繋がる想い

「ばらけたか……オボロには謝罪しておきたかったのだがな」

コリジョン・ナンバーズは一人畑の中を歩く。
共に旅の扉をくぐった仲間は側にいない、自分だけが離れたか、それとも全員バラバラにされたかまでは判断がつかないが。
パヤパヤからは離れることができたことに少し安堵するが、どこか寂しさを感じもする。

「まあ、姉がやることに変わりはない、繋いでいくだけだ……二人の分まで、な」

仮面ライダー零言葉要らずの歌い手
放送で告げられた二人の内、どちらが旅の扉について教えてくれたのかはわからないが、自分達はその言葉によって生かされたのだ。
倒れていった二人の分まで想いを繋ぐ、それが彼女なりの弔いだ。

「それに、サイレント・スター氏もいるのならば出会いたいものだ」

自分が繋ぎ手として書き手になる切っ掛けを与えてくれた温泉少女、もといサイレント・スター。
向こうは自分のことなど知らないだろうが、少しでも感謝の意を示したい。

「さて、何をするにしても人を探さなくては……」
「『迷える人形』」
「――っ!?」

突然コリジョンの周りを濃い霧が覆い、状況を理解する間もなく目の前に一人の女性が現れる。

「高町なのは……いや、そのBJは悪魔のフラグ建築士か」
「その通り、ちょっとあなたとは邪魔されずにお話ししたかったからね、コリジョン・ナンバーズ」

初対面だというのに、互いの正体を一目で看破する。
別トリの同一人物、この二人はそういった関係だ。

「何の用だ、その姿で姉の前に出ることがどういうことかわかっているのか?」
「ふ~ん、やっぱリリカルクラッシャーとして動いてるんだ、予想通りだね」
「……勘違いするな、メインは繋ぎだ」

いくらか不満気にするコリジョンの言葉にフラグ建築士は面白そうに笑みを深くする。
何とも言えない嫌悪感を感じ下がろうとするが、周囲は得体の知れない霧に包まれ迂闊に動くことを許さない。

「迷える人形はこんな作品じゃなかったはずだがな」
「どの部分を捉えるかの違いだよ、ロボット超人がマーダーと二人きりで出会う話って考えれば、何も不自然な点はないでしょう?」
「とんだ拡大解釈と言いたいが、姉のISも人のことは言えないか」
「そうそう、それに仕方ないんだよ、作品そのものが力になるここだと作品数の差は大きいからこうでもしないと――貴方を壊せない」
『sonic move』

フラグ建築士の言葉に反応する間もなく、頭部を掴まれ押し倒される。

「ぐ……IS『破――」
「『はじめてのこくご』」
「――かい』……!?」

腕を掴んでISを発動させようとするが、何も起こらず焦りの色を滲ませる。
それに反するようにフラグ建築士は笑みを深くし、コリジョンの反応を楽しみながら口を開く。

「はじめてのこくごはメタ視点における能力、対象のセリフを全て平仮名のみにしてしまう」
「それが、なんだと……」
「はい、問題だよ。『わたし』の作品に平仮名のみのタイトルがあったかな?」
「っ!」

この書き手ロワでは作品のタイトルをキーとして発動する能力が多々存在する。
そのキーが正しく言えなければ、能力は当然発動させることができない。
つまりコリジョンは書き手としての能力を完全に封じられたのだ、チンクとしてのISならば使えるだろうが、生憎ランブルデトネイターは白兵戦で有効な技ではない。

「情けないものだね、リリカルクラッシャーと言いながら手も足もでないなんて」
「なにがいいたい」
「単刀直入に言わせてもらうよ、あなたはリリカルクラッシャーなんて名乗るには甘すぎる」
「なんだと……!」

体を押さえられたままでフラグ建築士を睨みつける。

「だって、ロボロワで『わたし』は一人も壊してないじゃない」
「なにをばかな、あねはすばるやちんくを……」
「そう? チンクの誤解フラグの発生は確かにあなただけど、それを拡げたのはあなたじゃない。それどころか風見さんとラブコメさせてたよね」
「う……」
「スバルについてもそうだよ、心を壊しながら、その実完全に発狂させたわけじゃない。だからあの後ドラス以外への人に対してはまともになったんだよ」
「それは……」
「ノーヴェなんてその典型だよねぇ、チンクに捨てられたって思わせるまではいいけど、メカ沢なんて無茶も道理も吹っ飛ばすようなキャラがいれば熱血覚醒するのは予測できたんじゃないかな」

矢継ぎ早に重ねられる言葉にコリジョンは言葉を失う。
当然自分だけでなのはキャラを追い詰めていた気などはない、他の書き手の話があってこその自分の作品だ。
だが、自身の個性として考えていた事柄をこうも否定されては困惑せざるを得ない。

「ねぇ、あなたはクラッシャーなんて大層なものじゃない、ただの一繋ぎ手……その辺りを勘違いしちゃダメなの」
「ぐ……」
「そう、あなたはただ話を繋いでいればいい、他の書き手が大きく動かす中で取り残されたものを拾うだけ、そういう地味で目立たないポジションがお似合いなんだよ」
「……」
「もうぐぅの音も出ないのかな? 感謝してほしいなぁ、あなたの代わりに『なのはキャラの姿をした書き手』を一人壊してあげたんだから」

抵抗一つなくなたコリジョンから離れ、霧の結界を解いて歩き出す。

「安心して、殺しはしないよ。今のあなたを殺してもそれは救いになってしまう。それにあなたから感じる欝の感情、とっても美味しいしね……♪」

ゼロスの要素が入り込んでいるフラグ建築士にとって、負の感情は通常の食物とは比べモノにならないほどの御馳走だ。

満面の笑みを浮かべながらコリジョンから離れていき、その姿が見えなくなったところでふと立ち止まる。

「あっちにも欝の気配……だけど、私が新たに手を下すまでもなさそうだね。うんうん、みんな順調そうで何よりだよ」

蔓延している欝の感情に気をよくし、大きく伸びをしながらフラグ建築士は次の欝フラグへと胸躍らせる。

「さーて、次に欝になりそうな人はどこにいるのかなーっと♪」


【一日目 朝/ファームエリア】

【悪魔のフラグ建築士@kskロワ
【状態】ダメージ(小)、魔力消費(中)、絶好調
【装備】ストラーダ@kskロワ
【道具】支給品一式、夢成長促進銃@kskロワ、不明支給品0~1
【思考】基本:鬱フラグを立てまくる
    1:北へ向かう
※外見はフェイトのバリアジャケットを着た高町なのはです
※『迷える人形』
人間以外の参加者と二人きりになる空間を形成する
※『はじめてのこくご』
相手の台詞を全て平仮名のみにする。フラグ建築士が傍にいなければ効果は切れる。


コリジョンは地面に倒れこんだまま動かない。
先ほどのフラグ建築士の言葉が延々と頭の中を回り続け、他のことへと回す思考の余裕が存在しなかった。

「…………ああ、そういうことか」

やがて、ぽつりと呟いて身を起こした。
その瞳は覇気がないものの、光を失ってはいない。

「フラグ建築士、お前は温泉少女氏の言葉を忘れてしまったのだな」

それは書き手2ndにおける温泉少女の死亡補完話内での言葉。

「姉の作品は確かに他の書き手に比べれば華がないかもしれない」

だが、繋ぎというのは自分一人だけで何かを感じるものではない。

「姉は、ロボロワが好きだ。皆が紡ぐ作品の全てが」

他の書き手が作品を生む土台となれることが嬉しい、自分が撒いた小さなフラグが昇華していくのが楽しい、長い物語の中に自分の作品も入っていることが何より喜びを感じ、誇らしい。
自分は温泉少女氏の言葉を聞き、そんな在り方もあるのかと感動して書き手となったのだ。

「フラグ建築士、お前に言われるまでもない。姉がいる場所は初めから変わらない!」

自分は繋ぎ手として生きるだけ。
そう、何も変わりはしない、ロワ書き手を始めてから、何も。

「それに、リリカルクラッシャーとしての名も捨てるつもりはない、フラグ建築士……次に出会った時、貴様を必ず破壊する!」

決意新たに足を進め、次の瞬間に何者かに腕を掴まれ歩みが止まる。

「なっ……」
「ダメだお……」

振り返った視線の先に入りこんだのは落ち込んだ様子で自分の腕を掴むやる夫の姿。
やる夫スレでのハイテンションぶりがまったく見えないことに戸惑いつつ、ほとんど力が込められていなかった腕を掴む手をそっと離す。

「破壊するって、殺すってことだお……? そんなのダメだお……」
「あ……心配するな、姉が壊すのは命ではない、殺しはしないさ。それより、何があった?」
「…………アバッキオさんが、死んじゃったんだお」

仲間を失ったのか。
その一言でコリジョンは納得する。
やる夫は破天荒なキャラではあるが、情には人一倍厚い面もあるのだ。

「やらない夫もやられちゃたお……二人とも、やる夫のせいなんだお、やる夫のせいで、みんな死んじゃったお……」

だから、せめてこれ以上誰にも死んでほしくないと涙声で訴える。

「やる夫はみんなで釣り動画やクソスレ立てたりして笑ってたいだけなんだお……!」

泣きながら膝を付くやる夫を見て、コリジョンは優しく微笑む。

「ならば、姉と共に来い、やる夫」
「え……?」

自身にはない純粋さを愛おしく思いながら。
自分も変わっていたのだなと感じながら。

「お前の運命、その夢へと姉が繋いでやろう」


【一日目・朝/ファームエリア】

【コリジョン・ナンバーズ@ロボロワ】
【装備】
【所持品】支給品一式、雷神の槍@DQロワ、サイクロン号@ロボロワ、不明支給品0~1
【状態】左肩に裂傷、全身にダメージ(小)、処置済み
【思考・行動】
 1.サイレント・スターの運命を繋ぐ
 2.全てのものを繋ぐ
 3.なのはキャラになっている者は――壊す
 4.悪魔のフラグ建築士は確実に破壊する
【備考】
 ※外見はチンク@リリカルなのはStS
 ※繋ぐ物の優先順位は命>その他
 ※『破壊』
  触れた相手の心をロボロワのスバルと入れ替える。どのタイミングの心と入れ替えるかは調整が可能。
  放送を迎えるか、一時間経過することで元に戻る。

以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします @やる夫がバトル・ロワイヤルに参加しているようです】
【状態】健康、ショック
【装備】無し
【持物】支給品一式、不明支給品0~3
【思考】
1、やらない夫(アルテマウェポン)とアバさんが死んで失意のどん底だお……
2、コリジョン・ナンバーズと一緒に行く?
【備考】
※外見はやる夫です。

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トラブルなく放送越えたっていいと思うんだ コリジョン・ナンバーズ 破壊者たちの集い
7人の魔女+α 悪魔のフラグ建築士 平原の七人
今にも落ちてきそうな空の下で 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 破壊者たちの集い

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最終更新:2009年07月19日 14:24
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