提督×鹿島「応用で練習になるもの―立春編―」18-615

2月3日は節分の日だ。
恵方巻を恵方に向かって願いを込めながら無言で食べると
今年一年幸せに暮らせるという。
今年の恵方は南々東だ。

「…………(もぐもぐ)」
「…………(もぐもぐもぐ)」
「…………(もぐ…もぐ…)」

というわけで鎮守府でもみんなで恵方巻を食べていた。
今日は礼号作戦開始の一週間前でもある。
だからみんなも礼号作戦成功を願って食べているだろう。

「…………(ごくん)」

鹿島が一番先に食べ終えた事を横目で確認した。続けて俺も食べ終わった。
そして他の艦娘達も次々と食べ終わり、
ビスマルクとリットリオが食べ終わったのを確認した後に俺は口を開いた。

「はあぁ……」

正直鼻だけでの呼吸はきつかった。
しかし口を開けば声を出してしまうと思い、
みんなに気を遣い口を開けないでいた。

「みなさん、お疲れ様」
「ふぅー……セッツブーン……日本には変わった…はぁ……風習があるのね…ふぅ……」
「パスタなら…はぁ…同じ太さでも…はぁ…苦しくはなかったでしょうけど……」

海外艦娘の二人にはこんな事は初めてだったのか、他の艦娘よりも息をついていた。

「それにしても鹿島ったら、あんな太いものを食べたのにすごく涼しい顔をしているわね」
「あっ、もしかして司令官の太巻きをいつも食べて……」
「如月ちゃん!」

如月の際どい言葉に鹿島は恥ずかしそうに反応した。

「あら~?どうしてそんなに反応しちゃうのかしら?まさか…」
「如月ちゃん……豆まきの鬼役はあなたにやってもらうわ」
「鹿島さん、ひょっとして…」
「きさらぎ星人という、鬼に似た宇宙人がいますから、
 同じ名前の如月ちゃんにちょうどいいと思いました」
「……は~い……」

わからない人にはさっぱりわからない事を言われながら、
わかる人ですらわからないような理屈だったが、
如月は鹿島の言葉の裏に秘められた怒りを感じ取ってか渋々受け入れ、
他の艦娘もただならぬものを感じたのか深く詮索はしなかった。

「…ところで司令官さん…少し顔色が悪いですよ……疲れてるんですか?」

ただならぬ空気を変えたのは電の一言だった。

「どうしたんだ急に…」
「一週間前と比べて少し…」
「え………んー…確かに言われてみると……」
「やっぱり鹿島さんが原因なのかしら……」

鹿島が原因……案外そうかもしれない。俺は少しまどろみながら今までの事を思い返していた……


――――話は一週間前に遡る。

「提督さん、お疲れ様。はい、珈琲です」
「ありがとう鹿島」

全ての仕事を終えた俺を秘書艦の鹿島が労ってくれた。
彼女は俺のパートナーとしてよく頑張ってくれている。

「ん………今日の味は少し濃いな……」

いつもは仕事終わりの珈琲は就寝の事を考えて薄めである。
もし俺がロボットだったら難癖つけていただろう。

「今日は…その…」
「大淀遠征艦隊、ただ今戻りました」

何か言おうとしていた鹿島を遮るかのように遠征艦隊旗艦の大淀の報告が聞こえた。
弥生や漣、電も一緒だった。

「あっ、大淀さんに弥生ちゃん、漣ちゃんに電ちゃん、お疲れ様です」
「提督、本日の遠征の成果です」
「ふむ…………ご苦労だったな」

俺は大淀の報告書を読んだ。この鎮守府の最重要人物の一人であると同時に
軽巡洋艦娘である彼女は駆逐艦娘と共に遠征においてもその力を発揮していた。

「提督、業務にもだいぶ慣れてきたみたいですね。
 少し前は報告書を読むのに時間がかかっていましたし」
「ああ。明日から一週間、大淀と鹿島が遠洋練習航海に出かけるからな。
 24時間ごとに帰ってくるとはいえ、鎮守府の業務をする余裕はない。
 大淀に至っては二週間後の礼号作戦に参加する事が決まっている以上
 約一ヶ月はこの鎮守府の業務に携われまい。
 そう考えたら俺だって他の艦娘や職員のサポートを受けて
 鎮守府の業務をちゃんとできるようになるさ……」

そうは言ったがやはり不安はあった。
俺は提督としての経験が浅い。なんせ着任してまだ一ヶ月しか経っていない。
普通なら新任提督は新しい泊地など規模の小さな所や
内地にある練習用の施設等で経験を積んでいくものだが、
俺の場合は新任の身でありながら規模の大きな鎮守府を任されていた。
本来なら国外に新しく出来た泊地につい最近佐官に昇進した俺が行く事が内定していたが、
そこが突如として強力な深海棲艦の脅威にさらされてしまった為、
急遽この鎮守府で指揮をしていた前提督が赴く事となり、
残った士官達の中で俺が一番階級が高かった為に
佐官となったばかりでありながら鎮守府の最高司令官となったのだった。
幸いにも今のこの鎮守府の仕事は戦闘ではなく警備や護衛が主である為、
大淀の存在もあって鎮守府の機能に不具合が出る事はなかったが、
引き換えに大淀が艦娘としての使命を全うできていないのであった。


「……提督、焦ってはいけませんよ」

大淀は俺の心中を見透かしているかのようだった。

「だが私が早く業務を覚えなければ大淀達の戦力を眠らせてしまう事になってしまう」
「でも焦っても中々上手くいきませんよ。
 焦りが取り返しのつかない事態を起こしてしまうでしょうし」
「そう……でも大丈夫…焦らずゆっくりで…弥生たちは急かさないよ…」
「だが悠長にしていたらいつまでも覚わらない気がして…」
「あーんもう、思い詰めてばかりいたらぶっ飛ばしますよ」
「すまない」
「提督は蠍座によく見られる思い込みの激しい所があるから
 心配ごとばかりしないでください。私たちにも悪影響がでちゃいますよ」

漣は曙ほどではないが口が少し悪い…
というかどっちかというとずげずげとものを言う。
ご主人と呼んでいたなら流せるが、ちゃんと弁えてか
そういった事は独身男性提督に対してしか言わない。
提督と言われている分、提督としての俺が咎められているように感じられた。
だけどここでへこたれていたらまた責められて悪循環になりかねない。
ここは何としても踏ん張らないと……

「でも良い方に思っているときはとことん良いから……
 鹿島さん、司令官が暗くならないようにお願いします…」
「ちゃんと毎日司令官さんと顔を合わせてあげてくださいね」
「ええ。お姉ちゃんに、任せなさーい!」

鹿島が自信満々でガッツポーズをしながら弥生と電にこたえた。
ちなみにこれはとあるアニメキャラのモノマネで、
新年会の時に余興で行ったモノマネ大会で審査員の夕張や秋雲が満点を出したものだ。
気をよくしたのかそれ以来幼い駆逐艦娘達に対して物事を引き受ける時によく言っている。
ちなみに鹿島自身実際に姉という存在である。
鎮守府だと香取の『妹』という事で忘れがちだけど、
もし香取型三番艦香椎の艦娘が現れたなら
鹿島にもお姉ちゃん的なイメージを持たれるようになるだろう。


「たしか遠洋練習航海は編成が鹿島を旗艦に
 大淀、足柄、霞、清霜、朝霜の艦隊で
 明日1月28日午前7時から2月3日までに計6回。
 かかる時間は一回につき約24時間。
 航海帰還後鎮守府にて約1時間半の休憩を経て再び航海……」
「鹿島さん、司令官さんとのんびりと会っていられる時間がほとんどありませんね」
「一週間大淀さんと鹿島さんと足柄さんと霞がいない以上、私たちががんばらないとね」
「厳しいけどやるしかないな。だが一週間を乗り切れば楽しい節分だ」
「ええ、楽しみですね」
「小さな艦娘達のためにこういった行事を行ってあげることも大切…
 提督さんも、前の提督が心掛けていたことを引き継いでくれたようですね」
「そういうのは俺は好きだからな」

本当はもし駄目だったら礼号作戦の成功を祈願しての行事という名目で行うつもりだった。
まあ礼号作戦の成功もちゃんと祈願するけどさ。

「確かにこういったことを行うのは大切なことだと思います。
 駆逐艦娘に限らず、他の艦娘みんなのためにも。
 でも……アニメ映画のTV放送観賞にまで付き合わせるなんて普通はしませんよ」
「そりゃあそんな事言う提督は世界ひろしといえども俺くらいなものだろう。
 だけど別に強制はしてないぞ。あくまでも一緒に見ないかって誘っただけだ」
「特に予定もないのに提督の誘いを断ったら後で何されるか…」
「そんなくらいで癇癪起こすような人間に思われていたのはちょっとショックだなあ……」

誰も一緒に見ないんなら一人で見るって。
さすがに俺一人の都合に艦隊を巻き込むわけにはいかないからな。


「あー…冗談ですよ、冗談。さすがにそんなことで怒るような
 大人げない人とは思ってませんよ」
「どちらにしても、司令官さんの意外な一面も見られてよかったと思っています」
「意外な一面?」
「『見ろ、人がゴミのようだ!』とか、
 『3分間待ってやる』とか、『目が…目がぁぁあ…!』とか、
 すっごくノリノリでTV画面の大佐とハモっていましたよ」
「エンディングテーマだって歌詞を見ずに完璧に歌えていましたもの。
 フタサンフタサンに突如着物を脱いだ天城さんもびっくりしていたくらいです」
「司令官の顔…とても楽しそうで…イキイキとしていて…羨ましかった……」

意外って程でもないと思うが、
そういや俺はあまり人前ではしゃいだりする事ってなかったな。
そもそも食事以外のプライベートな時間を艦娘達と過ごす事もなかったし。

「余程機嫌がよかったのか、翌日からしばらくは
 私の手助けも必要ないくらい仕事が捗っていましたね」
「提督さんったら、相変わらず現金過ぎですね、うふふっ」
「笑うなって…」
「でも悩んだりして暗くなっているよりは明るくしている方がいいですよ。
 あなたが暗いと、私や他のみんなも暗くなっちゃいますよ」
「それに司令官さんが楽しそうにしている姿を見ると
 日本や、世界のみんなも楽しそうにしているんだろうなって思います」
「それが私達艦娘の頑張りのおかげだと思えば、私たちはもっとがんばれます」
「人々が笑顔でいられるのなら、私たちも笑顔でいられると思うから……」
「そうだな……守ってきた人々が幸せでなくちゃ張り合いないからな」
「あ、いけない。話し込んじゃいました。明日も早いのに…」
「大淀さんと鹿島さん、司令官さんはもうお休みになってください」
「任せていいのか?」
「残りの仕事なら、私たちだって!」
「…わかった。電、弥生、漣。後は君達に任せる」
「了解。それじゃ、おやすみなさい」
「おやすみ」

明日が早い俺と鹿島と大淀は、電達に後を任せて休む事にした。


「節分まであと一週間ですね」
「恵方巻も豆も既に手配しておいたし、
 出撃や遠征の予定も節分の夜には何もないようにしておいた。
 後は一週間頑張るだけだ。鹿島も遠洋練習航海頑張ってくれ」
「わかりました」

鹿島が元気よく答えた。彼女は俺の提督業を支えてくれる秘書艦だが、
俺の人生を一生に歩んでくれる伴侶でもあった。
「だけど一週間ほとんど会えないのは寂しいな」
「仕方ないさ。礼号作戦を失敗するわけにはいかない。
 香取がいない今練習巡洋艦は君だけなんだ」
「私の力が必要ならそりゃあ頑張りますよ。
 でも……遠洋練習航海に行く前に夜戦しましょ」
「そうだな」

夜戦……今この状況でこの言葉を使う理由は察しの通り男女の営みという意味である。
寝ようとしていた俺達だったが、夜戦をするとなり服を脱ぎはじめた。

「さて、始め………どうした?」

彼女は全て脱いだ後、正座をしていた。

「ふふ…今日は私の口を…ずぼずぼ…って、してもいいんですよ…」
「つまりそれは俺が君の頭を掴んで突き入れて腰を振ると…」
「……」

彼女は少し恥ずかしそうに無言で頷いた。
要するにイラマチオをしてもいい、と言っているわけだ。
だけど俺はそういうのには乗り気ではない。
やったら気持ち良さそうと思う反面、
やられる方にとっては苦しいだけなんじゃないかと思ったからだ。
そもそもおしっこが出る所から出てくる液体を飲ませるのがとても抵抗があった。

「来週は節分で恵方巻を食べますから、
 恵方巻を食べる練習も兼ねて普段はやらないプレイをしてみようと思いました」

……ナニを言っているんだろう?
『こいつ何言ってんだ?』的な台詞が得意な俺ですらそう思った。
…もしかして俺に影響されたのか…?


「こういう時しかする機会もないでしょうし。さあ、どうぞ」

彼女の顔付きは少し期待と不安の交じった感じだった。
こっちがしたいって言ったわけじゃなくて、
むしろあまりやりたくないというのに………
ええい儘よ!

「…じゃあ行くぞ…」
「……」

彼女は頷き、息を吸い込んだ。
俺は硬くなっていたちんちんの鈴口を彼女の唇にキスさせた。
彼女が少し口を開けた瞬間、俺は彼女の口の中にちんちんを根元まで突き入れた。

「!?」

彼女は一瞬驚いたが、声は出さなかった。
どうやら本当に恵方巻を食べる練習も兼ねているようだ。

ジュボジュボジュボジュボ!

俺は彼女の頭を掴んで腰を激しく前後させた。
下手に気遣えば長引いてしまう。あえて全力でいった。
まあ気持ち良すぎて結局加減なんてしようと思わなくなってしまったが…
そろそろ射精しそうな感覚になってきた。ここでラストスパート…

「んんっ!」

彼女が声を出して俺の下半身を叩いた。
その痛みで思わず手を離してしまい、
彼女が俺のちんちんを咥えていた頭を離した瞬間

「はぁー…はぁー……」

びゅるん

粘り気のある少し黄ばんだ白濁の温かな液体が彼女の顔にかかった。
さっき微かに声を出した時にちんちんに強い締め付けを感じ、
それが射精のきっかけとなってしまった。
俺はとっさに亀頭を掴みながら抑えた。
射精は自分の意思では完全にコントロールする事が出来ないからだ。

623 :応用で練習になるもの―立春編―:2016/02/03(水) 17:46:01 ID:s6n996tI
びゅるん、びゅるん……

精液は俺の手の中に激しくぶつかりながら吐き出されていた。
生暖かなぬるぬるした感触が手の中で広がる。
俺は念の為にもう片方の手を下に受けたが、
危惧した通り片方の手では受け切れずに僅かに零れてしまった。

「はぁ…はぁ…」

射精が終わって俺は息をついた。先程顔射された彼女は俺を見ていた。
射精が終わった事に気付いた彼女は

「あ、ティッシュ!」

と言いながらティッシュを何枚か持ってきて俺に手渡した。

「すまない…」

俺は受けた方の手の指で受け取り、受けた手に零れたものを拭き、
それからもう片方の手についた精液を拭き取った。

「うわぁ……こんなに……」

彼女は顔を自分の分のティッシュで拭きながら驚いていた。
今まで膣内や口内で射精されてはいたが、
いずれも何回か射精したものだったりそのまま飲み込んだりしていた為、
一回の射精で出る量を見たのはこれが初めてだろう。


「あ…さっきはごめんなさい。息が出来なくて思わず…」

彼女がさっきああしたのは息苦しかったからか。
多分、俺がよかれと思ってやった事が逆にアダになって
鼻で息をつくタイミングを作らせなかったのだろう。
考え過ぎたり、逆に考えなさ過ぎたりするのは俺の癖だが、
この場合はもう少し考えていたらよかったかもしれない……

「とりあえず明日は早いですから、次は明後日にしましょう」
「明後日?」
「嫌ですか?んもう……どれだけしたいんですか……」

彼女がまんざらでもない感を出しながらも困り顔で言った。
いや、そういう意味ではなくてな……

「明日は準備に小忙しいですから無理ですよ」
「明後日ってどういう意味だ?」
「明後日?ええ、遠洋練習航海から帰ってきた休憩時間に一回しようと思って」

彼女はこんな事をまたするつもりらしい。

「それこそ小忙しいんじゃないのか」
「大丈夫です。艦娘の休憩時間ですから十分にあります。
 艤装のメンテナンスは明石さん達が完璧にしてくれますし」
「そうか………」

練習熱心なのか、彼女もそういうのが好きなのか……
それから一週間遠洋練習航海の合間の時間に俺達はこのような『練習』をした。
ロールケーキでやった方がいいんじゃないかと思ったのは節分の当日の事だった――――


「……さん……提督さん!」
「っ…何だ?」

一週間の事を思い返していた俺の心を鹿島の声が呼び戻した。

「大丈夫ですか?聞いていないようでしたけど…寝てました?」
「うー……どうやら少し寝ていたようだ」
「本当に大丈夫なの?疲れていない?
 私たちがいないあいだ大丈夫でしょうね?」
「本当に大丈夫だって」

鹿島に原因の一端があるかもしれないとは言えなかった。
俺は誤魔化すように話題を変えた。

「心配なら早く豆まきをやろう。邪気払いすりゃ何とかなる」
「あんたねえ、もうちょっと自分の体を労りなさいよ」
「明日も早いのに俺一人の都合で中止にするわけにいかんだろう」
「だったら休めばいいじゃないか」
「確かに早く切り上げるべきだろうが、節分で豆まきをしないわけにはいかないだろう」
「どうして自分がいなければ成り立たないという前提なんですか」

確かにそうだ。体がえらいなら休めばいい。俺抜きだって成り立つ事だ。
礼号作戦参加組ならともかく俺は最重要というわけでもない。
だがいざとなれば鹿島に全てを委ねればいいという考えもあった。

「はぁ……提督は一度言い出したら聞かないところもあるし、
 下手に休ませたら豆まきできなかったことに逆に落ち込みそうよ…」
「すまないな」
「もし提督さんに何かがあったら、私がフォローしますから」
「ふふ……よし、豆まきを始める前にもう少し鬼役を決めよう。
 さすがに如月一人には押し付けられない」
「そうですね。でもどうやって決めますか?」
「鬼は……まず金剛だろ。で、夜叉と呼ばれた比叡、
 羅刹と呼ばれた霧島、 阿修羅と呼ばれた夕立、
 ついでに不知火……こんなところか」
「なぜ不知火が鬼役に…何か落ち度でも?」
「この人選は俺か昔プレイしたゲームの敵キャラの…」
「ああそうですかわかりました」

不知火は俺の意図を完全に理解してないだろうとはいえ、
大まかにではあるだろうが呆れながら理解したようだ。


「私が鬼だなんて…」
「阿修羅だからと全裸、もしくは青いタイツでマフラーを羽衣みたいにさせながら
 薔薇を咥えさせられたり持たされたりするよりはマシでしょう」
「まあ……そりゃそうだけど……提督、あなたも鬼をやってよ」
「わかった」
「本当?」

俺は夕立に即答した。正直鬼役が俺一人の可能性も高かった為、備えてはいた。

「じゃあセッツブーンを始めましょう。それーっ!」
「うおおっ、いきなりかよ!?」

豆まきを節分と呼ぶのはこの際仕方ない。
だが鬼を決めている時に既に豆をスタンバイしていたのか、
こちらの準備も出来ていないのに投げつけてきた。

「いやだぁ、髪が傷んじゃう……」
「これが……セッツブーン……楽しい……」
「楽しいのは投げてる方だけでしょ…痛っ!」
「えいっ、えいっ!」
「痛い痛い!もう許しませーん!リベンジするヨー!」
「ちょっとぉ!?鬼が投げ返すなんて!?」
「お姉様に続きます!」

金剛が豆を投げ返し、比叡達も続いた。
落ちた豆だけを集めて投げるあたり弁えているみたいだ。

パラッ、パラッ!

大淀達が投げてきた豆だけではなく、投げ返した金剛の豆も俺に当たった。

「おい、金剛!?やめろ!俺も…」
「バーニングゥ…セッツブゥゥン、ラァァァヴ!」

……ひょっとして鬼に選ばれた事、怒ってる?
俺も巻き添えにしているあたりそうなんだろうな……
運悪く豆まき役と鬼役達の真ん中にいた俺は
両者から豆の集中砲火を受け続けたのだった…………


「あいつら…やたらめったら投げやがって……」

豆だからダメージは少ないと思ったが、
さすがに全力で四方八方から投げられまくれば馬鹿に出来ない。

「変な決め方するからですよ。じゃんけんで決めたならまだよかったんでしょうけど…」
「まあ前もって決めておくべきだったな。
 最初はじゃんけんで決めようと思ったけど、
 途中で気が変わってああ決めてしまったよ。
 そんなテキトーなやり方じゃこんな目にあっても仕方ないな…」
「まだ痛みますか?」
「まあそんなに酷くはないけど、さっき少し寝てしまったのもあって
 今日は眠れないだろうな」
「んー、じゃああなたがぶつけられたように、
 私のナカにたくさんぶつけていいですよ」

そう言いながら彼女は南々東を向きながらテーブルに腰掛け、
パンツの股の部分をずらし、指で秘部を開いた。
どうやら受け入れ態勢ばっちりで夜戦準備OKみたいだ。

「…だったらその言葉に甘えさせてもらうよ」
「ふふっ」

俺は立ち上がり、彼女が指で開いたところに『恵方巻』を当て、一気に食させた。

じゅるっ

彼女は『恵方巻』を全て咥えこんだ。だがこの『恵方巻』はここからが本番だ。

じゅぶっ、じゅぶっ!

俺は激しく腰を動かした。今日は『練習』はやっていない。
だから早々に終わらせられるはず!今回は俺の考えは間違いないはずだ。

「…………」
「…………」

互いに無言でいた。恵方巻を食べる時は無言でなければいけない。
だから食べさせている俺が無言でいる必要はないが、対抗心か、つい釣られてか……
だが体を動かす事に集中できたからか、すぐに出そうになった。
俺は持てる力の全てを振り絞って腰を打ちつけた。

びゅるーっ、びゅるーっ

俺の『恵方巻』から粘り気のある液体が飛び出した。
『恵方巻』を本来食す部分に入れていたからか、
『練習』の時以上に気持ちよく解き放たれた気がした。

ズルッ……

俺は『恵方巻』を引き抜いた。それはもう太巻きではなかった。

「ふぅ…………」
「はぁ~……はぁ……」

行為が完全に終わったあと二人とも大きく息をついていた。

「うふふっ、どれだけしたかったんですか?
 私のナカですごく強く叩きつけられる感じがしました。
 でも『恵方巻』……ちゃんと喋らずに食べきりましたよ……
 これで今年一年、無事でいられますね…」

俺は縁起を担ぐタイプだが、
こういう事していてバチは当たらないかとかほとんど思った事はない。
日本人は祭りに関しては割と節操がないから
こういう事も大人の世界では普通だろう、きっと。
そもそもこういう事は子孫繁栄に必要な事そのものと考えたら
むしろバチは当たらないかもしれない。


「ふわぁ~……私、なんだか眠くなっちゃいました……」
「ん……君はこの一週間遠洋練習航海で随分働いた。
 疲れがたまっていても不思議ではないさ」
「でもあなたより先に寝てしまうのは…」
「俺は今日は起きてるよ」
「えぇ…」
「どうせ寝ようとしても眠れそうにない。明日の朝から午前中は俺が一人でやるよ。
 君は長い練習航海の疲れをゆっくりと取って、午後から頑張ってくれ、鹿島」
「でも…」
「大丈夫だ。この一週間他の艦娘達もしっかりと成長した。
 私がいなくても君をサポートしてくれるはずだ」
「そうですか…安心しまし…………」

言葉を言い終わらないうちに彼女は眠りについた。
俺は彼女の体を拭いてベッドに運んだ後、
提督服に着替えて珈琲を飲んでから仕事を始めた。
とはいっても基本的にこの時間にはもうほとんど仕事はなく、
突発的なものでもない限り午前五時にするべき仕事がいっぺんに出てくる。
この時間はとりあえず資料や情報を読み返した。
どうやら次の作戦で新たなる秋月型駆逐艦の艦娘が着任するらしい。
秋月型は俺の鎮守府所属ではない為、ここに来る事はないだろう。
だが秋月と照月が他所の鎮守府に共に所属している以上、
新たなる秋月型もそこに行く事は間違いないだろう。
さて……他にどんな艦娘が来るか。それは俺にはまだわからない。
練習巡洋艦鹿島の妹艦の香椎がはたしていつ現れるのかはわからない。
もしかしたら艦娘香椎が現れる事がない可能性もありうる。
だが進水する事のなかった橿原とは違い、進水し、竣工した香椎はいつか来るはずだ。
だがいつ来るかわからないものを待っているよりも
今、目の前にある問題に向き合うべきだ。
俺は新たなる艦娘との邂逅を楽しみにしながら、一週間後の礼号作戦成功の為に
明日の朝に大淀、足柄、霞、朝霜、清霜……
その五人を見送る準備に取り掛かった。


《終》

+ 後書き
630 :名無しの紳士提督:2016/02/03(水) 17:55:37 ID:s6n996tI
以上です。艦これ世界だと割と真面目に節分を作戦成功の為にやっているかもしれません
まあ作戦の最中にバレンタインもあったりしますけど……
何はともあれ節分を初めバレンタインとホワイトデー、間の雛祭りとイベント盛りだくさんで
色々と話を作りやすい季節です
多分次はバレンタインでしょう。はたして創作意欲が沸く新たなる艦娘が現れるか否か……
それではまた

631 :名無しの紳士提督:2016/02/03(水) 20:23:17 ID:oh6oWbO.
GJ! 男根を直接「恵方巻」と表現したセンスに脱帽の一作だった。

632 :名無しの紳士提督:2016/02/03(水) 22:19:22 ID:Luh4XqJk
サラダ巻きな恵方巻からマヨネーズが顔に


これが気に入ったら……\(`・ω・´)ゞビシッ!! と/

最終更新:2016年10月05日 15:28