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魑魅魍魎 美食の宴_プロローグ7

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George(2006-10-14)

魑魅魍魎 美食の宴≫ プロローグ

血が騒ぐ…そう、血が騒ぐのだ…。

妖怪料理界では、三凶を狙った刺客集団の噂で持ちきりだった。
それを耳にした、もと「狐者異・悪狐偽」の太郎は仕込みも手につかず
ほてる身体を抑えるのに必死であった。

太「いけねぇ、いけねぇよ…おれぁ、もう真っ当に生きるってきめたんだ!!
  青坊主様にも、親方にも誓ったぢゃねぇ~か!!」

今ここで誘惑に負ければ、またあの修羅道に入らねばならない。
それだけは出来なかった…なぜなら太郎には怪生をやり直し、自分の
店を、妖界一のそば処にする夢があるからだ…。
しかし、これ以上昔の荒ぶる魂を抑える自信が、彼には無かった。

太「…いったい…いったい おれぁ、どうすりゃいいんでぇ…」

2階に住む大家の「髪切りおふさ」から、驚くべき話を聞かされた
事により、太郎のヨコシマな心が再び目覚め始めたのである。

そんな太郎の様子を、窓の外から見つめるモノがいた。
そう、あの「猩妖軒」を狙っていたはずの「謎の第三の刺客」だ…。
この大爆笑コントを、シリアス路線へと強引に変えたとんでもないヤツである。
体からにじみ出る、金色の眩いオーラを必死に抑えつつ
その細い目をさらに細くし呟く…。

「…使えるかねぇ~…あの男……ん?」

ふと見ると、むこうの方から見覚えのある顔が二匹…
なにやらホンワカムードで歩いて来る。

「ほぉ~ぅ…これは面白い…」

キツネ亭オーナー「宗旦狐」とその右腕「クダ」である。
二匹の行き先は、もちろんココ「太郎そば」である。

「どれ…見極めてやろうぞ、我の敵に相応しいかどうか…」

そう言うと、第三の刺客は「太郎そば」の窓から滑り込むようにして
中に入ると、宗旦狐が居る個室の前に立った。
部屋の中では宗旦狐とクダが、ここ最近自分達の周りで起こっている
様々な出来事について話をしていた。

「フフッ…良いヨミじゃ…」

そう心の中で呟いた瞬間、宗旦狐が気づいた。
目があう…時間が止まる。

「……我を見て動けぬか?…それとも…」

不気味な笑みだけを残すと、第三の刺客の姿は
幻のように消えて行った…。




一方ここは、洋の食材で妙味に溢れる和食を提供する老舗旅館「黒塚亭
…ここにも一匹、たった今その「黒塚亭」から脱け出して来たモノがいた。

「コイツさえあれば〝アイツ等〟も正気に戻るだろうよ…」

そう言って、何やら白い袋に入っているであろう物をしげしげと眺めると
足早に暗い森へと入って行く…。

「へっ、ちょろいモンだ…あの〝けるべろす〟とか言う馬鹿犬さえかわしゃ
どうって事なかったな!!」

どうやらこの妖怪「天邪鬼」は黒塚亭に忍び込み、何かを盗んで来た
らしい…耳まで裂けた口が、さらに上へとつり上がっているトコロからも
かなりの大仕事だったようだ。

「これでアノカタもお喜びになる…フハハ!!」

深い森の木々の間を流れるように走りながら、天邪鬼は「逃げきれる」と
確信していた…すべてを風の神に見られていたと言う事も知らずに…。


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