「
アニマルスさん! スト スト ストッピだよぉぉぉ~~!!」
「えー、なーんーでーすーかー! 風がうるさくてきこえませーーーーん!!!」
「そりゃあんたが速く走りすぎてるからだああああ!!!」
「しかたありませんよ、ご主人さまを一刻も早く優勝させねばなりませぬから!!」
「そこは聞こえてとんのかい!!」
漫才のような掛け合いをするツマンネなボーカロイドと神の犬。
……もとい、
ニコロワβの書き手と
動物ロワの書き手は秋田を縦断疾走していた。
主に、アニマルスがひっぱりまわすという形で。
(こ、このままじゃアニマルスさんの暴走を止められないどころかわしの三半規管が死ぬ――!)
うっかりアニマルスの背中でげろげろぴーとかしようのものならショックで我を取り戻したりとかしかねない。
それ以前に問題は色々あって、ともかく今すぐアニマルスの暴走を止めなくてはならないのは確かだった。
「と、とまって! とまってアニマルスさん!! せめて支給品! 支給品の確認だけでもさせてぇぇー!!!」
「しきゅ……なるほど、それもそうですね!」
意外にもあっさりアニマルスは納得してくれたが、あっさりな納得に停止まであっさりと急だった。
おかげで反動により
レジェンドオブw2は前方にふっとばされた。
「あ、ごめんなさいご主人様!」
「うん……いやまあ、ちょっと擦っただけだし良いよぉ」
とにかくアニマルスを止めることに成功したレジェンドオブw2は今後について頭をひねりはじめる。
とりあえずアニマルスに「待て」を命じておいて、建前ながらも本気の所もあった支給品の確認から。
「? 何だよぉ、この本」
取り出したのは妙な模様が描かれた大き目の本。中身も何て描いてあるのかさっぱり分からない。
「そういや東方だとアリスとか魔導書を持っていたなぁ。どっちみちわしじゃ使えないよぉ」
アニマルスも同様だろう、と目を犬の方に向ける。
……しかしそこにはアニマルスの姿は無く。
「うぎゃああああああ!! な、何だこの凶悪白ヨッシーはぁぁぁ!?」
「ヨッシーではない! アニマルスだ! 我がご主人さまのために屍となって貰う!」
代わりに、別な方向にて女性の声を上げるイタリアンな男を殺りに周っているとこだった。
「うわぁぁぁぁぁ、や、やめるんだよぉアニマルスさん!!!」
「いくらご主人さまと言えど手出しは無用! このオカマは必ずや殺してみせますからそこでお待ちください!」
「オカマじゃないんだってばあああ!! 俺だってこんな声……いや姿は不本意なんだってばあああ!!」
ひいこら泣き叫びながらヘタレルイージに風貌にピッタリの体たらくな◆.xD7msqny6。
それを血眼になって殺しにかかるアニマルス。
さらにそれを必死になって止めにかかるレジェンドオブw2。
三人(?)の書き手の混乱が頂点に達した時――
書き手ロワに住まう、カオスの女神がすっげえ嫌なことにまたほほ笑むのだった。
かちっ、という音。
それは逃げ惑う◆.xD7msqny6の足元から発せられた。
余りに嫌な予感オーラを纏いに纏いすぎたその音に、思わず三人はその場にとどまってしまう。
そしてさっきの喧騒はどこへやら、音の元へと視線は集中。
「い、今のは何なんだよぉ?」
レジェンドオブw2が代表し、怖じ気づきながらも音の元を探った。
そこには……なんとまあ、真っ赤なスイッチがへこんだ状態で発見されましたとさ。
「……ご主人さま、お言葉ですが何だかロクな予感がしないのですが」
「わしも偶然ながら同じ感想だよぉ」
「奇遇だな。襲われた身だってのに俺も同じ気持ちで一杯だ」
ほどなくして秋田に地震が発生した。
いや、地震というには様子がおかしすぎる。というかそれは秋田に限らず、日本列島の全てを揺らしていた。
揺れはだんだん大きくなり三人(?)は大慌て。
それをよそに海の向こうでは大変革が発生していたのだ!
「あっ、あれっ!!」
最初に気づいたのはアニマルスだった。動物の勘からか周囲の異常の察知が早かったらしい。
彼の鼻が差す方……ここは偶然にも山の上だったので海の方がよく見えたのだが、その日本海の先では異常事態が発生していた。
さあ最初の放送まであと数時間、土壇場でその超展開は起こった!!
すなわち第一回目のフィールド、日本列島を襲う大☆革☆命!!!
「「「し、島が出来てる(よぉぉぉぉぉ)(ぅぅぅぅぅぅ)!!!」」」
三人の絶叫が差す通り、日本海には島が生まれていた。
それもただの島ではない。漆黒の大地に包まれた三つの小島、そして巨大な謎の島。
そう! これこそ知る人ぞ知るFlashゲーム『都道府県大戦』のラスボスを務める謎の島なのだ!!!
ロワとの接点は限りなく薄いが鹿児島や長野とかが消滅するなどの異常を来す日本にこれ以上近しい存在もなかろう。
さらに異常はそれだけでは終わらない。
そう、都道府県大戦は戦国シミュレーションっぽいゲーム。当然ラスボスは日本に攻め込んでくる!
どうやら原作とは違い三つの小島はそれぞれ秋田、福井、山口と接続されたらしい。
ほどなくして敵の軍団が攻め入ってきたのだった!
よりにもよって最初は秋田に!!!
「うわああああ!!! な、なんか変なのが来たよぉぉぉ!!」
「おおおおおおいお前どどどどっどどうするんだぁぁぁ!!!」
「あ、あのスイッチ踏んだのはあなたでしょう! あなたなんとかしなさいぃぃぃぃ!!!」
空を覆うザコ軍団に混乱のボルテージが高まる!
最初に攻めてきたのは小手調べなのか、敵軍団の中でも特にザコな『弱い生き物』が中心だ。
ぶっちゃけただの人間でも十分張り合える相手なのだが、それを知らない三人は大慌て。
何せ某沢木家に住まう某オリゼーのごとくわらわらいるもんだ。
「あ、あれ? 本に文字が……」
混乱の最中でレジェンドオブw2が落とした本を偶然◆.xD7msqny6が拾う。
どういうわけかレジェンドオブw2が読めなかったそれは◆.xD7msqny6には理解できるらしい。
「ええい、こんな状況だ! 藁にでもすがってやる!!」
その本をゲームにおける、読むと魔法が発動するようなアイテムとでも受け取ったか。
そこに書かれていた文字を、◆.xD7msqny6は声を大にして読み上げた。
彼が本を手にした瞬間、アニマルスが光り輝いていたことにも気がつかず。
「シン・チャーグル・イミスドン!!!」
刹那、アニマルスの尾がメロン色に光り輝き無数の光を放出。
それは何個もの巨大V字レーザーとなり、空を覆うザコを蹴散らしていった。
「お、おおおお!! すごい……よぉ……あれ?」
……のだが。
うむ、撃つ方角が悪かった。
アニマルスが尾を立てていたのはよりにもよっての真上だった。
放射線状に広がるV字レーザーはやがて重力に導かれ地上へと落ちる。
第一次日本列島大災害――謎の島・浮上。
そして第二次日本列島大災害――東北壊滅の危機!!!
その数多のV字レーザーは東北地方の各地に降り注いだとかなんとか。
もちろん秋田にも何個が余波は来た。
んで、当たり前のごとく三人(?)は逃げ惑う羽目となったのだった。
「うわああああああああああああ!!!!」
「ひぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃ!!!!」
「ぎゃあああああああああああああ!!!!」
「ちょ、お前何とかしろよアレ!? お前が出したんだろがアレは!」
「知りませんよ! アレってあなたが本を読んだから出たんじゃないですかアレは!?」
「そもそもアレって何々だよぉ~! どっかで見たことあるような無いような……」
「とにかくアレをとめろ! もしくはアレから逃げろぉぉぉ!!」
「アレアレ連呼しないで下さい! 卑猥です!!」
それにしてもこの三人、先ほどまで襲い襲われの関係だったクセにノリノリである。
そんな漫才をしながらも彼らは偶然にとある神社へ潜り込む。
と、ここでも不思議なことが起こった。
「あれ……?」
アニマルスが様子の急変に気づいて騒ぎを止め、他の二人にも止まるよう促した。
いつの間にか災害による騒音が止まっている。例の大技が止まったのだろうか……?
「どうなってんだこれ? あの謎レーザーは……」
「あ、見なよぉ! あのレーザー……まだ外にあるよぉ!?」
「ホントだ……あの謎のザコ敵軍団もいるぞ!?」
「……どちらも神社に入って来ませんね。これは一体……」
さっきから異常現象は重ねて発生したがこれは少し毛色が違う。
とにもかくにも何だ何だかわからないゆえ首をひねるのみの三人。
と、その時。背後で不意に少女の声がした。
「やぁ、やっと来たな人間。……だけじゃあないな。まあとにかくここに来てからずっと誰も来ないもんでヒマしてたんだよ」
「誰です!?」
声に反応してアニマルスが振り返り身構え、同時に他の二人もそちらを振り向く。
そこには二つの角を生やし、瓢箪を抱えた飲んだくれの少女が酒を呑みながらこちらを見ていたのだった。
「萃香……? ってことは、無印ニコロワの書き手さんかい?」
三人の中で一番その姿を知るレジェンドオブw2がおそるおそる、自身なさげに声をかける。
自身なさげというのは、その姿を持つ書き手をレジェンドオブw2は知らなかったことが一つ。
そして伊吹萃香の身体を持つ少女が、書き手にしては余りに「出来ていた」というのが二つだった。
「悪いが、私はお前らが言うような類の人間じゃないんだ。というか私自体がここにおけるイレギュラー。
まあ何ていうのかね? この神社とセットで暇潰しを与えられたしがない鬼の霊ってわけさ」
「霊? 霊……って……」
「ま、まさか!?」
ここでも萃香の言わんとしてることを悟ったのはニコロワ書き手・レジェンドオブw2だった。
やけに遠回しな彼女の言葉、しかしニコロワに所属する彼女なら理解出来る話。
「……ホンモノ、なのかよぉ!? ホンモノっていうか何ていうか……いやそれはどうでもよくて!
あの殺し合いで、つるぺた至上主義でニートを主君にしたり霊夢やKASの助けになったりして最後は阿部さんと相討ちになった
……あのニコロワの伊吹萃香本人なのかァーッ!!?」
「「な、なんだってー!!!?」
レジェンドオブw2が気付いた真実にはニコロワに詳しくない二人(?)の書き手でさえ驚愕した。
つまりレジェンドオブw2が言うことが事実であれば、目の前にいるのは書き手でなく実際にロワに登場したキャラ本人ということになるのだ!!
ここまでやるのか書き手ロワ!!!
「詳しいねぇ。ま、私はその辺には関知しないでおくよ。……そうか、阿部もあの後死んだのか」
どこか感慨深げに、一瞬何もない方を見つめる萃香。それを不安そうに見つめる三人(?)に、しかしすぐ視線は戻る。
「ま、それはともかくだ。
私はここでちょいと仕事を仰せつかってるんだ。終わったら冥界の方に戻して貰うって約束でね」
「仕事?」
「ああ。ここに来た人間に酒を呑ませろって言われた。
この酒自体がたびの……とびら? とか何とかいうものに成ってるとか。詳しいことは私も知らないが」
旅の扉。次のフィールドへ行く数少ない鍵。
なんということでしょう! あれだけカオスを引き起こしながら、彼らは旅の扉を引き当てたのです! 図々しいぞこの三人(?)組!
とにかく三人は歓喜した。殺し殺され云々の話は既に忘却の彼方。
「は、早くそのお酒をわしにぃぃ!」
「いや俺が先だろJK」
「待って下さい、ここは私が先陣を」
「落ち着きな。酒ならたくさんある。がっついて呑んでも楽しめるもんじゃないよ」
詰め寄る三人(?)に萃香は苦笑しながら三人分の杯を差しだし、それに酒を注いだ。
だが萃香の忠告も聞かずアニマルスと◆.xD7msqny6はとっととおいしく頂いてしまった。
「おっ、キタッキタッ!!」
「ご主人さま! お先に行って待っております!! 今の私はさながら忠犬ハチ公!!」
酒を呑むやいなや、光に包まれて二人の姿が消える。新フィールドへと旅立ったのだ。
「あ、それじゃわしも」
「ちょっと待った」
二人(?)に続こうとするレジェンドオブw2だったが、不意に萃香に呼び止められた。
「な、何だい?」
「聞きたいことがあるんだ」
いつになく真剣な彼女に少したじろくレジェンドオブw2。
「……霊夢やKASは、生き残れたのか?
あの殺し合いから脱出出来たのかい?」
その質問に――ここに来て、初めて心底穏やかな表情を浮かばせるレジェンドオブw2。
「うん。二人とも、マルピエと神(笑)に勝って……幻想郷に戻っていったよぉ。
KASは戻るとこがなくて幻想郷に永住しそうなふいんきだったけど」
「そうか。あいつがいるなら霊夢も気が紛れるだろうね」
その言い草に少しの違和感を覚え。
もしかして彼女はやっぱり全て知ってるのではないだろうか、少なくとも幻想郷の住人の生死に関しては――と思いかけ。
しかしそれを萃香に尋ねることは出来なかった。
「ま、細かいことはいいんだよ! 行くっていうならお前もとっとと呑みな!」
萃香に強制的に酒を流しこまれることで、レジェンドオブw2もあっさり新フィールドへと旅立つこととなった。
「……さーて」
この神社――博麗神社に残ったのはイレギュラー・萃香ただ一人。
鬼は約束を破らない。とはいえ彼女の仕事は積極的に動くというもではなかった。
「どうやらここは人間の出入りが少なそうだね。ちょっと人が萃ってそうな方に出向くか」
それでも彼女は動き出す。
退屈を凌ぐために。
――博麗神社ごと。
【一日目・早朝/秋田県・博霊神社】
【現在位置・新フィールドへ】
【アニマルス(◆TPKO6O3QOM)@動物ロワ】
【状態】健康、服従
【所持品】基本支給品、不明支給品1~3
【思考】
基本:レジェンドオブw2をエース書き手にするため他の書き手は皆殺し
1:頑張ってご主人さまに褒めてもらう
2:またお腹を撫でて欲しい
3:動物ロワ……? なんだっけ?
※外見はアマテラス@大神です。
※レジェンドオブw2をアルファと認めました。
【レジェンドオブw2@ニコロワβ】
【状態】疲労(小)
【所持品】射影機@ニコロワβ(07式フィルム29/30)、ビクトリームの魔本@アニロワ2nd
【思考】
基本:冒険せず、しっかりと確実な『繋ぎ』(他者の手助け)をする。
0:あ、サインとか貰っとくべきだったよぉ!
1:しばらくはアニマルスと行動、彼の手助けをする。
2:ニコロワβの書き手を見つけたら、冒険しない範囲で『繋ぎ』をする。
※外見は弱音ハク@VOCALOIDですが、口調は秋山森乃進@ゲーム実況です。
【◆.xD7msqny6@ゲームロワ】
【状態】健康 、心の力消費(大)
【装備】無し
【持ち物】支給品一式、不明支給品1~3
【思考】
1:あれ、そういや俺らこいつらと一緒にいていいのか?
※外見は、ルイージ@スーパーマリオブラザーズです。
※ただし声は坂本真綾です。
※東北地方にたくさんのシン・チャーグルイミスドンが降り注ぎました。一つ一つはチャーグル・イミスドンと同等です。
※日本海北東に謎の島が浮上しました。日本列島を攻めて来ます。
※博霊神社と伊吹萃香は関東方面へ移動しました。
【ビクトリームの魔本@アニロワ2nd】
アニロワ2に参加したV様とセットでついてきた。
人によっては人外の参加者や支給品に魔物の力を与え
V様の術を使うことができたりする。
【博霊神社with伊吹萃香@ニコロワ】
ご本人。ただし死んでるので霊体。
彼女の注いだ酒が旅の扉そのものとなっており、飲むと新フィールドへ行ける。
神社もニコロワに出てきたのと同じもので、萃香の意思でどこへでも飛んでいける。
ただし萃香は能力を扱ったりすることは出来ず、また約束上参加者を攻撃したり手を貸したりすることはできない。
ちなみに神社と萃香に危害を加えることは不可能。世界の崩壊20分前には神社は元の時間軸へ、萃香は冥界へと帰る。
この一連の萃香は書き手ロワ仕様なので本家ニコロワのエピローグとは並行世界扱いなんだよ、だよ!
【謎の島】
日本海北東に浮かんだ。
大きな本島と秋田・福井・山口に接続する三つの小島で形成される。
詳しい情報は「都道府県大戦!」と頑張ってクリアするか攻略wikiを見るべし。
いいじゃない、日本列島が舞台なんだもの!
敵ザコは三種類で体当たりしか能が無く人間でも楽に倒せる「弱い生き物」
同じく体当たりで攻撃するがとても固い歯車のような「固い生き物」
一番厄介で、遠方から電撃で攻撃してくる「痺れる生き物」で形成され、
ときおり小島から軍を派遣して日本列島を攻める。
また本島は巨大かつ、衝撃波など超強力な攻撃をする「ボスな生き物」がいる。
小島に渡って敵軍を殲滅すると小島全体が旅の扉になります。
ただし三つの小島が全滅するとボスな生き物の軍が日本列島に登場します。
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最終更新:2009年06月19日 00:14