shion(2006-10-14)
≪魑魅魍魎 美食の宴≫ プロローグ
「ほぅ、お客さんかえ?」
女将は顔に笑みを浮かべた。
白く尖った歯が、赤い口からのぞいている。
白く尖った歯が、赤い口からのぞいている。
結局、女将は風の神をあんかけにすることは断念したのだった。
というのも、「ちっとも腹に溜まらない」からである。
そんな殺意はちらりとも見せず、風の神を再び見回りに出させて間もなく、その知らせは飛び込んできたのだった。
というのも、「ちっとも腹に溜まらない」からである。
そんな殺意はちらりとも見せず、風の神を再び見回りに出させて間もなく、その知らせは飛び込んできたのだった。
「へえ、そうでやんす。多分、天邪鬼の奴でやんすな。ニヤニヤしながら走りやがって、気持ち悪いったらありゃしませんよぅ」
・・・こいつは、耳として使えるかもしれないな、と鬼婆は考えた。
彼女自身は、この風来坊の話し方が好きではないのだが。
「まあ、こいつも一応『毒』を持ってるからねぇ」
・・・こいつは、耳として使えるかもしれないな、と鬼婆は考えた。
彼女自身は、この風来坊の話し方が好きではないのだが。
「まあ、こいつも一応『毒』を持ってるからねぇ」
女将は口を尖らせた。口笛を吹いたのである。
と、次の瞬間、宿に飛び込んできたのは、番犬ケルベロス。
口には、闖入者がすっぽり収まっている。
と、次の瞬間、宿に飛び込んできたのは、番犬ケルベロス。
口には、闖入者がすっぽり収まっている。
「あっ、こいつでやんすよ。おいらが見つけたのは!」
と指差された天邪鬼はふてている。
「ふん、何のことだかさっぱりワカラネエな!」
「お前かい、ウチの店に押し入ってくれたのは・・・」
「フハ、そんなことはしてないな!!」
「薬品庫から薬を盗み出したんだろう?」
「何を言っているんだかな!」
「だがねぇ、残念ながら、その薬はあいつらの術を解くモノじゃないよ」
「な、何!?そ、そんな・・・」
「ほら、本性を出したね。さあ、どうしてやろうかねぇ・・・。前の実験はもう終了したからねぇ・・・」
「う、う・・・」
「二つに一つ、選ばせてあげよう。一つは、アンタが盗み出した薬を自分で飲む。そして、もう一つは・・・」
と指差された天邪鬼はふてている。
「ふん、何のことだかさっぱりワカラネエな!」
「お前かい、ウチの店に押し入ってくれたのは・・・」
「フハ、そんなことはしてないな!!」
「薬品庫から薬を盗み出したんだろう?」
「何を言っているんだかな!」
「だがねぇ、残念ながら、その薬はあいつらの術を解くモノじゃないよ」
「な、何!?そ、そんな・・・」
「ほら、本性を出したね。さあ、どうしてやろうかねぇ・・・。前の実験はもう終了したからねぇ・・・」
「う、う・・・」
「二つに一つ、選ばせてあげよう。一つは、アンタが盗み出した薬を自分で飲む。そして、もう一つは・・・」
山の中に、大きな悲鳴が響き渡った。
山彦がそれを何度か真似し、そして、叫びは森に吸い込まれていったのだった。
山彦がそれを何度か真似し、そして、叫びは森に吸い込まれていったのだった。