それでは、今回の放送はこれまでと致しましょう。
俺が死ななければ、また六時間後に『ぼんくらじお』を放送できればいいなーと思います。
ではでは、また六時間後(仮)ー。 』
提示放送とは大事なものだ。
死者の名前が呼ばれることによってゲームの進行具合がある程度分かり、
誰が死んで誰が生きているのか分かるからだ。
それらの重要さを知っている書き手ならば大抵放送が始まれば立ち止まって聞くだろう。
極寒の吹雪の中に立っている『凶兆の猫鍋』も同様だった。
ただ、彼女はずっと立っていた。
放送が流れた後も。
「どうしたZASSYU、浮かない顔をしているな。
我との戦いのときとは大違いだ」
雑種というのは恐らく自分のことを指しているのだろう。
自分に話しかけてくる声には聞き覚えがあった。
確か熊岡県で激戦を繰り広げた女傑――――
「何の用だ。ジャイアンの母書き手」
「フン、貴様らしくないと思ってな。
我と同じく最強のSUMOU取りの因子を持つものとして、強敵(TOMO)として放っておけぬ。
MEIKAIから飛び出てきたまでよ」
あの世から来たといっても復活してきたわけではなく、
ただ猫鍋の前に幻影的なものとして前に現れたというだけだ。
俗に言う魂みたいな。
「超展開氏が……死んだのだ」
「そうか」
目の前にいたと言うのに守れなかった。
彼女は既にマーラ様の人との戦闘でボドボドだった。
回復アイテムを持たない自分が、
死に行く彼女をただ見送ることしかできなかった自分が、
熊岡県に着く前にマーラ様の人を倒せなかった自分がとても悔しかった。
「超展開氏だけではない。
他のNIKOROWA書き手も死んだ。
ガチムチの兄貴や名探偵も死んだ。
βの書き手も何人も死んだ……」
超展開を目の前で失ったことと、猫鍋と同じロワや続編の書き手が死んだ。
彼女の心は悲しみに包まれた。
適当な物に八つ当たりする気すらおきなかった。
猫鍋の言葉にジャイアンの母書き手はただ「そうか」とだけ一言呟いた。
「死人であるおまえに分かるはずがないか。
生きて取り残されたゆえの悲しみが。
私に襲い来る虚無感と喪失感が」
「…………」
「これほど空しいことがあるのか?
ならば死んだほうがマシだ」
地面に座り込む猫鍋。
猫鍋を見下ろす母書き手の視線は侮蔑に満ちていた。
「失望したぞ。所詮貴様もZASSYUということか」
「何とでも言え」
「甘ったれが。死者の名前を聞いて悲しみに覆われて挫折するものなどいくらでもおるわ。
貴様もそやつらZASSYUと同じか?」
ジャイアンの母書き手は呆れたように言い放つ。
「貴様の仲間のMUNENを晴らしてやらんとは思わんのか?」
「MUNEN?」
母書き手のこの言葉に猫鍋は初めて彼女の顔を見る。
そういえば死んでいった
ニコロワやβ書き手はどんなふうに死んでいったのだろうか?
「知りたいのなら貴様に支給されている物を手に取るがよい。
そこに全てのSINJITUはある」
母書き手に言われて猫鍋はデイバッグを開ける。
入っているのは自分のメインウエポンであるテニスラケット。
超展開氏から拝借したオメガブレード。
そして次に出てきたのは……黒い物体だった。
その物体の名前は『テラカオス』。
オールロワにて支給されたアイテム。
元を辿ればジャイアンの母書き手の郷であるカオスロワ5、6のラスボス。
ぶっちゃけ死者の怨念の集合体のようなもので、一時期全てのパロロワ参加者の魂を吸収したとんでも野郎だ。
カオスロワではラスボスとして立ちはだかったが、オールロワでは死者の魂が内包されているだけの欠片のようである。
「HAA!!」
猫鍋はテラカオスにHARITEを喰らわす。
すると欠片の中で渦巻いていた何者かの怨念達が飛び出したかとおもうと、
猫鍋の体の中に入り込んだ。
彼女は顔を歪める。
別に痛みなどないが何だか自分の体の中に入られる感触は好きになれない。
突如、猫鍋に頭痛が走る。
同時に彼女の脳内に何らかの映像が映し出された。
仲間に裏切られた上に毒で苦しむ少女。
閃光の中へと姿を消すいい男。
めいおー☆に心臓を一突きで刺されて殺される少女。
ロシアの大統領に暗殺される少女。
気絶していたところを刺殺される武将。
鬱グロな光景に苦しむ二人。
空から降ってきた四国に潰され圧死する3人。
仲間割れの末死亡する少女。
敵に盾にされて死亡する少女。
(これは…………)
「どうした?貴様のNAKAMAは最後まで戦ったぞ?
それでは猫鍋、貴様は?
悲しみに打ち負けるのか?全てを諦めるのか?
このままノタレ死ぬか?」
母書き手が何か言っているが彼女の耳には聞こえない。
仮に聞こえていたとしても答えは既に決まっているからだ。
猫鍋は立ち上がって宣言する。
「NIKOROWA書き手は……私が守るッッ!!
NIKOROWA書き手を殺した奴らや苦しめた奴らがまだのうのうと生きているなら猫駆除だッッ!!」
「よくぞ言った!
では我が貴様に力と理不尽さを授けてやろう!!」
母書き手の幻影が猫鍋に触れる。
と、同時に母書き手の手からKIが遡り凶兆の猫鍋に送られていく。
すると猫鍋が母書き手やマーラ様の人との戦いで受けた傷や疲労が全快していく。
しかも以前よりこの身に力が溢れているようだった。
「では我はそろそろあの世に帰らせてもらうとしよう、ZASSYU。
アリーヴェ・デルチッッッ!!」」
凶兆の猫鍋に全てのKIを託したジャイアンの母書き手の幻影は姿を消していく。
猫鍋は静かにジャイアンの母書き手を見送った。
自分に道を示してくれたものとして、強敵(TOMO)として。
ジャイアンの母書き手が完全に消え去るのを確認すると彼女は歩き出す。
その背中にはASYURAを越えた何かが憑りついているようにも見えた。
【一日目・朝/ブリザードエリア】
【凶兆の猫鍋@ニコロワ】
【状態】健康、最強のRIKISHI
【装備】テニスラケット
【道具】支給品一式×2、不明支給品0~2、オメガブレード@ニコロワ
【思考】
基本:ニコロワ、ニコロワβの書き手を生き残らせるべく他のパロロワ書き手を猫駆除する
1:後述する書き手を発見したら猫駆除する
(
喪失の物語、舞い踊る車輪、
ネクロノミコン・血液言語版、
悪魔のフラグ建築士、女プーチン書き手、
無常の騎士、テイルズロワ2書き手全員、
【破転】ワンキュー、びーはち、
マスクドハカイダー)
2:猫は問答無用で猫駆除する
※外見は長門、YOKOZUNAと日吉交じりの口調
※テラカオス@オールロワは消滅しました
※ジャイアンの母書き手@カオスロワから力と理不尽さを授かりました
※()内に記されてある書き手は姿は知っていますが、名前は知りません
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最終更新:2009年08月27日 21:40