嬢様を嬲ったコイツをあっさり楽にしていいのか?」という思考が生まれてしまったのだ。
どうすべきか考えていたせいで反応は遅れ、そしてその反応の遅れが名無しさんの命を救うことになる。
「私は死なない。勝てなくとも決して負けたりなどしない。脳死脳死と貶されながらも生き延びてるのは伊達ではないッ!
今回は引き分けということにさせてもらう……だが、いいか、AAA書き手は諦めが悪いぞ……
次に会った時を覚えておくがいい! 『韋駄天』ッ!!!」
AAAロワにおいてチェスターが使用した脱出アイテム・韋駄天。
これを使うと戦場から離れた場所まで超スピードで移動させられる。
自分では行き先や速度をコントロールできないが、それでもこのまま場にいるよりはマシだろう。
そう考え、しっかりと自分の斧――これは
DQロワの『鋼鉄の斧』だ――とデイパックを握りしめると韋駄天を使用した。
「クソッ! 待て!」
追いかけようと作者6が踏み出した時、すでに名無しさんは見えない場所まで飛んで行っていた。
今から行っても追い付く事は不可能だろう。
手にしていたのが使い慣れない斧ではなく日本刀の類だったら、あるいは斬撃を飛ばしてとどめを刺せていたかもしれない。
だが実際に今の作者6に出来る事は、名無しさんの去った方向を睨みつける事だけだ。
「逃げられちゃいましたか?」
「はい……申し訳ありません」
「いや、僕としては命が助かっただけで十分です」
露骨に顔を歪める作者6を慰めようと康一が声をかける。
それでも作者6は溜め息を吐き、バックストリート・ボーイズの前で跪いた。
「ですがやはり、お嬢様をこのような目に遭わせた輩を逃がしてしまったとあっては……」
そして、作者6は頭を下げる。
地面擦れ擦れまで頭を垂れ、そして――
「本当に申し訳ありませんお嬢様」
バックストリート・ボーイズのスカートへと顔面を潜り込ませた。
「なっ! 何をするだァーーーーーッ」
康一の声を無視し、奥へ奥へと顔を進める作者6。
スカートの盛り上がっている位置が徐々に股間へと近付いている事に不安を覚えざるを得ない。
「いえ……せめてものお詫びに傷を舐めてさしあげようかと……
ふぅ、むぅんんっ……んちゅ、ふぅん、レロレロレロレロ」
「ちょ、おま、怪我を舐めたら治るなんてのは迷信みたいなものですって!」
「はぁっ……ちゅちゅう……んちゅぅっ……ちゅぷるっ……お嬢様のココ美味しいですよ……」
「おいぃぃぃぃぃぃ傷口舐めるのもアレだがそれ以上におかしな言い回しするんじゃねえええええええッ」
足の氷を叩き割ってでも止めるべきか――割と真剣にそう考える康一に、作者6はデイパックを投げ渡す。
顔面はスカートに突っ込んだままだというのに、デイパックは正確に胸元へと飛んできた。
「そこに……ずじゅる……花火セットが入っています……んふっ……
それで……ぢゅるる……っ……足の氷を……んんっ……溶かしてくだs「分かったから舐めるのやめろォォォォォォ」
若干顔を赤らめながら康一はデイパックから花火セットを取り出す。
足を火傷しないか心配だが、放っておくと霜焼けにでもなりかねない。
花火で慎重に炙り、氷を溶かすしかないだろう。
「やめるなんて……はむっはむっ……できませんよ……んはぁ……
これは、んっ、治療と同時に目覚めを……ちゅぱっちゅぱっ……促す行為……あむあむ……なんですから……ちゅぼぼぼつ」
「じゃあせめてその手だけは何とかしろォーーーーーーーッ」
叫びながら慌てて花火に火を点ける。
作者6が自身の下半身に右手を持ってきてしまった以上、急いで止めないと自分の冒険がここで終わりかねないのだ(色々な事情で)
「ああ……お嬢様お嬢様お嬢様アアアアアアアアアアはぁぁぁぁぁぁぁん!!」
「うるせェェェェェ空気を読めーーー!」
頑張れ康一!
負けるな康一!
バックストリート・ボーイズの貞そ……命運は君の手にかかっているぞ!
【一日目・深夜/北海道 洞爺湖周辺】
【
広瀬康一@ジョジョロワ2nd】
【状態】現在足が凍結中、中程度のダメージ、額から出血
【装備】ブラックダイア@
サガロワ
【道具】支給品一式、救命ボート@スクランロワ、花火セット@
一般学生ロワ、不明支給品×0~1(パッと見武器になりそうな物はない)
【思考】
基本:みんなで脱出する
1:自分とジョジョロワの人間を優先して守る
2:「氷を溶かす」「作者6も止める」両方やらなくっちゃあならないのが(ry
※外見は広瀬康です
【バックストリート・ボーイズ@ジョジョロワ2nd】
【状態】気絶、全身に死にはしない程度の相当なダメージ、濡れ鼠
【装備】なし
【道具】支給品一式、不明支給品×0~2(パッと見武器になりそうな物はない)
【思考】
基本:オシャレにCOOLに主催を倒す
1:気絶中
※外見は巨乳の山岸由花子です
※部分的に記憶が飛んでいるようですが、その大半はどうでもいい記憶に関することのようです
※スーパーキノコ@ゲームキャラロワは消費しました
【作者6@ネギまロワ】
【状態】(*´Д`)ハァハァ
【装備】ビルキース@サガロワ
【道具】支給品一式
【思考】
基本:命に代えてもお嬢様(=バックストリート・ボーイズ)をお守りする
1:お嬢様あああああああん
※外見は桜咲刹那です
「クソッ、次こそはこの雪辱を果たしてくれるッ」
高速で過ぎゆく景色を睨みつけ、名無しさんは悪態を吐く。
逃走間際に強がってはみたものの、やはり悔しくて堪らなかった。
韋駄天は戦闘から100%逃げ切れるアイテムなので、再遭遇は当分の間ないだろう。
時間はあるのだ、次会うまでには武器を取り揃えておきたい。
「なうっ!?」
と、ここで名無しさんに電流が走る。
ザババババババと音を立て、下半身が水を切っていた。
――ここは内浦湾。洞爺湖から南下すると避けては通れない場所である。
「にゃあああああああ!! 痛い痛い痛いってばあああああ!!!」
ただでさえヒリヒリ痛んでいる尻に、ものすっごい水圧が。
まさに強制ウォシュレット。まさに地獄の苦しみである。
「いああああああッ! 刺さるっ、奥まで入ってくるううううううううっ!!」
水圧で徐々に押し込まれてくるネギ。
脱出後ゆっくり抜こうと考えていたのが誤りだった。
絵的にアウトなこともあり、今すぐ抜かねばならないだろう。
「ん……くぅ……はああああああっぐ」
全力でネギを握るも、体勢が苦しい事もあってなかなか引っこ抜くことが出来ない。
これ以上入って行かないのが救いではあるが、何とかしないと年齢制限に引っ掛かって存在自体を抹消されてしまう。
そんな最高に目立てない終わり方は絶対に御免である。
とはいえ、水圧が強すぎるせいで安全な体位に変えることすらままならない。
「誰に……誰になれば……」
力が強いキャラにでも変化しようと考えるが、途中である事実に気が付いてしまう。
「しまった……! 今のままぱんつを履くことになったら……ッ!」
そう、変身しても負った傷や支給品が消えることは決してないが、元キャラの衣装については総入れ替えが行われるのだ。
つまり、今変身すると足首に引っ掛かっていた(そして内浦湾に入った瞬間どこかに飛んで行った)ぱんつは尻にフィットした状況で復活してくるのだ。
勿論スカートもズボンになるので、力の強い男キャラに変化するとズボン&ぱんつによって一気にネギは押し込まれることになる。
「アレを……アレを使うしかないと言うのか……ッ!」
名無しさんは、多くの書き手の融合体のようなもの。頭脳戦に長けた書き手の魂をも持つ。
故にこの状況を打破する策は浮かんでいるが、それは本当に最後の最後にならないと使いたくないような策だ。
「ら、らめええぇぇ……こ、これ以上は……っ!」
水圧は徐々に増し、レッドゾーンに片足を突っ込み始める。
これ以上は不味い。最後の手段を用いてでも何とかしないと人として終わる。
「畜生! 畜生畜生畜生ッ!」
両手を離す。これは賭けだ。負ければ自分は全てを失う。だが、避けて通るわけにはいかない。
手が離れネギはゆっくりと侵入を再開する。
急いで、それでいて風圧で取りこぼさぬよう慎重に、名無しさんはデイパックから包丁を取り出す。
アイテムクリエーション用のアイテムだと思い、しまいっぱなしにしておいた調理道具。
まさかそれがこんな形で日の目を見るとは思わなかった。
「アイテムクリエーション・『調理』ッ!」
涙目になりながら、というか実際ポロポロと涙を零しながら、名無しさんは高らかと叫ぶ。
そして尻へと侵入を続けるネギに刃先を合わせ、ネギを次々に切り刻んでいく。
「トライア様……どうか私に力をッ!!」
アイテムクリエーションとは、食材一個で複雑な料理を生成するアクロバットな技である。
これを終えた後は、その成否に関係なく、使った食材は跡形もなく消え去る。
そう、このネギは跡形もなく消え去ってくれるのだ!
「ぽぺらっ!?」
ズガンという音を立て、腰のあたりに激痛が走る。次いで視界がクルクルと回転し始めた。
どうやら内浦湾を出る際に陸地との境界面で腰をぶつけてしまったらしい。
その勢いで縦方向に回転しながら吹き飛び続けているようだ。
「はぐう!」
そして空中をくるくる舞う作業が終わり、名無しさんは地面へと叩きつけられる。
所謂雌豹のポーズであるが、恥ずかしいとか言ってる場合ではなかった。
「た、助か……うぷっ」
異物が消えたことに歓喜し思わず立ち上がったところで縦回転による酔いが来た。
慌てて口を押さえ辺りを見渡す。運のいい事にトイレはすぐに見つかった。
「…………!?」
だがしかし、足に力が入らない。腰が痛くて動けない。
それもこれも、作者6が尻葱なんぞをやってきたせいだ。
(吐くか!? 嘔吐はロワではよくあることだ、いっそここで吐いてしまうか!?)
『吐いて楽になる』という選択肢が頭に過ぎる。
だがしかし、名無しさんは頭を振ってその選択肢を打ち消した。
AAAロワには戦闘慣れした参加者のみしか存在していない。
故に、死体などを見て嘔吐するキャラはいないのだ。いたとしても、嘔吐がネタにされるほど目立つことはなかった。
それが名無しさんに『嘔吐は目立てない上に戦士らしさを損なわせる最低の行為』という印象を与えているのだ。
(頑張れ私……ファイトだ自分……これが終わったら頑張った自分へのご褒美としてスイーツでも食べよう……)
疲れた体を励ましながら、鋼鉄の斧を使い這うようにしてトイレへと向かう。
お世辞にも衛生的とは呼べない公衆トイレの中もほとんど匍匐前進で移動し、なんとか個室へと辿り着いた。
【全年齢板なため、レディがトイレを使用している時の描写はできません】
「ふう……なんとか……間に合った、か……」
便器に寄り掛かり溜め息を吐く。
この個室で何をしたのか書かれなかった――それだけで這って来た甲斐があったというものだ。
吐いt――いや失礼、色々あってスッキリした名無しさんは、冷静な思考を働かせ、レナに変化することで体の傷をある程度治療していた。
MPは底を突いたが移動にはもう問題ない。回復力には制限があるため尻は未だに痛んでいるが。
『もっと早くに回復できると気付いていれば、便所を這わずに済んだのに』とは考えないことにした。
「だが、参ったな……当分は苦しい戦闘を強いられるぞ」
MP0では必殺技も使えない。
再びリドリーの格好に戻ったので、必殺技を使わずとも斧でそこそこは戦える。
だがしかし、チートめいた書き手相手には苦戦すること間違いなしだ。
「ん? これは……」
万能包丁をデイパックに入れようとして気が付いた。
デイパックの中に、何やら怪しげな飲み物が入っている事に。
自分の支給品は鋼鉄の斧・万能包丁・韋駄天で全てのはずなのだが……
手にとって間もなく、それが先程のネギを『調理』したものだと分かった。
『調理』は失敗しても何かしらの形で残る。
どうせHP2%回復の『しなびたサラダ』が出来たのだろうし、自分の尻に突っ込まれたネギを食べる程の価値はないと考えて捨てる気満々だったのだが、
そこにあったのはサラダでもなければ知っている料理でもなかった。
「ハイポーション……? なるほど、全部飲み干せばMPが全回復するのか」
親切なことに、ゲーム同様調理したものには解説文が付くらしい。容器に説明文が添えられていた。
「外見がスターオーシャンキャラでなくても勢いだけでクリエーションができたんだ、原作よりもロワ優先ということだろう。
原作ゲームの料理でなく、どこかしらのロワに因んだ料理やアイテムが出来あがるのも当然か」
名無しさんは読んだ事がなかったが、パロロワにはFFやDQなど、AAA以外のRPG作品が数多く存在する。
ポーションが出来てもおかしくはない。
「しかしポーションで回復するのはHPだと思っていたが……」
一人呟きながらポーションの蓋を空ける。
恐ろしい異臭を放っているように思えたが、そんなはずないかと考え直す。
だってこれは有名RPGの回復アイテムなのだから。
「……便所飯、というやつかなこれは。気分が良いものじゃないな」
トイレの放つ異臭だろうと決め付け、名無しさんは苦笑を浮かべる。
彼女は今、独り言でジョークを言えるくらいにダメージから回復していた。
そしてそのせいで冷静な思考ができてしまい、「外に出たら視界が開けてしまう、臭いくらい我慢しよう」と考えてしまった。
外に出ていれば異臭に気付けたはずなのに、個室内でハイポーションに口をつけてしまったのだ。
そう、
ニコロワ出典のハイポーションに。
「げひゃぶーーーーーっ!!」
トイレの個室に絶叫が響き渡る。
それから間もなく白眼を剥いた名無しさんが公衆便所を飛び出した。
便器に吐けばいいのだが、そんなことすら考えられずに思わず走り出してしまう程破壊的な不味さらしい。
(ポ、ポーションが不味いと聞いてはいたが、よもやここま――――ガッ!?)
駐車場の縁石に躓くまで、彼女は全力で走り続けた。
躓いた後雌豹のポーズで硬直していたが、すぐに「こんな所でこんなポーズを取っていたら的になるだけ」と思い直して立ち上がる。
転んだ際に擦り剥きはしたが、肉体的な損傷はない。口の中が最悪な状況ではあるが、どうやらあの液体でHPを削られる事はないようだ。
「な、なかなか衝撃的な味ではないか……」
目尻に浮かんでいた涙を袖で拭い、誰にともなく強がりを呟く。
ぶっちゃけ飲み物の味ではない。
出来る事なら今すぐ全部トイレにでも流してしまいたい。
「やはりAAAのベリーやテイルズのグミのような美味しい回復アイテムの方が珍しいという事だな」
だがしかし、何やら勘違いした名無しさんは笑みを浮かべて個室へと戻っていく。
あのハイポーションはFFとは一切関係がないのだが、判断材料が少なすぎるが故に気が付けないようである。
「まあ、不味いのは厄介だが、我らがAAAの素晴らしさを再認識できただけ良しとしよう」
リアルでポーションが発売されても、AAA信者の名無しさんはポーションには手を出さなかった。
故に見た目も覚えておらず、コレを普通のハイポーションだと思っている。
そして、ブログ等の感想を思い返し、一般人に飲み干せる程度の不味さであると決めつけてしまった。
「命がかかっているんだ、飲み干すに決まっている。
それにこの手のネタドリンクは、どれだけ不味いか前情報さえ持って飲めば意外と飲めてしまうものだ」
前情報が無かったために衝撃的な不味さに思えた。それだけの事だ。――そう結論付け、名無しさんはトイレに置かれたハイポーションを再び手に取る。
そしてグイっとハイポーションを喉に通した。
「ぬわーーーーーーーーーーーっ!!」
ごきゅりと一飲み。そして絶叫。
喉を焼く塩酸のような味に、名無しさんは疾走すら出来ずその場をバタバタのたうち回る。
「ほ、ほーっ、ホアアーッ!! ホアーッ!!」
プライドだとか見栄だとかに拘っていられるレベルじゃない。
涙と鼻水で汚れ、不衛生な公衆便所を無様に転げる名無しさん。
やがてその奇声は収まり、滅茶苦茶な動きも終焉を迎える。
そしてビクビクとたっぷり一分痙攣して、それからようやく我に帰ることができた。
「な、何これえ……けふっ……こんなっ、こんなの飲めるわけないじゃない……
FFの連中は何でこんなものを美味しそうに飲めるんだ……けほっ」
涙が止まらない。肉体的なダメージは0なのだが、痙攣するレベルの不味さにすぐには立ち上がれなかった。
「何でこんなに大きっ……かふっ……こんなの全部なんて、し、死んじゃう……っ!」
ようやく立ち上がれた名無しさんの視界に、まだたっぷりと中身の残ったハイポーションが飛び込んでくる。
なかなかに大きな瓶だ。そしてまだ8割近くハイポーションは残っている。
「無理だよお……こんなっ……こんな濃くて不味いの、飲み干すなんてできないよぉ……」
彼女の心は折れてしまった。マーダーから、ただの少女に成り下がってしまった。
最終的に無残な姿で弱音を吐き、舞台を引き摺り下ろされた、AAAロワのリドリーのように。
――諦めてしまうのか?
「ら、らって……こんなの飲み物じゃ……」
鼻水を啜り、名無しさんは幻聴へと返事をする。
AAAロワのリドリーがジャックの幻覚を見たように、彼女は自ロワの書き手の幻覚を見た。
その書き手に、ハイポーションは飲み物ではなく兵器だと訴える。
――名無しさん。君は一体どうしたかったんだい?
幻覚は優しい笑顔で問いかけてきた。
私は一体、このロワで何をしたかったんだ?
「私は……私はただ、鳥付き書き手さんと――共に歩きたかった」
かつてはロワの中心だった名無しさん。
しかしいつしか誰もが
名無しを卒業し、予約もできて修正もしやすい鳥を使うようになった。
まだ鳥必須と銘打たれてはいなくても、鳥が無いといけないかのような空気になってしまっている。
そうしていつしか名無しさんは消えていった。
それ自体に不満はない。
ただ自分を、最後まで鳥を付けずにAAAロワを去った書き手を、『鳥を付けた書き手と同じくAAAロワを支えた者』として覚えていてほしかったんだ。
自分の願いはそれだけである。
そして、その願いを叶えて欲しいからこそ、この書き手ロワではAAAロワのために何としてでも目立とうと思った。
「……大きいし、変な味だし、飲み干すのは大変だけど……」
もうAAAロワを読んですらいない名無しさんも、最初から書き逃げする気満々だった名無しさんもいる。
AAAロワの雰囲気を好きになれず去った者もいるかもしれない。
そんなバラバラな書き手の魂が集い、一人の“名無しさん”として参加できた。
こんな自分達でも、AAAロワのために役に立ちたいと思えたのだ。
AAAロワの宣伝のために目立ちまくって、役に立って、「私達もAAAロワを支えたよ」と胸を張りたかったのだ。
いや、過去形ではない。“張りたい”のだ。例え地獄の苦しみを味わったとしても!
「頑張って、飲むよ……」
ああ、そうだ、やはりこれも正確ではないな。
望むだけでは駄目なのだ。“張った”なら使ってもいいのだ!
自分も、胸を張れるAAAロワ住人になるのだ!
今、ここでッ!
「これしきでヘコたれていたら、脳死認定されながらもしぶとく生き伸び続けているAAAロワの名が泣くな」
涙を拭い、口調を戻す。彼女なりの覚悟の印だ。
こんなことで心が折れていたら、まさにAAAロワのお荷物じゃないか。
叩かれても無視されても、それでも楽しそうに笑える――そんなAAA住人に、私はなりたい。
「行こう。クイック期は再び始まる。いや、始めるんだ、私がッ」
――そうだ、それでいい。酷いスロークイックはお家芸だもんな。辛い思いをしても、きっとその先には栄光が待っているさ。だから、頑張れ。ずっとずっと見守っているから――
微笑みを浮かべ、幻覚は消滅した。
もう泣いてばかりスロー期は終わり。次は栄光のクイック期だ。
これを飲み干し、MPを全回復し、目立ちに目立ちまくってやる。
「勝負だぁーーーーーっ、この命尽き果てるまで!!」
【必死の形相で飲み干す様を詳細に書くと彼女の沽券に関わるので、カットさせて頂きます】
「ぶへっ……くうっ……これで、これで終わったの……?」
肩で大きく息をしながら、ようやく空になったハイポーションの瓶を睨みつける。
実感は湧かないが、あの地獄のような不味さをもう味わわなくてもいいかと思うと、気力が湧いてくるように思えた。
なるほど、確かに精神力が全回復してもおかしくない。
「ん……?」
ティローン(SE)
『全てを飲み干さないとMPは回復しません』
「んな……!?」
名無しさんから血の気が引く。
苦労して飲み干したはずなのに、飲み干せていないとはどういうことだろうか。
RPGのようにどこからか入ったアナウンスへの抗議方法も分からず、ただ項垂れる名無しさん。
彼女の目にあるモノが映った。それは――
「ま、まさか……いや、そんな……冗談、だろ……?」
最初に飲んだ時に衝撃のあまり鼻から噴き出したハイポーション。
二度目の時に、のたうち回った際口から零れたハイポーション。
瓶の内側に僅かに残った数滴のハイポーション。
その他、雫と言っても過言ではないレベルで鼻や口から噴いてしまったハイポーション。
確かにそれらは、名無しさんの体内に取り込まれていない。
だがしかし、そんなことがあっていいのだろうか?
MP回復薬を数滴こぼしただけで回復し損ねるなどということが。
「ありえない……ありえないッ!」
鋼鉄の斧を引っ掴み、そのまま出鱈目に振り回す。
それから、必殺技を出そうと試みた。
AAAロワでは、MPが存在しない作品のキャラにもMPの項目が状態表にある。
だから、MPが0だと何の技も出せないのだ。
そして今、名無しさんはどの技も出す事が出来ていない。
AAA出身が故に、MP切れの状態では何の技も出す事ができない。
――たった数滴零しただけだというのに、MPはただの1%も回復していなかった。
「何故だッ!? 何故……おかしいだろおおおおおッ!!」
怒りを込め、やたら滅多に斧を振るう。
個室の扉を破壊して飛びだすと、手洗い場の蛇口までもを叩き壊す。
そのまま我武者羅に斧を振るい、感情のままに破壊を続けた。
「何で! あれだけ零しただけでッ! 全く効果が出なくなるッ!」
正論を吐き散らしながら行われたたった一人の暴動は、水道管を壊した際噴き出た水で濡れ鼠になることで終息した。
先程の内浦湾の件といい、水難の相でも出ているのかもしれない。
とにかく、噴き出す水に濡れながら、名無しさんはどうすべきか思考する。
と言っても、考察もこなせる名無しさんの頭は、答えをとっくに出しているのだが。
「……MPさえあれば、こんなトイレなんかっ」
通常攻撃だけの自分は思ってた以上に弱いらしい。
斧を使って暴れまわって、トイレ一つ消し飛ばせない。
こんなことではチートであろう盛況ロワには勝てないだろう。
「……今ここで投げ出したら、今までの苦労がパアになる……死ぬ想いをして飲んだ苦労が……そんなことは認められない」
ゆっくりと立ち上がり、水音を立てて元居た個室へと歩んでいく。
幸い、その個室は破裂した水道管から噴き出す水には濡れていない。
個室に入り、勢いよく斧を振るう。
それは、先程までの力任せな一撃ではなかった。
ハイポーションの瓶の口だけがスッパリと斬れる。
目標だけを綺麗に斬る、正に技の一撃である。
「あむ……んっ、んぅんっ……ぢゅっ、ぢゅるんっ……ちゅぱぁ、んちゅ………ンぱぁァ」
舌を切らないように細心の注意を払いながら、切断面から舌を入れる。
そして雫の一滴たりとも舐め残しのないように、丁寧に瓶を舐め上げた。
その独特の臭いと味にはいつまで経っても慣れないが、それでも最初の頃と比べれば幾分かスムーズに飲み込めている。
最後に自身の桜色の唇をペロリと舐め、瓶の中に残っていたハイポーションを身体の中へと完全に取りこんだ。
ピチャピチャと音を立てて、ぐしょ濡れの地面を歩き個室を出る。
その手には鋼鉄の斧。
先程の個室から遠く離れた個室の扉に、その斧を叩きつけた。
案の定、必殺技は発動しない。
金具が吹き飛び、斧の先端に突き刺さった扉がブラブラと揺れる。
それを見て、名無しさんは笑い出した。
最初は静かにクスクスと。
そしてそれは次第にボリュームを上げていく。
ふふふふふという笑い声はアハハハハという嗤いに変わる。
次の瞬間、雄叫びとともに再度斧が振り下ろされた。
今度こそ扉は完全に砕け散り、斧は再び身軽となる。
そして、顔をあげた名無しさんの顔は、怒りに歪みまくっていた。
「おのれええええええええッ! ここまでしてもっ、ここまでしてもダメなのかッ!」
順に扉を破壊しながら再び元の個室に戻る。
瓶の中を綺麗に掃除し尽くしても、MPは回復しなかった。
もう残された希望は、あまりの不味さに口や鼻から飛び出していったハイポーションの雫のみ。
そしてそれは、最初の個室の便器付近に存在している。
勿論、名無しさん本人の唾液や鼻の粘液と混ざり合って。
「舐めろというのかこの私に! あの汚らしい便器をッ! 犬のように、ポルナレフのように舐め上げろとッ!」
全ての扉を破壊し終えても、やはり怒りは収まらない。
当然だ。何せ彼女は普通に生きていけば一生しなくて済むあろう羞恥的行動を取らされるのだから。
「この私がっ……こんな汚らしいものを……っ!」
忌々しげに便器の水滴を睨みつけ、ゆっくりと腰を下ろす。
跪く際に水が跳ね、その白い太腿に付着した。
無思慮に破壊した水道管のせいで、水位は着々と上がってきている。
あまりのんびりしていると、競り上がった水にハイポーションが溶け込んでしまい、溢れる水を全て飲まされる恐れさえある。
「ふ、んむ~~~~っ」
ちょこんと突き出された舌を、便器に近付けては遠ざける。
『パロロワの舞台は人工的なものなので、このトイレは未使用でさほど汚くない』
そう考えて何とか自分を奮い立たせようとするも、トイレ中に漂う異臭のせいでどうしてもあと一歩が踏み出せない。
臭いの原因は大半がハイポーションのせいなのだが、それを抜きにしてもこのトイレは不衛生と言う他なかった。
五稜郭に行った経験のある名無しさんがいなかったため、オリジナルもこうまで汚いのかは分からないが、とにかく非常に不快な臭いを発している。
この汚らしい床も再現だとしたら大したものだ。余計なディティールに凝った再現してんじゃねえよと主催を今すぐ殴り飛ばしたい程である。
「くやしいっ……あんな奴なんかに……こんな汚いモノを舐めさせられるなんて……っ!」
それもこれも、あの作者6が原因だ。
作者6さえ邪魔して来なければ、早々に二人の書き手を殺せていたのに。
そうすればもっと目立てたのに。
あの女が邪魔したせいで、自分は無様に便器をしゃぶらされるはめになった。
「絶対に許さない、絶対にだ」
5年連続二桁勝利の記録がかかっていた大事な試合なのに5回2死満塁1点差で交代させられたピッチャーの気持ちが、今の名無しさんには分かったような気がした。
正直顔も見たくない。
復讐するには再び会わねばならないし、矛盾していることは分かっているが、それでもそう思わずにはいられないほど怒っていた。
ついでに言うと坊主憎けりゃ袈裟まで憎い。
今や作者6だけでなく、桜咲刹那を連想させる全ての物が憎かった。
横で縛った髪の毛も。スカートから覗くスパッツも。木刀も。ツリ目も。デコも。貧乳も。
全てが憎悪の対象だった。
「覚えていろ作者6ゥゥ……絶対に復讐してやるからなアアアアアアッ!
×××に×××をぶちこんで(ry」
憎悪のあまり、教育上よろしくない言葉が口からどんどん垂れ流される。
復讐を胸に、名無しの人は決意の言葉を口にする。
「私がッ! 貴様をッ! 死よりも苦しい悲惨な目に遭わせてくれるッ!
私はお前をッ! 決してをゆルシファー(許しは)しないぞオォォォォォッ!!!」
ティローン(SE)
『名無しさんのMPが回復した!』
【一日目・黎明/北海道 函館・五稜郭のトイレ個室】
【名無しさん@AAAロワ】
【状態】おしり痛いです(´;ω;`)ウッ
【装備】鋼鉄の斧@DQロワ
【道具】支給品一式(ハイポーションの口直しで水は全部消費しました)、ヤンデレ妹の包丁@ニコロワβ
【思考】
基本:目立って目立って目立ちまくる
1:他ロワの書き手を殺して死体を喰う
2:作者6にいつか絶対仕返しする
※外見はAAAの参加キャラに自由に変えられる模様。現在の外見はリドリー・ティンバーレイク
※韋駄天@AAAロワは消費しました
※はちゅねミクのネギ@
ロボロワはハイポーション@ニコロワにクリエーションされ、ハイポーションは何とか消費し切りました
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最終更新:2009年06月13日 21:32