融解した人工島のユニットに立っていたのは、〝吸血王〟だけではなかった。蜥蜴の頭骨の
仮面をかぶった男。終焉教団の使徒の一人が、自らの肉体を楯にして、熔岩の奔流を防いで
いる。
彼がまとうローブは燃え尽き、頭骨も半ば熔け落ちていた。しかし彼の肉体は無傷だ。鱗の
ような赤銅色の肌──そこから噴き出す眩い炎が、摂氏数千度の熔岩を撥ね返している。
人型だった肉体は、蜥蜴に似た四つん這いの姿へと変わった。ただでさえ大柄な肉体が、十
数倍にまで膨張し、顔つきも異形へと変化を遂げる。
赤銅色の鱗が全身を覆い尽くし、背中には巨大な翼が広がった。蛇のような長い尾と、鋭
利な牙。鬣と額に突き出した長い角。