クロスするその度に……

朝日に照らされた埼玉の道路を、一人の青年を乗せたバイクが走っていく。
岸辺露伴のバイクにまたがり、疾走する男の名前はクロススレ書き手。
クロススレに込められた、書き手たちの思念の集合体とでもいうべき存在である。
彼は生まれたばかりの赤ん坊のような存在であり、まだ明確な自我すら芽生えてはいない。
だがそれでも、彼は書き手である。パロロワの基礎については、その魂に刻み込まれていた。
パロロワの参加者が目指すべきこと、それは一秒でも長く生き残ることだ。
心の奥底に刻まれた掟に従い、彼は生き残るべく旅の扉を目指していた。
だがそこに、近くにある民家の屋根から飛び降りた影が襲いかかった。

「邪ァッ!!」

身のすくむような雄叫びと共に、影は空中で回し蹴りを繰り出す。
その足はクロススレ書き手の頭部を捉え、その身体を吹き飛ばした。
主を失ったバイクはそのまま直進し、やがて電柱に衝突して止まる。
だがその派手な音にも注意を削がれず、影……ゼフィエフは吹き飛んだクロススレ書き手を見つめていた。

(この程度で死ぬゴミなら、淘汰されて当然……。立ち上がれるようなら……俺の餌になってもらうぜ)

そんなゼフィエフの思惑など知るよしもなく、彼が見守る前でクロススレ書き手はゆっくりと立ち上がる。
頭から血を流してはいるが、存外に平気そうである。

漫画ロワ書き手と接触。因子の吸収を行う」

立ち上がったクロススレ書き手は、機械的な口調でそう呟いた。
ゼフィエフがその意味を理解するより早く、クロススレ書き手の身に大きな変化が現れる。
6/を模していた外見が、全くの別人に変化したのだ。
赤みがかった茶髪と全身を覆う筋肉。その姿は、まさに範馬刃牙そのものであった。

「ほう……。どんなトリックかは知らねえが、面白い。その姿で俺と戦うってのか。
 いいぜ、来いよ。原作より一足早く、親子対決といこうじゃねえか」

凶暴な笑みを浮かべながら、ゼフィエフは手招きをしてクロススレ書き手の攻撃を誘う。
それに素直に従ったわけでもないだろうが、クロススレ書き手はゼフィエフへまっすぐに突っ込んだ。
常人離れした脚力で距離を一気に詰めると、即座に彼は突きを放つ。
それは、ただの突きではない。刃牙の数少ないオリジナル技の一つ、「剛体術」だ。
腕の関節を全て固定して一本の棒とし、そこに全体重をかけて相手に叩き込む。
屈強な肉体を持つ鎬紅葉でさえ、一撃で内臓破裂に追いやられ戦闘不能となった強力な技である。
だが、その一撃もゼフィエフには通用しない。
筋肉の盾と化した、ゼフィエフの両腕。それがクロススレ書き手の剛体術を防ぎきっていた。

「悪くねえ……。悪くねえが、見よう見まねで再現できるほど俺たちの技は甘くないぜ。
 突きってのは、こうやるんだよ!!」

クロススレ書き手の腕を弾き、ゼフィエフはお返しとばかりに突きをお見舞いする。
剛体術を受けたことで、彼の腕には決して少なくないダメージがあるはずだ。
だがその突きの威力は、ダメージなど微塵も感じさせるものではない。
まともにくらったクロススレ書き手は、猛烈な勢いでアスファルトの上を転がっていった。
しかし口から血反吐を吐きながらも、クロススレ書き手はすぐさま立ち上がる。
その姿は、また別の青年へと変わっていた。

「なんだ、今度は村雨か?」

ゼフィエフの言うとおり、今のクロススレ書き手はパーマ頭の青年……村雨良の姿になっていた。
そして彼は、無表情のままポーズを決める。

「変」


「身」


一瞬の発光。それが収まった時には、すでに村雨の姿はない。そこにいたのはカミキリムシを思わせる赤い仮面の戦士、仮面ライダーZXだ。
ZXとなったクロススレ書き手は、すぐさま衝撃集中爆弾をゼフィエフに投げつける。
だがその程度、ゼフィエフにとって避けるのはたやすい。ゼフィエフは余裕すら見せつけながら、爆弾を回避した。
ところが、そこで彼にとって予想外の事態が起きた。爆炎の中から、一本の鎖がゼフィエフ目がけて飛んできたのだ。

(ちぃっ、衝撃集中爆弾はめくらましかよ!)

クロススレ書き手の意図に気づくゼフィエフだが、反応が間に合わない。
伸びてきたマイクロチェーンは、ゼフィエフの右腕に絡みつく。
そこに、クロススレ書き手はすぐさま電撃を流して攻撃する。

「ぐぅっ……! この程度の攻撃……ものの数じゃねえ!」

電撃に悶え苦しみながらも、ゼフィエフの戦意はまったく衰えない。
空いている左手でマイクロチェーンをつかみ、逆にクロススレ書き手を引っ張る。
クロススレ書き手は数秒と持ちこたえられずに転倒し、地面に叩きつけられた。
それとほぼ同時に、ゼフィエフの腕からマイクロチェーンが外れる。

「今度はこっちの……!」

倒れたクロススレ書き手に、追い打ちをかけようとするゼフィエフ。
だが彼の眼前から、クロススレ書き手書き手は忽然と消えてしまう。

ゴゴゴゴゴゴ……

背後からただならぬ気配を感じ、視線をそちらに向けるゼフィエフ。そこには、スタープラチナを顕現させた空条承太郎が立っていた。

(くそっ、今度は時止めを使いやがったか!)

ガードを固めようとするゼフィエフだが、それが完了するよりも早くスタープラチナの拳が襲いかかる。

「オラオラオラオラオラオラオラオラオラオラ!!」

未完成のガードを跳ね上げ、拳のラッシュがゼフィエフの肉体を蹂躙する。
絶え間なく続く波状攻撃に、さしものゼフィエフも反撃の機会をつかめない。

「舐めるな、小僧が!」

しかし、だからといっておとなしく殴られ続けるゼフィエフではない。
拳の雨の中に敢えて身を乗り出し、被弾をものともせずに拳を振り上げる。

「キャオラッ!」

奇声と共に、ゼフィエフの拳がクロススレ書き手に叩きつけられる。
クロススレ書き手の身体は宙を舞うが、そこで体勢を立て直し足から地面に降り立った。

「この野郎……。この短時間のうちにどんどん成長してやがる」

今度は綾崎ハヤテへとその姿を変えたクロススレ書き手を見ながら、ゼフィエフは呟く。

「面白え!」

「ハヤテのごとく!」で突進してきたクロススレ書き手を、ゼフィエフは満面の笑みを浮かべながら自らも突進で迎え撃つ。
衝突と同時に二人の身体ははじけ飛び、赤い飛沫が周囲にまき散らされた。

「ククク……。この俺をここまで痛めつけられるとは、やるじゃねえか。
 さあ、次は誰で来る! アーカードか! ラオウか! カズマか! それとも覚悟か!」

何の説明も受けずとも、ゼフィエフには見当がついていた。
刃牙に村雨、承太郎、ハヤテ。目の前のこの男は、漫画ロワの参加者に変身し続けている。
それが何を意味するのかまでは、ゼフィエフはわからない。そもそも、わかろうとも思わない。
目の前に、自分の闘争本能を満たしてくれる相手がいる。彼にとっては、それだけで十分だった。
ゼフィエフが期待の視線を送る中で、クロススレ書き手はまたしてもその姿を変える。
それは、ゼフィエフを大いに驚かせる姿だった。

「ほう、そうきたか……」

クロススレ書き手が新たに取った姿。それは、長い髪をツインテールにした少女だった。
そう、言わずと知れた柊かがみである。
戦闘において柊かがみの姿を取るメリットはあるのか。これが原作の柊かがみであるならば、答えは間違いなくNOだ。
だが漫画ロワの柊かがみならば、答えはYESに変わる。なぜなら、漫画ロワの彼女は「神殺し」だからだ。

「となれば、当然次はそうくるよなあ」

笑うゼフィエフの期待通りに、クロススレ書き手はその姿をさらに変身させる。
先程変身したZXとは、似て非なる姿。ツクヨミと融合した柊かがみ、通称「ゴッドみん」だ。

「来い。興味があったんだ。神殺しの拳ってのが、どれほどのもんなのか」

ゼフィエフは敢えて防御をせず、棒立ちでクロススレ書き手の攻撃を待つ。
クロススレ書き手はその期待に応えるかのようにゼフィエフに歩み寄り、拳を振るった。

次の瞬間、埼玉に尋常ならざる激突音が響いた。


◇ ◇ ◇


コリジョンたちが新フィールドに旅立った直後の、幻影の大聖堂。
無惨にも壁に大穴が空いたその建物の中に、ゼフィエフは全身を血に染めた状態で倒れていた。

「あばら骨が二本ほど持っていかれたか……。その他にも、右肩甲骨、左腕、左手薬指、右大腿骨にヒビ……。
 裂傷に至っては全身数え切れねえ……」

ゼフィエフは、冷静に自分の体の状態を確認する。

「軽傷だな」

そう結論を出すと、ゼフィエフはニヤリと笑う。そして、ノーモーションで体を起こした。
なお一見むちゃくちゃに聞こえる彼の結論だが、確かに神殺しのパンチを食らったにしては軽傷である。
それには、ちゃんとした理由があった。
漫画ロワでは山一つを消滅させたゴッドみんのパンチだが、それはあくまでスサノオとツクヨミという二人の神がぶつかり合ったために起きた結果である。
いかに化け物じみているとはいえ、いちおうは人間であるゼフィエフが相手ではそこまでの破壊は巻き起こらなかったのだ。

「さて、それじゃあ戦いの続きといくか」

出入り口に向かって歩き出そうとするゼフィエフ。だがその襟が、ふいにつかまれる。

「よせ。第一放送前に燃え尽きるつもりか? おとなしく次のフィールド行っておけ」
「なっ、てめえは!?」

ゼフィエフは、その声に聞き覚えがあった。先程自分とマスクドハカイダーの戦いに乱入した書き手、百万の愛でられし魔法使いの父だ。
とっさに、ゼフィエフは全身に力を込める。だが、それは百万にとって好都合だった。
彼女の元キャラであるエヴァンジェリンは、合気柔術の使い手だ。そして相手の力を利用することこそが、合気の真骨頂。
ゼフィエフは、自らが発した力を利用されて放り投げられる。
もっとも、本来のゼフィエフなら合気に対抗する術を持っている。
だが彼にとって運がなかったのは、百万の攻撃が完全な不意打ちだったことだ。
そのため技術を使う間もなく、百万の前に翻弄されてしまったのだ。

「てめえぇぇぇぇぇ! 次に会った時は覚えてやがれぇぇぇぇぇ!」

捨て台詞を残して、ゼフィエフは旅の扉の中に消えた。

「さて、私はどうするか。もう少し待ってみても……」

独りごちようとして、百万は途中で自らの言葉を遮る。目の前に、マーティン・ジグマールの姿をした男が現れたからだ。

「ほう、人間ワープというやつか。面白いものを見せてもらったよ」
「ここに範馬勇次郎の姿をした男がいたはずだ。どこに行った?」

百万の言葉を意に介さず、クロススレ書き手は彼女に尋ねる。

「やつなら、旅の扉の向こうに行ったよ」
「そうか」

クロススレ書き手の無礼な振る舞いにも気分を損ねることなく、百万は素直に真実を教える。
クロススレ書き手はそれを聞くと、迷うことなく旅の扉へ向かい、そのまま飛び込んだ。

「妙にあっさりと行ってしまったな……。正直、つまらん。よし、もうちょっとここにいよう。
 どうせまた、誰か来るだろ。やばくなったらすぐ旅の扉に飛び込めばいいだけの話だしな」

再び自分以外の人間がいなくなった大聖堂で、百万は気だるげに呟く。
そしてどこからか椅子を引っ張り出してきて、旅の扉の前に陣取る。

「さて、次は誰が来るかな?」


【一日目・早朝/埼玉県・幻影の大聖堂内】

【百万の愛でられし魔法使いの父@安価漫画ロワ
【状態】健康
【装備】なし
【道具】支給品一式、不明支給品1~3
【思考】基本:しばらく様子を見て、対主催かマーダーか決める。
    1:ロワを面白くできそうなことがあったら、積極的に首を突っ込む。
    2:ギリギリまで、誰か来るのを待つ。
※外見はエヴァンジェリン・A・K・マクダウェル@魔法先生ネギま!です。


【新フィールドへ】

【【暴流】ゼフィエフ (◆05fuEvC33.)@漫画ロワ】
【状態】軽傷(あばら骨二本骨折、肩、腕、脚の骨にヒビ、全身に無数の裂傷)。怒り頂点。
【装備】なし
【道具】支給品一式、カラオケマイク、不明支給品0~2
【思考】基本:皆殺し。


【クロススレ書き手@パロロワクロスネタ投下スレ】
【状態】ダメージ(大)、漫画ロワの因子取得
【装備】無し
【道具】支給品一式、不明支給品0~2
【思考】
1:???
※他の書き手と接触することで、その書き手の所属ロワの参加者に変身できるようになります

※岸辺露伴のバイク@ジョジョロワは大破しました。

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デンジャラス・トライアングル 百万の愛でられし魔法使いの父 作者は業者の回し者ではありません
デンジャラス・トライアングル 【暴流】ゼフィエフ 平原の七人
cross クロススレ書き手 ターミネータークロス

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最終更新:2009年06月29日 21:08
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