KARASU(2006-10-25)
≪魑魅魍魎 美食の宴≫ 第二章 天狐
「どうしたってんだい?」
「何か、外で女が暴れてるんでやんす!」
「女が?ここには誰も入れるなって言っただろ?追い返しな」
「それが、自分は呼ばれて来たんだ、って騒いでて・・・」
「何か、外で女が暴れてるんでやんす!」
「女が?ここには誰も入れるなって言っただろ?追い返しな」
「それが、自分は呼ばれて来たんだ、って騒いでて・・・」
夜行はゆるりと顔を上げた。
「どんな女じゃ?」
「すっごい別嬪です。赤子抱いてやした。もう柳の葉で叩くから痛くて痛くて・・・」
「すっごい別嬪です。赤子抱いてやした。もう柳の葉で叩くから痛くて痛くて・・・」
風の神は鞭打ちになった背中を見せた。
「そりゃあわしの客じゃ。入れてやっとくれ」
「夜行さんの?」
「おお、あやつらに対抗する駒じゃ」
「夜行さんの?」
「おお、あやつらに対抗する駒じゃ」
それを聞いて風の神は出て行った。
「先生、それって、龍球に引っ越したアノ子ですか?弟子だっていう」
「左様。最後まで渋っておったがの、昔の話をしたら快く引き受けてくれたわい」
「左様。最後まで渋っておったがの、昔の話をしたら快く引き受けてくれたわい」
それは脅迫ではなかろうか、というクダのツッコミは喉元まで上り、また腹の中に落ちていった。
明日は我が身。にだけはなりたくない。
明日は我が身。にだけはなりたくない。
風の神に伴われて現れたのは、少々目元がきついが文句なしに美人と言える、柳女の柳葉卯月。
龍球というリゾート地で居酒屋「ヤナギ」を切り盛りしている、一児の母でもある。
龍球というリゾート地で居酒屋「ヤナギ」を切り盛りしている、一児の母でもある。
「お久しぶりですね、センセ?」
「お前さんも、随分と丈夫そうになったのう。龍球の水がよほど合うと見える」
「ええ、お陰様で。店も順調ですよ」
「お前さんも、随分と丈夫そうになったのう。龍球の水がよほど合うと見える」
「ええ、お陰様で。店も順調ですよ」
柳葉は顔を綻ばせた。
「宗旦、女将、紹介しよう。柳葉卯月だ。性格はこの通り荒いが、耳の早さでは、わしの後継はこいつしかいないと思うておる」
「一言余計ですわ」
「一言余計ですわ」
柳葉はひんやりとした笑みを浮かべたが、海千山千の夜行にそんなものは通じない。
紹介された三人は軽い挨拶を済ます。
そして
そして
「じゃああたしはちょっと外すよ」
と鬼婆は出て行った。