George(2006-10-24)
≪魑魅魍魎 美食の宴≫ 第二章 天狐
目の前は真っ暗だ…。
視界を奪われて、もう何時間経ったのであろう。
先ほどから感じられるのは、自分以外に数匹の妖怪の気配があるという事と
意識があるのは自分だけだという事…。
そして、何とも心地よい畳の香りであった。
先ほどから感じられるのは、自分以外に数匹の妖怪の気配があるという事と
意識があるのは自分だけだという事…。
そして、何とも心地よい畳の香りであった。
クダの叫び声を聞き、急いで二階に駆け上がった宗旦狐だったが
何者かによって〝ここまで〟運び込まれたのであった。
何者かによって〝ここまで〟運び込まれたのであった。
「(…まったく…僕とした事が…)」
らしくない事を考える宗旦狐であったが、自分の右腕であるクダの悲鳴に
思わず普段の冷静さを失ってしまったのである…まったく〝らしく〟ない。
しばらくすると、バタバタと数匹の足音が聞こえて来た。
スッと、流れるような音をたて障子が開く。
思わず普段の冷静さを失ってしまったのである…まったく〝らしく〟ない。
しばらくすると、バタバタと数匹の足音が聞こえて来た。
スッと、流れるような音をたて障子が開く。
「どぉれ…スマンかったの…今目隠しを取るでな、ジッとしておれよ…」
その声の主が静かに宗旦狐の頭に手をかける…
数時間闇に包まれていた視界に、痛みさえ感じる光が刺す。
刹那、あらかじめ相手の位置を読んでいた宗旦狐が、素早く後にまわりこむと
その声の主の首に腕をかける。
数時間闇に包まれていた視界に、痛みさえ感じる光が刺す。
刹那、あらかじめ相手の位置を読んでいた宗旦狐が、素早く後にまわりこむと
その声の主の首に腕をかける。
「慌てるんじゃないよ!!」
別の声が耳に飛び込んで来る…がしかし、宗旦狐の腕はしっかりと相手の
ノドもとを捕らえていた。
ノドもとを捕らえていた。
「カッカッカッ…しばらく会わん間に少しは落ち着いたかと思っとったが
手の速さは相変わらずじゃのう?」
手の速さは相変わらずじゃのう?」
ハッとして、腕にこめた力を緩める。
そう、この声には聞き覚えがあった…ゆっくりと視界が戻る。
そう、この声には聞き覚えがあった…ゆっくりと視界が戻る。
「ふゥ…先生も妖怪が悪い…」
「ホホッ、久しぶりじゃのう…元気にしとったか、うん?」
「ホホッ、久しぶりじゃのう…元気にしとったか、うん?」
「まったく、アンタはちっとも変わってないねぇ…私は恥かしいよ…」
鬼婆の言葉には、古き友人以上の何かが感じられる。
「いやぁ、少し警戒しただけだよ…それより先生、お元気そうで…」
「うむ…いやな、オヌシには悪いと思ったが…なんせ急ぐのでな…」
「三凶潰しですか…?」
「さよう…相変わらず鋭いのぉ、ホホッ…」
「最近アタシのところにもチョロチョロしていてな、最初はヒマツブシと思って
相手しておったのじゃが…いい加減、潮時かとおもってのぅ…」
「ふーん、君のトコもそうだったの? じゃあたぶん猩妖軒にも」
「いっとるじゃろうな…」
「うむ…いやな、オヌシには悪いと思ったが…なんせ急ぐのでな…」
「三凶潰しですか…?」
「さよう…相変わらず鋭いのぉ、ホホッ…」
「最近アタシのところにもチョロチョロしていてな、最初はヒマツブシと思って
相手しておったのじゃが…いい加減、潮時かとおもってのぅ…」
「ふーん、君のトコもそうだったの? じゃあたぶん猩妖軒にも」
「いっとるじゃろうな…」
そう夜行が言うと同時に、同じ部屋で気を失っていた「クダ」が目を覚ました。
「!!…宗さんっ!!!!」
「ん、大丈夫だよクダ君…この方達は敵じゃない」
「は…へい…?」
「紹介しよう…僕の古い友妖怪、夜行先生だ」
「あ…すっ、すいやせん!! クダともうします!!」
「いやいや、よいよい…先に無礼をしたのはコッチじゃ…」
「夜行先生にはね、昔お世話になったんだよ…別に弟子入りしたわけじゃ
ないんだけどね、彼を知る妖怪達はみんな敬意をはらって先生と呼んでる…」
「何とも、名ばかりの先生じゃ…宜しくな、お若いの!!」
「ん、大丈夫だよクダ君…この方達は敵じゃない」
「は…へい…?」
「紹介しよう…僕の古い友妖怪、夜行先生だ」
「あ…すっ、すいやせん!! クダともうします!!」
「いやいや、よいよい…先に無礼をしたのはコッチじゃ…」
「夜行先生にはね、昔お世話になったんだよ…別に弟子入りしたわけじゃ
ないんだけどね、彼を知る妖怪達はみんな敬意をはらって先生と呼んでる…」
「何とも、名ばかりの先生じゃ…宜しくな、お若いの!!」
今目の前で起こっている事が、うまく呑み込めないでいるクダを他所に
三匹は話し始めた。
三匹は話し始めた。
「オヌシのトコにも来たじゃろ…例の」
「チラシですか」
「それじゃ…実はな、ワシに心あたりがあっての…」
「…たぶん、妖怪狐連盟は無関係ではないでしょう…
しかし、おそらくコレは天狐を名乗る別の妖怪の仕業かと思います」
「うむ、ワシも同感じゃ…女将はどう思うかの?」
「じゃろうの…ま、詳しい話は今だ目覚めぬそこの三馬鹿に聞くのが
早いだろうさ…」
「…あのチラシが配られる前の日に、ワシの店に珍しい客が来ての」
「珍しい客…ですか?」
「うむ…オヌシら二人もよく知っとるヤツじゃ…」
「チラシですか」
「それじゃ…実はな、ワシに心あたりがあっての…」
「…たぶん、妖怪狐連盟は無関係ではないでしょう…
しかし、おそらくコレは天狐を名乗る別の妖怪の仕業かと思います」
「うむ、ワシも同感じゃ…女将はどう思うかの?」
「じゃろうの…ま、詳しい話は今だ目覚めぬそこの三馬鹿に聞くのが
早いだろうさ…」
「…あのチラシが配られる前の日に、ワシの店に珍しい客が来ての」
「珍しい客…ですか?」
「うむ…オヌシら二人もよく知っとるヤツじゃ…」
そう夜行は言うと、もう沈みかけた夕日を見ながら目を細めた。
「そう言えば、あの蕎麦屋な…」
「!?」
「!?」
急に話が変わったので、宗旦狐と鬼婆は少し面喰った。
「気をつけた方がイイかもしれんぞ…!?」