ショーケースの裏側で

イッシュ地方でもピッピというポケモンはペットとして人気がある
可愛い容姿に愛くるしい仕草、神秘的な生態など魅力溢れるポケモンだ
可愛がればよく懐くし火を吹いたり物を壊す心配もなく餌もあまり選り好みしない
だが一つだけ問題がある、それは入手がとても困難な事だ
生息域がとても限られている上に見つけるのも難しい、丸3日間山や洞窟を歩き回って1匹も見つからないなんて事もザラである
おまけにイッシュ地方でのピッピの生息域はジャイアントホールというメタグロスやマンムーなど屈強なポケモンが闊歩する超危険地帯なのである
それ故イッシュ地方のピッピはポケモンショップでとんでもない高額で売られている

「ピッピ~♪」
「おとーさん、おとーさん、ピッピ欲しーっ!」
ここはデパートの中にあるポケモンショップ
店頭に展示されたショーケースの中で愛嬌を振り撒くピッピに小さな女の子はもう夢中だ

「ピッピかー確かに可愛いな… ウゲッ…」
女の子の父親が驚愕するのも無理はない
そのピッピには60万円もの値段が付けられていたのだから

「うーん、ちょっとコイツは買えないなぁ」
父親がちょっと申し訳なさそうにそう言った時、既に女の子の興味は別のショーケースに移っていた

「この子もかわいーっ!お耳くるくる!」
「ミィミィ… ミィミィ…」
そのショーケースの中に居る耳にねじ巻きのような触角がついた桃色のポケモン、それはタブンネ
大きさは隣のピッピと同じくらい、50㎝程のまだ子供のタブンネだ
まるでここから出たいと女の子にアピールする様にミィミィと哀しげに泣きながらショーケースのガラス面を小さな手でキュッキュッと掻いている

「おとーさん、この子欲しい!」
「3万円か… これならいいかもしれんな。でもお母さんに相談してからだぞ」
あまり安いとは言えないが隣のピッピと比べるとずいぶんとお手頃だ
それもそのはず、子タブンネは高価なピッピの代用品としてポケモンショップに流通しているのである
代用とは言うが卵グループと全体的にピンク色な位しか共通点は無い
それでもピッピに手が出ないかわいいポケモン好きな人達にけっこうな需要があるのだ
子供の誕生日やクリスマスのプレゼントとして購入する親御さんも多い

「ミィー ミィー ミィー!」
「この子泣いちゃったよ、早く買ってあげようよ!」
今度はガラスケースをペチペチと必死に叩きはじめた子タブンネ
その目にはたっぷりと涙を浮かべている
このペットショップは誠実な店で子タブンネを乱暴な扱いもしてないし餌やりを忘れる事もない
ポケモンが入っているショーケースやケージもいつも清潔にしている
では何故、この子タブンネは必死にショーケースの外へ出たがっているのか?
それはこの子タブンネは過去に地獄を見てきた子タブンネだからである
いや、この子タブンネだけではない、イッシュのあらゆるショップで売られている子タブンネたちはみんな地獄を見てきていると言っても過言ではない

子タブンネ達が見てきた地獄とは一体どのような物であろうか?
これは、タブンネ狩りが横行し、タブンネ肉があらゆる店に並び、野良タブンネが町中に溢れるその以前
タブンネ地獄の時代の夜明け前の物語である



秋も終わりの11月、イッシュ地方にある名もない草むらの中で大きな麻袋を持った2人の男が子タブンネを探していた
1人はルカリオ、もう1人はドリュウズを傍らに連れている

「ワフ!」
「おっ、見つけたか」
ルカリオが一件なんの変哲もない場所を指差すと、ドリュウズがそこを掘り起こす
するとその時、2人の近くからガサガサと草を揺らす大きな音が

「兄貴、襲ってくるんじゃねえか?」
「黙って続けろ、巣から気を反らそうとしてやってるだけだ」


30センチ近く掘ると地中に大きな空洞が見つかった
その中から「チィチイ」「ミィミィ」と子タブンネの声が聞こえてくる

「いたぞ、すぐに捕まえろ。ドリュウズは使うなよ、爪で傷つけちまうからな」
「わかったよ、ドリュウズ、周りを見張っててくれ」
「ドリュ!」
弟分の男が懐中電灯を片手にドリュウズが開けた穴に上半身を突っ込んで何かを探しだす
そうして十数秒経つと、ミィーミィーと騒ぐ40㎝ほど子タブンネを片手に持って穴から出てきた

「兄貴、あと7、8匹はいますぜ」
「よし、穴を広げろ、全部捕まえるぞ」
「あい、ドリュウズ、もっと穴を大きくしろ」

指示の元にすごいスピードで地面を掻き、穴をどんどん広げていくドリュウズ
土しぶきをあげながら穴はどんどん広がっていき、遂には穴の中にあったタブンネの巣全体が露になった
二メートル四方ほどの巣に枯れ草のクッションが満遍なく敷かれていてその上で10ほどの近い子タブンネやベビンネたちが恐怖で震えている

「よし、捕まえよう。目が空いて
ないのは捕まえなくていいぞ」
「わかってまさぁ」

男たちは子タブンネだけを次々捕まえ、麻袋に放り込んでいく
捕まれたタブンネたちは「ミ゙-ッ!」と鳴いて手足をジタバタさせて抵抗するが男たちは気にも止めない
中には恐怖で糞尿を漏らす子タブンネもいたがそれも気にされる事もなくお尻を汚したまま麻袋に放り込まれた

「チー!チー!ビー!ミーッミーッ!ビャアアアアア!!」
「ミイーッ!!」
「おっ、ママさんのお出ましだぞ、出迎えてやれぃ」

麻袋の中のタブンネ達のママンネが草むらを掻き分けて男たちの前に姿を現した
麻袋からの子供たちの恐怖と苦痛と救いを求める声を聞いて急いで餌集めから戻ったのだ
目をつり上げた怒りの表情(タブンネだから怖くない)で肩をいからせた臨戦態勢だ

「あ、兄貴、いっぱいいるみたいだよ」
「あー、群れを作ってたんだな…」
男たちの周り、草むらの至るところでガサガサと揺れる音がする
音の主が全部タブンネだという事は想像に難くない

「ウミャアアアアア!!!」
弟分の怯えに反応するかのように、ママンネは男たちに向かって突進した
それと同時に回りのタブンネも草むらから姿を表し臨戦態勢で男たちを取り囲む
しかし、ママンネの突進は速いとは言えず、間に入ったドリュウズのアイアンヘッドで迎撃されそのまま血を吐いて倒れてしまった
鳩尾にモロに当たったので肋骨が折れて灰に刺さったのだ

「こんだけ成体が居るってことはガキもそれだけ沢山てことだ、こりゃ宝の山じゃねえか!」
「気合いいれて行きますぜ、兄貴!」
「地震は使わせんなよ、巣の中のお宝がおじゃんになっちまうからな!」

仲間が倒されて怒りに火がついたのか、草むらから出てきたタブンネたちも「ミィーッ!」と雄叫びを上げながら次々と男たちに突進していったが、結果は惨憺たる物であった
波動弾で吹き飛ばされ、メタルクローで腹を引き裂かれ、顎や腹に飛び膝蹴りを食らって血と折れた歯を撒き散らしながら次々と倒れていった
2人のポケモンは戦闘用に鍛え上げられたポケモンだ。野生のタブンネが何匹来ようと負けるはずがない
気がつくと2人の周りに居るのは倒れた半死半生のタブンネだけだった

「あらかたやっつけたみてぇだな、ルカリオ、波動で逃げるタブンネを見つけ出せ、
 リーマ(弟分の名前)、お前は草むらが揺れてる所を当たってみろ」
「がってんでさ!」

襲い来るタブンネたちを倒しても兄貴分はのんびりする事なく指示を急ぐ
多くの場合巣が襲われて戦闘に出るのは父タブンネで
その父タブンネが倒されると母タブンネは巣から子供を連れて逃げだしてしまうからだ

『ゥミィィ!チギュピー!! ミワーッ!! ミビャァァァ!!!』

ママンネ、パパンネ、 子タブンネ、ベビンネ、ありとあらゆるタブンネ達の悲鳴が草むらに響いた
顔を殴られ、足を折られ、その腕から子タブンネを引き剥がされるママンネの悲鳴、
戦うことも庇うことも出来ず、命より大切な妻や子供たちが傷つけられていくのをただ見ていることしかできないパパンネの慟哭
柔らかくて暖かい親の腕から引き剥がされ、硬くて暗い麻袋に詰められていく子タブンネの悲鳴
破壊された巣の中に残され周りのタブンネの尋常ならざる悲鳴に恐怖し、ただ泣きじゃくるベビンネ
数十分前はただ風がそよぐだけだった草むらは2人の男によって叫喚地獄と化していた

「こんなもんで勘弁してやるとするか」
「大漁ですぜ兄貴、とても持ちきれねぇや」

狂乱の後、男たちは子タブンネで満タンになった麻袋を車の中に積み込んでいる
穀物用60kgサイズの麻袋が3つ、もう何匹捕まえたか分からないほどの大漁である

『ヂィー ! ミ゙ィ-!ミ゙ィ-! ビビィ! ヴミ゙ー!!』

大量に喜ぶ男たちと対照的に、袋の中の子タブンネたちは地獄そのものの様相であった
詰め込まれた子タブンネ達の体温で中は灼熱の蒸し風呂状態、
ついでに上からも下からも糞尿が降り注ぎ全身を容赦なく汚し、充満する悪臭で息もまともに吸えない
無数の子タブンネが泣き喚く甲高い騒音にも耳のいい子タブンネたちは苦しめられた
この地獄から脱出しようと子タブンネたちは仲間たちを蹴り、そして押しのけながら闇の中を動き回る
しかし、その出口は固い紐でしっかりと閉じられているのであった

「ちょっといくらなんでも詰め込みすぎたな、酸欠で死ぬかもしれんから空気入れてやろうや」
「へい」

弟分は大型のエアポンプを起動し、そこから枝分かれして伸びる管をそれぞれの麻袋に突っ込んでいく
その時、結び方が甘かったのか麻袋の口がほどけ、1匹のベビンネが袋の外にこぼれ落ちた
それに気づいた兄貴分は「気を付けろ」と注意しつつベビンネをさっと拾い上げる
それは袋の中の子タブンネたちよりだいぶ小さい、まだ目が開いてないベビンネだった
こういう小さすぎるベビンネは捕まえずに避けておいたハズだが何かの拍子に混ざってしまっていたらしい
手の中でぶるぶると震え、チィチィと弱々しく母を求めて鳴くそれを
兄貴分は振りかぶって草むらに放り投げた

「そいつは返してやる、大事に育ててやれよー」

草むらからはミィとも帰ってこなかったが兄貴分は気にする事も無く
ミィミィうるさい車に乗り込み草むらの前から去っていた

「フィィ…」「チィ… チィ… 」「ミィ…」

男たちが去った後、草むらに残されたのは立ち上がれないほど傷ついた親タブンネ
そして太陽の下に露になった巣に放置された幼すぎるベビンネたちだった
彼らは互いの存在を確認しあうようにチィチィ、ミィミィと鳴き合っていた
もう1時間もすれば再生力でまともに歩けるようになるタブンネもちらほら出てくるだろう
しかし、イッシュの自然はタブンネたちに1時間の猶予も与えてはくれなかった

「ワンワン♪」

どこからともなく可愛らしいヨーテリーが現れた。それも1匹ではなく草むらを取り囲むように何匹もいる
そして1匹のベビンネの匂いを嗅ぎ、首筋に食いつくとそのままどこかに連れ去っていってしまった

「ミフーッ!ミフーッ!」「ミアアアアアア!!!」

成体のタブンネ達は声を荒げて威嚇したがヨーテリー達には何のの効果もない
何故ならヨーテリー達は相手の強さや様子が顔のレーダーで分かる能力があるからで
動けないタブンネがいくら吠えようとこちらに危険は無いとヨーテリーたちは分かっているのだ
それからヨーテリーたちは動けない大人タブンネに、抵抗する力も無いベビンネに集団で容赦なく襲いかかった
そして彼らが去った後に残されたのは骨が剥き出しになった死体と瀕死の大人タブンネだけだった

一方、子タブンネを捕まえて行った2人の男たちは人里から離れたところにある一軒家に車を止めた

「今回は早かったね。こっちは準備できてるよー」

その玄関から出てきた若い女性、この女性が袋に詰められた子タブンネたちの運命を決めるのである

この女性は個人経営のペット業者で人里離れた家を安く買い仕事場にしているのだ
ちなみに男2人はこの業者の社員なのである
ポケモンマスターになる夢が破れてブラブラしてる所を拾われたのだ

「うわあ… 酷いことになってますぜこりゃあ」
「ちょっといくらなんでも詰めこみすぎだよー」

車の中の麻袋は酷い有様だった
子タブンネたちの糞尿で袋の下の方がぐっしょりと塗れ、そこから強烈な悪臭を放つ液体が染み出してきているのだ
1時間道のりの間に袋の中の子タブンネたちすっかり静かになっていた
弟分は中のタブンネが皆死んでるのではないかと心配したが
兄貴分が袋を揺すってみると一斉にミッミッと騒ぎだした

「それじゃタブンネちゃんたちをお庭にあるビニールプールに入れてあげてね」

男たちは2人がかりで子タブンネが
詰まった麻袋を1袋庭に持って行き、
そこに用意されていた水を張ってない直径3mの特大ビニールプールに中身をぶちまけた

『ゥミィィ!! ミィ~ッ!! ミッ?!ミッ? ミギー!!』

プールの中に袋の口を向け、口を結んでいた紐をほどくと、まるでピンク色の滝のようにタブンネたちは一斉に袋からプールの中に飛び出した
皆一様に困惑し、不安そうに鳴きながら広いプールの中をウロウロと歩き回る
その毛皮には糞と小便が混ざった汚液がたっぷり染み込んでおり、ビニールプールの周りには悪臭が立ち込めた

「ん?袋から出てこねぇのもいるぞ」

兄貴分はまだ重みを残す袋を怪しみ、それを逆さまにして強く振ってみる
すると袋の底に残された子タブンネたちが一塊になって糞尿と共にどちゃりと地面に落ちた
先に出てきた子タブンネよりもさらにビショビショに汚液で濡れていて、糞尿の臭いに加えて何か別の種類の悪臭がする
そしてその子タブンネたちはミィとも鳴かずピクリとも動かない

「あー、おしっこで溺死しちゃったみたいね」
「うへー、かわいそ」
「ばっちいからごみ袋に入れとこうね」

弟分は重なりあう子タブンネの死体をトングでつまみ上げようとした時、その隙間から見えた小さな白い手が僅かに動いているのを見つけた
上に重なってる死体をどけてみると、その下にはまだ息のある子タブンネが
かなり衰弱していて、弱々しく息を吐きながらピクピクと小刻みに手足を動かすのが精一杯らしい

「うーん、この子はもうダメかな ー、後で捨てとくから死体と一緒にごみ袋に入れといてね」
「え、こいつはもう助からないんですかい?」
「回復の見込みが無いことはないけど、これから忙しくなるから看病する手間がもったいないんだよー 」

奇跡的に助かった命を省みられる事なく糞まみれの死体と共にビニールのごみ袋に詰められた生き残り子タブンネ
密閉された空間で死臭と糞尿と酸欠で苦しみ抜く事約30分、声にならない断末魔を上げ誰にも知られる事なくその短い一生を終えた
その死に顔は周りの死体と違わぬ絶望の表情だった

3袋分の子タブンネ、約150匹をプールに入れると、さしもの3mビニールプールも満員になった
子タブンネたちは泣きじゃくる子にウロウロ歩き回る子、ぶつかって喧嘩する子など様々だ
壁を登って脱出しようとしてる子タブンネも多数いたが手についた糞汁で滑ってずり落ちてお尻を打ってしまうのだった

「それじゃあタブンネちゃんたちを綺麗にしてあげちゃうよ~」

女は腕まくりして用意していたポケモン用粉石鹸を子タブンネたちの上から満遍なく振り掛ける
野生だった子タブンネたちにとってそれは未知の物質で訳も分からずパニックになりギャアギャアと騒ぎだした
しかし女はそんなのには慣れた様子で気にもせず、用意していた高水圧洗浄機でタブンネたちに放水した

『バアアァァァァァァァ!!!ヴミ゙イイイイイイイイ!!!!』

高水圧で噴出する11月の水は肌に触れるとまるで針が刺さるような痛さと冷たさで
それを全身でまともに浴びた子タブンネたちは絶叫しながら放水から逃れるべく一斉にプールの端へ押し寄せる

「こんな冷たい水かけちまって、風邪ひいちまうんじゃないですかい?」
「このくらいなら大丈夫大丈夫♪ 一応水圧は一番弱いのにしてるし」

子タブンネ達が逃げたら回り込んで水をかけ、また逃げたら回り込んで水をかけの繰り返しがしばらく続いた
汚れを吸った石鹸はブクブクと茶色い泡を立て子タブンネとビニールプールを覆っていく
そしてその泡にまみれた子タブンネたちは自分に何が起きてるのかも分からずただただ泣き叫び、悶え、逃げ惑うのだった
ちなみにビニールプールの底には排水用の穴が開いてるので水が溜まって子タブンネが溺れる心配はない

『ヂヂィ… ヂィィ… 』
「はい、みんな綺麗になりましたね~」

泡があらかた流れ落ちた時、子タブンネ達の毛皮は鮮やかなピンク色を取り戻していた
しかし当の子タブンネたちは巨大なピンクの塊のように身を寄せあってカチカチと歯を鳴らしながら激しく震えていた
濡れた体に冬の始まりの風は物凄く堪える、体の小さな子タブンネになら尚更だ

「社長、持ってきましたぜ」

洗浄が終わったのに合わせて、兄貴分の男が大きなプラスチックの箱がついた手押し車を押してきた
子タブンネたちは三人によってその箱に押し込められ、家の中へ連れて行かれた

「ここでタブンネちゃんたちを乾かしてあげてね」

タブンネたちが連れていかれたのは自宅件仕事場の一室
床全面にバスタオルが敷き詰められていてファンヒーター二台と石油ストーブ一台が煌々と部屋全体を暖めている

「ミッ!」「ミィィ!」「ミィィ~ン♪」

男2人が見張るその前で、体が冷えきっていた子タブンネたちは我先にとストーブの前に押し寄せる
温風に当てられると濡れてビショビショだった毛並みもふわふわに戻っていった
競争に負けてストーブの前に行けなかった子タブンネたちもバスタオルの上で転がったりプルプルと全身を震って水滴を飛ばしたりと何とか体を乾かそうと頑張っている
それから30分、暖まって元気が戻ってくると、子タブンネたちは個性あふれる様々な行動を見せた

数匹連れだって部屋の中をトテトテ走り回る子、親が恋しくなったのかミンミンと泣きじゃくる子、
部屋の隅っこで丸まって眠ってしまってる子、小さい妹や弟をお世話する子…
中でも目立っていたのは胡座をかいて見張っている男2人に攻撃している10匹ほどの子タブンネたちだ

「ミィィィ!!!ミィッ!!ミフーッ!!」
「ひょっとして俺達の事恨んでんですかね?」
「ミッ!ミッ!ミッ!ミ゙ーーー!!」
「あれだけやったんだからそりゃ恨むだろうよ」

その子タブンネたちの攻撃というのは男たちの足を小さな手でペチペチ叩いたり、
助走をつけて体当たりして反動でコロンと転げてしまったりなど端から見るとじゃれているようにしか見えない
しかし子タブンネたちにとっては家族の敵を討つための捨て身の特攻なのだ
その証拠に攻撃してる子タブンネたちは歯を食い縛り、目をつり上がらせた怒りの表情(でも子タブンネだから怖くない)で時折涙を溢しながら男たちの足にぶつかっていく

「疲れた足にゃいいマッサージだよ、ハハハ」

もちろん男たちには全然効いてなかった

「タブンネちゃんたちそろそろ乾いたかな?選別を始めちゃうよー」

特に何事も起きず、男たちと子タブンネがくつろいでた所に社長の女が「選別セット」と書かれた大きな段ボール箱を持って入ってきた

「はいはい、タブンネちゃんたち、ご飯ですよー」

女社長は箱から茶色いペレットを取り出して袋からパラパラと床に落とした
そのペレットは全国のポケモンショップで普遍的に売られている安価な草食ポケ用ポケモンフーズで
ショップの店頭で売られているタブンネに主食として与えられてる事も多い


「ミッ?」「ミィ?」「ミッミッ!」

すぐに近くにいた数匹の子タブンネたちが反応を示しペレットの元によちよちと集まってきた
しかし野生の子タブンネたちは初めて見るペレットを餌だと認識せず、コロコロと転がして遊んだり足で蹴っ飛ばしたりで口に入れる様子は無い
ペレットは乾燥していて硬いが口に入れると唾液の水分で柔らかくほぐれて子タブンネでも食べられる
だがそれを知らない子タブンネたちにとっては丸い土の塊か木片としか思えないのだ

十数分ほどして子タブンネ達がペレットに飽きてきた頃、それはある1匹の子タブンネが遊んでる最中に不意にペレットを口に入れてしまった事から始まった

「ミィ? ミッミッミッ…(ポリポリポリ)」

ペレットが唾液を吸い込んで柔らかくなると子タブンネの口の中に穀物のほのかな甘みが広がり、それは噛むほどに強くなっていく
雑穀を粉砕してオカラを混ぜて固めただけの嗜好性があまり高くないペレットなのだが
野生暮らしでいつも腹ペコだった子タブンネにとってそれはすごく美味しく感じられた

「ミッミッミ、ミフーッ!ミフーッ!」
「あらら、今日のタブちゃんたちはいい子がたくさんだね~
 まだまだあるから遠慮せず食べてね~」

1匹が食べ始めると周りのタブンネが真似をしてペレットを拾って食べ、
そのまわりのタブンネがまた真似をして拾って食べの繰り返しで部屋のタブンネの殆どがペレットを求めてる状態になった
それに合わせて部屋中にペレットを撒く女社長。実はその最中も約150匹全ての子タブンネを観察し、大まかながら選定を行っているのだった
部屋中の子タブンネに行き渡るようにペレットを蒔いたその後
女社長が箱から取り出したのは、青、赤、黄の三色の短く切ったリボンの束だ

「好き嫌いしないいい子には、素敵ブルーのリボンをあげちゃうよっ♪」
「チィ?」

口一杯にペレットを頬張ってた所、突然二の腕に青いリボンを巻かれた子タブンネの中の1匹
気になるのかむず痒そうに巻かれたところをポリポリ掻いている

この三色リボンを巻くことで質のいいタブンネと悪いタブンネを見分けやすくするのだ
良し悪しは基本的にペレットの食いで決まる
人工の餌を食わないような子タブンネはペットとして飼うのに不適格で店には卸せないという訳だ
見た目や健康状態に問題がなくペレットを積極的に食べる個体には青いリボンが与えられる
これは一番良いリボンで「すぐにでも出荷できる」事を表している

「もうちょっとなタブンネちゃんには黄色いリボン!、もう一息頑張ってね~」
「ミッミッ!」

ペレットが口に合わず、あまり食べなかったり途中で吐き出してしまった子タブンネには黄色いリボンが巻かれる
これは「少し改善すれば出荷できる」を意味するリボンだ
黄色いリボンのタブンネはケージに入れられてペレットに徐々に慣らしながら食べられるようになるまでここで飼育されるのだ
目立つ抜け毛があったり跡が残らない程度の傷があるタブンネにもこのリボンが巻かれ、治るまで飼育される

「困ったちゃんには、赤いリボン!、いい子ちゃんになれるように頑張ろうね~」
「ミィィ!ミィィ!!」

ペレットに見向きもせず弟分の足をペチペチとはたき続けている子タブンネに赤いリボンが巻かれた

ペレットを口に入れない、興味を示さない子タブンネには赤いリボン
このリボンを巻かれた子タブンネは一番ランクが下の「売り物になる可能性は低い」タブンネで、
性格に大きな難があるタブンネ、離乳したてのタブンネにも赤リボンが巻かれる
このリボンが巻かれたタブンネたちはスパルタ方式で教育され
丸一日絶食させる、他のタブンネが美味しそうに食べるのを見せつける、ペレット食べないと殺すという旨を触角から伝えるなど様々な仕打ちを受ける
しかしそれでも赤リボンのタブンネが出荷できるまでになる確率は半分以下と少ない

「ん~? ずいぶんちっちゃい子がいるね~」
「チィ?」

男2人も社長を手伝い選別の作業を続けてると、まわりの子タブンネより一際小さい子タブンネが見つかった
身長は35㎝ほどで普通なら持って帰らないサイズだが今回は数が多かったので紛れ込んでしまったようだ
まだおぼつかない足取りでよちよち歩き回り見ていて危なっかしい
恐らくここ数日のうちに歩けるようになったばかりなのだろう
鳴き声もまわりの子タブンネよりも幼いベビンネのチィチィ声だ

「巣漁るとき間違って捕まえちまったかなー」
「ミミィ! ミィミィ!」
「ん、なんだこいつ」

弟分が何気なく小さい子タブンネの顔を覗き込んだ時、黄色いリボンの子タブンネがその間に割って入った
この子タブンネは小さい子タブンネのお兄ちゃんで、初めて出来た妹である小さい子タブンネをとても可愛がっていたのだ
両親を目の前で殺され、2匹揃って捕まった後もこの兄子タブンネは必死に頑張った
麻袋の中では降り注ぐ糞尿や他のタブンネの荒ぶる手足から庇い
高水圧洗浄機の冷たい放水からも自分の身を盾にして必死に守った
黄色いリボンを巻かれたのにも理由がある
固いペレットを妹にも食べられるように自分の口で噛んで柔らかくして吐き出したのを「食べられなかった」と誤解された為である

「よしよし、抱っこの時間でちゅよ~」
「チッチ!」「ミィィ!」

目の前の弟分に気を取られていたのか、兄ンネは後ろにいた女社長にいとも簡単に妹ンネを抱き上げられてしまった
「妹を返して!」と言わんばかりにミーッ!ミーッ!と声を張り上げて両手を抱き上げられた妹に向けピョンピョン跳ねながら怒ったが
社長は特に気にする事も無く赤ちゃんを抱っこするような形に妹ンネを抱き直した

「チィ…チィ…」「ミィ…?」

社長に抱っこされた妹ンネを見たとき、兄ンネはピタリと怒るのをやめた
妹ンネの身体全体を優しく支えるような抱きかた、それは母タブンネが妹を抱く時と同じ姿だったからだ
目の前でドリュウズに腹を引き裂かれて死んだママンネが人間の姿で帰ってきた… そんなあり得ない妄想で兄ンネの頭の中がいっぱいになった
そして妹ンネも久しぶりに触れた大きな温もりに安らいでいる
社長はそんな妹ンネの小さな口に人差し指で優しく触れると、妹ンネはまるでお乳を飲むかのように指をちゅぱちゅぱとしゃぶりだした

「うーん…この子は育てらんないかな~、まだ歯が全然生えてないや」

社長はそう呟くと妹ンネを胴体を片手で掴むような持ち方に持ち替え、
まるでペットボトルのフタでも捻るかのように妹ンネの首をグキリと後ろに回してしまった

「ミィ…?」

社長の手からポトリと妹ンネが落とされると、兄ンネは「何が起こったのか分からない」といった表情で妹ンネへ駆け寄る
野次馬の子タブンネも数匹寄ってきた
首が180°後ろに向いた異様な姿でピクピク痙攣する妹ンネ、兄ンネは不思議に思って触角をくっつけで妹ンネの体の音を聞いてみる
そこから聞こえるのは急速に小さくなっていく心臓の音、血の流れがだんだん緩やかになり、やがて止まる音、止まってしまった呼吸の音…
これらが「死の音」だということは幼い兄ンネにも分かることだった

「ミギュッヒ… ミビェェ~~ン!!」
「ありゃ、兄弟だったのね」

兄ンネは死体となった妹ンネにすがり付いて泣いた。それは狂気を含む泣きかただった
死んだはずの母親が生き返って大好きな妹ンネを殺した… 幼いタブンネの心に致命的なダメージを与えるには十分な出来事だろう
当の社長は自分が兄ンネに母親と勘違いされてるとかそんな事知るよしも無いのだが

「社長~ こっちにも小さいのが居ましたぜ~」
「歯が生えてるなら赤いリボンつけて残しといてねー」
「あいたた!ちゃんと生えてんなこいつ」

離乳してないベビンネ、病気の子タブンネ、身体に欠損がある子タブンネはリボンを付けられる事無くその場で処分される
育てても商品にならないか、育っても手間と金が掛かりすぎて採算割れしてしまうからだ

青いリボンの子タブンネは明日にでも競りにかけられポケモンショップに売られていく
そして赤と黄のリボンの子タブンネはここで商品になるよう飼育される
しかしそれは生き延びて売られるか、力尽きてゴミになるかの希望の無いサバイバルなのだ

黄色いリボンのタブンネたちは約30匹
車輪つきの特大衣装ケースにすし詰めにされて女社長に第一飼育室へと連れて行かれた
第一飼育室は窓とエアコンがついた広いリビングを改造した飼育場で黄色いリボンの子タブンネがここに置かれるのだ
先住の子タブンネは三段、所によっては四段も積み重ねられた狭い檻のようなケージに一匹から数匹ずつ入れられている

『ミミーッ! ヂーッ!ヂーッ! ミッヒミッヒ! ミーッ!ミーッ!』

女社長が部屋に入ってくると部屋中の子タブンネたちが一斉に鳴き出した
歓喜、渇望、不満、悲哀、様々なな感情が籠った声が混じりあって部屋中に響く
そのあまりの騒音に衣装ケースの新入り子タブンネの達は思わずたじろいだ

ここのタブンネには十分な食べ物と水、そして温かい空気が与えられてはいるが足りない物が二つある
それは楽しみ、そして母の愛。この子供にとって必要不可欠な二つにここの子タブンネたちは非常に飢えている

「はいはーい、みんな、新しいお友だちだよ~」

部屋の隅にある折り畳み式のケージをいくつも組み立て、そこに子タブンネをホイホイと首を掴んで放り込んでいく社長
基本的に1檻に1匹、兄弟の子タブンネがいたら一緒のケージに入れるのだ
ケージの大きさは70㎝四方、身長40~50㎝の子タブンネにとってはだいぶ狭いが、食うか寝るか糞するかしかする事は無いので問題はない
ケージに入れられた子タブンネは個体毎に違った反応を見せた
抗議するようにビービー鳴いて鉄格子をカタカタと揺らす子、
困惑した様子で狭い中をうろうろ歩き回る子、
周りの子タブンネの鳴き声に怯えきってしまい隅で丸くなって震えている子など色々だ

社長は全ての新入り子タブンネをケージに入れ終えると、先住の子タブンネたちを一匹一匹丁寧に観察していく
その時、社長が檻に顔を近づけると子タブンネは「ミッミッ!ミッミッ!」と喜びながらケージの前面に寄ってくる
社長が子タブンネに対してしてる事と言えば
「今日も元気だね」や
「 ご飯全部食べて偉いね~」
など他愛もない言葉をかけるだけだ

「ミィィ…」

この光景をケージの中から「信じられない」という目で見ている新入りタブンネがいた
先ほど社長にまだ幼い妹ンネを殺された兄子タブンネだ
なぜあの子タブンネたちはベビンネを平気で殺すような奴に笑顔を見せて喜んでいるんだ…
兄ンネは不気味でならなかった

しかしその答えは単純、この社長がここの子タブンネたちにとっての母親だからだ
確かに子タブンネに毎日餌をあげているのは社長であるが、ただそれだけではない
社長がここの子タブンネ達の母親足り得てるのは、一種の「魔性」のような物があるからだ
独特の高くて柔らかい声はママンネの声にどことなく似ていて子タブンネ達に安らぎを与え
童顔で目が大きく、優しげな円みを帯びた顔も子タブンネ受けがいい
あの、妹ンネを抱っこした時のような穏やかで優しく見える振る舞いもまた魅力的だ
事実、兄ンネもこの魔性に一度騙されかけているのだ

ただ、社長が第一飼育室に来るのは日に1、2回、数十分の間だけ。子タブンネたちはあまり一緒に居ることができないのだ
まだ甘えたい盛りの子タブンネにとって一日の大半を子供だけで過ごすのがどんなに心細い事か
母性というものに飢えきっている子タブンネたちにとっては社長と顔を合わせるたった数秒が砂漠に下りる朝露のような尊い物になるのだ
例えそれが、打算から来る上っ面だけのヘドが出るような母性であってもだ

「それじゃあご飯を全部食べた子には、オヤツをあげるよ~」
『ミィィィィィヤッ!!ミィィィー!ミッ!!ミッ!!ミッミ!!』

社長が一緒に持ってきていたスーパーの袋からオボンの実を取り出すと、飼育室は歓声に包まれた
それはクリーム色のはずの皮が全体的に茶色くなっているかなり傷んだオボンの実だったが
そんな事は子タブンネ達には関係ない、みんな鉄格子の隙間から小さな白い手を伸ばして欲しい欲しいと催促している

「慌てちゃダメだよ、みんなの分はちゃんとあるからねー」

社長はそのオボンをナイフで薄く削ぎ落とすと、飛び出ている子タブンネにの手にそっと手渡した
一円玉程度の大きさのペラペラの切れ端だ、これでは舌に乗せて一なめしただけでで無くなってしまうだろう
しかし子タブンネは受け取った瞬間すぐに口に入れ、ペチャペチャと舌を鳴らしながらいつまでも咀嚼している
美味しくて仕方がないと言った感じだ

ここの子タブンネたちにとって楽しみはこの吹けば飛ぶような切れ端しかないと言っても過言ではない
それ故、味がなくなるまで、いや、味が無くなってもなお実の繊維の一本に至るまで味わい尽くす
「無くならないで」「いつまでも口の中に居て」そんな事を願いながら子タブンネたちは数滴もないであろう果汁を唾液で口一杯に満たすのだ

「ミ゙ーッ !ミ゙ーッ !ミ゙ーッ!!」
「はいはい、今あげるからねー」
サクサクとナイフでオボンを削りながらテンポ良く次々と配っていく社長
子タブンネたちは隣の檻の子タブンネがオボンを受け取るとより強く鳴いて自分にもくれと必死でアピールする
そして受け取ると一転して静かになり小さなピチャピチャという音だけがケージの中から聞こえてくる

だが、ある子タブンネのケージの前でオボンを切る手が止まった
そしてケージの上部に貼られている付箋紙をチェックする社長
そこには「10月29日 腕 毛抜け」と書かれている
たしかにそのケージから出ている手は、腕の部分にハゲができてて地肌が丸見えだ

「うーん、1週間経っても何も変わらないなぁ… もう改善は望めない、かな?」

社長はオボンを床に置いてからケージの扉を開け、片手にナイフを持ったまま毛抜け子タブンネを抱き寄せた
腕の中で「ミィ~♪」と甘えるように鳴いて、母タブンネの毛皮を掴むのと同じように社長の服をきゅっと掴む抜けンネ
そしてたまたま顔の近くに来ていたナイフからオボンの匂いがするのに気づくと、その峰をペロペロと嘗めだした
ナイフが危険な物だと分かっていないのだ

そんな事には気付かず社長は片手でオボンが入っていたビニール袋を床に敷くと、そこに抜けンネをそっと寝かせ首の所をやんわりと押さえつけた
抜けンネは社長が遊んでくれてるんだと思い込んでいて、
「ミッミッ♪」と笑いながら小さな手をパタパタ振り回して喜んでいる
端から見ればナイフを持った人間に首根っこを押さえつけられてる絶体絶命な状況だが抜けンネにはそれが分からない
抜けンネとってナイフは甘い味がするおやつで、押さえつけてる人間は大好きなママなのだから

「えっと、心臓はこの辺だったよね?」

社長は抜けンネの胸にナイフを突きつけ、そのまま力を込めてナイフで刺した
「ミグッ?!」と最後の一鳴きと同時に、胸から血が溢れだす

抜けンネは突然ママから与えられた激痛にもう訳がわからなくなったいた

「どうしてママはミィにいたいことするミィ? ミィはわるいことしてないミィ」

鳴いてそう伝えたかったのだが喉に血が上ってきて鳴くことも、いや呼吸することすら出来ない
抜けンネの澄んだ青い瞳から、痛みと悲しみの涙が胸の血にも負けぬほど溢れ出た

「心臓を外しちゃったかなー? でもこれだけ血が出てたらそのうち死ぬよね」

社長は抜けンネの血がついてない尻尾の部分でナイフの血を拭き
死にきれずにピクピク痙攣する抜けンネをまるでゴミのようにスーパーの袋に入れてしまった
そして何事も無かったかのようにオボンの切れ端を子タブンネたちに配る作業に戻っていった

この惨劇に子タブンネたちは怯えていたが、目の前のオボンの魅力には敵わずまた檻の隙間から白い手を出して催促するのだった
「あの子は悪い子だからお仕置きされた、でも自分はいい子だから大丈夫」そんな都合のいい解釈をして

この部屋の子タブンネたちは本来ならば両親や仲間たちから色々なことを学ぶ時期だ
それは他タブンネとの円滑な接し方や、食べ物のみつけかた、危険なポケモンからの逃れかたなど様々だ
そんな大切な時期にただ餌を食べるという事だけを教えられたこの部屋のタブンネたちは、本当に幸せなタブ生を送るのだろうか…
そんな事は子タブンネを売ってしまえばそれで終わりの社長は考えてもいないのである

最終更新:2017年03月26日 20:46